コメディ・ライト小説(新)

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俺は今日、暴力的でドSでクズな幼馴染と絶縁する…訳がない!!
日時: 2020/03/12 22:05
名前: タダノヒト (ID: tfithZZM)

 最近、「幼馴染ざまぁ」なるものがネット小説界隈を賑わせている。大まかな流れを簡潔に説明すれば、何らかの形で人間性が著しく欠けた幼馴染と絶縁し、精神的に復讐&その後出会った優しい美少女といちゃつくといった感じだ。かくいう俺にも(清野 栞)という幼馴染がいるのだが、彼女はまさにこのざまぁの対象となるような、暴力的でドSでクズな幼馴染であった。

 
例えば、定期考査の結果が返却された日。帰り道の途中でたまたま出会った栞が、すかさず順位を聞いてきた。彼女はお世辞にも勉強が出来るとは言い難く、基本的に結果を聞いてくることはない。しかし、わざわざ聞いてきたこと、更に美麗な顔立ちを台無しにする意地悪そうな笑みを浮かべていることから考えれば、よほど良い成績だったのだろう。

「アンタ、何位だったの? ちなみに、アタシは五位だったんだけど……ちょっと手を抜きすぎたかもしれないわね。まぁアンタには関係ない話だろうk」

「三位だよ」

 しかし、結果は当然俺の勝ち。あんなにフラグを乱立させれば負け確と相場は決まっている。

 さて、この場面。並みのクズ幼馴染であれば恥ずかしさのあまり赤面し、それを隠そうと捨て台詞をはく場面だが、ウチの幼馴染は一味違う。

「……ちっ」

特に恥ずかしがる様子もなく、ただ舌打ちをすると唐突に俺の股関を蹴りあげた。

「おうっ!?」

 突然の激痛に、たまらずうずくまった俺の体を彼女は容赦なく踏みつけ蹴りつけ、更には罵声を浴びせてくる。

「空気読めよ奴隷の分際でよぉ!! なんで私より良い成績とってんだよ、私に合わせて勉強するのが当たり前だろうが!! このくそ豚がぁ!!」


 また、彼女が提出物を忘れた日には、すぐさま俺の所に来て課題を出すようにせびってきた。

「アンタ、課題寄越しなさい」

「あーうん。はい」

 半強制的な要求に、仕方なく差し出したプリントを彼女がぶんどる。あまりに強引な動作に軽くクチャっとなってしまったプリントを再び俺の机に置いた彼女は、どこからともなく取り出した消しゴムで俺の名前を消し始めた。彼女の名前に書き換えて提出する魂胆なのだろう。

「いや、それは流石にばれr」

「うるさい!! アンタごときがこの美しい私に口答え出来るとでも思ってんの?」

 俺の制止にも一切耳を貸さなかった彼女は結局、清野 栞と氏名欄に書かれたそのプリントを提出したのだった。しかし、彼女は金釘流の有段者。当然、不正がバレないはずはなく、個別に呼び出しをくらいこっぴどくしかられていた。

 こうなると当然、彼女の怒りの矛先は俺に向けられる。放課後、人気のない路地に連れ込まれた俺は、例のごとく股間を蹴りあげられるのだった。


 更に、とある日には。

「なんかむしゃくしゃするから蹴らせなさい!!」

「おうっ!?」

と股間を蹴りあげられた。


 以上を見てもらえば分かると思うが、栞は、暴力的でドSでクズで「最高な」幼馴染である。理不尽で容赦のない暴力。俺のことを奴隷としか考えていないクズっぷり。俺のドM心を満たすにはこれ以上ないほどの存在だ。

「ほら、早くしなさい!! もう五秒も私を待たせてんのよ!!」

「は~い!!」

 俺は、本当に恵まれた。それこそ小説の主人公となっても違和感ないほどの幸せ者だと思う。そんな幸せを噛み締めながら俺は玄関先で待つ天国へと飛び込んだ。


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