コメディ・ライト小説(新)

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2日を呪う
日時: 2020/03/22 13:07
名前: シナメ (ID: XLYzVf2W)

目次:⒈青い雷 >>1 ⒉WANTED! >>2

俺、紀川きかわ一斗いちと
みんなからは『キイチ』って呼ばれている、蒼蘭そうら中2年。
蒼蘭中には去年転校してきた。だから、蒼蘭中のみんなと過ごす春と夏は今年初めて。
特別楽しみって訳ではないのだけれど。

それで、俺には生まれ持った秘密がある。
俺は死神だ。

厨二病なんかじゃない。本当だ。
俺と親しい人達は、みんな死んでいった。
親友も。初恋の相手も。好きだった先生も。
だから、本当に好きな人には近づかないようにしないと、また、1人、また1人と去っていく。
もちろん本意じゃない。任意でやるわけがない。
それならもっと、嫌いな奴、憎い奴を呪いたい。

まあ、どっちにしろ人殺しはダメなんだけどね。
でも…でも、交通事故、誘拐、あるいは自殺……。
今まで13年間で20人は俺のせいで逝ってしまった。
もちろん誰も俺のせいだなんて知る由もない。
俺は生まれてきてよかったのだろうか。
☃️❄️☃️❄️☃️
皆さん、いかがお過ごしでしょうか。
『学割ってる?ダンス』に今更ハマったシナメです!

はい、少しおそくなりましたが、閲覧ありがとうございます。
シナメの小説2作品目も『1ヶ月シリーズ』からの出典でございます。
『5日』の次は『2日』です。イレラは『13日』の作品を書いていることをご存知でしょうか。
またの機会にぜひご覧ください。

さあ、話を戻しまして、見ての通り今回は打って変わって、男の子のお話です。
一斗は好きで関わった人、親しい人などを呪いで逝かせてしまうのですね。
もちろんそんな事一斗は望んでいないのですが、身近な人がどんどん消えてしまう。
一斗は地獄の人生を歩んでいきます。
一斗の呪いの秘密、友情や恋の行方、
移りゆく一斗の心情、そこに注目して読んでみてください。

更新期間はゆっくりですが、その分心に残る作品を築いていきます。
どうぞ、よろしくお願いします!

Re: 2日を呪う ( No.1 )
日時: 2020/03/19 12:33
名前: シナメ (ID: XLYzVf2W)

ー⒈ 青い雷
これは今から7年前、俺が小1の時の話。
「一斗、今日空いてる?」
帰りの会が終わったら、真っ先に俺の方に来て遊べるかどうか聞いてきたよな、はやて
まだ『キイチ』というあだ名が馴染んでなかった頃。
その時は自分が呪いを持っているだなんて知るはずもなかった。
…前例は1回だけあったんだけどな。

「うん。何時から?」
「今2時47分でしょ?…3時!」
「3時?3時ね、OK。越車南えしゃみなみで集合いける?」
「りょうかーい!」
越車南っていうのは、校区内にいくつかある公園の1つで、
俺が転校前に通っていた、越車えしゃ小学校の1年の遊び場は越車南公園が大定番だった。

俺が公園に着いたのは3時4分だった。
まあ、2時47分に学校を出て、13分間で下校、準備、出発、到着。
『OK』とは言ったが、早いとは思っていた。
でも、颯はすでにいた。どうなってるんだよ、あいつ。
そこから、門限の5時に間に合うように4時50分くらいまで遊んだ。
「一斗〜。帰んの?」
「おん。5時までだから。」
「そっか。じゃあまた明日なあ!」
そう言われて手を振ろうとした瞬間だった。

「わっ⁉︎」
その声にびっくりして振り返ると、颯が全身黒い服装に身をまとった男が、
颯の口を手で押さえ、そのまま連れ去ろうとしていた。
「ん〜ん!んー‼︎んー‼︎」
俺はパニックになり、怖くてその場を逃げ出した。
そして公園を出る階段を下ろうとしたその瞬間、時が止まった気がした。

〈俺、このままでいいの?颯を見捨てていいの?〉
脳裏にそんな事がよぎった。
俺はそれでも怖かった。
颯を助けなきゃ!そう思ったが足がすくんで動けない程だった。
『なんで?俺達友達じゃなかったの?助けるでしょ?友達なら。』
そんな事言われて絶縁されるかもしれない。
助けたい…助けたい…助けたい…助けたい…
時が動いた。
そう気づいた時には、既に颯の方へ走っていた。
「はやてええええ‼︎‼︎ はやてええ‼︎」
一心不乱に叫んだ。
男が颯を車に無理矢理乗せて、男も運転席に乗り込み、アクセルのかかる音がした。

「はやてっ‼︎」
そう叫んだ途端、確かに今までも曇り空だったが、不自然すぎる位の豪雨が急に降ってきて、
遠くで雷の音が連鎖して聞こえる。
そして、なんと男の車に雷が直撃したのだった。
でも、聞いていて分かるように、おかしすぎる。
まず、叫んでから、雨が降り、雷が当たるまでの時間は10秒もなかった。7、8秒。いや6秒位だったかも。
そして何より不思議な点。
車に当たった雷の色だ。俺は確かに見た。
あれはどう見ても青色だった。
夢…な訳ない。なんなんだろう。
…! それより、颯は…
「一斗っ!一斗っ!一斗っ!」
颯は俺の名前を連呼してボコボコに潰れた車から出てきた。
ぐしゃぐしゃに泣いた颯の様子から、その怖さがうかがえる。
気づけば、俺も泣いていた。
「逃げよう!颯っ!」
颯はうなずいた。そして2人ですぐに逃げ、公園の最寄りの知り合いの家、
心哉ここや宅に向かい、インターホンで助けを求めた。

心哉の家、蒔田まきた家は俺達を保護してくれ、事情を話すと警察、俺たちの家、学校に連絡してくれた。
ビショビショに濡れた俺達の服も替えを用意してくれた。

もちろんのこと、あの男は警察に御用となった。
雷のせいで、しばらく気絶していたそうだ。
そういえば、俺が叫んだ時のあの現象。
今では呪いのせい、というかおかげだったと思っている。

「キイチ、あの時は助けに来てくれてありがとな。」
「でも…俺じゃなくて雷が当たったから…」
「違うって。助けようとしてくれた事が俺は嬉しいんだよ。」
5年後、俺達は6年になり、あの時のことを話していた。
「…青かったんだろ?雷。しかも雨も急に降り始めたって。」
「本当だからな?」
「怪しんでるんじゃなくて…。お前、宇宙人なんじゃない?」
「はっは!なんだよ、それー。」
「違う、冗談じゃなくて!」
颯はマジの顔だった。
「ネットで見たんだよ、宇宙人はいるってアメリカの有名研究者が言ってたって。」
「…ふーん。」
「天気が操れるんじゃないか?だとしたら…水星人?」
小6の時には、もう自分が死神なんだと分かっていた。
だから宇宙人じゃない。
というか、颯ってそういうのすぐ信じるんだなぁって。改めて思った。

……‥。
俺は中1の秋、この津羅々つらら市を出て、蒼蘭中学に転校してきた。
颯とは小学校で出会ったきり、毎日のように一緒にいた。
あの青い雷と同じくらい不思議なこと。

颯はなんで死ななかったの?

Re: 2日を呪う ( No.2 )
日時: 2020/03/21 15:06
名前: シナメ (ID: XLYzVf2W)

ー⒉ WANTED!
《おめでとうございます。1位は、山羊座のあなたです。》
山羊座、その言葉に過剰に反応する。
1/12日生まれ、つまり山羊座だ。
占いなんて滅多に信じないけど、良い結果は認めたい。
《……ラッキーアイテムは、ガラスのコップです。続いて、2位から5位は…》

俺の家は蒼蘭中地区の中でも端の方で、圧倒的に学校から遠い。
ギリッギリ蒼蘭地区って感じ。
だから、みんなが家を出る15分前には出ないと、必ず遅れる。
今日もバタバタと…まではいかないが、焦り気味で着々と準備を進め、あっという間に家を出る。

でも、ちょっとしたメリットもある。
遠い分、いろんな景色が見れる。
俺の場合、10分くらい海が見れる。
朝早いから、朝日の陽が海に反射して、輝いている。
ここらで1番の絶景穴場スポットだ。

…?
この時間帯に砂浜に人なんて見たことないのに。
しかも、あれって蒼蘭中の制服だよなぁ?
蒼蘭中の女子が砂浜に突っ立っていた。海の方を見て。
ーあ。座っt…って、え⁉︎
女子はそのまま、海に身を投げ出して入っていった。
スニーカーが片方だけ勢いをつけすぎたのか、砂浜に飛んできた。
おい、これって自殺か?
だとしたらヤバイじゃん…!

俺は4メートルくらいある海と町とを分ける壁というか、斜面?
まあ、石造りの堤防を鞄を上に置いたまま駆け下りた。
4メートルなだけあって、着地は痛かった。
でもそれどころじゃない。
砂浜を駆けて行って、渚で力一杯叫ぶ。
「死んじゃダメええーー‼︎‼︎戻ってきてーーー‼︎」
…!そうだ。
颯の時と一緒だ。名前を叫べば、呪いが助けてくれるかも…!
でも、わからない。どうしよう。
名前もわからなければ、どうしようもない。

あー、もう、やけくそだっ!
俺は急いで靴下とスニーカーを脱ぎ、砂浜に放り捨てた。
そのまま、海に飛び込んだ。
制服なんかより、よっぽど命の方が大事だ。
水泳の成績はそこそこで、平泳ぎすらできないが、クロールならいける。
すーっ、はあ、すーっ、はあ、すー…⁉︎
俺は波に飲まれた。
必死にもがいても、泡がたつだけ。
…ヤバイ。沈んでいく。
身動きも取れず、息も続かなかった。



……ん、んん?
あれ?何、ここ…海?
それに、この格好…何これ……濡れてるし…。
俺はビショビショのまま、砂浜に横になっていた。
「目…覚めた?」
え…?
そこには、上が人で、下が魚の…いわゆる、人魚?
…人魚⁉︎ へ⁉︎ ガチじゃん!
そうだ、誰かを助けようとしたけど、そのまま溺れて…。
「私のこと、絶対誰にも言わないでください。お願いします。」
「あ、え、うん…。」
のりで「うん」って言っちゃったけど…。
人魚はすぐに海へ帰っていった。

あっ!
今何時⁉︎ ヤバイ!

でもビショビショだし…。
「人を助けてました」って…ん?
まさかあの人魚が、俺を助けたの?
…とりあえず、家に一旦帰るか。
俺は階段を上り、家に戻ろうと、通学路を引き返す。

《一斗?忘れ物?》
「いや、この時間に取りに帰らないよ。もう遅刻でしょ?」
《何言ってんの?》
インターホン越しに戯けたような声が聞こえる。
《…とりあえず、行くね。》
間も無くお母さんがドアを開けて、身体の半分を出した状態で話を続けた。
「何で帰ってきたの?」
「え?いや、まず…」
『まずこの格好、おかしいと思わない?』そういうつもりだった。
だけど、変だ。
一瞬にして服も髪も何もかも乾いていた。
「…え?あ?ごめん、今何時?」
「今?……えーっと、7時、30分。」
「え⁉︎」
「だって、25分に出て行って5分くらいで帰ってきたから…。ほら。」
そう言ってお母さんはスマホの時計を見せた。
7時30分、ジャスト。でかでかと、7:30と表示されている。
まだ全然学校には間に合う。
でも、5分間の出来事だなんて思えない。
いや、絶対5分じゃない。
「で、どうしたの?」
「あ、あっ。あったわ。ごめん、数学の教科書忘れたと思って。じゃ、行ってきまーす。」
「え?」
即興で考えた言い訳。
きまりが悪くなったので、俺は走って曲がり角を曲がった。
また海が見える。

…あ。
そこにはさっきと同じ女子が、靴を履き直していた。
生きてたんだ、よかった。
……あれ?
濡れて…ない?
その女子の髪、そして服も、何一つ濡れてなかった。
俺は道端の柵に身を任せて、もたれかかり、女子に向かって、
「大丈夫ー?」
と叫ぶ。女子は「あっ」とでも言ったような顔を見せて、
「ちょっと待ってて」
ということだろう。stopサインを手で作り、階段の方へガムシャラに走って行った。

右を見ると、笑顔であの女子が走ってきた。
息が少し切れていたが、構わず歩き出した。
そのまま俺は、中学校生活で初めて女子と2人きりで登校することになった。
しかも、言い方は悪いが、大当たり。絶対モテるっしょって感じの可愛い女子だった。
俺なんかでいいのだろうか。(まあイケメンとはよく言われるし、告られたことだって8回あr…)

「名前は何ていうんですか?」
「え、あ、紀川、一斗。」
「キカワさん、かあ。珍しい苗字ですね。」
「タメ口でいいよ。あと、キイチって呼ばれてるから…。」
ヤッベ。心臓が、心臓の音きこえるかもしんないってくらい、ドキドキしてる。
「あ、うん。えっと、キ、イチ。」
「そ、そうそうそう。あ、名前、名前何?」
「名前?あ、千種ちぐさ輝夜かぐや。」
「チグサ?聞いたことないよ。そっちの方が珍しいと思うけど…。」
「意外といるよ。チグサさん。」
そこからずっといろんなことを話して、海も見えなくなり、もう少しで学校というところ。
曲がり角を曲がって、そのまま直線だ。

曲がり角に差しかかると、輝夜があのことについて自ら切り出した。
「人魚…いたでしょ?」
「あ、うん。何で知ってるの?」
「あ、気づかなかったんだ。知ってるも何も、私が人魚だから…。」
「…冗談だよね?だって、今魚じゃなくて足があるし…。」
「信じて!ホントなの。薬で4ヶ月間人の姿になれるの。それで今日丁度薬の効果が切れる日だったから、人魚になって海に潜って、薬の替えをもらおうと思って。そしたらキイチが溺れてたから。」
「そっか。ありがと、とりあえず。命の恩人だよ。」
「いやいや。そういや、何で海に入ったの?」
「それは、輝夜が海に入って行ったから自殺だと思って…。結局助けられたのは俺の方なんだけどね。」
「そうだったんだ…。」
そして学校に着いた。
結構早めに来たのに、男女数名がすでにいて、立ち歩きして話したり、遊んだりしていた。
ていうか、
「キイチも2組なの?」
「うん。偶然だねえー。」
おんなじクラスだなんて、思ってなかった。
じゃあ、チグサって名前聞いたの、初めてじゃなかったんだ。

……?あいつって…。

Re: 2日を呪う ( No.3 )
日時: 2020/03/24 08:46
名前: シナメ (ID: XLYzVf2W)

-⒊マーメイド
……?あいつって…。
凛斗?門寺凛斗?
散髪して、雰囲気もガラッと変わっていた。
なんだよ、あいつ、イケメンじゃん。

俺は凛斗と話してみることにした。
門寺かどでら凛斗りんと。クラスの端っこ的存在で、影が薄く、誰にも口を開かずみんな避けていた。
そんな奴が、急にイメチェンしてハンサムになってるんだぜ?
びっくりしたよ。そりゃあ。

「よっ!」
「おう。おはよう。」
「切ったの?髪。」
「うん。日曜日に。そっか、昨日紀川さん欠席だったから…。」
「イケメンじゃーん。」
「え?いや…そんな…。」
「へへへ。じゃな。」
おー。なんか緊張した。
ふと、輝夜の方を見ると、何さんだかわからないけど誰かと何かを話していた。
まさかあの女子も今、人魚と話しているだなんて思わないだろうな。
で、何故かあまり楽しそうじゃないのは気のせいだろうか。
…あ、チャイム。

授業後、俺は弓道部への準備を進めていた。
荷物を整えてっと。
教室には、まだ男女数名が残っていて、帰り支度をしている人もいれば、何か話している人たちもいる。
おしっ。準備完了。
俺は弓道部の部室へと向かう。
行く途中、
「一斗、一緒にいこー。」
と男子3人組に誘われ、4人で行くことになった。

2階から1階への階段を降りる途中、体育館へ向かう1年生の姿が見えた。
「今日、卓球部もあるんだよね。」
3人組の1人、天井あまい結河ゆいがが口を開く。
続いて若松わかまつ紘真ひろま
「ついでに男子サッカー部と料理部とかもあった気がする。」
と付け足す。
「理科部もあったわ。本当充実してるよなぁ。」
川満かわみつ衿都えりとも会話に混ざる。

弓道部が終わり、さっきの3人組と帰ることにした。
「青山先輩も一緒に帰りませんかー?」
衿都が3年の青山あおやま先輩を誘う。
「ごめーん。ちょっと無理だわ〜。」
「わかりました〜。片付け頑張ってくださーい。」
「はいはーい。」

校庭では、女子5,6人組がみんな揃って何かのダンスを練習していた。
「あ〜。redemoだろうな。」
紘真が、何か呆れたようにいう。
redemoとは、一般人からでも無料で使用できる、動画配信・投稿サービス。
世界中のほとんどの人がredemoを見ているだろう。
俺たちだってredemoは好きだし、よく見る。
けど、それで女子達がいちゃつくのは、無性にイラッとくる。

帰って、宿題をする前にちょっとだけredemoを見ることにした。
イヤホンをつけてっと。
前は人気redemerの実験動画しか見なかったが、最近は『いおりん』という女性歌い手にハマった。
とっても透き通った綺麗な歌声なのに、
最近いおりんの動画ほとんど全てに『マーメイド』とかいうアンチがいる。
そいつが本当にひどい奴。
普通に『消えろ』とかいうし。
そいつのコメントに俺たちファンが、返信コメントで反発している。
いおりんは俺と同じ中2だ。
だから、すごく同情できる。
本当に傷ついているだろうし、かわいそう。

ん?待てよ…。
マーメイド、つまり人魚。
人魚?まさか、こいつって輝夜⁉︎
なんてな。
そんなわけねえよな。
マーメイドって奴、いたらぶっ潰してやる。


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