コメディ・ライト小説(新)
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- ___今、染まってしまえば、本当に成れそうで。
- 日時: 2020/06/13 17:25
- 名前: 真朱 (ID: l1OKFeFD)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=20129
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スレッド設立 2020/04/30
養子として今まで生きてきた高校生、紅雨。
次女として生きてきた高校生、紅新。
血は繋がっていないが、複雑な心境は2人共変わらない。
霊感と人生を共にする2人の少女の物語。
【とりあえずのお知らせコーナー】
サブスレ(短編集)のURLは上にあります!(複雑・ファジー版です。少し過激な表現も使うので、苦手な方はクリックしないのをおすすめします by作者)
サブサブスレ(?)はコメディ・ライト版で執筆しております!恋愛系です♪
【お客様】
・雪林檎さん ・美奈さん
コメント頂けると嬉しいです!作者泣くかも。
【小説目次】
一気に読みたい方向け>>0-31
登場人物>>01
〘1学年 4月〙
1学年 4月編を一気に読みたい方向け>>02-28
#1>>02 #2>>03 #3>>04 #4>>05 #5>>06 #6>>07 #7>>08 #8>>09 #9>>10 #10>>11 #11>>12 #12>>13 #13>>14 #14>>17 #15>>18 #16>>19 #17>>20 #18>>21 #19>>22 #20>>23 #21>>26 #22>>27
まとめ>>28
〘1学年 5月編〙
1学年 5月編を一気に読みたい方向け>>29-31
#23>>29 #24>>31 #25>>32
- Re: ___今、染まってしまえば、本当に成れそうで。 ( No.3 )
- 日時: 2020/05/05 16:36
- 名前: 真朱 (ID: 6..SoyUU)
#2 「穢れなき昔」
高校入学まで、1週間。
言い換えれば、春休みも終わりに近付く頃。場所は私の部屋の中。私は紅新の事と共に、家族の事を重苦しく抱えていた。
私の本当の両親にあった記憶は、全く無い。
ただ、両親が亡くなった事しか分からない。もちろん、アルバムなどなくどんな顔をしているのかも分からない。ただそれだけ、の事である。
「紅雨。」
振り向いた。
いや、驚いた。紅新がいた。
何故か彼女はビニール袋を手に提げており、その中心にはよくある青いコンビニマークが描かれていた。中には何か入っているらしく、小さい風でガサガサと音を立てていた。
「アイス買ってきたんだけど。食べる?」
「あ。うん。」
彼女はこの前の事を忘れたように明るい顔で袋の中をいじくっていていた。ヒンヤリとした空気が、頬を撫でて逃げていく。春の陽気によって火照った顔が、一気に冷やされていきそうだった。
「高校の制服どうやった?」
「ん…まぁ、いい感じだったな。リボンじゃなくてネクタイだった。」
「そっかぁ。でも、高校別れちゃうね…。」
残念ながら、私は稔川高校。紅新は向島高校というものに進学する。
兄弟や姉妹で志望校が異なるというのはよくある事だが、少しばかり寂しく思う。
…話が脱線しすぎた。
とりあえず私達はベットの上に腰掛けると、私達は2人並んでアイスの蓋を開けた。
抹茶味。
渋い味が、口の中に。香ばしい香りが、顔に渦巻く。そして美味しい。
「昔もこうやって、並んで食べたもんねぇ。」
紅新が安心でもしたような顔で、口を開いた。
その表情は少し悲しそうなものであり…また3人で集いたいという心が見える。
…確かに懐かしい。幼い頃、紅姉さんと紅新、私が並びながら食べた思い出が、ここにはあった。
- Re: ___今、染まってしまえば、本当に成れそうで。 ( No.4 )
- 日時: 2020/05/04 14:15
- 名前: 真朱 (ID: ET0e/DSO)
#3 「深夜の灯に」
「眠れない…」
ただ単に、眠れなかった。
目が冴えて、白い天井を意味も無く見つめていただけ。虚しい光景が、静かに広がっていた。
溜息を付きながら、カレンダーの方へ視線を向けると見事に明日の欄に赤丸が付けられていた。
『入学式』
明日高校に入学するとなると、一気に緊張の波が押し寄せてくる。
そりゃ高校生だもの。今まで中学生=『junior』だった者がいきなり一段落上に行く。
簡単に言うと、『何処かの子供』から、『青春真っ只中の少年少女』に移り変わると言うものだ。
「でも、紅新とは離れちゃうな…。」
元々この近くには偏差値の高い高校がいくつもある。より高みを目指す学生達はだいたいそこで別れてしまう。私と紅新は同じ家に住んでいるさながら、志望校は違う。そこが虚しいのである。
だが霊媒師目線から見ると、新学期と言う物はよく霊が溜まりやすい季節。霊媒師としては少し依頼が増えるのである。
ただ私は、春の陽気に満たされながら明日を待ちわびていた。
- Re: ___今、染まってしまえば、本当に成れそうで。 ( No.5 )
- 日時: 2020/05/09 18:02
- 名前: 真朱 (ID: uJGVqhgC)
#4 「目を擦ればセーラー服」
「おはようございます_____」
今日は入学式___なのに、眠い。瞼が重い。
原因はどうせ、昨日はそこまで眠れなかったからか。足元が少しふらつく。
服装は既に着替えており、いつでも家を出発できる…そんな感じだ。
少し落ちそうで怖いが、少し趣のある階段を降りていくと、セーラー服姿の紅新____だけ。
「母様は?」
やる気の無さそうな声で、少しばかり聞くと「先に行った」とぼやけた返事しか帰ってこなかった。
________…今日は入学式なのに。
これが子供の願いである。
どんな時間でさえも、やっぱり一緒に居て欲しい。そう言うものだ。それでもしょうがない。母様はとにかく忙しい。私の父様____彼女の夫を亡くして間もない頃だって、悲しみを隠し霊媒師として生きてきた。そこにはもはや、感謝しかない。
そもそも、母様は腕の良い霊媒師だ。
毎日依頼が殺到し、商売の目で見れば『超黒字』である。
食卓に目を向けると、母様が作った定番でしかない味噌汁。米。パン_____。なぜ主食が2個もあるのだろうか…。けれども、母様は忙しかっただろうからしょうがない。とりあえずそこは気にせず気怠く頬張る。
今は7時半。入学式まで1時間を切った。
残念ながら、まだ高校生という実感は沸かない。それは当たり前であろう事である…。分かりやすく言うと、桜を見ても何も思わない感情と大体一緒だ。
- Re: ___今、染まってしまえば、本当に成れそうで。 ( No.6 )
- 日時: 2020/05/07 13:43
- 名前: 真朱 (ID: okMbZHAS)
#5 「不安感、消えてしまえ」
不安しかなかった。
進学。心配しかなかった。
「_____っ。____雨。」
何か聞こえる。
私だけの世界に________
「紅雨。」
「…えっ。」
「スマホ。鳴ってる。」
自分のスマホを見ると、確かに何か着信していた。
______…私、こんな時間にぼーっとしてたのか…。
スマホの画面を覗くと、『紅雨、そっちの家行くね〜。8時頃に呼び鈴押す。』と言う文字。
どうやら15分前に来たものらしく、発信元は陽和だった。彼女とは小学生の頃から仲が良く、偶然志望高校も一緒であった。まさに、瓜二つ_____に似たものである。
今は7時50分。
約束の時間まで、あと10分程度である。
「…紅雨。少し話があるんけど。」
少し戸惑う。
そりゃ、いきなり紅新が話しかけてくるからである。いつもはこんな事無いのに…。
こちら方向を向いてきた紅新はパンを頬張っていて、少し子供っぽい。セーラー服のネクタイは少し緩いし、スカートは「邪魔くさいから」という口実で少し翻されていた。
何か真剣な物を語るのか、彼女は苺ジャムを口に付けながら姿勢を改めた。
あんな能天気な彼女がいきなり、どうしたのだろう。いつものように、奇想天外な行動は飲む事が出来るがここまで改まった表情は___見た事が無い。もしかして、悩みでもあるのだろうか_____
「紅雨。もし高校で、良い男子見つけたら紹介してーね。あ、私もう出るから。」
「…は?」
そう言うと、彼女は皿を片付けぴょいっと行ってしまった。
やはり能天気なのは変わらない…そう思う途中で、呼び鈴が聞こえてきた。
- Re: ___今、染まってしまえば、本当に成れそうで。 ( No.7 )
- 日時: 2020/05/07 13:43
- 名前: 真朱 (ID: okMbZHAS)
#6 「ドキドキしてるからさ」
「ちょっと早くないかな?」
玄関先から軽快に足を運ばせると、目の前には陽和が澄まし顔で立っていた。少しイラッとくるかもしれないが、彼女は憎めないものである。
まぁ、元々。入学式の日は8時前後に集合と言っていたので遅れているわけではないし、早すぎるわけでもない。
「ん…っと。なんかドキドキ感ってやつじゃない。ほら。気分が上がるというか。」
「まぁ、支度が終わってたから別にいいんだけど。」
しょうがなく愉快そうな陽和に付いて行く。
何も悩みが無いと言うのは、こういう事なのか_____?
春。
…言わなくても分かるか。辺りは桜一面であり、見惚れるものだった。本当に、白いキャンバスに絵の具が落ちてしまうような____美しさと儚さだった。
辺りを見回すと、やはり高校生たちで溢れかえっている。私はただ不安感を抱えながら、高校の事を想像していた。
話が少しズレるが、『稔川高校』について。
地元では有名な“稔川”流域のすぐ近くにある。
ここらへんでは毎年夏祭りが開かれ、日に日に伝統そのものに成りつつある。
流れは緩やかであり_____いや、緩やかすぎるからか、夏になると子連れの大人や小学生の溜り場へと変貌を遂げる。
「もう稔川見えてきたね。もうすぐじゃない?」
陽和が横手にあった稔川を指差す。
その風景はやはりいつも通り。幼い頃、夏祭りで綿飴を買った風景と変わっていなかった。
とにかく、この川。微風が心地良い。
悩みがある時にここへ訪れると、周りの風景が心を包み込んでくれるよう…。そして悩みらしき何かが飛んでいく。この後予定がないなら、ここで一日中過ごしていたい気がある。
「そう言えば、知ってる?稔川の話。」
「稔川の話…?聞いた覚えがないけど。」
地元民の私でさえ知らない。
“話”と言うのは、伝説や言い伝えなのかもしれない。幼い頃から稔川についての話はよく聞いてきた。稔川の周辺には霊が住み付かないとか____4月4日には女性の声が聞こえる_____どれもオカルト関係だが、それしか聞いたことがない。
「知らないの?…ほら、晴れてる日に川の流れが遅いと、良い事があるんだよ。」
彼女を耳にしながら、稔川に視線を向けると晴れ空の下で緩やかな水を流している稔川が見えた。