コメディ・ライト小説(新)

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ヤクモ荘は今日も賑やか
日時: 2020/05/17 22:28
名前: ホラ吹き猫 (ID: 7TW18VFI)
参照: ホラ吹き猫

皆さん初めましてホラ吹き猫と申します。
今回から現代物の妖の小説を書いて行きますので、お暇がある方は見てくれると嬉しいです。
基本的に日常物なので戦闘シーンは少なめです悪しからず!

・不定期更新

・基本ギャグ(ギャグ八割シリアス二割)

・オリキャラ多め

・見た人はきっとム〇カになる(悪い意味で)

それでも見てくれる人はよろしくお願いします!
あ、因みにオリキャラ達の設定は登場次第随時記載していきます!(軽めだけど)

5/17 タイトル変更しました!

ヤクモ荘の平和な日常→ヤクモ荘は今日も賑やか

Re: ヤクモ荘の平和な日常 ( No.1 )
日時: 2020/05/18 13:07
名前: ホラ吹き猫 (ID: 7TW18VFI)
参照: ホラ吹き猫

一話「深夜の追いかけっこ」


???side

身軽な猫さえも通らぬ様な暗く鬱蒼とした路地裏。
街灯も無く、僅かな光源は最近丸みを帯びてきた月のみ。
そんな路地裏に、激しい足音と息遣いが一つ。

そう、私である。
高校生一年生の池春 光……ってそんな事はどうでも良くてだね…ッ!!
私は今必死に逃げている。何故かって?あの"影"からだよ……ッ!!

事の始まりは下校途中。
親友のユミと別れた後だった…。
突如、視界が"夜と化した"。何を言っているか分からないと思うが、私も分からない。
私ごと覆うように、頭上をザァッと黒い影が覆ってきたのだ。
建物はそのままなのに、背景は真夜中と化し先程まで周りにいたはずの通行人が消えたのだ。

困惑したのも束の間、地面に黒い影のような物が現れそこから染み出す様に"影"が出現したのだ。
私の拙い文章力では到底表現出来ないが、"あれは駄目だ"と私の危機管理能力が警報を鳴らしていた。
その瞬間その"影"から真反対に駆け出した私を誰か褒めて欲しい。
多分あの時人生で一番早く判断出来てた。
家に戻ろうにもあの時進行方向に化け物がいたから無理だし、そもそもただ逃げることだけを考えてたからここが何処なのかすらも分からない。

端的に言うと迷いました、ハイ。

とりあえず足の速さだけは自慢なので、今の今まで走ってきたのだが全然撒ける気配がしない。
お察しの通り"影"は未だに追い掛けて来ている。
何故だ、最近恨みを買った覚えはない……!
強いていうなら弟のプリンを盗み食いした時……!!()

先程足の速さだけは自慢と言ったが、部活には入っていない。
いや、入ってるには入ってるのだが……【オカルト部】という先生方に認められてない非公式の部活に入っている。
その名の通りオカルトな部でこの世の真髄を追求するという何だか【宗教部】に改名した方が良さそうな怪しげな部活だ。
以前から様々な要因から難色を示されていたが、実際降霊術?を試した部員が病院送りになった事から完全な非公式になった。

勿論先生方は危険だからという理由で廃部させたいらしいが、部長に絡んだ先生がそれからしばらく心霊現象に悩まされたという事から先生方は止むを得ず黙認している。
因みに私は自分の意思で入った訳では無い、親友のユミに頼み込まれて渋々入ったという訳だ。
本当は運動部に入りたかったのだが、ユミに頼まれちゃあ断れない。

前置きが長くなって申し訳ない。
つまりどういう事かというと……。

「足は速いんだけど体力が無いんだよなぁーハッハッハッ!!」

「帰りたいッ!!←」

つまりはそういう事である。
もうあれから何秒経ったかも分からない。
数分か数十分……ひょっとしたら数時間かもしれない。
ゆっくりだけど着実に"影"との距離は縮まっている。

行き止まりに直面したらそれこそ終わりなので昔から良かった足の速さの次にいい勘を使って何とか今の今まで走り続けられているが、それも限度があるだろう。

「ソイヤッサァッ!!」

目の前には乱雑に置かれた木の板や鉄パイプ。
角をスケート選手顔負けの勢いで曲がった時に蹴り倒し、振り返らずに尚走る。
気休めにもならないだろうが、無いよりはマシだろう。
後念の為鉄パイプも持って。

だが、現実は非情である。

「ッ……!」

流れる景色の正面に、レンガの壁が突然現れた。
ぶつかりそうになりながらキキッと急停止した。
左右に壁はなく、道も狭い。
ッ……!

ギリッと、奥歯を噛み締める。
ずっと全力で走っていたせいで、猛烈に肺が痛い。
ここまでの道は、全て一方通行だった。
"影"はとっくに私に追い付けていた筈だが、まるで獲物を弄ぶかのように一定のスピードを緩めなかった。
この場での私は……ただの獲物だ。
でも…鮫に襲われた凧がその触手で絡め取る様に…私も、まだ心は折れてないのだ。

心が折れない限りは、例え四肢がもぎ取られようが何だろうが地面に這いつくばってでもまだ動くことが出来るのだ。
やがて、ヌロリと"影"が現れた。
闇そのものを具現化させたような、酷く嫌な気配がする。

私を追い詰めたことを悟ったのか、口らしきところがニタリと笑みを深めた(気がした)
チラリと、壁の上にある寂れた家のトタン屋根を見やる。
歪なコンクリートやら今手に持っている鉄パイプより太い鉄パイプやらが、ロープに巻かれてトタン屋根の頂点に繋がっている。
ロープの一本が、屋根の頂点にぶら下がっているという訳だ。

元々この辺の街は工業が盛んで工場も多かったと、当時の現役だったじっちゃんが言った。
だが今は何処も廃業してしまったという。
その名残りで忘れ去られていたのだろう、屋根の頂点にぶら下がっているロープは腐り果てて今でも千切れそうだ。

今私がいる場所からブーメランの要領で投げれば、もしかしたらロープが千切れるかもしれない。
"もしかしたら"、の話だが。
普段から希望論で物事を決めるのはあまり好きじゃないのだが、今はどんな小さい藁にでも縋っていたいのだ。

チャンスは一回。
失敗は許されない。
心做しか笑みを深めた気がした"影"がゆっくりと此方へ向かってくる。

女は度胸……!!
…今だッ!!

「フンッ!!」

"影"が荷物達の下に来たのを皮切りに、思いっきりトタン屋根に向かってさっき拾った鉄パイプをぶん投げた。
結果は見事に命中。
目論見通り鉄パイプが当たったロープは、腐れ落ちるというか上から叩き切られるようにプツッと切れた。

物凄い轟音を立てながら、支えであったロープを失った荷物達はモロに"影"の上に落ちた。

「ッ、ケホッケホッ!」

長年放置されていたせいか、モワモワと土埃が舞った。
少しの炭の匂いが酷く目に沁みる。
腕を交差させて土埃を防ぎながら、その隙間から荷物達の下敷きになったであろう"影"を見やる。
どう、なった……?!

「……ッハ、マジかよ…」

荷物達の下の隙間から、"影"があの時のように染み出して来たのだ。
全くもってダメージを与えられていない。
その現実に、思わず自嘲的に笑った。
しかも鉄パイプは先程投げたせいで何処かに行ってしまった。

これには、流石の私も絶望した。
"影"が覆うように動く。
背後には壁。
絶望的だ。
今までの疲労や誰もいない孤独感がそれを浮き彫りにさせていく。

流石に最期まで諦めたくはないが、時には諦めも肝心であろう。
ユミや家族達と別れるのは酷く寂しいが、来世に期待だ。

「はいは〜い。
そ、こ、ま、で♪」

この絶望的な状況にはとても似つかない、快活で飄々とした声が降り注いだ。
上だ、上から声がする。
思わず目の前の"影"さえ忘れ、壁を背中に付けながらバッと上を見た。

赤い今時古風な傘をクルクルと回した金髪のお気楽そうな男が、壁の上に立っていた。
一体、誰だ──?

◇◇◇
池春 光

今回で早速名前が判明した主人公。
体力が無いと自分は思っているが周りから見たら化け物のレベル。
黒髪黒目の日本人顔だが割と綺麗。
髪は背中位まで。
機転が利く。

イメージCV種崎敦美さん

金髪のお気楽そうな男

多分次の話辺りで名前が出てくる人。
金髪糸目。
センター分けの首位までの長さ。
狐顔。

イメージCV櫻井孝宏さん

作者から

まずは一話ですね。
読んでくれた人ありがとうございます。
さて、今回の話は作者的には結構長めに書いたつもりですが皆さんはどう思いますかね?
流石に区切りを良くしたいので文字数自体は結構バラバラになります。
それでも1000文字は越えたいのですが……。

もし誤字脱字等の不備があったら教えて欲しいです。
それでは皆さん、次の話まで!

Byホラ吹き猫

Re: ヤクモ荘の平和な日常 ( No.2 )
日時: 2020/05/18 13:05
名前: ホラ吹き猫 (ID: 7TW18VFI)
参照: ホラ吹き猫

二話「突然の来訪」

「いたいけな女子高生にいたずらは良くないよ〜、"禍ツ物"さん?」

禍ツ、物……?
金髪男がさも愉快そうに呟いた言葉に思わず首を捻る。
妖怪方面にも知識が広いオカルト部でも聞いた事のない言葉だな……。
禍々しい物って、書くのか……?

困惑する私を他所に、金髪男は言葉を続けていく。

「女子高生は国の宝なんだからさ♪」

………………ん?

固まった私を他所に、金髪男はヒラリと"影"の前に降り立った。
守って、くれているのだろうか。
改めて見ると、本当に今の現代社会には似つかない服装だ。
黄色いシンプルな浴衣の上に、赤地に白い線で椿の模様が描かれたお洒落な羽織り。
花輪が赤い黒い高下駄。
そして、頭には白地の一般的な狐の面。
肩に乗せてクルクルと回されている赤い傘は羽織りと同じ模様だ。

見た感じコスプレと言われても違和感がない服装だ。
今の令和の世、それこそこの都会では夏祭り位しか着る機会がない服装だ。

だけど、この金髪男は"人間では無い"と私の勘が知らせていた。
私の勘は外れたことがほとんど無い。
"影"の様に嫌な気配ではないが、それでも不気味な気配だ。
得体の知れない、掴みどころの無い気配。

とりあえず先の発言はスルーする事にして、その存外しっかりとした背中をジッと見つめる。
どうやら、一先ずは助かりそうだ。
……多分。

『ア"、ア"…… !!邪魔、をするナァ…… !!』

…喋った?!
マ〇クのあのCM程ではないが、喋れることにとても驚いた。
それでも辛うじて人の言葉に聞こえる程度の、だったが。

「え〜、だってこんなまだ明るい時間帯に堂々と"人狩り"してたら誰だって気になるじゃん?
俺は気になるなぁー」

『黙、レェ…… !!』

とても、禍々しい声だ。
背筋に冷水を流されている様だった。
ゴクリと、唾を飲み込む。
そんな中でも、金髪男はお気楽に言葉を発していく。

「大体、君は傍若無人な振る舞いで"虚世"に堕ちたんだから自業自得じゃない?
可哀想だよね〜あの子達。
一生懸命尽くしたのに、骨まで帰ってこないなんてさ」

虚世?あの子達?どういう事だ?
頭の中のクエスチョンマークがどんどん増えていく。
完全に蚊帳の外だが、かといってこのまま逃げれる訳も無さそうなのでこのまま黙って見ておくしか無さそうだ。

金髪男のお気楽な発言に、禍ツ…物?の堪忍袋の緒がついに切れた様だ。

『黙、れ…黙れエ エ エ エッ!!』

地の底から響くような咆哮が辺りに撒き散らされる。

「あっ…危ないッ!!」

禍ツ物の黒い身体から、数えきれない触手のような物が生み出され一直線に金髪男へ向かっていく。
隙間なんてないその様は、イソギンチャクにも見える。
だが、それにも関わらず金髪男はさもつまんなそうにクアァと欠伸をしていた。
動こうにも、ここに来て今までの疲労感が蓄積され動く事が出来ない。

「…遅いねぇ、欠伸が出るわ」

一瞬の、出来事だった。
視界が一瞬だが真っ白に染まった刹那、金髪男は禍ツ物の後ろにいた。
ふわりと、彼のやけに綺麗な金髪が揺れた。
刹那、鉄砲玉が弾けるように禍ツ物はその身体を霧散させた。

霧散させた身体は、空中に黒い粒となり雪のようにコンクリートの地面に降り注いだ。

「……はッ」

漸く、無意識に溜めていた息を吐き出すことが出来た。
何だ、これは。
理解が出来ない。
彼は今、何をした……?

「おっと、"破片"は浴びちゃいけないよ」

そう言って、カラコロと下駄を鳴らして此方に歩み寄ってきた金髪男は粒から守るように私に赤い傘を差してくれた。
「うっかり人間が触れると駄目だからね」と言い、彼はニヨニヨ笑う口元を更に深めた。
何かやけに顔が良い。

「た、助けてくれてありがと…う?」

「ん〜?
良いってことよ♪
んじゃ、元気でね」

それを最後に、金髪男はクルリと踵を返してその場を去ろうとした。
黒い雪のような物は、いつの間にか消えていた。
これを逃せば、二度と聞けない様な気がして。

私は思わず、その背中に声をかけた。

「ま、待ってくれ…!
アンタ、名前は何だ?教えてくれ!」

ピタリと足を止め、金髪男が振り返る。

「名前…ねぇ。
ヒ、ミ、ツ♪
苗字は無いよ、捨てたからね」

そう言って私の前に近付いた金髪男は、おもむろに私の片手を握りこう言った。

「君が俺の事を覚えていてくれたら、俺の名前を教えてあげよう」

握られた手に、リップ音と共に柔らかい感覚が走った。
刹那、何かに引っ張られるような感覚と共に辺りにガラスが割れるような音が鳴り響いた。
気付けば、私は元の道にいた。
金髪男は目の前から消えていた。
まるで最初からいなかったように。

唖然としつつ、握られた目を見やる。

「…もしかして、あれがファーストキス?
…………マジか」

何処か虚しく聞こえるであろう私の声は、いつもの何の変哲もない夕空に消えていった。
…本当にマジか。

◇◇◇
池春 光

ファーストキスを奪われた。
マジか()

金髪男

結局名前が出てこなかった人。
羽織りは椿模様だがイメージ的には彼岸花。
模様の関係的にそうなった。
CV櫻井孝宏さんは偉大。

作者から

どうも、ホラ吹き猫です。
設定という程では無いですが、上記の様に後書きっぽく書いていこうとかなと。
こうした方が私自身もやりやすいので。
後いちいちメモるの面倒くさい…((ボソッ


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