コメディ・ライト小説(新)
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- 臨時電車
- 日時: 2020/06/10 17:41
- 名前: にき ◆Jx1Vgc1Dso (ID: w4lZuq26)
短編を基本的には書いていきます。
ここのコメライらしい内容かと問われれば違うような気もしますが、
グロテスク要素はないのでコメライですね。
書いた短編は不定期でアンカーにしていきます。
名前はにき、名前に意味は……ほぼ無いです。別名義の名残です。
- Re: 臨時電車 ( No.2 )
- 日時: 2020/08/21 20:58
- 名前: にき ◆Jx1Vgc1Dso (ID: XWWipvtL)
※本来、というか例えばディズニーさまのシンデレラは素敵な女の子が夢見ることで毎日の嫌な日々を生きていることから
物語が動き出すストーリー、だと思うのですが、そうじゃなくても、彼女なら運命を動かせても良いと思います。
だって、内も外も綺麗なのに不幸せなんて可哀想じゃん。アゼルバイジャン。
※本来のシンデレラとは内容がずれてることもあるけど、許して。
※原作者はデイジー・フィッシャー
『夢のないシンデレラ(とちゅう)』
シンデレラという美しい娘を持つ父親は妻を早くに亡くし生きていたが、
幼いシンデレラを案じた父親はとある女と再婚を
する。その女には娘が二人。
が、後に父親も亡くなってしまった。
残されたシンデレラは性格の悪いお姉さまたち、お母さまに雑な扱いを受け続け、夢見ることを諦めてしまいました。
いつの日か王子さまが来るとか、舞踏会に行くとか、こんな生活が終わることとか、自由になるのか、そういうこと。
ある日、お姉さまたちはバタバタしていた。シンデレラは朝早くから家事、庭の草むしりなどお母さまに言いつけられていたことをしていたが、
郵便屋さんがやけに豪華な封筒を届けに来てからバタバタしているようだった。
彼女たちの会話からは゛折角のチャンスよ゛、゛ドレスも綺麗なものに、派手なものにしないとね゛、゛髪型も考えていなきゃね゛……と容姿のことばかり。
まぁ、シンデレラはそんな言葉の端くれしか聞いていなかったからそれが王子さま主催で花嫁選びも兼ねた舞踏会だなんて知る由もなく。
朝から夜まで雑用ばかりする生活だから友達なんて居るようで居ないようなもの。
元の性格は良いのにいつの間にかどこか暗い雰囲気を持ち始めた
(実際、服はぼろく灰だらけな彼女は暗く見えていたかもしれない)
彼女を遠目に心配するおばさんたちが居たり、
八百屋さん、魚屋さんが気を遣って大丈夫なのかい? と聞いても、無理矢理作った笑顔で大丈夫よ、とだけ答えてしまう。
街は優しい、美しい彼女のことをどうにかしてあげたいようだったが、彼女たちの高圧的な姿に勇気を出せる者はそう多くはなかった。
舞踏会当日まで訳を知らされることもなく、シンデレラはお母さま、お姉さまたちに言われるがままにドレスを作っていった。
自分たちのせいで経済的に落ちこぼれ、ドレスも買えないから作らせる。何てこった。
彼女たちが住む屋敷の離れ、薄暗い塔でシンデレラは友達のどうぶつたちと会話したりしなかったりして何とかドレスを作り上げていった。
雑用ばかりやらされていたから、ではないが、シンデレラの作るドレスは街の職人も唸るデザインと色使いであり、彼女たちの望んでいた
綺麗、かつ派手なドレスであったことに間違いはないだろう。
シンデレラは何も知らない。舞踏会なんてものがあること。
街の人々は毎日買い物に来る彼女を見て、舞踏会のことを考えていたのだろうか。
彼女なら王子さまを……、幸せになってほしい、だの。
さて、舞踏会前日。八百屋のおじさんはいい意味で空気を読めない。シンデレラに舞踏会は行くのか? と尋ねたのだ。
すると、何も知らないシンデレラはこう答える。舞踏会? と。
八百屋のおじさんはさらに続けて、明日、王子さまが主催で舞踏会をするんだ。シンデレラのように美しく、優しい君なら王子さまが惚れるんじゃないか? この舞踏会は花嫁選びも兼ねてるって聞いたぞ、と。
街の人々は相変わらず口が軽いおじさんに今日だけは英雄だな、とか勇者だの、心の内で感謝をしていた。
それなのに、シンデレラは舞踏会に行っても私なんかじゃ、と。
ここで八百屋のおじさん、何をする。シンデレラにこう言うのだ。
「どうして君はいつも暗いんじゃ!」
その言葉を聞いたのか、横のおばさんがおじさんの口を慌てて塞ぎ、
「あんた、多少はうるさい口をどうにかしたらどうだい! ごめんね、シンデレラ」
と言うが、
「シンデレラは舞踏会に行くべきだ」
「こんな美しくて優しいのに雑用ばかりさせられていると聞いたぞ」
だの。
シンデレラの為に人々が言い争ってるではないか。
シンデレラはその様子を呆然と見ていたが、買い物が遅くなるとまたお母さまに言われてしまうからとさっさと帰ってしまっていた。
街の人々は消えたシンデレラには気付かず、言い争いは中々終わらなかったそうだ。
王子さまは舞踏会なんて興味がなかった。帰国祝いでしている、と言うが、
舞踏会当日。シンデレラはいつものように雑用を……というか、いつもよりも早起きをさせられた。
お母さま、お姉さまたちの支度の準備を強いられていたからだ。
シンデレラは頭のなかであぁ、今日は舞踏会の日か、と分かっていても、
夢見ることを諦めたシンデレラにとってはそれはただのイベントでしかなく、私には関係ないとして、気にすることもなかった。
今日ばかりはみな浮き足立っているのか、いつもはシンデレラに暴言だの罵倒だのがひどいというのに、それが殆ど無かった。
シンデレラの友達のネズミやら犬やら馬やら小鳥は僕らに優しいシンデレラをどうか舞踏会に……とか思っていたが、
本人があぁだと無理だ、僕らの力だけじゃどうにもならないと思ってしまっていたが、
それでも何とか舞踏会に興味を示してもらおうとシンデレラの僅かな休息に踊って見せたり、歌ってみたり、舞踏会について話してみたりとしたが、
舞踏会に必要なあれ、そうドレスがないことに彼らは気付く。どんなにシンデレラが美しかろうとドレスがなければ入れさせてももらえないだろう、と。
王子さまは憂さ晴らしだろうか、馬に乗って国内を走っていた。
何が帰国祝いの舞踏会だ、と。知ってる。あの父親は早くにも孫の顔を見たいから花嫁探しをしていると聞いたのだから。
城から、街からそこそこ離れて煉瓦造りの建物やらは少なくなり、そして木々の景色が視界に映っていく。
すると、森の方から街に向かって歩く若い女を見つけた。何となく、馬を止めて木陰から彼女を見てみる。
女になんて興味はないはずなのだが、気になったのだから、と言い訳でもしてみようか。
というか、本来、このくらいの時間ならどの女も今日の……舞踏会の準備をしてる頃ではないだろうか。知らないが、女ってそういうもんじゃないのか。
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