コメディ・ライト小説(新)
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- 蟲のさざめき
- 日時: 2020/07/12 11:55
- 名前: 魁 天癒 (ID: XLYzVf2W)
学生、スイーツ、モニター、自撮り。
時は令和。日本、東京。
かつての日本とは違い、ここは美しさを求めつづける国になってしまったのかもしれない。
汚いものには罰を与え、美しいものを取り入れる。
そんな国に…変わってしまったのだろうか。
これは、虫だった僕が嘆き、悲しむ、少し儚い恋物語。
作者:魁天癒
作者の紹介:男子学生。料理部。9月3日生まれ。
天癒の天はあの有名歌い手様(怖いから名前伏せてます。)の一文字目です。その歌い手様のファンです
(*ノェノ)キャー
一言:温かい目でご覧ください。コメントもしてもらえると舞います。
ほぼ毎日更新。夏の大会目指して頑張るぞ。
期末テスト近づいてきました。ペース遅くなる可能性大ですが、これからもよろしくお願いします。
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🦋目次🦋
episode0 キャラクター紹介(随時更新)>>3
episode1 毒をさす >>1
episode2 世界は色めく >>2
episode3 記憶の全部全部 >>4
episode4 恋は嫌い >>5
episode5 男になるべき子 >>6
- Re: 蟲のさざめき ( No.2 )
- 日時: 2020/07/10 20:03
- 名前: 魁 天癒 (ID: XLYzVf2W)
episode2 世界は色めく
目が覚める。
ゆっくり目を開けるが、しばらくは何も考えられず、ボーッとしていた。
これは…天井にあるのは…蛍光灯?
そして何か温かいものが体を覆っている。
周りには…誰もいない。
窓から、車の走る音が絶えず聞こえる、昼下がりだ。
って…あれ?
飛べない…?そういえば周りの景色がやけに大きくて…
……え?なに…これ…
これはあの少年と同じような…いわゆる『ニンゲン』の体…
手の指が、5本…
髪がある…気持ち悪い…
その分、骨や筋肉が、蝶より発達している。
世界がとても鮮やかで…
[ここで豆知識!虫(一部を除く)の視力って、0.01なんだって。ほとんど見えてない…]
というか…なんで僕人間になってるの?
「っ…!起きてる!?」
いきなり部屋のドアが開いた。
見知らぬ女性が入ってきた。
僕は怖くなって逃げようとした。この人もあの男たちの仲間かもしれない…
「どうしたの⁉逃げないで!お母さんよ!」
お…母…さん?
嘘だ…僕にお母さんなんて…
いないよ……
- Re: 蟲のさざめき ( No.3 )
- 日時: 2020/07/12 11:16
- 名前: 魁 天癒 (ID: XLYzVf2W)
キャラクター紹介(随時更新)
弓削陽璃
元々蝶だったが、怪しい男たちに連れ去られ、突然人間へと姿を変えて目を覚ます。中学2年生。
誕生日:8月8日 血液型:A 性別:男
好きな食べ物:蝶=ツツジの蜜 人間=甘いもの
性格:思ったことはズバズバ伝えるタイプ。
人間になって最近言葉を使い始めたので、幼児程度
しか喋れない。連れ去られた時から人間不信で疑い
深い。本当は感性豊かで優しいのだが…
端灯瑠
陽璃の通う先の学校の生徒。サッカー部所属。
運動神経抜群で、そのうえ成績優秀。それとはうらはらに可愛らしい顔立ちで女子を越えて男子をも虜にする、完璧人間。中学2年生。
誕生日:8月8日 血液型:A 性別:男
好きな食べ物:甘いもの
性格:謙虚で授業中はあまり発表しないタイプ。でも、人
と関わることは苦手じゃない。身長もなにもかも陽
璃に似ている、もしくは同じ。悩みを1人で抱えて
しまう。
少女
陽璃が出会った、ホームシックのやせ細った女の子。
顔には複数の痣があり、体も傷だらけ。虐待を疑うが、少女は口を開いてくれない。名前も分からない。
弓削華
陽璃のお母さん?陽璃の考えていることがわかる。
息子想いで陽璃が1番。
少年
陽璃の蝶時代の命の恩人。
陽璃が連れされてからは姿を現していない。
貝野恋愛
病院の食堂で出会った、ちょっと生意気な男の子。雰囲気こそとてもミステリアスだが、
けっこう初対面でもいけるタイプ。奇病を患っている。中学1年生。
誕生日:7月6日 血液型:O 性別:男
好きな食べ物:チーズ
- Re: 蟲のさざめき ( No.4 )
- 日時: 2020/07/11 18:25
- 名前: 魁 天癒 (ID: XLYzVf2W)
episode3 記憶の全部全部
「お母さんだよ!ねえ、覚えてる?」
この人が僕のお母さんなわけない…
僕は蝶なんだもん。何かの間違い。きっとこれは、いわゆる夢だ。
というか…僕のお母さんなんて……
僕はあるルリアゲハの子として、花畑に産まれた。
蝶は一箇所に数十個卵を産むのではなく、あちこち飛び回って卵を産むため、子供同士が出くわすことはほぼない。
しかし僕は例外だ。三つ子だった。
僕はその中の三男。
双子でもかなり、というかいないかもしれないのに…
産まれたときから3匹で餌を分け合ったりしていた。
やがて僕たちは成長していき、蛹になれるくらいに成長した。しかし、ここで事件が起きる。
兄1匹が餌を探したっきり、帰ってこない。
もう1匹の兄と探していると、地面の上でぐったりと倒れた兄がいた。もう、手遅れだった。
どうして…?
兄と悲しんでいた。もう何も考えられなかった。
翌日。
もう1匹の兄と一緒に餌を探していた。
すると、隣で飛んでいた兄が凄い勢いで地面に落ちた。
また…死んでいた。
恐怖という言葉では表せられない。
ふと上をみると、そこには実の母がこちらを見ていた。
母の羽は、ルリアゲハの瑠璃色ではなく、紫色に染まった毒々しい色だった。
…そうだ。
こいつが兄を毒で……
………! このままだと、僕まで!
一目散に逃げた。
しかし、速すぎる。マズい…
「つっかまーえた!」
前にすすめない…?
僕は網に捕われた。母親は逃げていった。
その少年は僕を虫取りカゴに入れたあと、ダッシュで駆けていき、あるところで止まった。
それが桃色の花畑だった。
その花畑で僕はカゴから出された。
「大丈夫?これからは仲間と一緒だよ。」
………。
「陽璃?大丈夫??なんで泣いてるの…」
その女性は僕を抱きしめた。
これが兄達を殺した母親?
…! そうだ。人間って喋れるんだっけ。
「あ…ふぇ……やー、うー…」
「ん?」
駄目だ。筋肉の使い方が分からない。
これは無理だ。
というか…この人がいっている『ようり』って何なんだ?
聞くにも、伝わらないし…
変なもどかしさがある。蝶の時と喋れないのは同じなのに。
「‼ 弓削さん⁉お子さん、お目覚めになられたんですか⁉」
「そうなんです…!」
「っ!すぐに医者を呼びます!!」
今の女の人は?
「今のはね、看護師さんだよ。か、ん、ご、し。」
え?
「分からない?病院で、お医者さんのお手伝いをしてる人。」
このひと…僕の考えたことを…?偶然かな?
「偶然じゃないよ。分かるの。考えてることが。フフッ。
あと、このひと、じゃないよ、お母さん。」
「おか…た?」
「いいよ、無理に喋らなくて。しゃべる練習はまたお母さんとしよう。お母さんが陽璃の考えたことに答えるから。」
本当によめる…んだ…
じゃあ…『ようりって、何?』
「陽璃?これはね、あなたのお名前。あなたは、ゆ、ず、り、よ、う、り。」
そうやってお母さんは僕の名前をゆっくり言ってくれた。
僕は…陽璃……
「弓削さん!医者が参りました!」
「ほぉ!これはまぁ…」
いしゃ、という名の、おじさんがやってきた。
そして僕を触ったりする。
「べー、ってして。」
『…べー?』
「陽璃!こう!」
そうして、お母さんは舌を出した。
真似をしたら、いいのかな?
同じことをしたら、いしゃは検査を再開した。
あってたみたい。
数時間後
「これはー、記憶を失っているのかもしれませんね。
レントゲンの結果などから、とくに内部の傷害などはないと思われますが、一旦病院で様子見しましょう。」
「分かりました。ありがとうございます。」
いしゃがいる部屋からでると、お母さんは微笑みながらこう言った。
「お母さんは知ってるよ。陽璃が蝶だったこと。」
- Re: 蟲のさざめき ( No.5 )
- 日時: 2020/07/12 10:59
- 名前: 魁 天癒 (ID: XLYzVf2W)
episode4 恋は嫌い
…え?
「フフッ」
なんで?
「とりあえず、あと数日かはここで過ごすことになるから。お母さん、毎日来るから安心してね。…あ、もう1時?陽璃、ご飯食べに行こ!」
ご飯??
「餌って言ったほうがはやいかなっ。人間界ではご飯っていうんだよ。」
「陽璃は何が好きなのかなぁ…」
お母さんは僕を食堂っていうところに連れ込み、お昼にしようと言う。
「とりあえず、葉っぱ系がいいのかな?」
お母さんはお皿にサラダを盛り付けた。飲み物はりんごジュース。
「貝野さん、お久しぶりです!」
「え⁉お子さんですか!?まぁ!」
お母さんはママ友?の貝野さんって人と同じテーブルの席についた。
貝野さんの隣には、ベビーカーで寝ている赤ちゃんと、椅子に座る暗めの男の子がいた。
年齢は…僕より少し小さいくらい?
男の子はメロンソーダの入ったグラスを手で覆いながら、こちらをジッと見ていた。
視線は気になるけど、とりあえず僕はご飯を食べることにした。
サラダに顔を近づけたとき、
「あっ、陽璃!ご飯は、お箸やフォークで食べるの。こ、れ。」
『口で食べちゃだめなの?』
「うん。行儀が悪いって言われちゃうよ。とりあえず、陽璃は手で食べよっか。とりあえずね。」
『さっきから言ってる[とりあえず]って何?』
「え?そんなにとりあえずって言ってた?んまぁ…口癖ってとこかなー」
初めて会話の掛け合いができた。これも大きな進歩かもしれない。
「…ねぇ。」
あ、男の子だ。男の子は僕の入った隣の席に座った。
「名前は?俺、貝野恋愛。」。
れ、あ。あ、僕も言わなky…喋れないんだった。
「…早く言ってくんない?」
え、えぇ…っと
『お母さん!名前聞かれてるけど喋れないよ!』
「へ?あっ。恋愛君、この子ね、ちょっと喋れないんだ。」
「…へぇ。そうなんだ。」
「ごめんね。この子はね、陽璃っていうの。」
「よう、り、ねぇ。覚えた。」
「なぁ陽璃。俺の名前さぁ、どう思う?」
………
「あ、喋れねぇのか、ごめん。恋にさ、愛なんだよ。れんあいって書いてれあって読むんだけどさぁ、」
《ちょっとダサいんだよね》
恋愛くんは小声で僕にいった。
「俺恋とか興味ねぇしさ、れあって名前ちょっと嫌。」
嫌なら変えたらいいのに。
「陽璃!名前は、自分じゃなくて、親がつけるの。で、変えられないの。」
そうなの?お母さん、本当?
へー、かわいそうだなー嫌な名前つけられて。
「陽璃ってさぁ、何歳?」
「陽璃は、13歳。中学2年生。」
お母さんが答えてくれた。
「ふぅん。俺、今年から中学生なんだよ。でも俺と陽璃さぁ、あんま背変わらなくね?何cm?俺158。」
せって何?
「陽璃は…ね、まだちょっと分からないの、ごめんね。」
「あ、そう」
「ちょっと恋愛!弓削さんが大変でしょ。これくらいにしときなさい。すみませんねぇ、本当に…」
「あ、や、いえいえ、私は全然…」
こうしてよくわからないまま、昼過ぎの昼食は終わった。
りんごジュース美味しかったなぁ。
そこからは病室に戻って、テレビってものをずっと見てた。
歌ってる人、人を笑わせる人、文章を読む人…
いろんな人がいるんだなぁ…
人間って面白いなぁ。
- Re: 蟲のさざめき ( No.6 )
- 日時: 2020/07/12 11:55
- 名前: 魁 天癒 (ID: v2BiiJyf)
episode5 男になるべき子
ん…ん……?
ここはどこ?寒い……
そうだ、お母さんたちにいっぱい…殴られて…蹴られて…
気持ち悪いとこ触ったり見られたり……
少女は、虐待の末気絶している間に親に見知らぬ場所に連れて行かれた。
そして置いていかれたようだ。
痣や傷だらけだ。歩く気力もない。
あぁ…私…ここで死ぬんだなぁ……やっと楽になれるのかな…
涙が傷にしみる。
つまら…ない…人生でした…
少女は11年前、ある家に一人っ子として生まれた。
名前は海斗。
女の子なのに海斗。両親は男の子を生んで、仕事を継がせようとした。が、女の子だったため、「こいつは男として生かせよう。」と決めた。
しかし、海斗はあまりにも女の子らしかった。
好きな色はピンクで、よくぬいぐるみを買ってほしいとおねだりをし、男の子に恋もしていた。
それに両親はとても腹がたった。
なので、女の子らしいものは全て取り上げた。海斗が泣きじゃくれば、髪をつかんで
「っせぇ!!おめぇは男なんだよ!そんなんで泣くな!強い男になるんだおめぇは!」
と怒鳴る。
さらに、女の子でいることを嫌にならせるために、海斗に性的虐待も犯した。
そしてさらに虐待はエスカレート。海斗は女の子でいることはもちろん、生きていることが嫌になった。
「海斗。今日からあんたは男の子よ。よかったわねぇ。」
海斗はついに無理矢理男の子にされた。
なにしろ、継がせるといっていた両親の職業は銀行強盗なのだ。だから金ならいくらでも持っているため、手術費なんてたいしたことなかった。
そうして海斗は体は男の子になった。
なのに、虐待が続いた。
もう…いいでしょ…
そして1年たったある日。
「もうこの子必要ないわね。」
「うん。いて俺らが虐待してんのバレたほうが厄介だしな。」
そして今に至るわけだ。
だから今は少女というよりは少年だ。
少年はゆっくり目を閉じた。
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