コメディ・ライト小説(新)

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これだからヤクザは…
日時: 2020/08/09 11:26
名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)

見た目はそれなりにお金持ちのお嬢様。

しかし実は…ヤクザの会長!?


東京都の何処かを根城にするヤクザ「花之木会」

現会長は早々に引退し娘、花屋敷結弦を勝手に会長にしてしまった。

しかも彼女の周りには同じような人物も集まってきていた。

Re: これだからヤクザは… ( No.1 )
日時: 2020/08/09 12:19
名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)

私の名前は花屋敷結弦。

友達からは名前が可愛いなどと褒められたことがある。

それなりにお金持ちの御家に生まれているが正直に言うと

勉強もそこまでできるわけではないし運動は全然ダメだ。

それでもまぁ上手くやっている。

そんな私は周りと違うところがある。


「私が、会長~?いやいや、それは無い絶対」

結弦は首がもげるほどの勢いで横に振る。祖父はなんとヤクザの会長。

とりあえず両親はそれを理解している。

「孫娘にな?跡を継いでほしいんじゃ」

「おぉ、凄いことだぞ結弦!父さんは誇らしい!」

両親もしれッと褒め称えているが褒めている場合ではない。

ここが普通と違うところだ。

「会長、お帰りなさいませ」

「その会長って…今は良いんだけど、外とか公の場とか他の人たちが

いる場所ではやめてよ?」

花之木会の若頭、百目鬼龍牙。右眼には刀傷があるが、それでも

イケメンの部類に入る。

「龍牙さんってさぁ…」

「そのさん付け、やめてくれないか会長」

「じゃあその会長って呼び方を結弦とかに変えてくれたら呼び捨てに

してあげる」

結弦の言葉に龍牙は押し黙った。解せないという顔をしていた。

「龍牙さんってさぁ、イケメンだよね」

暫くどちらも何も話さなかった。突然の言葉にも龍牙は動じなかった。

「…有難うございます」

否、ほんの少し照れていた。

時折、友人等が家に来てたまたま彼らと出会ったとき。

彼らの事は従兄弟だと言ったり、親戚だと言ったりして誤魔化

している。要らない誤解をされないためだ。それに龍牙に関しては

組内ではトップ争いに入るほど頭脳派だ。

「こんにちは~!一緒に宿題やりにきましたぁ!」

Re: これだからヤクザは… ( No.2 )
日時: 2020/08/09 13:35
名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)

時々、その噂を聞きつけ勉強道具を持って家を訪れてくる

友達がいる。

「いつもごめんね?急に押しかけたりして」

「ううん、私は大丈夫だよ」

「結弦ちゃんの従兄弟さんもごめんなさい。いつも無理言って」

彼女は龍牙を見てそう言った。

「いいえ、お気になさらず」

彼が一度部屋を出てから黙々と暫くは宿題等を進めていた。

「ねぇねぇ結弦ちゃんの従兄弟、龍牙さんだっけ?凄くカッコイイよねぇ

声も私は好きだなぁ」

「私もそう思ってる」

その会話は部屋の外にまで聞こえていた。それを盗み聞きしている

数人の男たち。龍牙と黒い手袋をした男、彌永要。

「役得だねぇ若頭」

「はぁ?」

少し責め立てるような声に要は驚いて体を少し仰け反らせた。

「そうそうこれ見てよ」

要が見せたのは入学当初に配られたクラスの名簿だ。名前のみが

ズラリと書かれている。彼が指差したところには

『綱手瑠璃彦』と書かれていた。

「綱手…まさか綱手会か!?」

綱手会、花之木会の傘下だ。頭と若頭は祖父と孫という関係だと

聞いているが奇跡的にクラスが同じになったようだ。


学校内で綱手瑠璃彦と花屋敷結弦は丁度隣の席だ。

「へぇ、瑠璃彦君は空手を習ってるんだ」

「習ってるっていうか教えてもらってるって感じだけどな」

結弦自身は彼が花之木会の傘下の若頭だとは知らないが瑠璃彦は

彼女が花之木会の会長だということを知っていた。

下校時になって彼は結弦に声を掛けた。

「俺は綱手会の若頭、アンタは花之木会の会長だろう?…そう

隠す必要はねえよ」

普通に暮らしたい、この立場である以上それは叶いそうもない。

「安心しろよ。学校にいる間は俺が守ってやるからさ」

そう言って別方向に彼は歩いていった。

Re: これだからヤクザは… ( No.3 )
日時: 2020/08/09 15:49
名前: 春先雪華。 (ID: xs5T8t9X)

綱手会本拠地。

「瑠璃彦、来なさい」

祖父に呼び出されて瑠璃彦は向かい側に座った。

「ついさっき花之木会から話を聞いてね。花屋敷家の娘が新しい

会長となったらしい。それもお前と同じ学校らしい」

花屋敷、珍しい苗字だから記憶にも残る。確か花屋敷結弦と言っていた。

「俺たちぁ花之木会の傘下として守る義務がある。テメェ、そいつを

守り切れなかったら容赦しねえぞ?」

ドスの効いた低い声が瑠璃彦に降り注いだ。

「容赦?そんなの必要ねえよ。要は周りよりも強くなってそいつを

狙う奴はぶっ潰せばいいんだろ」

そう言って瑠璃彦は席を外した。



「え、やっぱりそうだったの!?」

龍牙たちから綱手会の若頭が瑠璃彦だと聞き、帰り際の言葉が

本当の事だったのかと驚いた。

「別に傘下のヤクザが色々動いてても口出しはしないがヤクザ同士の

抗争ってのもあるからな…気を付けといてくれよ会長」

「いやいや、そもそも私は花之木じゃないし…そんな色々

絡まれるのかな」

未だ信じ切ってはいない。

「あり得なくは無いよ。色々縄張りを奪ってきてるからね、その

仕返しをしてきても可笑しくない。ヤクザの情報網を舐めては

いられない」

要はそう言った。その時は特に何も感じずに右から左へ聞き流して

いたがその言葉が本当になってしまうことが起こる。

それはこの会話をした数日後の放課後だ。

「お前が花屋敷結弦か」

フェンスの上から飛び降りて来た小柄な青年、名前は蓼丸琥珀。

花之木会に喧嘩を売りに来た青年だ。


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