コメディ・ライト小説(新)

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みんなのアイドルッ風ちゃんだワン☆
日時: 2020/08/20 14:50
名前: にゃんこくん (ID: y0p55S3d)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=12847


一章 こんにちは!ふぅちゃんだワン☆

やあ、お暇な人間ども。僕の名前はふぅちゃんだ
僕の犬種はポメラニアンって言うんだ、知ってるひとも多いと思う。僕の飼い主はたしか篠原 咲
という名前だ。彼女の家はカフェを経営していて、僕はそこの看板犬ってとこさ☆
…でも勘違いしないで欲しい。ついさっき僕自身が言った「飼い主」という言葉。君たちに僕たちの関係を説明するのはこの言葉が一番手っ取り早いんだけど、僕らは「飼い主」と「ペット」ではない、契約者なのである。
咲は僕に居心地のいい家、ご飯などをくれる。
正確には彼女のお父さんが働いて稼いだお金を使ってだけど、細かいことはおいといて。
僕はお返しに可愛く尻尾をふったり咲が僕を撫でたいときは撫でさせてやることが必要なのだ。
また、この店にやって来る客に愛想を振り撒くことも僕の仕事と言えよう。なにが言いたいのかというと、僕は住む場所とご飯をもらう代わりに咲に飼われてやっているだけだということだ。
「風~お散歩いこ~」
え!?お散歩!?行く行く!!
無意識に尻尾をふる。
散歩は大好きだ♪

二章 僕の知り合いを紹介!

そんなわけでいつもの散歩コースを機嫌良く歩いていると、
「よう、隣の店の犬」
と、同じく散歩中のブルドックくんに声をかけられた。名前はたしか、
「なんだ、デブ」
僕がそういうとデブは目をつり上げた。
「デブじゃねぇ!!」
「でも君の飼い主がそうつけたんだろう?」
グルルルル…とデブは唸る。
すると、デブの飼い主である咲のクラスメイトが苦笑した。
「いっつもうちのデブ、ふうちゃんに唸ってるよね。ふうちゃんはいいこなのに」
そう言って僕を撫でる。僕はとびきり可愛い声で鳴いた。
「クゥ~ン🖤」
「お、おい!!優香!そいつを撫でるな!!ってかこいつがいいこなわけあるか!とんでもない腹黒だぞ!?」
しかし彼の声が彼女たちに届くはずもなく、ただワンワン!!と吠えてるだけだ。
「優香ちゃん~デブくんが嫉妬してるよ~」
あ、じゃまたね~と優香は去っていった。僕は可愛い声で「わん!」と鳴いた。そしてデブを鼻で笑う。
「くそっ次は見返してやるっ」
デブは僕を睨み付けながら去っていった。
「ふうくん、まーたいじめてるのー?」
おっとりした口調と共に、チワワの楓がやって来た。彼の飼い主は咲の親友だ。だからかもしれないが、僕と楓は仲が良い。
「別にいじめてないよ?あわれな犬を見下してただけだよ?」
僕がそう言うと、楓は「それがいじめてるって言うんだよ…」と言った。
「醜い体してる自分が悪いんだよ」
と言うと楓はため息をつく。
「これだからふうくんは………」
そのとき、とんでもない会話が聞こえてきた。
「そろそろ病院に健康診断受けにいこうと思って。」
え?
「うちの楓は大丈夫だけど、ふうちゃん、病院ニガテじゃなかった……?」
咲は苦笑いする。
「そうなんだよね~病院行くなんてふうちゃんの前で言ってないのに、行く前から全く動かないし。行っても暴れるし。いつもは大人しいんだけどなぁ…。」
僕はブルリと震える。
「……ふうちゃんってさ、日本語分かるの?」
「……分かるのかな?」
楓は明るく笑った。
「ドーンマイ☆」
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!!!!!!
「よーし、いまから行くか。」
咲の言葉に彼女はえっ!?と言った。
「いまから行くの?……なんか、ふうちゃんめっちゃ震えてるけど」
咲は思い立ったら周りが止めても聞かないタイプだ。
「いってらっしゃーい」
「楓ーーーー!!!!!!」
咲に引きずられながら僕は絶叫した。

三章 アメノヒ

ザーーーーー……
外はどしゃ降りだ。
「あーあ、雨の日はお客さんも少ないし、ふうちゃんも散歩にいけないねー」
客が来ないのはどうでもいいが、散歩にいけないのはまずい。非常にまずい。
すると、咲の声に咲のお母さんが反応した。
「レインコート着せて行ったらどお?」
「あ、それいいね!」
えぇ……僕、なんか着たりするの嫌いなんだけど。
「テッテレ~!犬よぅレインコォートォー!」
咲が有名なアニメの真似をしながらレインコートを出してきた。きっと頭の中ではあのSEが流れていることだろう。
「さっ、ふうちゃん着ようぜ!!」

あまり乗り気じゃない僕に無理矢理着せて、自分もレインコートを着て、家を出た。
はあー……
ため息をついていたら、
「お、ふうくん、奇遇だね。」
前から楓と咲の親友が歩いてきた。
「楓、お前もレインコートか。」
「うん、そーだよ!……あれ、なんか不機嫌?」
楓に言われて僕は無理矢理着せられたことを告げた。
「へぇー僕は服とか着るの、結構好きだよ?」
楓の言葉に僕は、え、と固まった。
そんな犬いるんだ……
「楓……」
「ん?何?」
僕は失望した目で楓を見る。
「見損なったよ、お前だけは信じてたのに……」
「え、ちょっやめてよ」
ちょうど二人の立ち話も終わったようだ。
「じゃあな、もう二度と会うことはないだろう」
「は、え、ちょっ待てよ!」
キム◯クの真似のような台詞が後ろから聞こえてくるが、僕は振り返らなかった。
「冗談だよなーー!?」
次の日、散歩で出会った楓は泣きそうな目で
「もう二度と服着ないからさ……」と言っていた。
「冗談だよ」
「昨日言えよ!!!!!!!!!」

四章 カフェにやって来る客

ガランガラン
「いらっしゃいませー」
今日は土曜日。そのせいか、いつもより人が多く、咲も店を手伝っている。
「いらっしゃいま、あ、先輩」
咲は入ってきた客をちょっと驚いた目で見る。
先輩ってことは同じ高校のやつか?
「あ、咲ちゃん?……もしかして、カフェやってるってここのことだったんだ?」
咲ちゃん??なんだなんだ??おいおい??
「あ、はい……ご注文は何にされますか?」
近くの席に腰かけた「先輩」に咲が言った。
「コーヒーにするよ。」
「先輩、コーヒー飲めるんですか、私は飲めないんです……」
咲の言葉に「先輩」はにっこり笑った。
「僕も砂糖をひとついれないと飲めないんだけどね、カフェに来たら何となくコーヒーじゃないとって思うんだ」
「それ、私もです」と咲が笑った。なんか良い雰囲気だな。よくみたらこの「先輩」結構イケメンだし?
咲が席を離れると、「先輩」は僕の方を見た。
「君が看板犬のふうちゃん?咲ちゃんから話聞いてるよ、僕は清原昴って言うんだ、よろしく」
昴の自己紹介に僕は反射的に「ワン!」と鳴いた。犬に向かって、こんなに律儀に自己紹介する人、滅多にいないぞ?
昴は僕をよしよし、と撫でた。くぅーん♪
それから、昴は30分くらい店にいて、「またね」と、咲に手を振って帰っていった。
昴が出ていくと、咲は僕をギューッと抱きしめた。
「き、緊張した~ふうちゃん、先輩の私服かっこよかったね」
私服???そんなところ見てたのか。
ははーん、さては咲、昴のことが好きなんだな?
ガランガラン
「いらっしゃいませー……あ、奈々。」
咲の親友は楓をつれて店に入ってきた。
「よっ、ふうくん」
「おう」
咲はすぐに先輩が来てどーのこーのって話を始めた。
「今日も暑いなーふうくん」
「まあね、で、何できたの?」
僕が聞くと、楓は肩を(肩なんてないが)すくめた。
「奈々ちゃんが暑いから涼みにいくかって」
「ふーん」
「そんなことより!ふうくん、知ってる??」
楓がなんか目をキラキラさせている。
「何が?」
「来週の土曜日、花火大会があるんだよ!」
花火……写真では見たことあるけど…
「ふうくんも行くよね?っていうか、咲ちゃんも行くよね?」
楓に聞かれて僕は首をかしげた。
「さあ、そんな話聞いてないけど……」

「わーー!人がいっぱいだー!いいにおーい!屋台たくさーん!楽しそー!」
奈々に誘われて、咲も行くことになったらしい。
……花火大会。花火。どんな感じだろうか?
「ねえふうくーん!射的だよ!咲ちゃんが!やってるよ!」
さすがに僕はイラッとする。
「楓、はしゃぎすぎだよ」
「えぇなにこの温度差。ふうくんは楽しみじゃないの?ってかなんなん、全然アイドルじゃないやん冷たいやん僕悲しくなるやん!!」
「知るか。ていうかなんで関西弁なんだよ」
「あ、おんなじクラスの優香ちゃんも来てるよ」
奈々の言葉に僕と楓は同時に振り向いた。
「デブ大きくなったねぇ~」
「また太ったか~?このやろー」
文字にしてみるといじめにしか見えないな、だけど咲も奈々もデブをにこにこして撫でている。
デブはご満悦だ。
「ゲッ」
デブが嫌そーに僕を見た。
「こんばんは、醜い体のブルドックくん」
僕がそういうとデブは「なにが醜い体だっ!」と怒る。
「お前だよ」
「デブくん、気にしなくて良いからね、こいつの言うことは。デブくんにはデブくんなりの良いところがあるから。デブくんみんなに可愛がられてるし。デブくんは……」
「それ以上デブを連呼しないでくれ!!」
デブは悲鳴じみた声をあげた。
「楓、お前、実は性格悪いだろ?」
僕がそういうと、楓はムッとした。
「そんなことないよ!デブくんを慰めてあげてたじゃない」
「慰めてあげてた」というのもなんだか嫌みが混じっている気が……天然でさっきのをやっていたとしたらそうとう性格悪いぞ。
「もうちょっとで花火上がるよ!!行こ!」
奈々の言葉に咲と優香はうなずいた。
ヒュ~~
という、花火が空に上がる音がして、
花のように、咲いた!!
「わぁ……!」
楓が声をもらした。
確かにきれいだ……
初めてみた花火。
僕はみんなのアイドル!
これからどんな毎日が待っているのだろう?


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