コメディ・ライト小説(新)
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- 魔王討伐に行ったら何故か魔王にプロポーズされました
- 日時: 2020/08/22 10:59
- 名前: にゃんこくん (ID: y0p55S3d)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=12847
一章 巫女!?
私の名前は鈴原ねね!引きこもりですっ☆
高校一年生の夏休み、毎日家でだらだらしていて、お母さんに「ケチャップきれたから買ってこい」と言われ、仕方なーく家を出て、
気がついたら、目の前にトラックが迫ってきていて、あ、人生終わった、と思いました。
死ぬ前って走馬灯っていうのかな、今までの思いでとかいろんなことが頭のなかに一気に溢れてきて……さよなら言う友達なんていないボッチだけど。今まで私を育ててくれてありがとうお母さん!!!!!
「ん、、、」
目を開けると、私の周りにたくさんの人が集まっていた。
「巫女様だ!!」
「やったぞ!!」
「これであの魔王をやっつけられるぞ!」
周りの人々から歓声が上がった。
「え??」
私は状況を把握できず、目を瞬かせた。
この世界は二つに分けられているらしい。
一つはここ、『天界』。
一つは西にある『魔界』。
天界にいる人は白魔法というものを使い、魔界にいる人は黒魔法と言うのを使うらしい。
魔界なんて、ほんまかい?なんつって!
……………………………………。
そして、私は異世界から召喚された『巫女』。
巫女は黒魔法を無力化する力があるらしい。
黒魔法は、白魔法より力が強く、その理由は黒魔法を使う人は悪い心を持っているからだとか。
巫女は、魔王を討伐する勇気と力を持っている『勇者』と共に魔王を討伐する、使命、宿命があるらしい。しかしその勇者を見つけないと、さすがに一人で討伐はきつい……。
私は巫女様として、きれいなドレスを着て、ふわふわのベッドでお姫様気分になっていた。
魔王の噂を聞くと、魔王はどうやら天界を支配しようとしているらしい。魔界には悪魔がたくさんいて……なんて絶対いきたくなくなるような話ばっかり聞くが、大丈夫だろうか、私。
っていうか、もうすでにあっちの世界では死んでるんだから、大丈夫もなにもないか。
そしてここに来てから一週間くらいたった。
「……巫女様、どうして勇者が現れないんでしょうか?」
そういったのは、私にこの世界のこととか色々教えてくれた人だ。
「さあ、」
「巫女様。」
わたしが「わかりません。」という前に彼が話しかけてきた。
「今から、魔界にいってきてください。」
はい??
「勇者は、道中にでも見つかるでしょう。」
え、いや、な、なにいってるの???
「魔王様が天界に悪魔を送り込んできて、この国は一刻を争うのです。」
え、いや、だから、
「行ってらっしゃい、巫女様!!」
はあーーーー!?
「巫女様ー!」
「頑張ってくださいー!!」
「魔王を討伐してくださいー!!!」
飛び交う声援にとりあえず手を振りながら私は出発する。
異世界転生みたいな漫画とかたくさんあるけどさ、巫女様をこんな雑に見送るものなんてあるか!?
こんなのクソゲーだーーーーーーーーー!!!!
二章 魔王討伐、のはずだが!?
「邪魔だ邪魔だーーー!!!」
私の行く手を阻む魔物(?)を剣でなぎはらう。
魔物たちはすぐに悲鳴をあげて逃げていく。
とても気味が悪いけど、なんか勇者になった気分。私は巫女だけど。
そして、ついに魔界に足を踏み入れた。
その瞬間、背筋がゾクッとする。恐る恐る振り向くけど、帰ろうと思えば帰れる。ただ、この境目をくぐっただけで、それこそ異世界に来てしまったようなそんな気がした。
「目指すは魔王城!!」
気合いをいれるために私は剣を空につきあげた。
そして不安になるくらい簡単に魔王城までたどり着いた。
そしてこのあとその不安は的中するのだ。
私は門番さんを気の毒だけどやっつけて魔王城へ乗り込んだ。
魔王城はビックリするくらい人が少なかった。
だから、簡単に「魔王の間」に行くことができた。わたしがそこに入ろうとしたとき、
「そこまでだ、巫女!!」
私の前に割り込んできた人がいた。
そいつは目付きが悪いが、魔物とかなんだかをずっと見てきた私からしたら可愛い猫を見つけたみたいな、そんな気分になった。
「あの私、魔王さんを倒しにいかないといけないんだけど、どいてくれない?」
「どくわけないだろう?おい巫女、「魔王の間」の“ま”はなんだ?」
「魔王の間」の“ま”?
「え、“魔”?“間”??」
「そうだ!ここは魔王の間だぞ!?」
なんだよこいつ。
私は容赦なく剣で斬った。
「うわあああああああ!!!!」
ごめんねぇ。と、思いながら私は魔王の間に足を踏み入れた!
「………………?」
誰も、いない?
私の目の前には空っぽの玉座があった。
それを見て、私はなんだか虚しくなってきた。
「………私、なにやってるんだろ」
私は玉座の手すりを撫でた。
「巫女様とか言われて、魔王を討伐してこいって言われて、自分が主役にでもなった気分だったのかな、」
そうだ、私はいつも脇役で………………
いやまてよ。
私は玉座に腰を下ろした。
「いや、よく考えたら私悪くないよね?何で死んでまで自分を責めないといけないんだ?そもそもなんで私が巫女なんだよ?何で私が魔王を倒さないといけないんだ?大体私を見送ったやつらとか私任せで自分は何にもしなくて良いから気楽で良いよね、こっちの気持ちなんかわかんないだろうね。てか私別にこの世界の人じゃないからこの世界がどうなろうと知ったこっちゃないし、別に世界を救ったヒーローになんかなりたくなんかないし平凡に生きたいだけだし、てか女の子一人で魔王討伐に行かせるとか頭おかしいだろ勇者出てこいよ早く!」
………ここにきて我慢してた愚痴が溢れだした。
物語の主人公だったらこの世界を救おう!ってなるかもしれないけど、実際そんな正義感強くないし、やってやろう!なんて思わないよ。
私は頬杖をついて足を組んで偉そうな体勢になる。………いつでも来い、魔王。
「………………。」
来ない。
なんか眠いな、
なんのために私はこの世界に来たんだろう?
普通の主人公なら、この世界を救うため、なんだろうけど、世界を救う気の無い私は………?
「………………。」
四章 魔王さん、こんにちは
「ん、、、」
知らぬ間に寝てしまっていたらしい。
私は目を開ける。
「!?」
目の前にイケメンが!
「え、あ、ええと誰ですか………?」
私はそのイケメンに聞く。
「………魔王」
はぇ??
「え、えぇぇぇーー?!魔、魔おおおおおぅ?」
ヤバイよ、玉座に勝手に座り、さらに寝てしまった!殺される!?
「あ、え、とその、、違うんで、す」
なにが違うのか、私は焦ってうまく言葉が出てこない。
「巫女………私と結婚してください」
え?ケッコン?
思考が停止する。
「っと、どういう意味ですか…?」
「私と結婚………私の妃になってください」
はい??????????????
え、いくらクエスチョンマークがあっても足りないくらいクエスチョンなんだけど、どういうこと?この問題☆五つどころじゃないぞ?
「え、な、な何故、」
「私は皆に恐れられている存在、その事を知りながらも私の玉座に堂々と座っていた、しかも居眠りしていた。そんなことしたら死よりも恐ろしい刑が待っているのにも関わらず………その美しいブラウンの瞳と髪にひとめぼれをしました」
ちょ、、、理解できない。ていうかなんか恥ずかしい!!!
「いや、ほ、本気ですか………?」
「もちろん。」
「ぅえええぇぇ………」
魔王さんは私の手を両手で包み込んだ。
「ダメですか………?」
いやああああああイケメンのその顔はないよぉぉ破壊力ありすぎだろぉぉぉぉぉぉぉ
顔が赤くなるのがわかった。
ていうか手、握ってるし!
私、年齢=彼氏いない歴なのに!
「貴女の名前を教えてもらっても良いですか?」
「ねねです………」
はううううぅぅ急に乙女ゲームが始まったよ!!
やったことないけど!知らんけど!!
魔王さんは私の横髪をさらっと撫でた。
「美しい………」
ううううぅぅ誰か止めて!!!!
ガチャン!
は!救世主か!?
「魔王様ー!!!」
ドアから入ってきたのは、さっき私が容赦なく斬ったよくわかんないことを言っていたやつだ。
「魔、王様???何をして………?」
すると、魔王さんは私の手を引っ張って立たせた。私は勢い余って彼の胸にぶつかる。
「私はこの人と結婚する。」
「「は!?」」
私とおそらく魔王さんの側近であろう彼の声が重なった。
「な、なにを言っておられるのです!?」
そ、そうだよ!
「私は本気だ民にも報告しろ」
ええええええぇぇ私はダメです!!!
「ま、魔王様!そいつは巫女ですよ!?」
そうだよ!
「そいつ?」
魔王さんから殺気を感じた。
「私の妃を、そいつ呼ばわりするのか?」
なんだかとんでもない雰囲気だったので、私は慌てて止めた。
「ま、魔王さん、ダメですよ!」
私が魔王さんの服を引っ張ると、魔王さんから殺気が消えた。
「次はないぞ」
「はいいいぃぃ」
側近はあわてて出ていった………。あとでわかったことだが、名前をヨームというらしい。
あああぁぁぁぁ
どうしようどうしよう
魔王討伐に行ったら何故か魔王にプロポーズされちゃった!!!!
五章 巫女の行く末
「王様!これを見てください!」
ここは天界、王のもとにやって来たものが見せたのはある新聞記事。
「魔王が、婚約を………」
「問題は、その相手です!」
王はその写真を見て目を丸くする。
「巫女が………!?」
「結婚なんてしませんよおおぉぉ」
私がそういうと、魔王さんは私に一歩近づいた。
「………?………………………!?」
そしてわたしを抱き上げた。
これって、つまり、お姫様ダッコ!?!?
「!?、、っ………!」
私は声にならない悲鳴をあげる。
魔王さんは城を出た。その瞬間、たくさんの記者たちがシャッターを切った。
なああぁぁぁぁにいいぃぃぃぃ!?
誰かだずげでーーーーーー(涙)
「………すみません」
すみませんじゃ、ない!どうしてくれるんだ!
私は玉座に座って魔王さんを睨む。魔王さんは魔王の威厳なしでガックリと項垂れている。
そのとき、扉が開いた。
「ヴァル!これはいったいどういうことだ!」
「………父上。」
王様って感じの人がなにやら号外を手にして入ってきた。
「御前がヴァルの結婚相手か?」
あーやっぱそのことか。
王様っぽい人はわたしをジーっと見た。
「まあまあだな」
なんと!失礼だな!?
「どこがです?父上。こんなにも美しい人がどこにいますか」
それはそれであんまり嬉しくないよっ
「何故こんな勝手な真似をした!?」
王様っぽい人は号外を私と魔王さんに突きつけた。そこには魔王さんがわたしを抱き抱える姿が………
「うわああぁぁぁぁぁぁ」
私は王様っぽい人から号外を奪ってビリビリに破いた。
「許さない、ユルサナイです………」
「すみません………」
魔王さんはまたガックリと項垂れた。
「………。」
王様っぽい人はそんな私たちのやり取りを見てどう思ったのか、こう言った。
「まあ、魔王として妃は必要だし………相手が見つかってよかった」
「はい、父上」
え、父上!?
似てないぃぃぃぃぃ(なんて失礼なことを………)
「………………………。」
相手が見つかってよかった………、
魔王として結婚しなければならないが、魔王さんはどんなに美しい姫にも興味を示さなかった。
私は魔王さんの玉座に座るという非常に失礼な行為をしたから魔王さんは興味を持ってその場の勢い的なことで結婚すると記者の前で言っただけで、、、、、
「どうしましたか?」
魔王さんの父親が出ていって二人きりになった空間で魔王さんは私に言った。
「………………誰かと結婚しなきゃダメだったから、たまたま興味を持った私と、結婚した、というか結婚すると大勢の前で言った、んですか」
わたしの言葉に魔王さんはキョトンとした。
それから何故か頬を緩めた。
「な、何ですか」
「………………だって、それって私に本気で好きでいて欲しいって言ってるようなものじゃないですか?」
「!?」
魔王さんの言葉に私は顔を赤くした。
「ち、違うっ」
魔王さんはクスッと笑った。
「………………………大丈夫、私は貴女が好きだからプロポーズしたんです。強引にあんなことをしたのは父上に急かされていたということもありますが、それが全てではありません」
なにが大丈夫なのかわかんないけど。
あのとき、魔王さんにお姫様ダッコされたとき、なんだか懐かしい感じがしたんだ。
………気のせい、だろうけど。
「天界を支配しようとしている、だから魔王討伐に、ですか」
ここは魔王の間ではなく魔王さんのベッドだ。
さすが魔王さん、ベッドがすんごいふわふわで私はそのベッドの上に座っていて魔王さんが何故か地べたに膝をたてている。普通立場逆だよね?
「………それは天界の王の方じゃないでしょうか?」
魔王さんの言葉に私は首を捻った。
私は魔王さんに異世界から転生してきたことも話したんだけど、反応は「そうなんですね」。もうちょっと驚いてもいいのに。
「それってどういう意味ですか?」
私が聞くと、魔王さんは少し険しい顔をした。
「天界の王、ハーリエルは魔界を支配しようとしているんです。今もこの魔界のどこかで戦争をしているかも知れません」
なんだか寒気がした。戦争、だなんて。
コンコン
そのとき誰かが部屋をノックした。
「なんだ」
「魔王様!失礼します、城の外にドラゴンが出てきて町がめちゃくちゃになっています!」
ヨームは絶好調のようだ……また意味のわからないことを言っている。しかし、魔王さんは瞳を険しくした。
「……なんだと?」
「グオァァァァァァァァァ」
ドラゴンの鳴き声が聞こえた。
「!?」
魔王城の上空にドラゴンが飛んでいる!
え、ドラゴンっているんだね。。
するとそのドラゴンは大きな尻尾でお城の屋根を叩いた!
ものすごい威力で、お城の屋根の残骸が上からバラバラ落ちてきて、魔界の人たちは大混乱!
あれ、てか人間いたんだ。
「まずいです、このままでは魔王城が……!」
「あのドラゴン………正気じゃないぞ、もしや天界からの………?」
魔王さんとヨームは普通に会話してるけど、私はポカンとしている。いやいや、それが普通だよね?
そのとき、飛んでいるドラゴンと目があった。
「………………?」
ドラゴンの赤い瞳がこちらをうかがっている。
バサバサ……
と音をたててドラゴンがこちらに降りてくる。
「こ、こっちに来ますよ!?」
ヨームはあたふたしている。
ドラゴンは私の前に降りてきた。すると、魔王さんがわたしを守るかのようにドラゴンの前にたった。
《お主は天界の巫女様であるか》
私は思わず自分の耳を疑った。でも、魔王さんやヨームの反応がないし、私にしか聞こえない声!?とか色々考えていたら、ドラゴンが気になることを言った。
《ハーリエルは危険な人物だ、本来巫女は天界にいるべきものだが、貴方はここにいた方がいいでしょう》
そしてそういうドラゴンの瞳が青くなっていることに気がついた。と、その瞬間、
「グオァァァァァァァァァゥゥ」
ドラゴンが苦しそうに暴れだした。
私たちはぎょっとする。
「ねねさん、下がってください。」
魔王さんはわたしを後ろに下がらせた。
《み、巫女様、申し訳ない、私はハーリエルによって操られているのです》
え、ど、どういうこと??
《巫女様、本当の道を見失わないでください、貴女が間違ったことをすれば、この世界が滅んでもおかしくはありません。自分を、信じて惑わされないでください。この世界の命運は貴方にかかっています》
えぇぇぇぇ、そんなこと言われても………
ドラゴンは自ら魔王城の後ろの崖に身を投げた。
かくしてドラゴン騒動はとりあえず収まったのである。
「やはり天界の使いでしたか、」
私がドラゴンさんの言葉を伝えると、魔王さんは納得したようにうなずいた。
「天界の使い??」
「ええ、ハーリエルが送った警告でしょう。崖のしたには、ドラゴンの死体がありました。ドラゴンの尾には針が刺さっていて、恐らくドラゴンはあの薬のせいで暴れていたのでしょう。」
ハーリエルさんって天界の王様なんだよね?私も巫女として一応会ったことがあるんだけど、普通の王様だったけどな。