コメディ・ライト小説(新)

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碧花【短編小説】一話完結
日時: 2020/09/09 07:09
名前: 四ツ谷 (ID: s1MJ3Tu0)

「月が綺麗ですね。」
新月の夜。
根っからの文系の彼女ならこの言葉の意味はわかるだろう。
「月はクレーターがあって醜いんですよ。」
彼女は泣きそうな声で言う。
「あなたは僕にとって太陽ですから。」
「なら、あなたは月ですね。」
「月ってガラじゃないけど。」
彼女は笑った。
夜の静けさと冷たさが二人を包み込んだ。

「まだ行かないでください。」
病で痩せ細った手を彼女は僕の手に乗せた。
「月にも寿命があります。」
彼女は困った顔をした。
「あなたは私にとって流れ星でした。」
「僕は塵でしたか?」
彼女は驚き首を横に振った。
「私たちはそんなに長く一緒にはいられなかったけど私を一瞬で幸せにしてくれました。」
彼女は僕の瞳を見てポツリと言った。
「次は海月の骨が見つかるまで一緒にいましょうね。」
「はい。」
二人で指切りをした。

「少し遅くなりました。」
僕は花束を持って彼女の前に立つ。
「遅いです。」
彼女は嬉しそうにした。
「すいません」
地面に花束と同じ花が咲き誇った。
「そろそろですね。」
「はい。」
僕はそっと彼女にキスをした。
二人はそのまま空気に溶けた。

「お父さん、母さんの後を追うようにだったね。」
「うん。」
「でも母さんのところに行けて嬉しいだろうな。」
二人の娘が写真を見ながら話している。
ーカタン..
「何?」
音がなったほうを見ると花瓶が倒れていた。
「あっ花瓶が!」
「その花枯れてるじゃん」
花瓶に刺さっていた花は茶色になり今にもバラバラになりそうになっていた。
「その花何て名前だっけ?」
「えっと、、【ヒヤシンス】だっけ?」
「綺麗な青だったのにね。」


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