コメディ・ライト小説(新)

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太陽と月
日時: 2020/10/16 20:46
名前: skyA (ID: 2AFy0iSl)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=12886

 __どうか、神様。残された時間、あいつと友達でいることを、許してください__

こんにちは、はじめまして。skyA(スカイア)と申します。
小説を書くのは初めてなので、温かい目で見守っていただけたら幸いです。
ほかにも、いろいろと初めてなことばかりですので、どうかよろしくお願いいたします!(なにせリンク貼るのも初めてなので)
暇なときに書くので、不定期投稿(?)になってしまうと思います。ご了承ください。
あと、今作は暗めなものになっております。そういうのが苦手な方は、読むことをおやめになることをおすすめします。
書き直しも結構こまめにしております。
ご感想、ご指摘、お待ちしております。話の途中で全然構わないので、たくさんコメントしてくださると作者が幸せな気持ちになります。アドバイスも、バシバシください!
〘登場人物〙
 菊地きくち 優海ゆう
黒目黒髪の高校一年生。普段はそっけないが、心を開いた人には優しさを見せる。実は、涼太にかくしごとをしていて……
 七草ななくさ 涼太りょうた
茶髪の高校一年生で、ポジティブモンスター。いつも笑顔を振りまくクラスのムードメーカー。モテる。
 幸野こうの 礼奈れいな
金髪碧眼の高校一年生。優海とは幼馴染で、涼太に好意を抱いている。
 桐ヶ谷きりがや 玄希くろき
中学一年生。優海とは、兄弟みたいと言われるほど仲がいい。
 西川にしかわ
あだ名はゴリ川。



▶目次

第一話>>1 第二話>>2 第三話>>3 第四話>>4 第五話>>5 第六話>>6 第七話>>7 第八話>>8 第九話>>9 第十話>>10 第十一話>>11 第十二話>>12 第十三話>>13 第十四話>>14
第十五話>>15 最終話>>16


それでは、よろしくお願いいたします。

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Re: 太陽と月 第十二話 ( No.12 )
日時: 2020/10/13 23:44
名前: skyA (ID: 2AFy0iSl)

 もう。……いや。やっと、俺は気づいてしまった。思い出してしまった。
 小さい頃、七草と会っていたこと。
 俺は、嫌だった。辛い治療に、苦い薬に、八歳の俺は、我慢できなかった。
 十日間ほど作戦を練って、脱出を試みた。
案外順調に進んだ。外の世界は、空気が美味しかった。澄み切った空が、俺を包んでくれるようだった。
満足したんだ。だから、帰ろうと思った。でも、悪いことしてるって思ったら、なんだか帰る気分にはなれなくて、その辺をぶらぶら歩いていた。
 ちょうど、近くに公園があった。ブランコ、やってみようかな。まあ、ブランコぐらいだったら、平気だよね。
 そう思って、ブランコの前まで行って。視線を感じて、俺は視線の感じた方を見上げた。そこには、まだ子どもの七草がいた。今思うと、昔から整った顔してたんだな、と思う。
 俺はしばらく、固まった。どうしよう。どうしようどうしようどうしよう――――と。

 俺が、話しかけてしまったら。仲良くなってしまったら、コイツが悲しむ。

 そう思った。だから、逃げた。
 だけど七草は、俺の手を掴んで。


 ――――いっしょにあそぼ!


 そう、言ったのだ。

Re: 太陽と月 第十三話 ( No.13 )
日時: 2020/10/14 15:05
名前: skyA (ID: 2AFy0iSl)


 そうだ。夢だったんだ。
 なんで今まで思い出せなかったのか。
 異変には、気づいていたはずなのに。
 全部、夢だった。
 なぜなら、あのとき、すでに俺は、






















 ――――死んでいたのだから。

Re: 太陽と月 第十四話 ( No.14 )
日時: 2020/10/14 17:40
名前: skyA (ID: 2AFy0iSl)


 きっと俺は、二十歳になったとき、消える。
 きっとそのとき、七草や、レーナや、玄希でさえも、俺のことを忘れるだろう。
 八歳のあのときから、もうおれはいないのだから。
 あのとき。七草を病院まで連れて、先生に事情を説明した。
 病院を抜け出したことについては、もちろん説教された。めちゃくちゃ怒られた。だけど、褒められた。七草を助けてくれてありがとう、と。そのとき俺のなかで、なにかがふつりと切れた気がして、わんわんと子どものように泣いた。実際子どもだったが、俺は泣かない子だったから、先生は驚いていただろう。
 そのあと、七草はしばらく入院した。俺との仲も深まっていった。玄希とも仲が良かったな。
 お互い連絡できる機械を持っていなかったため、まだ幼かった俺達は、近所のここの高校で、高校生になったら会おうと、そんな叶わないかもしれない約束をした。でも、暇なときに会いに来ると言っていたから、俺はオーケーした。

 七草が退院したあとすぐ、俺は発作を起こし、死んだ。

 もうちょっと生きたかったな。そう思っていた、気がする。
 俺は死ぬ前、先生に手紙を渡した。俺が死んで、りょうたが会いに来たら、渡してほしい。そう言って。
 夢だった。
 俺が頑張って叶えた物書きの夢が。
 俺の書いたもの、すべて。いつか、なくなってしまうんだ。

 ――――嫌だな。

 存在自体を否定された俺は、これからどうすればいいのだろうか。

Re: 太陽と月 第十五話 ( No.15 )
日時: 2020/10/16 18:53
名前: skyA (ID: 2AFy0iSl)


 「おはよう菊地! ……ん? なんか今日元気なくない?」

 朝。七草が話し掛けてくる。

 「黙れ。俺はいつも元気ではない」

 「菊地って静かなイメージあるよね」

 「はあ」

 興味がないのでスタスタ歩く。七草が、待って待ってと言いながらついてくる。

 「……菊地」

 突然、後ろから真剣そうな声が聞こえてくる。驚きを隠して振り返る。

 「……なに」

 素っ気なく返すと。
 俺をじっと真剣そうな目で見て。

 「……お願い。正直に言ってね」

 「え、なにを」

 「菊地って……ゆう、なの?」




 「………………………は?」

 僕は真剣に言った。
 菊地は僕に軽く目をやり、「俺は菊地優海だ」と言った。

 「ちがう……そういうことじゃ」

 「なに。俺のこと、名前で呼びたいの?」

 「そういうことじゃないけど、呼んでいいの!?」

 「え」

 「じゃあ優海って呼ぶね!」

 「ちょっと待てまだ俺なにも」

 「だから優海は、僕のこと涼太って呼んでね!」

 「え、なんで」

 「わかった!?」

 せっかくだから、名前で呼んでもらおう! と思い、半ば強引にオーケーさせようとする。

 「ね、いいでしょ! 優海!」

 「いいと言う前に言ってるじゃないか」

 「だから、優海は僕を涼太と呼ぶの!」

 「わかった、七草」

 「い、言ったそばから!」

 七草……いや、涼太に忘れられるまで、あと五年。

Re: 太陽と月 最終話 ( No.16 )
日時: 2020/10/16 20:45
名前: skyA (ID: 2AFy0iSl)

 二十四歳になった。僕は今でも、彼のことを忘れない。

 彼が十八歳のころ。突然僕に「俺、作家なんだ」と打ち明け、たくさんの物語を言って聞かせた。彼が有名人だと知ったときは、とても驚いた。

 でも、わざわざ言って聞かせなくたって、紙に書いて優海の字で残せばいいじゃないか。そう聞くと、彼は少し悲しそうな表情を見せ、いいんだ、と言った。

 彼が大切に紡ぐ物語を、時には気ままに紡ぐ物語を、僕はしっかりと覚えている。

 やがて、ひとつの物語が紡ぎ終えたとき、彼は僕を初めて、涼太、そう呼んだ。
 なに? と僕は返した。彼は、はらはらと落ちてゆく雪を見ながら、静かに言った。

 俺、もう、いないんだ。

 わかっていた。彼が、ゆうだってことぐらい。もう、いないってことぐらい。

 なんでよ。なんで。

 彼は言った、悲しそうに。

 お前とあのとき。別れたあと。そのとき俺は、死んだんだ。わかっているんだろう? 俺の遺書を見たのなら。
 なぁ、りょうた。俺は多分、二十歳になったら、本当に消える。
 俺の物も、
 言葉も、
 記憶も、
 跡形もなく、みんなの記憶から消される。もちろん、お前の記憶からも。
 ……なんでそんな悲しそうな顔するんだよ。死んだはずの人間が、消えるだけだろう。
 だけど。今だけでいいから、俺の物語を聞いてくれ。最後に、なにかしたいんだ。例え、お前の記憶から消されるとしても。ただ、俺が自己満足したいだけなんだ。だから、許してくれ。

 彼の言葉は外れた。たしかに、礼奈や玄希くん、ゴリ川とか、みんなの記憶からは消えていた。だけど、僕はきちんと覚えている。
 彼の名前も。
 言葉も。
 声も。
 髪の色も。
 綺麗な瞳も。
 口癖も。
 短気なところも。
 実は優しいところも。
 スキップしていたところも。
 かわいいところも。
 怒った顔も。
 すました顔も。
 照れた顔も。
 泣いた顔も。
 嫌そうな顔も。
 眠そうな顔も。
 何かを語るときの、優しい顔も。
 驚いた顔も。
 つまらなそうな顔も。
 初めて名前を呼んでくれたときの顔も。
 笑った顔も。
 ぜんぶぜんぶ、覚えているよ? 優海。

 彼は、彼が死したという日に、僕に恥ずかしそうに言った。

 その、涼太。今までありがとう。
 俺と関わってくれてありがとう。毎日声掛けてくれるの、結構嬉しかったな。
 なぁ、涼太。聞いてくれ。これが俺からの、最後の物語おくりものだ。

 ある日。ひとりぼっちの男子がいました。彼は病気で、ろくに外でも遊べませんでした。友達もあまりいなくて、毎日毎日つまらない生活を送っていました。
 だけど、彼に友達ができました。
 いつも楽しそうで、元気で、天真爛漫な人でした。
 彼のおかげで、俺は友達がたくさんできました。
 俺にとって、彼は俺を照らして輝かせてくれた、太陽でした。
 だから、涼太。ありがとうな。今度は俺が、お前を照らすよ。

 そう、笑った。
 僕は思わず、彼に抱きついた。
 けれど、なにかを掴んだ感覚はなくて。
 彼はもう、そこにはいなかった。


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