コメディ・ライト小説(新)
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- HI・HOPE!
- 日時: 2021/01/28 14:04
- 名前: 平松雄大 (ID: 2Ujo/OfH)
このサイトに投稿するのは2回目です。今度から名前を変えて「赤い酒猫」といたします。いくつかの小説を掛け持ちしますので、不定期投稿になると思いますが、頑張りますので、ぼくのほかの小説も読んでいただけたら幸いでございます。
今年度から、中学生となります。そのため、文法などが乱雑な部分もありますが、温かい目で見ていただけたらな、と思っております。どうぞよろしくお願いします。
(他の小説はコメディ・ライトの部で掲載させていただいています、「ボクノソバデ」というものです。こちらもぜひ、ご覧ください)
- Re: HI・HOPE! ( No.1 )
- 日時: 2021/01/29 17:47
- 名前: 幸福の赤い酒猫 (ID: 2Ujo/OfH)
新しい夢への開拓の道。ついに、開き始める。
「ありがとうございました。またお越しください。」
ふー、少し息をつく。コンビニのアルバイトもなかなかバカにできないくらいに疲れる。
7と11のコンビニと家族のコンビニ(一応、名前は出さないでおかせてもらいます)の二つのバイトを掛け持ちしているぼくは尾形天という名だ。天なんていう名前はあまり聞かないかもしれないが、読み方はそのまま「てん」である。
それにしても疲れるのは当然だ。バイトが始まって2時間半ほど。あと、1時間くらいの辛抱だ。頑張れ、ぼくの足。
ところで、ぼくは大学生で、医学部5年生だ。来年訪れる、医師国家試験に向けて、なかなか勉強が忙しい。高校受験に大学受験、これまで2つの大きな受験をしてきたけれど、今回はその中でも最も緊張する。これによって小さい頃からの夢であった医者になれるかどうかが決まる。
ぼくはなかなか大きい病気にかかっているらしく、未だにどういう病気かよくわからないが、そうらしい。1歳の半ばくらいから、5歳目前の時までN大学の医学部付属病院に入院していた。肝臓の病気だったという。なんかのできものかもしれないし、炎症を起こしていて、その後の処理が大変だったのかもしれない。
その時、ひとつだけ脳みそに残っていたものがあった。それが、ぼくの恩師とも言える人間、山田先生、山田芳光先生である。この先生はぼくの病気のことについては日本で一番有名な人らしい。
この先生はよく仕事をしてるところを見たし、子供と遊んでいるところもよく見た。本当にいつもどこかで何か行動していて、子供ながらにも「この人寝てるのかな」なんていう疑問を持っていた記憶がある。
当時、ぼくは子供なのだからもちろん遊び盛りで病院にいる子で友達も三人くらいいた・・・らしい。で、なんともひどいことにその友達のうちの一人が小児がんを入院中に患っていた。元々は他の病気で入院していたが小児がんも併発した。これも今だからこそ、なんとか理解できる話だ。
そしてその先生は治療に当たり始めた。なかなか治る見込みがなく、先生も疲れたような目をよく見せるようになった。
そして、一ヶ月ほど後、その子はもう死んでしまっていた。八歳だった。名前は「あかり」と言った。
元々の病気だけだったら治る見込みは十分にあった。けど、併発が問題だった。それがなければ・・・
ただ、もちろん僕に死んでしまうなどということは理解できず、また思いつきもしない。あかりがいないことに気づくと、ぼくは山田先生にこう尋ねた。
「ね〜、センセー、あかりちゃんどこ行っちゃったん。最近全然見かけないけど。」
「あかりちゃんね、病気しっかり良くなったんよ。センセーのおかげでな。すごいやろ、ほんでな、お家に帰ってってん。天くんにバイバイ言えんかった、っていうとったで。」
先生はこう言って強がっていたが、実際、目は泣いた子供のそれのように赤くなっていて、みっともなくまで見えた。でも、その時の様子にぼくは気付かなかった。
その後、プレイルームで遊び疲れたぼくはなんとなく、あかりちゃんのいた、病室の近くをのぞいた。
とても、衝撃が、走った。ビリビリ、ビリビリ、と。
先生の頭は膝と同じくらいまで下がっていた。そして、
「すいません、本当にすいません。僕がもっともっともっと全力を尽くしていれば、救えたはず・・・だの・・に。」
先生は子供のように泣きじゃくっていた。子供がドロボウしたときに親に怒られてるかのような塩梅に見えた。
さすがに悟った。あかりちゃんは死んでしまったのだと。もう、この世にいないと。
その時、先生は「もっと全力を尽くしていれば・・・」と言った。でも、あの先生にこれ以上何ができただろう。見える可能性は全て試して救おうと必死だった先生に。
でも、母親は攻め続けた。何回も見たあかりちゃんのお母さんはもうお母さんの様子ではなかった。発狂しているのと一緒だ。
このお母さんを殴りたかった。どれほど頑張っていたのかも知らずに先生を攻め続けるこいつを。(自分も詳しいことはわからないが)
その状況が子供だからか恐ろしすぎて、そこまでみて、自分の病室に戻っていった。もちろん、その日は夜までセンセーのことと、あかりちゃんの死のせいで泣き続けた。
次の日、ぼくは悟った。
小児科の先生は子供に対しては健気に、親に対しては、謝り続けているのだと。
こんなに頑張っている山田先生はすごいのだと。
それからというもの山田先生に憧れた。
「どうしたんだ、最近の天くん、なんかぼくにすんごい懐いちゃって。」
とまで言われる始末だった。
退院してもその思い出はずっと残った。そして、医者になりたいという思いが芽生えた。
という感じで今に至るのだ。とりあえず、目下の課題は医師国家試験合格!
小さい頃からの夢をかなえる、大きなチャンスだ。
「おい!だれか、ちょっとこっちこい!手伝え!人が倒れたぞ!おああ、天、来いや」
動き出していた、このことも、夢につながるのかもしれない。
ただ、そんなこと考える間もないほど、ひっ迫していた。ヤバイ。
- Re: HI・HOPE! ( No.2 )
- 日時: 2021/02/08 13:02
- 名前: 幸福な赤い酒猫 (ID: 2Ujo/OfH)
「とりあえず救急車だな。店長、電話しといて。俺はどうにか持たせるか・・・」
「おい、血、吐いてんぞ!」
「だから、店長は救急車だって!」
それからも店長は混乱のためか、なかなか救急車を呼んでくれなかった。吐血が随分とショックだったようだ。そもそも家族全員体調が悪くなったこともなく、救急車を見たことも遠目でしかないという。あとで聞いた話。
結局、ぼくの予定勤務時間はなぜか大幅に長くなってしまった。その後、店長は何にも知らないのに搬送先の病院の医師たちに事情聴取をされていて、ぼくに店番が回ってきたのだった。もちろん、追加報酬付きで。
- Re: HI・HOPE! ( No.3 )
- 日時: 2021/02/21 18:19
- 名前: 幸福な赤い酒猫 (ID: 2Ujo/OfH)
〜受験前の彼女〜
ふう、店長のせいですっかり疲れてしまった。いや、大事な働き手を奪っていった病院の医師かもしれない。どうしてくれるんだか。明日も朝から出たい講義があったのに。
でも、ブツブツ考えていても仕方がない。もうすぐ、アパートだろうか。やっと一息つける。今日は疲れてしまった。本当に。
家の戸を開ける。
すると、そこには一人暮らし男の僕には似合わない小洒落た靴が並べられていた。サイズはだいぶ小さく感じる。
ぼくの彼女のものだろう。
国家試験に向けて勉強するべきなのに、なぜ、彼女を家にお連れ込みしてるのかと思うだろう。別に好きで連れ込んでいるわけではない。
彼女とは大学二年の時に出会って、現在まで交際中だ。医学部の講義中、勝手に隣から話しかけてきた彼女は全く迷惑で仕方なかった。ぼくの髪型について文句を言ったり、彼女がいるかなんて聞いてきたり、(当時はいなかった)邪魔でしょうがなかった。
でも、お節介な彼女はぼくの心を温めていくようだった。親からも離れて、一人暮らし。彼女無し歴=年齢で通っている。孤独で乾ききっていた心という空洞に自分の感情しか入っていなかったが、彼女がいる、話しかけてくる、そのことによって他の感情が入ってくる。その感情は涙のようにしょっぱくもあったけど、ブドウジュースのように甘くもあった。突き刺さる刃もあれば、包んでくれる毛布でもあった。
だからぼくは、どうも彼女のことを嫌いになれなかった。彼女の名は大深温子。「温」という文字が使われている通り、彼女によって心が温まる、だから、彼女の告白をぼくはOKした。
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