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コメディ・ライト小説(新)
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- 淡雨降るる
- 日時: 2021/02/26 21:59
- 名前: もも (ID: QCyKwm9.)
「今日も雨」
ボソッと呟く声を、聞き逃さなかった。
「雨は止まないよ。ここは年中雨なのに」
いつか、家族みんなで雨が降っていない地域に行きたい。
思いっきり外で走りたい。
そんな日を、実は私も心の底でひっそりと願っていた。
ザーッという音で、いつも起きる。
ちゅんちゅんとなく鳥の声は聞いた事は無かった。
湿った廊下も、もう慣れてしまう。
急ぐ事なくテーブルに向かい、朝食を取る。
隣の席は妹の結奈。まだ起きてないのか、横に居ない。
そんな事を思っていると、お母さんが言った。
「愛華、結奈を起こして」
私はまた湿った廊下を歩き、妹の部屋に向かう。
私の部屋はいつもシンプルな感じだが、妹の部屋は違う。
大きなぬいぐるみから、小さなぬいぐるみ。
ぬいぐるみランドのようなものが出来ていた。
可愛いものが溢れている部屋だ。
コンコンとドアを叩くと、ドアを開けて入った。
「起きて」
その一言だけ言うと、部屋を出た。
後ろからは何も聞こえないが、どうせその内起きると思い、そのままにした。
残りの朝食を食べ、制服に着替える。
雨宮中学校の名前が縫ってある。
スニーカーを履いて、行ってきますと言い、傘をさす。
妹は多分…遅刻だろう。でも気にする事はない。
学校にはいつも、バスを使う。
まぁまぁ遠いので、ここまでしないとダメだった。
運転手さんにチケットを渡して、無料にしてもらう。
学生はチケットがあればいいのだ。
適当な席に座り、ぼーっと外を見る。
こつん、とおでこを当てる。
バスの窓には雨が打ちつける。
私は、ぴらりとチケットを見て、またおでこを当てた。
こつんと。
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