コメディ・ライト小説(新)

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給食番長
日時: 2021/03/11 20:25
名前: 山本蒼紫 (ID: 40QPO6LY)
参照: aoshi@kakiko.cc

キーンコ~ンカーンコ~ン

わんぱく小学校の給食の時間が始まった。

どかん!ばしゃん!

「おいしいシチューは僕によこせー!」
「きゃあ、カドルスやめてよ」

「よっしゃ、みんな嫌いなものなんか残しちゃって、さっさと遊びに行くよ!!トゥーシー、早く!ナッティ、グズグズしてると置いてくよ」
「うわーい。待ってよ、カドルス~。ナッティ、急ごうよ!」
「えぇいっ!野菜嫌いだから、僕も残しちゃおうっと」
「ぼ~くも」
「じゃ、私も~」

1年2組はいつも大騒ぎ。
入学以来、まだ一度も給食をちゃんと食べていない。

みんながお昼休みで遊びに行った頃、
給食室ではおばちゃん達が肩を寄せて泣いていた。

「うっうっ、1年2組はまたこんなに残してるわ…」
「もう、これで3ヶ月ずっとですよ」
「カドルスって呼ばれてる子がみんなをそそのかしているって…」
「その子を何とかしなくちゃね」

次の日の給食の時間、ついに怒った給食のおばちゃん達は
1年2組の教室に乗り込んだ。

「こらぁっ!あんたがカドルスだね!ちゃんと座って食べなさい!!」
「へっへへ~ん。やーだよ。僕、牛乳もパンも大嫌い!」

カドルスは、全然言う事を聞かない。

「待ちなさいっ、残したらもったいないでしょ!」
「こんな給食なんて全部食べてやるもんか~」

1年2組は、その日も給食をたくさん残した。

「へっへへ。さ~て、片付けも終わったし、遊びにい~こおっと」

「もう、何を言ってもダメなのかしら…」

給食のおばちゃん達の目から大粒の涙があふれ出した。
そして、その次の日…

キーンコ~ンカーンコ~ン

いつもの様に給食の時間がやってきた。
でも、給食室の前でみんなが騒いでいる。

「何!?トゥーシー、何があったの?」
「カドルス、あれ見て!給食のおばちゃん達が家出しちゃったんだよ…」

給食のおばちゃん達がいないと、みんなのお昼は抜きになってしまう。

「あ~~~ん」「びぇぇえ~~~~~ん」
「カドルスが”嫌いな物なんか残せ”なんて言うから、おばちゃん達怒っちゃったじゃないか!」
「カドルス、どうするんだよ!」
「誤ってきてよ、カドルス!」
「何とかしてよ、カドルス!」
「カドルス!」「カドルス!!」

みんなが怒り出した。でもカドルスは自信満々。

「ふっふん。だ~いじょうぶ、任せておいてって!給食くらい、僕達だけで作ってみせるよ。行くよ、ナッティ!」
「がんばる~」
「トゥーシー!」
「任せて、カドルス!」
「フレイキー!」
「おっけぃ、カドルス!」
「おばちゃん達よりおいしい給食作ってやるよ。ふっふふふ」

「トゥーシー!今日の献立は!?」
「え、えーっと。ビーフカレーと比敷のサラダだよ!」
「よし、ナッティ。肉持ってきて!」
「うわ~、重いよぅ。カドルス!」
「そーれ、トゥーシー!魚でダシ取るよ!」
「さすがカドルス、あったまいいー!」
「フレイキー!隠し味はアップルだよ!」
「よし来た、カドルス!」
「うおおおお!!!」

トントントントントントントン!!!

カドルスは、凄まじい勢いで一生懸命野菜を切っていく。

「とぅりぁああ~~!!612人分なんて朝飯前だよ!じゃんじゃん、じゃんじゃん具を入れろー!混ぜて、混ぜて、かき混ぜろ~~!!」
「カドルス!かっこいー!」

ついにカドルス達の給食が出来上がった。
みんなは飛び上がって大喜び。

「さあ!召し上がれ」
「わーい。さすがカドルス!おいしそう!!」

ガッタン ガタン

あれ?あれあれ?みんなが席を立ち始めた。

「どうしたって言うの!?みんな!?」

カドルスは、あっけに取られてしまった。

「まずい、まずいよ~~」
「こんな給食なんて全部食べられないよー」
「あ~~~ん」「びぇぇえ~~~~~ん」
「食べられない?僕達、みんなの為に一生懸命作ったっていうのに…」

下校時間を過ぎて、辺りはすっかり暗くなってきた。

「こんな筈じゃなかったんだよ……僕の好きな物たくさん入れたのに……」
「カドルスの包丁さばきは最高だったよ」
「でも、食べてもらえなきゃね…」
「ねえ、カドルス。明日もやるの~?」
「明日かぁ…」
「おばちゃん達…帰ってこないかな…」

日が暮れて大鍋、食器をゴシゴシゴシ。
もう、カドルス達は今にも泣きだしそうだ。その時…

ガチャリ

「やっと分かったかい?」
「あ!その声は!?」
「おばちゃん!」

「おばちゃん達もみんなに残されると悲しいんだよ。おいしく食べてもらえるように毎日一生懸命給食を作っているんだから」
「それにね、給食に入っているのは、元気に大きくなるのに必要な食べ物ばかりなんだよ。だからみんなが残すと、おばちゃん達は心配なの…」

「そうだったんだ!」
「おばちゃん、今までごめんね。本当にありがとう」
「いいんだよ。いいんだよ」
「明日からはいっぱい食べておおきくおなり」
「僕、早くおっきくなって、おばちゃんのお婿さんになるよ!」
「まぁ、カドルスったら。うふふふふ」
「うわあっははははははは」

夜の給食室に笑い声がこだました。

さて、次の日。
1年2組の上には、きれいに並んだおいしそうな給食がいっぱい!
ちゃんと座って給食番長の合図に合わせてお手手を合わせて、みんな一緒に

「いっただっきまーす!」

END


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