コメディ・ライト小説(新)
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- 挨拶団長
- 日時: 2021/03/11 21:08
- 名前: 山本蒼紫 (ID: 40QPO6LY)
- 参照: aoshi@kakiko.cc
キーンコ~ンカーンコ~ン
1年2組に転校生がやってきた。
「オ…オハヨ、ゴザマースッ!ボク、サムソンデース」
「きゃー!サムソンくん、日本語上手!こっちの席に座って~!」
転校生のサムソンは、たちまちみんなの人気者になった。
「ぬぬ~。サムソンめ、僕の番長の座を横取りする気だね!ねぇ、トゥーシー!ギグルスまでサムソンに夢中になってるよ!」
「ほ、本当だ…。僕、ギグルスを取り返すよ!」
お昼休みになると、サムソンの周りにみんなが集まってきた。
「さあ、ギグルス、あっちで遊ぼう!サムソン、ギグルスは返してもらうからね!」
「も~、あっち行っててよ、トゥーシー。いまサムソンくんと話してるんだから!」
「ぎ、ギグルス…そんな…うっ!」
「ぅぅぅぅぅ……急に胸が…」
トゥーシーが苦しそうにうずくまった。
「どうしたの、トゥーシー!」
「か、カドルス。ギグルスに断られたんだ」
「大丈夫!?」
「胸のドキドキが収まらないんだ…ぅぅ」
「何だかまずいよ!トゥーシーを保健室へ連れて行こう!!!」
「トゥーシー、しっかりして!」
「ナッティ、飼育係でしょ!何かいい治し方はないの!?」
「ちゅ、注射をしたら治るんじゃない!?」
「注射~~~!! …僕、死んじゃうの…?」
注射と聞いてトゥーシーは、すっかり蒼くなってしまった。その時…
「こらっ!!あなた達!先生の留守番中になにやってるの!」
「あ!保険の先生だ!助けて下さい、トゥーシーが!トゥーシーがぁぁ!!」
「ギグルスに冷たくされたらトゥーシーが胸が苦しいって…」
「とにかく見せてみなさい」
保険の先生はトゥーシーの体を一通りチェックした。
「どうやら体は、大丈夫そうね。どうしてギグルスに断られたの?」
「サムソンが転校してきて、ちょっと挨拶しただけなのにみんなの人気者になって…。ギグルスまで…」
「あなた達、何でサムソンくんが人気者になったと思うの?まずは、そこから考えてみなさい」
トゥーシーは、その朝の出来事を思い返してみた。
「そうか、分かったよ!」
「何だよ、トゥーシー?」
「ふふ…カドルス…。僕、いい事を思いついたよ。これで、サムソンに勝てるよ」
そして次の朝…。
ドンドンドン、バシャーン! ドンタタタ
「オハヨーーーゴザマーーーース。僕達、挨拶団!」
バシャーン!バシャーン!
「皆さん!オハヨ、ゴザマアアース!挨拶団長のトゥーシーです!」
ドンツタドン! チーン
「ねぇ、トゥーシー。サムソンが来たよ!それ、みんなで挨拶だよ!」
ドンドン
「やぁサムソン!僕は君よりすごい挨拶を発明したぞ!」
ダラララララ、ツタン
「オッハヨゴザマース!オッハヨゴザマース!」
チンチンチンチーン
「オー!ウルサイデース!!」
「あんた達!何やってるの!?」
「あ、ギグルス!オッハヨゴザマーッス!」
「サムソンより僕達の挨拶の方がすごいでしょ!?気に入ってくれた?」
トゥーシーは、胸を張って言った。
「何バカな事を言ってるのよ!」
「ゥゥ…ボク、ミンナトナカヨクシタカッタダケナノニ!ナンデコウナリマスカ?」
サムソンは、泣きながら行ってしまった。ギグルスは、慌てて後を追いかける。
「待って、サムソンくん!!待っ…あっ!」
ずざあああーーーーーー
「ギグルス!!!」
挨拶団は、転んで怪我をしたギグルスを保健室に連れて行った。
「ごめんね、ギグルス。こんな事になるなんて」
「まったく、困った子達ね」
「先生、僕達…。サムソンよりもっとすごい挨拶をしたら、僕達も人気者になれると思ったんだ…」
「いい、よく聞いて。挨拶って言うのはね、人と人が仲良くなるための第一歩なの。ハロー、アロハ、ニーハオ、オラ…国や言葉が違っても挨拶は、世界中で人と人の心を繋いでいるわ。だからね、挨拶は心がこもっている事が大事なの。サムソンくんはね、慣れない日本語なのに勇気を出してみんなに挨拶をしたのよ。それがみんなに伝わったから仲良くなれたの」
「そうだったんだ!」
「僕達、何て事をしちゃったんだろう」
「ただ、僕もみんなと仲良くしたくて…」
「ボクモソウナンデーッス!」
「そ、その声は…」
「サムソーーンッ!でも、どうしてここに!?」
「サムソンくんはね、みんなに気持ちが伝わらなくて苦しいといって保健室に来ていたのよ」
「オハヨーゴザマスハ、ボクガハジメテオボエタニホンゴ。ミンナトナカヨクシタ~イ」
「僕達が悪かったよ…。ごめんなさい!!サムソン」
「そうだ!サムソンも挨拶団に入んなよ!」
「一緒に友達をいっぱい作ろうよ!!」
「オー、ミナサン。アリガトゴザマース」
「も~。男の子って単純ね」
「あら、ギグルスったら…ふふふ」
さて、次の日。
わんぱく小学校の校門の前では、元気に挨拶をするみんなの声がこだましている。
「オハヨーゴザイマース!」
「おはよーサムソンくん」
「おはよーございまーす!」
『おはよう、挨拶団!』
-Fin-