コメディ・ライト小説(新)
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- 許嫁は甘くない
- 日時: 2021/03/31 00:03
- 名前: 零 (ID: ciG5lJ4e)
政略結婚。
それは親が決めた婚約のようなもの。
運命のように生まれたときから決まっている人もいる中。
私_一ノ瀬麗はそれに憧れていた。
でもその政略結婚は夢の夢。
本当にあることなのだけれど、私には漫画や小説の話としか思えない。
「政略結婚…なんてできるわけないよね」
そんなことを呟きながら歩く。
「あ、そもそも私、まだ結婚できないか」
麗は今更ながらそんなことに気づく。
麗は今現在、15歳。
JK真っ只中!
周りが青春して楽しんでいる中、政略結婚いいな、など考えているのは麗くらいではないだろうか。
普段、親が家にいなく、顔も合わせないので、麗は1人暮らしみたいな感じだ。
いつもと変わらず、家に付き、何も考えずにポストを開ける。
いつもなら大体、何もないのだが、今日は高そうな封筒が入っていた。
「誰宛?」
宛名の部分を見ると、麗宛。
「え、私宛て?何で?」
いつもならノリでくっついてあるところをビリビリと剥ぎ、中身を取り出すのだが、今日は封筒の上をハサミで丁寧に切った。
高そう…見るからに高い封筒をビリビリ剥ぐのは少し抵抗がある。
その中には一枚の紙が入っていた。
「なんだって…?えっとー、一ノ瀬麗様。突然のご報告で申し訳ないのですが、麗様には京極仁様と結婚していただきます!!」
明らかに戸惑う麗。
それから数秒経って、理解したらしい。
「ということは私、晴れて許嫁になれる?!」
ジャンプして喜ぶ麗。
政略結婚が決まってこんなにも喜ぶのは麗くらいだろう。
しかも相手は仁様。
仁、といえば京極仁を思い浮かべる、そのくらい京極仁は有名で人気だった。
「仁…様と結婚したら批判が止まないだろうな…」
批判されているところを思い浮かべたのか、次はあからさまに嫌な顔をする。
第三者が見たら、麗がただ百面相しているように見えるかもしれない。
京極仁は、有名財閥の1人息子。
顔もイケメンで紳士で、理想の男性という女性は凄く多い。
日程は明日。
突然にも程があると思う。
因みに、拒否権はないらしい。
手書きであろう地図も同封されていたことに気づく。
「地図…迷子になる予感しかしないけど」
期待と不安でよく分からない気持ちになりながら、麗は笑みをこぼす。
「明日楽しみだな」
麗はそう言うと、ゆっくり目を閉じた。