コメディ・ライト小説(新)
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- あなたに見せたい空がある 1
- 日時: 2021/04/18 11:18
- 名前: 月夜 (ID: FA6b5qPu)
今日もいつもと同じように屋上にいる。私だけの、場所。昼休みは高校に入って、2ヶ月ぐらいから毎日のように通っている。教室は女子のグループがいてうるさくて、鬱陶しい。それに私は絵を描く。空の絵。毎日見ているはずなのに、飽きない。そんな絵を描きたかった。いつも一人で静かに過ごしていたのに。壊された。今、目の前にいる、桜葉碧という転校生の奴に。
「なあ、お前何してんの?」
「見ての通りですけど」
なぜ今日来たばっかりの奴が私に話しかけてくるのだろうか。しかも男子が。
「俺の話聞いてくれる?」
oh......こいついきなり自分語りし始めるつもりらしい。いやいや、同性の奴に話せばいいのに。と思いつつも静かに頷く。
「俺、前の学校でバスケ部に入ってて。で、2月だったかな怪我して…」
「怪我?」
「…複雑骨折でもうバスケやっちゃダメだって言われて、俺バスケ部の中で期待されてたんだ。だから先輩とかチームメイトに合わせる顔がなくて、逃げた」
そこまで聞いていて思い当たることがあった。…まるで私と同じ。
「…私もバスケ部で、怪我して出来ないって言われた。で辞めたの」
話が重くならないように明るいトーンで話した。
「もう一つ。この学校に来た理由。…お前、永峰がいたからなんだよ」
一つ疑問だ。私は桜葉くんに今日初めて会ったのになぜこの学校に来る理由が私なんだろう。
「怪我した次の日、病院の帰り道。この学校の前を通った時。校庭で永峰が空を見て…見つめていたんだ。横顔が真剣で綺麗だった。また次の日、今度は屋上にいて。それから病院に行く時、永峰はいつも屋上にいた。会いたいって思った。会って話したいって思った…それだけ」
一度だけ、松葉杖をついて歩いている人を見た。大変そうだな〜って思ってた気がする。もしかしたらそれが桜葉くんだったのかもしれない。
そして桜葉くんは私を見て、
「俺はその時から永峰のことを好きになった。だからこの学校に来たんだ」
「…私が空を描いてる理由ね。…怪我して絶望してた時、屋上に来てずっと泣いてた。でも空は、いつでも同じところにあって、どんな時でも綺麗だった。この空が欲しい、そう…思った」
怪我で絶望してた私と彼。でも怪我して良かったかもしれない。だって…今まで誰にも話せなかった私のことを話せたから。
あなたに見せたい空がある1 【続く】