コメディ・ライト小説(新)

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斉藤、あるいはまたの名を
日時: 2021/07/26 15:46
名前: 猫まんまステーキ (ID: vk7qW9BI)



 どこか謎。それでいてなぜか放っておけない。時に大胆で人情に厚い。かと思えばあっさり裏切りもする。
 「斉藤」「斉藤さん」「斉藤先輩」「サイト―」etc...

 いろいろみんな呼んでくるけれど決まってみんな名字で呼ばれる斉藤。

 下の名前も、歳も、顔も、性別も、分からない。


 けれど読めばあなたもきっと、斉藤の事が好きになる。




 ◇◇◇


 どうもこんにちは。初めましての方は初めまして。
 「それ愛」が今しんどくて面白い展開になっていますがこの作品は息抜きにちょろっと書いていく予定のおはなし。(私の中では)前代未聞の主人公が一切出てこないお話です。唐突に始まったし唐突に終わるかもしれない。
※現在連載中の『それでも彼らは「愛」を知る。』もぜひよろしくお願いします。←こっちはちゃんと主人公が出てくるよ。



 ◇◇◇


 【一之瀬 彩花の話】 >>1


斉藤、あるいはまたの名を ( No.1 )
日時: 2021/07/26 15:46
名前: 猫まんまステーキ (ID: vk7qW9BI)

 【一之瀬 彩花の話】

 ――斉藤?ああ、斉藤ね。うん、確かに斉藤は私の友達ですよ。高校生の頃だったかしら。クラスが同じになって、そこから仲良くなって。ありがちな話でしょ?
 今思えばあの子は不思議な子だったなぁ。なんていうの?世間一般の不思議ちゃん、とかではないんだけど、なんか不思議だったの。空気?ていうのかな、とにかく目が離せなくて‥多分そういう人、結構いたと思う。
 あ、斉藤といえば高校の頃に忘れられない思い出があるんですけど。

 確か高2の夏休みだったっけな、友達数人で遊んだ帰り道、斉藤と途中まで一緒に帰ったんですよね。そしたら急に雨が降り出しちゃって。台風なんかも近いって言ってたし通り雨……うーん、もっとひどい、ゲリラ豪雨?みたいな感じだったと思うんですけど。予報ではそんなこと一切言ってなかったから二人とも傘持ってなくて‥あーでも言ってたとしても斉藤は折り畳みとか持つようなタイプではないんですけど。(笑)とりあえず雨宿りってことで近くの公園にあった屋根があるとこで二人で待ってたんですよね。でも、一向に止まなくて。

 「なあ一之瀬」

 しばらく二人で土砂降りの雨を眺めていたんだけど急に斉藤が呼んだからそっちの方を見たんですよ。そしたら、悪い顔してて。今からいたずらする子どものような顔。

 「ちょっと、入ってみたくね?」
 何が、っていうころにはもう荷物を置いて走り出してて――飛び込んでいったんですよ、あの土砂降りの雨の中に!


 「ちょっと斉藤!!?」
 「やべー!!やべー超気持ちいー!!」

 もう語彙力皆無かってくらいやべーしか言ってないし雨降り続けてるし斉藤の服はどんどんびしゃびしゃの泥だらけになっていくし。

 「一之瀬もやってみなよ!超快感!爽快!ストレス発散!」
 いやいや高校生にもなって‥とか最初は思ったんだけどあんまりにも斉藤が楽しそうに走り回るからさぁ……


 私もつい行っちゃったよね。


 「キャー!!!なにこれやばい!服秒でびちょびちょなんだけど!?」
 「アッハッハッハ!やるなー一之瀬!」
 「ねぇこれホントやばい!!ねぇちょっとこれやばい!!!」


 あの時程やばいを連呼したことないわ。案の定服はすぐにダメになったしこれ風邪ひくなとか親に絶対怒られるなとかいろいろ考えたけどそんなことを上回るくらい楽しかった。


 「なんか歌いたくねー?」
 「何急に」
 「じゃんじゃがじゃんじゃんじゃんじゃん‥」

 急にロックなテンポでイントロを口ずさみ始めて歌い出したのは有名な合唱曲で、

 「僕らが生まれたこーのほーしにー!奇跡を起こしてみないかー!」
 「アッハハハハハ!!!」


 そんでもってあまりにも気持ちよさそうに斉藤も歌っちゃうもんだから思わず笑い止まんなくてさ。
 水たまりバシャバシャ飛ばしながら歌ったりブランコこいでみたり。最終的には二人とも邪魔だからって靴と靴下脱いではだしで走り回ってたからね。今思えば最初から脱いどけよって話なんだけどさ。


 「あ、雨やんだ?」

 気づけば雨は過ぎ去ってすごい綺麗な青空が広がってて、
 「奇跡起きたんじゃね?」
 なんて笑いながら言ってたけど。
 あの時の私は本当に自分たちが奇跡を起こしたんじゃないかって半分本気で思ってた。

 帰りは電車の予定だったんだけど、こんなんだから乗れないよねって話になって結局結構な距離を歩いて帰った気がする。
 鞄にあった小さいタオルで必要最低限なとこだけ拭いてもう靴下は履けないから手で持ちながら帰ってさ。

 「いやー楽しかった」
 なんて満足気に言う斉藤につられて私も笑いながらうなずいたっけ。

 道行く人の視線とか少し痛かったけど斉藤といたからむしろそれすら楽しくて笑いのツボに入っちゃって。

 帰ってからもちろん親に怒られたし呆れられたし、斉藤も怒られたっていってたけど後悔は全くしてなかった。
 今思えばあれほど青春した記憶ってあんまないような気がするなぁ――‥きっとこういうのも青春っていうんですよね?


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