コメディ・ライト小説(新)
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 幻想エリュシアプリズン【第1章 「永遠の純白」完結】
- 日時: 2021/09/30 20:20
- 名前: 雪見餅 (ID: 0LEStScZ)
日本国内で爆発的な人気を誇るVRゲーム"エリュシアオンライン"
サービス開始から一周年を迎えるその日、人々はエリュシアオンラインに囚われた。
一周年の記念日は、運営から報酬が貰える上にお祭りの様な賑わいだった為、異変に気付くのは遅かった。
全プレイヤーの身体は、種族をそのままに現実世界のものへと変わり、ログアウトが不可能になっていた。
他の機能は全て使用する事が出来、人々が混乱に陥った。
その時運営は、エリュシアの暴走だと告げた。
死んでも現実世界で死ぬ訳では無く、エリュシアオンラインに戻ってくる。
それを知ったプレイヤー達は、エリュシアオンラインで一生を過ごすのも悪くないのかも。と思い始めた。
そう、これはエリュシアオンラインのある少女と、エリュシアの物語。
《登場人物紹介》
エターナルホワイト
『純白の血姫』不知火 月音
『誓約の雷魔』霧夜 透
《目次》
第1章「永遠の純白」
1話 純白の血姫>>1
2話 帰らない>>2
3話 姫の誘拐>>3
4話 溢れた雫>>6
5話 現実への扉>>7
6話 本当の解放>>9
第2章「現実世界」
1話
- Re: 幻想エリュシアプリズン【ストーリー始動】 ( No.1 )
- 日時: 2021/08/30 11:15
- 名前: 雪見餅 ◆Jhc7o2e8z6 (ID: 0LEStScZ)
1話 純白の血姫
「姫様、紅茶をご用意しましたので、テーブルに置いておきます。」
そう告げて一礼し、テーブルに紅茶を置き部屋を去った。
私の名は不知火 月音、エリュシアオンラインにて『純白の血姫』と呼ばれるプレイヤーです。
エターナルホワイトというギルドの創設者にて、ギルドの姫。
ギルドメンバーは姫である私の守護を目的とする者達で構成されています。
種族は吸血鬼を選択していて、昔は鮮血の血姫だとか、そういう時代もありました。
「紅茶、冷めるけど良いの?」
「ありがとう。それで、何の用ですか?霧夜 透。」
忠告を受け、紅茶を手に取りゆっくりと味わう。
彼の名は霧夜 透、『誓約の雷魔』と呼ばれるプレイヤーです。
「月音の守護に決まってんじゃん、そういうギルドだしさ。」
「それもそうですね。エリュシアに囚われてから、ここに来るのは少なかったですから。」
透がこの部屋に足を運ぶのは、エリュシアに囚われてかは初かもしれない。
透は自身の反対側の椅子に座り、窓の外の何も無い景色を退屈そうに見ていた。
「というか月音現実世界でもその姿なんだな。」
「はい。自分なりに、この白い髪と赤の瞳は気に入ってるんです。違う姿だったら自分では無い気がするので。」
「そっか。」
案外と素っ気無い反応が返って来た。
透はエリュシアに囚われてから、何も無い青空をただ眺める事が多くなった。
何だか、無邪気だったあの頃の透とは、見違えて大人になった気がした。
「そうだ!折角透も居る事ですし、久しぶりに魔物でも狩りに行きましょうか。」
「はぁ……。全く、俺達の姫は随分と俺達の仕事を増やそうとする……。」
「心配は無用です。私も参戦しますので、余り仕事はありませんよ?」
椅子から立ち上がり、笑顔でそう提案をすると、空中に指を置きウィンドウを操作していた。
伝説級の杖、星竜の杖をインベントリから取り出し、ギルドハウスの扉を開け外へと出た。
「腕が鈍ってなければ良いのですが……。火炎炸裂」
「はー。相変わらずの威力だこと、元ランク1位は伊達じゃないって感じ。」
エリュシアオンラインでの、対戦にてランク1位に一度だけ輝いた事がある。
でも、その後直ぐにランク戦を抜けたから、元が付いている。
- Re: 幻想エリュシアプリズン【ストーリー始動】 ( No.2 )
- 日時: 2021/09/06 21:44
- 名前: 雪見餅 (ID: 0LEStScZ)
2話 帰らない
「私が元ランク1位なら、透は現ランク1位という事になりますが?」
「俺が悪かった。月音、その話は辞めてくれ。」
ランクの話を持ち出すと、やめてくれと頼んでくる。
透は自分が褒められる事がどうにも好きでは無い、とか。
そして、二人でダンジョンへと向かった。
「そういえば、透って彼女居ないんでしたよね。告白してくる人も多いんでしょう?彼女作ったらどうですか?もうエリュシアが現実みたいなモノですし。」
「まぁ、告白される事は良くあるが、全部断ってるな。何というか、他に好きな人いるし。そういう月音はどうなんだよ。」
「私は告白なんて一度もありませんし、恋愛感情を持った事がありませんね。彼氏作ろうとかいう考え捨てて来ましたから。」
二人で他愛ない会話を繰り返す。
エリュシアに囚われる前、一度だけ現実で会う約束をしたのだが、まぁ叶う事は無かった。
「天雷撃。ていうか、何で俺達、ただのゲームに囚われたんだろう。帰れないのかな。」
「現段階では到底無理でしょうね。運営からの情報を待つしかありません。まぁでも、現実世界なんて帰りたくない場所に帰るのもどうかと思いますからね。」
現実世界には帰りたく無かった。
帰ればきっと、そこは牢獄の様な場所だと知っていたから。
周囲の者の対応は、冷たくて氷の様で、優しい人なんて何処にも居ない。
「現実世界に、何かあんのか……。そんな顔されたら、流石の俺も何か疑う。俺に言ってみろ。」
「家族は皆、私を軽蔑し地下牢へと入れました。ある程度の自由は許されていますが、地下室から出る事は出来ません。周囲の者は私を冷酷な目で見るのです。私は、あの牢獄にもう戻りたくはありません。」
透はその情報はごく一部だけの情報だと、他にも沢山隠している事が分かった。
恐らくはもっと酷い事、なのだろうか。
この情報だけでも酷いと思うのに、実の娘を牢獄に入れるなんてと思うのに、それを越える事……。
今はまだ、何も触れてはいけないとそう思った。
「そうか。かなり酷いな、じゃあその分俺達が楽しくなる様にしてやるからそれで我慢しろ。」
「本当に、外の世界は優しい人が沢山いますね。」
ニコリと笑顔を見せた。
本当に、辛そうな顔をしていた。
- Re: 幻想エリュシアプリズン【ストーリー始動】 ( No.3 )
- 日時: 2021/09/06 23:00
- 名前: 雪見餅 (ID: 0LEStScZ)
3話 姫の誘拐
朝起きて、ギルドメンバーと今日の守護担当を決める。
今日は俺が暇だったので、俺が守護に付く事になった。
あの日、月音と共に魔物を倒しにダンジョンへと向かった日から数日が経った。
今日は珍しく月音が寝坊をしている様だった。
月音の自室をノックするも、何も返事は帰って来なかった。
寝ているのだからと思い、無断で部屋に入ると、そこに月音の姿は無く、荒れたベッドと普段閉じている窓が開いていた。
そこには誰かが侵入した痕跡があった。
夜の間か、先程の朝の会議の時間に拉致られた。
それに怒り、直ぐにギルドメンバーへと伝達した。
「至急、全員集まれ。先程月音の部屋に入ったが、何者かに侵入され拉致された。全員総出で探し出せ!」
命令を出すと直ぐに散会し皆が探しに向かう。
そんな中1人、俺に声を掛けて来た奴がいた。
「透団長、姫様に変わった様子は御座いませんでしたか?」
「ああ、特には無かった筈だが。強いて言えば朝とても酷く怯えた顔をする事はあったな。」
「実は近日、部屋が近いので聞こえたのですが姫様が夜中泣いている声がしたのです。痛いとか、苦しいとか、怖いとも言っておられました。」
あの日の出来事を思い出す。
現実世界で地下牢に居るんだ、そんな事を言ってもおかしくないだろう。
でも、それが近日となると何か最近あったのかと思われる。
「情報提供感謝する。お前も直ぐに捜索に移れ。」
「いえいえ。姫様の安全が我々の幸せですから。」
その後、メンバー総出で捜索をしたが、一向に見つかる気配は無かった。
そして俺は、あるダンジョンを捜索している。
記憶のダンジョン。誰も手をつけてないダンジョンの為、居る可能性は大いにある。
とてもあっさりと攻略出来たと思えば、少女が空に浮き、自身に向かって言葉を告げた。
「ここは記憶のダンジョン。我エリュシアの名において、汝に試練を課す。」
「汝の忠誠を、優しさを我に見せなさい。」
そう告げると、光と共に何かの光景が目に見える。
少女が、家族と見られる者達に蹴られていた。
気絶した少女を抱え、鉄格子の部屋に放り投げる。
やがて目覚めた少女は大柄な男に連れられ、鞭で打たれ、蹴られ、殴られていた。
ああ、この少女は不知火 月音本人だと、そう直感が囁いた。
そんな日々が毎日、現実世界に帰るのを躊躇うのも頷ける。
画面は切り替わり、大柄な男がエリュシアの旧魔王領に居る所が見える。
そこにきっと彼女がいる。
「彼女の記憶を俺に見せて、何をしたい?俺達を捕らえたエリュシア。」
「彼女がこの様な境遇でも、姫で無くても、貴方は彼女を守れますか?……愛せますか?」
「少なくとも俺は、俺達の姫を傷付ける奴が許せねぇ。助ける為だったら何だってやる。お前は、月音の居場所を知っているのか?」
「旧魔王領……そこへ行きなさい。私は充分、皆と遊べた。目的は達成できました。後は貴方達の問題が終われば解放します。」
何だか良く分からない事だらけだった。
でも、俺達のやることは変わらない。
姫を助けることだ。
- Re: 幻想エリュシアプリズン【ストーリー始動】 ( No.4 )
- 日時: 2021/09/09 15:57
- 名前: 花桜咲 ◆WBRXcNtpf. (ID: 7VvLld12)
はじめまして。花桜咲と言います。
突然のコメントすいません🙇
素敵な小説ですね!! 書き方などが、すごく私の好みですごいなと思いました!
ネーミングセンスもすごくいいですし……。ネーミングセンスがない私は尊敬します!!
これからも頑張ってください(^^♪
- Re: 幻想エリュシアプリズン【ストーリー始動】 ( No.5 )
- 日時: 2021/09/07 21:06
- 名前: 雪見餅 ◆Jhc7o2e8z6 (ID: 0LEStScZ)
>>4
コメント有り難う御座います。
ご指摘助かりました!
Page:1 2