コメディ・ライト小説(新)

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クリスマスキャロル〜遥〜
日時: 2021/11/14 15:02
名前: おおさわ みはな (ID: AdLSzctt)

こんにちは、はじめまして。おおさわです。
もう下手くそですのでどうぞ温かい目でご覧ください。
完結編です。本当に温かい目でご覧ください。(少々見ていられないぐらいの語彙も出てくるかと思いますので、そんなの見てられへんわと言う方は今すぐこのページを閉じてください。)

今年こそ楽しいクリスマスのはずだった。

中学2年の眞田遥さなだはるかは、ひとり夜道を歩いていた。
小さい頃から夢見ていたホワイトクリスマスには一度も遭遇せず、今年も冷たい空気のなか、遥のクリスマスは終わった。両親は共働きで、一緒に夕飯などろくにしたことがない。誕生日でも、ひとり電気の下、僅かな小遣いで買ったチーズケーキを食べるだけだった。
だけど昔は違った。
毎年クリスマスプレゼントに胸を弾ませ、早起きして靴下のなかを探った。もらったプレゼントを友達の家へ持っていって、自慢大会なんかもした。
ただ遥が9歳のとき父がリストラに合ってから、生活は一変した。就職できず、母もパートを始め、忙しくなってからは、みんな笑顔さえも見せなくなった。それどころか、口から溢れるのは愚痴ばかりである。

しかし今年は違った。

同じクラスのお嬢様、篠崎華恋しのざきかれんに、ホームパーティーに誘われたのだった。遥は一度辞退したものの、どうしてもと言う様子と、自分の欲望に負け、華恋の自宅へ向かった。
しかし家には誰もおらず、ひとりあたふたしていると、草陰から華恋と取り巻きが笑いながら出てきた。彼女曰く、ドッキリだと。
すっかり気分が悪くなり、華恋に暴言を吐きつけた後、遥は門を飛び出して帰路へついた。家へ帰ったって誰もいないのはわかっているが、こうするしかなかった。

家へ着いても何も変わっていない。出てきた時と同じ風景。キッチンの端には段ボールが積み重なっている。和室に置いてあるテレビはもう数年つけていない。洗濯されているかもわからない服が乱暴に散らかっている。何も変わらない。

彼女は、ああもういっそ、マッチ売りの少女のように、幸せな夢を見ながら死にたいな、と思っていた。生き地獄、とまではいかないが、自分は死んでるも同然だと思い込んでいた。

気づくと、遥は前住んでいた戸建てを俯瞰で見ていた。
窓から覗くと、売られたはずのクリスマスツリーが、質素ではあるが飾り付けがされ、置かれていた。すぐに遥は、自分の過去を夢で見ているのだ、と気づいた。
窓の奥には幼い自分がいた。また、両親もいた。テーブルの上には、世間的には豪華とは言えないが、少しのワインやチキンなど、眞田家にとってたいへん豪華な料理が並べられていた。
幼い自分は取り皿を両親に差し出し、お皿いっぱいに盛られたサラダをもらって、驚くぐらいの満面の笑みを浮かべた。その笑顔を見ていた遥は、思わず自分の頬を触ってしまった。最近私は、笑っていただろうかと。

また気づくと、今度は現在らしく、華恋の家の外だった。ふと道の方を見ると、自分が走っていた。どうやら、先程のことの続きらしい
華恋は、思わぬ暴言を喰らい、ひどく悲しんでいた。華恋は、眞田さんとと仲良くなりたかっただけなのにね、という会話を聞いた。
華恋はなぜか、人付き合いが異常と言っていいほど悪かった。だからすぐかっとなってしまうし、どうしたら仲良くなれるかわからなかった。でも根は優しく、広い庭の花の手入れは全て華恋がしていたり、掃除をさぼった男子を庇ったりしていた。
遥はとても後悔した。華恋に、お嬢様というレッテルを貼り、少しいじられただけで本気にして暴言を吐いたこと。人を理解できないのは自分だと、俯いた。

顔を上げるとそこは母の働いているスーパーだった。休憩室のようなところで、母は店長らしき人間に叱られていた。
そこには、いつも見せることのない、悲しそうな表情があった。どうやらクリスマスの混雑で大変なミスをしてしまったらしい。
説教が終わり部屋を出た母は、泣きながら、遥、ごめんね、と呟いていた。母は感情のコントロールが下手で、人前で反抗してしまう性格だった。遥は心を打たれた。
母は自分のためにこんなに頑張ってくれているのか。思わず目頭が熱くなった。

父は仕事場で眠っていた。クリエイティブな仕事をしていた父は、慣れない事務作業に疲れ果てたみたいだった。

なんだ、これ。まるでクリスマスキャロルのような展開。もしかして次は未来?なんて思っていたら目が覚めた。朝が来たみたいだった。

家にはいつも通り誰もいない。またお昼に帰ってきて、今日も夜勤へ出掛けてゆくのだろう。

12月26日。AM6:32。

未来へはきていなかった。がっかりする反面、なんだか気分はすっきりしていた。

まずは華恋に謝ろう。それから両親に、一日遅れのクリスマスプレゼントを贈ろう。靴にしようか。ハンケチにしようか。お菓子なんかもいい。

遥は、意気揚々と出掛けていった。














今年は何か違うはずだった。


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