コメディ・ライト小説(新)
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- ルキナ~魔物を倒して世界を救う~
- 日時: 2022/01/27 18:25
- 名前: クロムウェル (ID: hDSnh8ad)
10年前ー人類は恐怖の中にいた。
ある日突然現れた異形のものに襲われ始めたのだ。
一体いつからだろうか、人々は異形のそれを「魔物」と呼び始めた。
魔物は、いつしか世界各地で現れるようになっていた。
各国の首脳達は頭を抱えた。
魔物に太刀打ちできるすべがなかったからだ。
そんな首脳たちのもとに、ある一つの報告がなされる。
魔物に対抗できるすべを持った者が現れたというのだ。
首脳会議にすぐさま呼び出されたその者は…。何とも幼い少女だったのだ。
首脳たちはこれまた頭を抱えた。
「こんな幼い少女にあの恐ろしい魔物と戦わせるというのか…」
しかし少女は言う。
「私ならあの魔物たちを倒すことができる。それに、私とおんなじ能力を持った子は他にもいる。任せて」
首脳たちは時間がないことを知っていた。
自分たちが批判を受けるからよろしく頼むと、少女に人類の未来を託した首脳たちは批判を一身に受けた。
少女は首脳たちの気持ちを受け止め、行動を開始した。
同じ能力を持った仲間と共に魔物を退けた。
人類は少女たちを称えた。
少女たちは
「これから先も、魔物は現れる。そのたびに私たちが倒すから、私たちと同じような子たちが安心できるような環境を整えてくれ」
と言葉を残した。
そして現在ー
少女たちはもういない。その代わり、少女たちと同じ不思議な力を持った子供たちが現れた。
各国は協力して連盟を立ち上げた。その連盟の名は「レジスト連盟」
少女たちが持っていた不思議な力は「ルキナ」と呼ばれるようになった。
- Re: ルキナ~魔物を倒して世界を救う~ ( No.1 )
- 日時: 2022/01/31 22:35
- 名前: クロムウェル (ID: hDSnh8ad)
キーンコーンカーンコーン…キーンコーンカーンコーン…
「これにて、本日のルキナ学を終わりにする。今日の復習をちゃんとしろよー」
先生の号令と共に授業が終わる。
「しーずーくちゃんっ!一緒に帰ろう?」
「いいよー。ちょい待ち」
雫と呼ばれたその少女は、長い黒髪を背中に流し、少し微笑みながら友達と軽い会話を交わす。
ここまで読んだ人はこう思うだろう。なんと清楚なイメージの子だと。(そう思っていただきたい)
しかし、現実は少し違う。
「おいおい雫。優雅に掃除のさぼりですかな?帰るなどという発言、聞き捨てなりませんなぁ!」
「うるっさいわ!!掃除はちゃんとしますぅー!」
もう男子としか思えない。そう、雫という少女は中身が男子みたいな子なのだ。
「雫ちゃんも大変だね。私も手伝うよ」
「はーちゃん!ありがとー!」
友達の葉月にお礼を言い、ごみ捨てに行く。ごみ捨ては、正直言って簡単すぎる。その簡単な仕事を任せてくるあたり、うちのクラスの男子は優しいのだろう。
「帰ってきたか!そんじゃ帰るぞー」
待っていてくれた男子と共に学校を出る。運動部の掛け声と、吹奏楽部の演奏の音。全てが混じり合い、平和だった。
その平和な空間に似合わない者たちがいる。黒く平べったい、いかにも高級そうな車に、黒いスーツで身を固めた男たち。サングラスをかけているおかげで、どこぞのヤクザのような雰囲気を醸し出している。みんなで仲良く帰る家路に、似つかわしくないもの。どうか私目的でありませんようにと願いながら、横を通り抜けようと思ったがその願いは叶わなかった。
「天宮雫様でいらっしゃいますね?要件は車でご説明いたします。お乗りください」
- Re: ルキナ~魔物を倒して世界を救う~ ( No.2 )
- 日時: 2022/02/01 18:53
- 名前: クロムウェル (ID: hDSnh8ad)
やっぱり…。私目的だった。しかも、内容を知らせないということは、国家機密レベルの事なんだろう。
「みんな、ゴメンね?ちょっと用事ができちゃったから私この人たちと行くね。このことは、他言無用で!後でちゃんとわかると思うから。じゃーね!」
これだけ言うと、雫は車に乗った。事情を説明できないのには訳があったのだが、どこまで話していいか分からなかった雫は歯がゆく思い、ひとり呟く。
「一体今頃なんだってんだよ。神谷さん…」
下校中に友をさらわれ、戸惑う友人らは戸惑い、呟いた。
「他言無用で、訳の分からない車にすんなり乗った…?一体何だってんだよ、雫…」
雫が乗った車の中では、重たく凍り付くような沈黙が流れていた。それもそのはず。サングラスをかけ、スーツで身を固めたヤクザみたいな男たちが乗っていたら空気も重たくなるだろう。
しかし、この男たちよりも重たい空気を発しているのが雫である。単純に期限が悪いのだ。友達と仲良く帰る予定だったのに車に乗せられ、あまり行きたくない場所に連れていかれているのだ。
「で?要件って、何?くだらない要件だったら、即帰るからね。私」
雫の一言にびくっとした男たちは、目くばせした後に紙の束を持ち、後部座席に移った。
「急にお呼びしてしまい、申し訳ございません。こちらを見ていただければ、事情がお分かりになるかと…」
男が渡した紙の束は報告書だった。しかし読めない。
「何、これ。読めないんだけど」
「‘あの手法,を使えば読めると、連盟長がおっしゃっていました。我々は読めないので、ご安心ください」
暗号って事ねえ…。確かに私はこの暗号を読める。ただな~、久しぶりだからな。
「ちょっと時間かかるから、前に戻ってて」
「かしこまりました」
男が前の座席に戻ると、雫は報告書を解読しはじめた。
えーと、何々?第二十五区の扉発現について?
報告書の内容はこうだった。
『 第二十五区の扉発現予測について
近頃の魔物発現地を観測、それに基づいた考察の報告。魔物発現地を観測し、予測を立てたところ、見事的中。線で結ぶと八望星の形と、五芒星になり、重なるところに扉が発現すると思われる。過去最大級の扉のため、発現する魔物の数、等級ともに未知数である。Sランク相当の戦闘員の配置を行わなければ、被害が出やすくなると思われる。 』
「ほー。そんな観測が出てたのか。んでもって、コレがその図ねぇ…。まっ、確かにあってるわな。で?私を呼び出した理由がこれなんだ?」
前の座席にいる男は後ろに戻り、細かい説明を始めた。
「はい。その通りでございます。現在、レジスト連盟にはSランクの戦闘員が4人います。しかし、担当している地域が広く、学生の身でもあります。あまり時間は取れません。幸いにも、4人とも学業は優秀なため、問題は出ておりませんが、保護者の方の講義が激しくてですね…」
「まぁ、その点、私は親もいないから戦闘には行きやすいし、使いやすいよね」
雫が淡々と自分の考察を述べると、図星だったのだろう。男は慌ててフォローを入れてきた。
「いえっ!決してそのような事ではございません!」
「別にいいよ。で?私にこの地域を担当しろと?」
「連盟長は、そのようにお考えのようです。このことだけ、伝えろと言われたので、我々には何とも…」
男は申し訳なさそうに謝る。だけど、こう考えているのはこの男じゃあない。
「理由は、連盟長に聞くとするよ」
レジスト連盟。世界で最も重要な場所ー
- Re: ルキナ~魔物を倒して世界を救う~ ( No.3 )
- 日時: 2022/02/03 23:44
- 名前: クロムウェル (ID: hDSnh8ad)
レジスト連盟に入るには厳重な警備を通過しなければならないーわけではない。
指紋登録と、目の認証を済ませれば誰でも簡単に入ることができる。
「ほんっとーに、ここの警備は緩いよねー」
「そうですね。しかし、ここは襲撃されても特に問題は起こらないので…」
私を連れてきた男たちは苦笑いをしながら、そう答えた。まぁ、ルキナ学で習ってはいるんだけどね。
ここ、レジスト連盟での襲撃は成功しない。ここにいる職員、戦闘員共に戦闘能力が高いからである。職員と学生を除けばの話ではあるが、まず職員たちがいるところにたどり着く前に襲撃者は捕縛されてしまう。もしもたどり着いたとしても、ルキナを使ってしまえば拘束することはたやすい。そんな理由もあり、このレジスト連盟本部を襲撃するものはいない。
「そうだよね。連盟長は変なことしてない?偽の襲撃者に襲わせたりとか」
「そういう話はめったに聞かないですね。今にやらかすのではないかと、言われてはおりますが」
やらかす寸前ってことですか。まぁ、やらかす余裕もないんだろうな…。忙しそう。
「連盟長室についたら、帰っていいよ。内密な話もしたいし。私が後から言っておくから」
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