コメディ・ライト小説(新)
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- BLUE〜アオハルの1ページ〜
- 日時: 2022/07/27 16:35
- 名前: meru (ID: XWWipvtL)
*プロローグ*アオハルの始まり*
青春は楽しいだけじゃない。
キラキラ輝いてるだけじゃない。
眩しい‥‥‥だけじゃない。
時には、ほろ苦くて‥‥
切ない時もある。
「ーーー俺たち‥‥別れよっか」
中学の卒業式の日。
付き合っていた彼‥結城慎也はいつもと変わらない
無愛想な顔で、ハッキリとそう告げた。
その発言は何の前触れもなくて。
頭が理解するのに時間がかかってしまった。
「ーーーッ‥‥ どうして?」
理由なんか聞きたくないけど。
聞かずにはいられなかった。
涙をぐっと堪えて。
彼から目を背けて、わたし‥‥榊原陽菜は聞く。
「陽菜ってさ‥‥ 俺のこと、たいして好きじゃないでしょ?」
予想とは反した言葉に呆気に取られる。
わたしは、少しの間の後に口を開く。
「そんなことっ‥」
「ーーーじゃあ、俺を好きだって‥今ここではっきりと言える?」
わたしの言葉に被せて。彼は捲し立てる様にそう聞いた。
真っ直ぐにわたしの瞳を見つめる彼の瞳。
何故だか‥わたしは、その瞳を見ていられなくて。
自然と目を逸らしてしまった。
そして。
その言葉に‥わたしは、即答できなかった。
そのまま‥ お互いに何も言わず。
沈黙の空気が続いて。
彼は優しい笑顔を浮かべた。
「ーーー今まで、付き合ってくれてありがと。じゃあね」
全てを悟られたような顔でそれだけを告げて、
彼はわたしの横をすり抜けていく。
返す言葉がなかったわたしは‥
ひたすらに泣いた。
とめどなく、 溢れ落ちてくる涙。
その涙は‥ いつまで経っても止みそうになかったーーー。
BLUE*アオハルの目次*
登場人物紹介>>1
*第1章*ここから、 リスタート。*
PAGE1>>2 PAGE2>>3
- Re: BLUE〜アオハルの1ページ〜 ( No.1 )
- 日時: 2022/07/18 21:27
- 名前: meru (ID: XWWipvtL)
*.°・。*登場人物紹介*。・°.*
▪️榊原 陽菜▪️Sakakibara Hina▪️
青葉高校1年。肩ぐらいまで伸びた癖毛の天然パーマの髪型がトレンドマークのごく普通の女の子。中学時代に1年間、結城慎也と付き合っていた過去を持つ。
▪️結城 慎也▪️Yuki Shinya▪️
身長は180センチで長身。クールな印象の切長の瞳が特徴的。顔立ちは整っている方で表立ってはいないものの、一部の女子生徒の間で人気がある。無愛想で口調もぶっきらぼうな部分もあるが根は優しい一面も持つ男子生徒。
▪️早瀬 朱莉▪️Hayase Akari▪️
小柄で小動物みたいな印象の女子生徒。陽菜とは小学生の時から仲が良く、いわゆる幼馴染である。陽菜と慎也が過去に付き合っていた事も知っている人物。
▪️小田切 晴翔▪️Odagiri Haruto▪️
高校に入ってから知り合う。愛想のない慎也とは対照的で人当たりが良く、誰に対しても優しく接することのできる人物でクラスの中心にいる様な男子生徒。女子生徒からの人気も高い。
▪️桐島 咲希▪️Kirishima Saki▪️
晴翔とは家が隣同士の幼馴染で晴翔に恋心を抱いている。綺麗な顔立ちをしているため、毎日のように異性からの告白を受けている。
鈍感な晴翔に対して苛立ちを見せる様な場面も多々見られる。
- Re: BLUE〜アオハルの1ページ〜 ( No.2 )
- 日時: 2022/07/19 21:17
- 名前: meru (ID: XWWipvtL)
PAGE1:桜、咲く。
初めての電車通学ーーー。
駅から高校までの通い慣れない通学路をわたしは重い足取りで歩く。
中学最後の日。
わたしは、付き合っていた男の子‥‥結城慎也にフラれてしまった。
慎也は‥
わたしには、もったいなさすぎるぐらいに完璧な男の子で。
一見、無愛想で口調も冷たいけど‥‥その心の内に秘めている優しい部分もわたしは知っている。
フラれたのは‥完全にわたしが悪い。
わたしが‥‥
彼がわたしを想ってるのと同じぐらいに気持ちを返せなかったからーーー。
彼を不安にさせてしまった。
「‥‥はぁ‥‥‥」
深く、ため息を吐く。
慎也と別れてしまったことは悲しいし‥別れた日に涙が溢れるぐらいには落ち込んだ。
心の奥底では高校になっても、こんな何気ない日々が続くものだとばかり思っていた。
だけどーーー。
慎也を‥ 好きなのかと聞かれるとよく分からなかった。
ーーー『俺を好きだって‥ 今ここで、はっきりと言える?』
あの日の彼の問いかけが‥ 頭の中で反芻する。
あの時に‥ 即答できなかった時点でわたしは、彼のことをきっと本気で好きではなかったのだと思う。
そして、答えられなかったわたしに責めなかった彼は‥心の底から優しい人だと思う。
今更になって‥ 彼の存在がどれだけ大切か分かったって遅い。
何もかも‥遅い。
もうわたしたちは。
きっと。
交わることなんか‥ ないのだから。
そんな事をぼんやりと自問自答しながら。
わたしは。
高校までの長い桜並木の中を歩いていたーーーー。
- Re: BLUE〜アオハルの1ページ〜 ( No.3 )
- 日時: 2022/07/27 16:31
- 名前: meru (ID: XWWipvtL)
PAGE2:入学式。
高校へ着くと、クラス表が貼られていた。
青葉高校は1学年8クラスあり、大きな学校である。中学が一緒の子達も何人かいるが、きっとクラスが離れる確率の方が高いだろう。
人見知りの激しいわたしは、新しいクラスに馴染めるかが不安で‥憂鬱でいっぱいだった。
「ーーーあれ?‥‥陽菜?」
不意に聞き覚えのある声がして。振り返ると。そこには、よく見知った顔があった。
「えっ!?朱莉?」
小学生の頃からずっと仲良しの幼馴染。
早瀬朱莉だった。
朱莉はあどけない笑顔のまま、こちらへと駆け寄ってくる。
「そういえば、高校一緒だって言ってたもんね〜!クラス、どうだった?何組ー?」
いつもの明るいテンションでわたしに話しかけてくる朱莉。
朱莉にクラスを聞かれ、咄嗟に自分のクラスを探す。すると、4組のところに自分の名前を見つける。
「あっ‥わたし、4組だった!朱莉は?」
「マジ!?あたしも、4組なんだ〜!やっぱ、うちら腐れ縁だね!また1年よろしく〜」
「え!?そうなんだ!良かった〜。朱莉と一緒なら安心だよ〜」
2人でいつも通りに戯れ合っていると。
コソッと朱莉が耳打ちしてくる。
「‥‥あ、あのさー‥‥結城くん、も‥4組らしいんだけど‥‥平気?」
結城くん‥。
その名前にドキッとする。
朱莉は、気まずそうにわたしの顔を見つめていた。
わたしは、朱莉にいつも通りの屈託のない笑顔を見せながら答える。
「ーーーもう、全然気にしてないから大丈夫だよ!春休みで気持ちもリセットできたし!それに高校入ったらもっと格好良い男子だってきっといるし、大丈夫だよ!」
「それは‥‥まぁ、そうだけど‥無理、してない?大丈夫?」
尚も気にかけてくる朱莉。
わたしは、俯いた顔のまま。
「大丈夫。‥早く、体育館行こうよ。入学式始まるってさ」
素っ気なく朱莉に向かってそう言った。
これ以上‥結城くんの話をしたくなかった。
お願いだから‥思い出させないでほしかった。
なんで‥同じ高校なんだろう。
違う高校だったら、 きっと‥もう会うこともなかったのにーーーーーー。
そんな事を思いながら‥
入学式は、静かに始まったーーーーー。
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