コメディ・ライト小説(新)

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始発線は終点をしらない【第2章開始】
日時: 2023/07/08 13:38
名前: たまはる×ゆのの。 (ID: N1KBaRht)

[この物語は、
8人の学生が、恋愛という始発線から、終点をしらない列車を走らせ
                        永遠の「恋愛」な日々を過ごす物語である]




【挨拶】byらる@羅瑠
 こんばんは!もしくは初めまして。らる@羅瑠です
今回は合作をさせて頂きます。よろしくお願いしますヾ(≧▽≦)ノ
ぷれさんには及ばない語彙力の無さ&下手さです…
誤字などがあったらホントにすみません…ですが、8人の「終わりのない」永遠コメをどうぞ、お楽しみください。

【挨拶】byぷれ
 こんばんは、もしくは初めまして、ぷれです。
ついに念願の合作が叶いました!よろしくお願いします。
らるさんとは比にならないぐらいの語彙力の無さですが、ご容赦ください(ドゲザ
それでは、8人の永遠のラブコメをお楽しみください。



人物紹介>>1
新・キャラ紹介 >>81
プロローグ>>2

一気読みしたい方用。 お使いください

一気読み [>>1-]
夏の特別編[>>11-17]
学園祭スペシャル[>>39-57]


第一章 物語の始まり

第一話「四人の出会い」>>3
第二話「再会と出会いの感傷」>>4
第三話「少しの恋心」>>5
第四話「ピアニッシモ」>>6
第五話「楽しく青春を」>>7
第六話「憧れと勉強会」>>8
第七話「聞こえないヒミツの話」>>9
第八話「My Hero」>>10
【夏の特別編】始まり
第九話「ついに青春夏休み!」>>11
第十話「夏だ!プールだ!水着だぁぁ‼」>>12
第十一話「どんな時でも楽しく夏を」>>13
第十二話「夏祭りがゆえ」>>14
第十三話「あなたとなら何処までも」>>15
第十四話「後日談は二人だけ」>>16
第十五話「終わりの次は、仲間たちの」>>17
【夏の特別編】終わり
第十六話「計画」>>18
第十七話「意外な清楚系。」>>19
第十八話「照れ隠しですか?」>>20
第十九話「メールで盛り上げ‥‥」>>21
第二十二話「強引な決意表明」>>22
第二十三話「意識は‥‥」>>23
第二十四話「ファースト」>>24
第二十五話「トリプルデートの幕を開けて」>>25
第二十六話「僕たちのトリプルデート」>>26
第二十七話「楽しい後は勉強会」>>27
第二十八話「信じたくない本当」>>28
第二十九話「見つけてもらって微笑んで」>>29
第三十話「渚と海鳥」>>30
第三十一話「庇ってくれて」>>31
第三十二話「平和で、農厚」>>32
第三十三話「クラス替えは…」>>33
第三十四話「新クラスは平和です」>>34
第三十五話「珍しい事件が」>>35
第三十六話「女子たちの集い」>>36
第三十七話「転校生と、早々な恋」>>37
第三十八話「イケメンたちの苦悩」>>38
【学園祭スペシャル】
第三十九話「学園祭の始まり」
第四十話「出し物どうします?」
第四十一話「早速準備に取り掛かります!」>>41
第四十二話「トラブルは付き物です」>>42
第四十三話「ほとんど準備万端です!」>>43
第四十四話「運営まであと一歩!」>>44
第四十五話「学園祭の前夜に」>>45
第四十六話「何かありそうなお泊り会」>>46
第四十七話「学園祭の前に肝試し」>>47
第四十八話「偶然な運命」>>48
第四十九話「参加者続出」>>49
第五十話「お店は大繫栄?」>>50
第五十一話「強烈な殺気と繁盛するお店」>>51
第五十二話「後半戦は大波乱」>>52
第五十三話「学園祭も終わりに近づく」>>53
第五十四話「後夜祭の前に」>>54
第五十五話「2人の行方」>>55
第五十六話「花火よ恋を照らしておくれ」>>56
第五十七話「いつもの風景は永遠と」>>57
【学園祭スペシャル】終わり
第五十八話「デートは2人だけ」>>58
第五十九話「奇跡の出会い」>>59
第六十話「競争の行方は」>>60
第六十一話「初めての負けの味」>>61
第六十二話「家に居よう」>>62
第六十三話「ゲームの始まり」>>63
第六十四話「人狼の世界はハードモードです」>>64
第六十五話「簡単な人狼でも難しい」>>65
第六十六話「こいつが確信犯です!」>>66
第六十七話「勝敗」>>67
第六十八話「人狼陣営終了のお知らせ」>>68
第六十九話「青春の半ば」>>69
第七十話「布団が足りない件」>>70
第七十一話「中々寝れない夜」>>71
第七十二話「お化けが出る?」>>72
第七十三話「朝」>>73
第七十四話「色々あったんだよ」>>74
第七十五話「久しぶりの学校」>>75
第七十六話「何か数学の授業ってさ」>>76
第七十七話「ハロウィンパーティーの準備」>>77
第七十八話「買い出しって何買えばいいんだ?」>>78
第七十九話「ハロウィンパーティー!」>>79
第八十話「8人のキズナは永遠に」>>80
第八十一話「メリークリスマス」>>82
第八十二話「相変わらずカオスです」>>83
第八十三話「結構遅い初詣?」>>84
第八十四話「バレンタインは男女問わずドキドキです‥!」>>85
第八十五話「学校ってやっぱだるい」>>87
第八十六話「ホワイトデー」>>88
第八十七話「また明日!」

第二章 一心一意




小説☆カキコ大会2022・冬 銅賞ありがとうございます!!>>86
2000回覧記念 始まりから~ まとめ >>95

Re: 始発線は終点をしらない ( No.28 )
日時: 2022/09/05 22:50
名前: ぷれ (ID: tEZxFcMB)

第28話「信じたくない本当」

俺は湊。
先日、星奈からの引っ越すという告白を受けて、未だに信じられない。
「(違う...そんなの嘘だ)」

とにかく今は、自己暗示で精神を保っている。
「湊...どうした、顔色が優れないぞ」
「千歳...」
このことを話そうか迷った。でも言ったところで、何かが変わるわけではない。それにみんなに迷惑をかけてしまうだけだ。
「...なんでも、ないよ」
「...そうか」

千歳のことだ、きっと勘づいただろう。
というか、星奈と一度も会っていない。会わないようにしているの方が正しいか。
星奈と会ったら、泣いてしまうから。なんて、星奈は笑うかな。

「そんなの、分かんないよな...」

だんだん、気分が悪くなる。
保健室で休もうと思い、ドアを開ける。すると、いきなり女子が出てきてぶつかってしまった。
「すいません。ですが、急いでいるので」

前にもこんなことがあったな。星奈が急に飛び出して、それで仲良くなって。
そんな感傷に浸っている暇もなく、体はすでに限界を向かえて、俺は意識を失った。

「あら、湊くん。目が覚めた?」
「ここ、は...?」
目が覚めると、眼前には保健室の天井が広がっていた。
そこから、何があったのか記憶が鮮明によみがえる。

「思い出したみたいね。湊くん、あなた疲労で倒れたのよ。何か悩みごとでも?」
悩みごと。
そうだ、俺は悩んでいたんだ。
「ええ、ちょっと...。実は、星奈が引っ越しちゃうんです」

すると、先生は驚いた顔をしたあと、クスリと笑った。
「それならさっき、本人が同じことで相談しにきたわよ」
「星奈が、ですか?」
コクリと頷いてから、
「行ってきなさい。きっと、あの子もあなたの返事がほしいと思っているわ」
と言った。

分からされた。たった5文字すら言えないほど、俺はバカだったのだと。
思い立ったときには走り出していた。ひたすらに、校舎中を。全速力で駆け巡った。

「星奈!」
「湊、くん?」

驚いた顔をして、こちらの顔を覗く。
「俺、星奈に言いたいことがある!」
距離を詰める。後ろに逃げないように、壁へ追いやる。
ドンッ!という音と同時に、逃げられないように両方を塞ぐ。

「行かないで!」
「!?」
「俺は、お前と過ごした日々が楽しくて、かけがえのないものになったんだ!」
「...私だって、私だって離れたくない!せっかく初めて好きになった人と離れるなんてイヤ!ずっと一緒にいたい!千歳くんだって、凪咲ちゃんだって、アルトくんだって、美央ちゃんだって...!湊くんだって!」

彼女は泣いていた。目から大粒の涙を流しながら。
床に黒い染みができる。
すると、星奈のスマホの着信音が鳴る。

「なに?...引っ越しの件が取り消し...?」
星奈はその場にへたれこんだ。俺は泣いていた。嬉しくて、とにかく嬉しくて。
「っ!...星奈!」
俺は彼女を抱き締めた。強く。
そして、口付けをかわした。静かに、長く。

キスの味は、少しだけしょっぱかった。

Re: 始発線は終点をしらない ( No.29 )
日時: 2022/09/06 18:13
名前: らる@羅瑠 (ID: GDWSGe53)

第29話「見つけてもらって微笑んで」


「嬉しい‥‥嬉しいよっ」

私は星奈。今‥‥目の前で湊君が泣いてしまっている。
実は、私が引っ越すことになったんだ。でも、今取り消し‥ってなったの!

「うん‥私も嬉しいよっ!湊君、それからみんなと別れずに済むんだからっ!」
私も、泣きじゃくる‥‥今までの悲しい時の涙も、今のとっても嬉しい時の涙。全ての感情を乗せて

「‥お前らっ…何してるんだ!?」
「湊君、星奈ちゃん大丈夫!?」
「お2人とも、泣いているのですが…」
「何かあったのか?話してみろ!」

そこにいるのは、千歳君に凪咲ちゃん。美央ちゃんにアルト君の4人。

「みんなぁっ‥‥嬉しいよぉ‥」
私は、涙目を隠すようにしてみんなの元へ駆け寄った。

「で、何があったの?」
「ああ…湊君が急に泣き出したんですよ。なぜか知りませんが」

(嘘だけどね‥犠牲になってもらうわ。湊君)

「泣くなんて、男じゃないな。湊」
「おい、ひねくれ者。からかい者に改名するか?」
「俺はひねくれてないからそういうこと言うなっ!」

いつも通りの一面に、私はとてもほっとした‥

「湊君っ!あなたも「改名屋」って名前にする?」
「凪咲っ!ふざけるなよ!お前は‥「おふざけ屋」だな」
「あんたがふざけるな!」

‥‥相手にされないので、私はこの場を去った。
そして小声で

「美央ちゃん、アルト君。今度クラス替えがあるらしいですよ。希望もかなえられるそうです」

そして、私は音を立てずに廊下を走ってクラスに戻った。
美央ちゃんにアルト君が嬉しい顔と感謝の顔になってくれたのは言うまでもないな

「あれ?星奈どこいった?知ってるか。美央、アルト」
「いいえ。知りませんよ」
「いつの間にかいなくなってたんだ」
「ふぅん‥」



私は、クラスに戻ったはいいものの‥少しだけ道に迷ったんだ。
湊君と私が泣いていたところは、クラストは一番反対側の建物だったから、人目につかない所
よく、千歳君たち見つけれたな。って思う

「あ、星奈ちゃん‥」
私は、クラスメイトに話しかけられて微笑んだ。
そうしたら、いつも相手も優しい顔で微笑んでくれる。

どうやら‥私に彼氏が出来たらから人気になってるみたい。
どうしてだろうね‥

そして、授業のチャイムが鳴り、授業が始まった。

Re: 始発線は終点をしらない ( No.30 )
日時: 2022/09/06 19:30
名前: ぷれ (ID: tEZxFcMB)

第30話「渚と海鳥」

俺は千歳だ。いつも通り授業を受けてきた。
現在は休み時間。

「呉信、ちょっと良いか?」
「?はい...」

先生に呼び出され、生徒指導室に連れていかれた。
何か、問題でも起こしただろうか。

「呉信お前、この写真について何か知っているか?」
「...!?」

その写真に写っていたのは、俺が女子生徒にわいせつな行為をしているような写真だ。
そんなことは身に覚えがない。悪質な嫌がらせだろう、で割りきろうとした。
「いえ、俺は分からないです」
「そうか、そうだよな。お前がこんなことするわけ無いもんな。呼び出して悪かったな」

結局、その日は解放されてそのまま凪咲と帰宅した。
その日の帰り道、凪咲は不思議なことを言い出した。

「千歳くん。千歳くんはその、セクハラとかってしたことある?」
「いきなり何のことを訊いてくるんだ...。全く無いが」
「そっか、そうだよね。」

大体、何を言いたいのか分かった。写真の件だ。すでに学校内で拡散されたのだろう。
別に、誰かが仕込んだわけの分からない嫌がらせだろう。
その日は特に何事もなく帰宅できた。

問題は次の日だった。
「なんだよ、これ...?」
非常に酷い有り様だった。机には、死ねなどの罵倒する単語や文章。クラスメイトたちは冷たい視線で、俺を睨んでいた。
何もしていないし、気にしないで過ごそうと思った。
それが間違いだとは思ってもみなかったが。

「なあ呉信。なんで学校きてんの?邪魔だから、とっとと失せろ。セクハラ魔」
「はあ...大体、セクハラしたっていう証拠はあの写真だけじゃ分からない。もっと他に無いのか?」
「は?自分のやったこと否定してんじゃねえよカス。てめえみたいなゴミは、取り除かないとなぁ!?」

蹴られる。殴られる。全ての攻撃は予測済みだが、今ここで抵抗すれば後々面倒なことになる。
クラスメイトは、笑いながらその様子を見ている。
何で、こんな情報に流されてしまうのだろうか。

「もうやめて!」
「うぅ...ゲホッ!なぎ、さ...?」

凪咲。なぜここに来たのか、こいつまで巻き込むわけにはいかないのに。
「ああ?凪咲か。こいつ、セクハラ魔だから近づかねえ方が良いよ?」
「そんな確証、どこにあるっていうの?」
やめてくれ。凪咲は無関係だ。

「はあ...これだから困るんだよなぁ。依存しちまった女を落とすのはよぉ!?」
何もできない自分に不甲斐なさを感じた。

Re: 始発線は終点をしらない ( No.31 )
日時: 2022/09/06 19:58
名前: らる@羅瑠 (ID: GDWSGe53)

第31話「庇ってくれて」


「はぁ!?ふざけないでよ!証拠を見せなさいよ。証拠をっ!」
「は?あの先生の写真が証拠。あれ、どうみても呉信だろうがぁ!」

俺は千歳‥今、大乱闘が起きている。
凪咲と、俺のクラスメイト。俺がセクハラした‥と疑いをかけられている。

「あれが証拠?もしかしたら、その写真を撮ったやつが加工したのかもよ?顔がそっくりだって人もいるし!」
「顔がそっくりね~ そんなやつ学校に居る分けねぇじゃねえか!じゃあ、そいつ連れて来い!」

何もできない俺の代わりに、凪咲は怒鳴りたてている。
無力な自分を、嫌いに思えてきた。


「お前ら、何してるんだよ!」
「やめなさいよ!うるさいわ!」
「何があったんだよ!静かにしろ」

湊、美央、アルトの3人が来た。
人気者のアルト、清楚系の美少女として有名な美央にたじろいでしまうクラスメイト。
湊は‥無視されている。

「‥もしかして、あの写真のことか?」
「あの写真、バカバカしすぎ」
「写真加工もできるしな」

口々にいう3人に、少し引いている様子だ。

「そうよ。3人の言う通り!アンタたちの意見は何よ!」
「は?それで信じられるわけないじゃないか」

やはり、いくら人気者が2人いるとはいえ、クラスメイトたちは引いていない。
ちなみに、凪咲も友好関係が広く、音楽の天才として知られているので人気者は3人だ。

「そうか‥そりゃあ、信じられないだろうな」
落ち着いた声で、湊がそう言った。

「ただなぁ!こっちには切り札があるんだよ」
「なんだよ、切り札って。最強の男や女でもいるのか?」

クラスメイトは、口々に文句を言っている。

「みんな静かに。あの天才様が来ますよ?」
「天才にかかれば、お前らは玩具おもちゃだ」

悪魔の笑みを浮かべながら、ニヤリと笑う顔で言う美央とアルト。
俺は、もしかして‥と思った。本当は3人ではなく「4人」来るはず。

「おい、切り札ってもしかして‥!」
そう言う俺に、3人はうなずく。


「あなたたち、今ここで何をしてたんでしょうねぇ?」

悪女の笑みを浮かべて話しかけてきたのは、あの勉強も運動もできるまさに天才の
「北条星奈」だった。


「おお。天才!呉信がわいせつ行為をしてたから、俺らは怒鳴ってるんだよ!」
「‥バカか」
「だろう?呉信はバカだよな。天才も馬鹿だって認めたぞ!」

叫ぶクラスメイト達。

「お前ら、何勘違いしてるんだ?バカはお前らだよ」
「は‥‥?」
「証拠もないくせに千歳君を怒鳴って!自分が言われたら嫌だろうが!?人の気持ちも考えらないくずどもめ。
仮に、もしも千歳君がやってないとしたらだ。その後の罪は誰だ?お前らだろう?
後のことも考えてこそ、そうやって怒鳴ってるんだろうなぁ…!このバカが」

‥凪咲たちも、俺も、クラスメイトも、先生も。
あの清楚で優しくて美人で天才な完璧少女がああなっていることにビックリしている。

だが、湊はニヤリと笑みを浮かべている。どうやら知っているらしい

「北条さん。アナタのことは説得力がありましたね」
先生も、そう言っている。

「だから、アンタたちもいじめは辞めて。次やったら、退学と両親に報告するから」

先生にぴしゃりといわれて、たじろぐクラスメイト。
星奈のお陰で、その日は無事に終えた。




次の日‥
先生から、あの写真はクラスメイトが加工した。と報告をもらった。
なんでも、俺のことを恨んでいたらしい。
だけど‥自首してくれてよかったと思う。

そこから俺は、よりみんなから親しみを持たれて友達もとても増えた。

「良かったな。千歳」
「私は力になれた‥よね」
「私の彼氏に何してくれてるんだろ。あの人たちは」
「一件落着。みんなの活躍凄かったですね!」
「星奈がああなることは予想できなかった。そして、千歳も良かったな」

「ああ…みんなありがとうな」

Re: 始発線は終点をしらない ( No.32 )
日時: 2022/09/07 16:28
名前: ぷれ (ID: tEZxFcMB)

第32話「平和で、濃厚」

俺は千歳だ。
あの事件のあと、これといったことは起こらなくなった。

「千歳くん、一緒に帰ろ?」
「ああ、帰ろう」

それに、こんなに尽くしてくれる彼女だって居るのだから。平和に過ごせることのありがたみに気付くことができた。
今日は、湊たち二人は勉強会らしい。俺もかなりヤバいが、勉強よりも凪咲との時間を大切にしたいという、自分なりの考えだ。

「...そうだ千歳くん。今日、私の家に泊まっていかない?明日は休日だし」
「...は?」

何が起こったのか、理解が及ぶまで少しだけ時間がかかった。
とまる?とまるって、止まるなのか泊まるなのか。恐らく後者の泊まると認識した。

「良いのか?俺は今日、両親が出張でいないが」
「おお、奇遇だね。実は家も出張で居ないんだ」
「そ、そうか。じゃあ、お言葉に甘えて」

10分後、着替えなどを持って凪咲の家に突撃した。
インターホンを押すと、10秒と経たずにドアが開いた。

「千歳くん!さ、入って」
「お、おお。お邪魔します...」

あまりジロジロ見るのも良くないと思うが、かなり整理されていて綺麗な家だと思った。
凪咲の部屋に入れられ、流されるがまま床に座った。
凪咲の匂いが充満していて、正直かなりキツい。

「疲れたでしょ?膝枕あいてあげるよ」
「確かに疲れているが...」
「じゃあ決まりね。さ、どうぞ」

太ももを叩いて、頭を置くように誘導される。
頭を乗せると、ほどよい柔らかさと体温が伝わる。高さもちょうどよく、心地が良かった。

「どう?千歳くん」
「どうって...良いけど」
「もっと他にないの?どういう感じとかさ」
「ええ...柔らかい」
「お、おう」

自分で聞いておいて何だよ。
凪咲は、一呼吸置いてから俺の頭を撫で始める。

「千歳くん、髪質いいね。もふもふしてる」
「そうか?気にしたことは無かったが」
「さわり心地最高だよ!」

そんなことをしている間にも、睡魔に襲われウトウトしていた。

「千歳くん、眠いの?」
「ああ...」
「じゃあ寝なよ。私は大丈夫だから」
「そうか...」

俺はゆっくりと目を閉じた。

「寝ちゃった、よね?」
「...」
「私、千歳くんには感謝してるの。千歳くんが守ってくれたり、優しくしてくれたり、大切にしてくれたり。だから、恩返しがしたい。...こんなこと、寝てるときしかできないけど」

本当は起きているが。
俺と凪咲は、静かに接吻を交わした。


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