コメディ・ライト小説(新)
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- 声を形にする君と音をカタチにする僕。【2】
- 日時: 2022/11/05 14:00
- 名前: 希空 (ID: j553wc0m)
「それでは、いろんな人と交流の時間を設けます。好きなように他校の人と話してもっと演奏がうまくなるようにしましょう!」
先生が号令をかけるとみんなが一斉に動き出し、冷たかった空気があったかくなった気がした。
そうだ、さっきの子。
「あっ―」
私が見つけると同時に男子生徒は部屋を出ようとする光景が見えた。
顔が暗く曇っている。
きっと、こういう時間が嫌いなんだろうな……。
「ちょっと待って……!」
慌てて肩を後ろに引っ張ると、驚いたようにその子は目を見開きながらこちらを見る。
「あ、えっと、一緒に交流したいなって…思って……?」
なぜかたどたどしくなってしまったことに後悔しながら私は、目の前の彼の返答を待つ。
「……僕でも、大丈夫なの?」
今にも泣きそうな顔をしながら子供っぽい声で聞き返した。
「あ、うん。平気だよ」
わざと明るい声で答えるとホッとしたかのように口元が緩んだように見えた。
「えっと、まず名前…自己紹介しようか……?」
「出雲希葉です、希望の希に葉っぱって書くんだけど…」
人見知りなのか、対面で話すと目線をなかなか合わせてくれない。
「そうなんだ、私は奏流初音です。初音って書くけどういねって読むんだよね」
「……え、もしかして、弾き語りしてる*hatuneさん……?」
「っ!?」
彼―希葉からその名前が出てきて私は息をのんだ。
……そう。私の弾き語り動画を出しているアカウント名は「*hatune」だ。
「知ってるの?」
「うん……。声が綺麗でどんな人でも聞き入ってしまうって有名だよ」
希葉の声が少し興奮に満ちたように感じたのは気のせいだろうか。
それより、一つひっかることがあった。
「……え、希葉って音…聞こえないんじゃ…?」
それ以外、補聴器をしている理由が思いつかない。
私が怪訝そうな顔をすると希葉は少し目を開くと視線を手元に落とし、ゆっくり口を開けて呟いた。