コメディ・ライト小説(新)

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成山くんと鮫中さん 7
日時: 2022/11/24 14:57
名前: くろのも (ID: XL8ucf75)

成山君が坂城君からキツい言葉をかけられていたその頃。
鮫中さんは、自室のベッドの上にいました。
(成山君の好きな人は、私じゃない)
クッションに顔を埋め、「うぅ~っ」と足をじたばたさせます。
『いないことは、ない、かなぁ…』
脳裏に浮かんでくるのは、そう言って恥ずかしそうに微笑む成山君の姿。
(ダメ、考えちゃ! そうだ、気分転換に音楽でも聴こっと)
そう考え、鮫中さんはベッドのそばのローテーブルに置いてあるスマホに手を伸ばしました。
ヘッドホンを装着して、あがってきたおすすめのプレイリストを再生します。
『君に会いたいよ』
流れてきたのは、そんな歌詞で始まる失恋ソングでした。
(おバカっ!!)
思わず放り投げてしまったスマホが、ゴンッという鈍い音をたててラグマットの上に墜落します。
慌てて拾い上げ、画面をまじまじと見つめますが、傷は見当たりません。
(よ、良かった……)
ほっと胸を撫で下ろした鮫中さんは、何気なく電源を入れました。
画面がパッと明るくなり、待受画面が表示されます。
そこに映っていたのは、入学式の時に友人たちと撮った写真でした。
弾けるような笑顔でピースをする友人たちに、自然と頬が緩みます。
そして、画面の奥の方に映っていた人物に、息が止まるような思いがしました。
(成山君……)
仲間たちとじゃれあいながら楽しそうに笑う彼は、こちらには気付いていないのでしょう。
しかしその笑顔が、突如として輪郭を失います。
(あ、れ……?)
視界がぼやけ、液晶画面に水滴が落ちて初めて、彼女は自分が泣いていることに気付きました。
(何で、私、泣いて……っ)
拭っても拭ってもこぼれてくる涙を、鮫中さんは必死に拭います。
しかし、涙はなかなか乾きませんでした。

原因不明の涙が、ようやく収まってきた頃、鮫中さんの部屋のドアがノックされました。
「彩~、ちょっと入るよ~」
姉の美弥みやです。
ドアを開けた美弥は、目を真っ赤に腫らした妹の姿に、ぎょっと目を見開きます。
「ちょっと、ど、どうしたのよ~?!」
心配そうな姉の表情に、鮫中さんの涙腺はまた刺激され、涙がこぼれました。
「わああ~、泣かないでえ~!」
ドアを少々乱暴に閉めた美弥は、妹をおろおろしながら抱き締めました。
「どした?また和人になんかされた?」
涙を収めた妹に、美弥は優しく尋ねます。
「ううん、お兄ちゃんじゃなくて、個人の問題なの」
「……悩みあるなら、相談乗ろうか?」
鮫中さんは、少し迷ってポツリポツリと事情を話しました。
好きな人がいること。
ようやく近づけたこと。
その人には好きな人がいるとわかったこと。
話を聞き終えた美弥は、不思議そうな顔でこてんと首を傾げました。
「彩さ、その、成山君?っていう子の好きな人、聞いたの?」
「ううん、でも、何となく、私じゃないだろうなって思って」
そう言って、何とも痛ましい微笑みを浮かべた鮫中さんを、美弥は複雑そうな目で見ました。
「彩」
名前を呼ばれ、鮫中さんはゆっくりと顔を上げます。
そんな彼女と目を合わせた美弥は、ゆっくりと語りだしました。
「決めつけるには、まだ早いんじゃない?ちゃんと好きな人の気持ちを確かめな。
 それにその子があんたの事好きじゃないなら、わざわざ迎えに行ってまで教材運ぶのを手伝ったりはしないと思う」
姉の正論に、鮫中さんは心が軽くなっていくのを感じました。
「うん、そうだね……。私、決めつけるのやめる。ちゃんと、成山君の気持ちを知りたい」
先ほどとはうって変わって力強い目付きをしている鮫中さんを、美弥は「よし、偉いぞ!」と抱き締めます。
「彩、ちょっと……って、え?」
部屋に入ってきた鮫中さん兄(和人)は、熱く抱擁し合う二人を見て、ドン引きするのでした。


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