コメディ・ライト小説(新)

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five☆peace!!
日時: 2022/12/18 11:02
名前: ふらふ。 (ID: GXllTEMy)

「一緒に、武道館まで行こう?」
その言葉は、家族に囚われていた私には衝撃的な言葉だった。だからこそ、怖いし、不安。それでも、彼女と…この子と一緒なら…!!

「るりあ、早くりあちゃんの宿題、やってあげなさい」
小学2年の妹に小学3年の姉の宿題をやらせるのはどうかと思う。いや、常識的に考えて無理でしょ。
「お母さん…それは…ちょっと難しいかな…?」
ちょっとどころじゃないよ。いやいやいや。ね?
「何のためにドリル買ってあげたと思ってるの!?」
あーなるほどね。珍しく買ってきたと思ったら…。
「でも…」
姉のためにならないでしょ。そんな言葉を言いかけた。
「ママ、私、頑張るから。恥ずかしいことやめてよ…!!」
なんだ、りあねぇ、わかってるじゃん。またお母さんの過保護爆誕かぁ…。
「るりあ、やらなくていいからね!あ、でも…わからなかったら頼るかも」
我が姉ながら、こんないい子はほかにいないと思う。
「うんっ、大丈夫!一緒に宿題しよ!!」

二人で笑いあった思い出は、もう壊れてしまった。中学2年の夏だった。

「りあちゃんの成績が…オール3…?」
お母さんが死にかけのような声を出す。
でも、確か、りあねぇの志望校は…
「オール4…」
そう、こうなるともう試験と面接で頑張らないと後がない。
りあねぇは泣いている。…私を、見ながら。
私は小学生のときに受験して中高一貫校に入学していた。
そこが…りあねぇの志望校だった。
中等部は入らなくても高等部だけ入るという目標が一気に遠ざかっていたからだろうな…。
「りあねぇ…、先生に、頼んでみようか?」
私は生徒会に属しているから、先生も考えてくれるかも…!!
「そうね…りあちゃん、そうしましょうか」
「…だ、いやだぁっ…!!」
「…え」
「そんな、裏口入学みたいなこと、したくない…!!」
でも、それじゃ、それじゃあ、りあねぇは…
「後悔しないから頑張らせて!!」
私たちはうなずくしかなかった。

面接の日、学校は自習の日だった。みんなが雑談していた。
「るりあちゃ~ん!ここ教えて~!」
「まりんちゃん!いいよ!どこ?」
「ここ!()がわかんなくてさ!」
「あーここはね」
(♫♪rrrrrrrrrrrrrrrrrr)
「うわあああああああああああああっ!?」
お母さんからのでんわ…?
「もしもし、お母さん?どうしたの?」
「るりあ、帰ってきて!!りあちゃんが、風邪ひいちゃって…!!」
「…ええ!?」
「じゃあ!」
(ブツッ)
「まりんちゃん、ちょっとあとは頼んでいい?かえらなきゃ…」
「えぇ!?あとでコーラおごってね!?」
「わかった!!バイバイ!!」
息を切らしながら教室のドアを開ける。

家に着くと髪の毛が転がっていた。
「うわあああああああああああああっ!?」
本日二回目の発狂だ。
「ああっるりあ」
「この髪の毛何!?」
「カツラよ」
「はえぇ!?」
katura????????
「これつけて今から面接行ってきなさい!!」
「ばれない!?!?」
いくら似てたって髪の毛の差もあるし、それに、カツラでごまかしても!
「とりあえず行ってきなさい!!!!!」
「ええええええええええ!?」

カツラかぶって面接行く私、るりあは青ざめて震えている次第です。
カツラかぶって面接行く私、るりあは青ざめて震えている次第です。
カツラかb(以下略)
どうしよどうしよまずいまずい
「るりあ…??」
私、担任の先生にばれかけてまっす☆てへぺろっち☆
「あ、あ、あああああのっ、私あの、り、りあです…??」
これ普通に言えば大丈夫だったやつじゃん!?挙動不審ってこわい。
「いやでも君…写真と違う気が…ちょっと大人びてる気が」
「いや、あの、えっと、その」
やばいどうしよう、火炙り?え、切腹!?
「身分証明書とか」
「持ってないです…」
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
「今回は残念だけど…」
どうしよどうしよまずいまずいじゃおえいfふえごhrじqjfふれじょl
「あの」
しっかりと通る、芯のある声が響いた。
「え」
「そんな、裏口入学みたいなことしないと思うのですが。もう少し話を聞いてみては?」
ピンクのくせ毛気味の髪、少し吊り上がった大きな目の少女がこちらに向かって言っている。
「そんなにあわててしまって、面接に影響したら一大事ですから」
神様…????
面接官の先生たちが少し考えてこういった。
「そうですね、疑ってごめんなさい。るりあさんはそんなことしないですし。第一姉妹ですもんね」
「ありがとう、ございます!」
してまーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーす。
すみませんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん(罪悪感)
「では、はじめに…」
私はせめてもの償いで聞かれたことに一つ一つ丁寧に答えるのだった。

「やりきった…」
私はカツラを脱いでカフェテリアにいた。
「あの子、かっこよかったなぁ…」
あの子、入学できるといいな。そう思いながらイチゴミルクを飲んでいると
「あ、さっきのコだ」
「ぐえっほんんんんんっっ」
イチゴミルクが変なところに入った。苦しい。
さっきの子だ。
「あ、さっきの…じゃなかった、どなたですか?」
「あはは、もうばれてるから安心して?あなた、りあちゃん、でしょ?」
うわ、うわうわうわ。どうしよう。さっきまでの神様はどこに消えたの。
「いや、あの、るりあです」
嘘じゃない嘘じゃない。
「あ、今はるりあちゃんか」
これもうだめだ。
「あああああああああああ、もう!!そうですよ、私は嘘ついてましたよ!!」
にやっと笑っている。悪魔。
「なんでそんなことしてたの?」
あ、たぶん言わないとこればらされる奴だ。
私は観念して事実を言った。

「なぁんだ、るりあ、悪くないじゃん」
「いやでも、ねぇ?」
話を聞いていると、悪い子ではなさそうだった。ていうかむしろいい子。
「そうかなぁ…」
「じゃあさ、話がてら、お茶しない?」
なにがじゃあなのか…?
「いいよ」
まぁいいか。
「あ、そうだ。私はありあ。」
「ありあちゃんね。ありあちゃんは何でここにしたの?」
「ここの芸能科に興味があったからかなぁ」
「なに?芸人になりたいの?」
こんな美人なんだからモデルとかの情報科はいればいいのに。
「ちがう!!あーいーどーる!!」
「アイドル?」
「そう、アイドル」
それなら納得。でも、歌ったり踊ったり…
「できるの?」
「ちょっとぉ!!私だってできるよ!?これでも音楽の成績、5だからね!?」
「嘘だ!?」
天は二物を与えないんじゃないのか…。いや、でも。普通の学校ならありえる。
「どこ中?」
「えっと…風音女学院」
すっごい名門校じゃん!?
「歌ってあげようか?」
聞いてみるだけならタダだし…。
「お願いします」
「いくよ」
「♪~~~~~」
カフェテリアの雰囲気が変わった。さっきまでは殺風景だったのに、きらきらとした部屋に見える。
それに、流れるようなこの声は…
「すごい…!!」
これが、天才…?

「すごかった」
「えへ、ありがと」
照れたように笑っている。可愛い。
「これならきっとなれるよ」
「それがさ、なれなかったんだよね」
「え?」
ありあちゃんならなれそうなのに。どうして?
それを察したのかありあちゃんは寂しげにほほ笑んだ。
「青ノ森財閥って知ってる?」
急になんだろう。
「もちろん。有名な企業だし」
「そこがね、私の家なの」
「ええええええええええええええええ!?」
「だから私にはいいなずけもいたし、歌のレッスンも受けてた」
そっか、だから。でも、むしろそれなら有名になれているんじゃ。
「でまあ、その子がりのっていうんだけど」
「りのくんかぁ」
「りのが邪魔してきたの。変なところで独占欲だしてきてさ。」
「お母さんとかお父さんは」
ありあちゃんは首を横に振った。
「だから邪魔されないくらいすごいアイドルになってやろうって思ってさ!」
そう言っているありあちゃんの横顔はきらきらしていた。
いいな。自然とそう思った。私にはそんなものはないから。
「あ、そういえば…るりあはどこに行きたいの?」
「え?」
「るりあは何科に行きたい?」
私は…
「私は…。そういうの、ない、から」
「えーじゃあなんでここに入学したの」
「近場で一番偏差値高いのがここだったからね」
「うわ、天才かよ」
天才かぁ…。私、そんなこと、ないのになぁ。
「るりあ」
「ん?」
ありあちゃんが近づいてきた。顔が、いい…!!!
「来年さ、どこかに入らないといけないじゃん?」
「うん」
今は研究科に入ろうと思ってるけど…
「一緒に、いや、マネジャーでもいいから、芸能科、入ってくれない!?」
「う、うへぇ!?な、なんで」
「るりあには光るものがあると思ったの」
私には、私は。そんなもの…。
「ないにきまってる…」
私には、勉強しかないから。
「ある、あるんだよ!」
お世辞なんて…!いらない…!
「お世辞じゃないよ」
「え」
「私が、るりあの、るりあの純粋に、裏とかなく褒めるっていう行動に救われたの。アイドル会だと、そういうのないから。だからね、そんなるりあと一緒に。希望を届けたいんだ」
「私が、希望」
でも、私なんかが…。
「歌って」
ありあちゃんがイチゴミルクのペットボトルを差し出してくる。
私も、歌っていいのかな。
「…うん」
息を吸う。ありあちゃんが、歌っていた曲を、思い出して…!!
「♪~~~~~~~~!!」

歌い終わった。ありあちゃんが黙っている。やっぱり。私。
「す、すっごいじゃん!!」
え…?
「完全耳コピ、伸びのある歌声。完璧だよ!!」
そっか。私でも、大丈夫なんだ…!!
「私と一緒にアイドルになって、武道館、いこう!!」
自然と差し出された手を握る。私も、やってみたい!!

家に帰ると、お母さんに抱き着かれた。
「るりあ、よくやったわね!!第一関門、突破よ!」
どうやら合格らしい。あとは試験だけか。
今アイドルになりたいって言ったら、たたかれる、かな?
「お母さん」
「なぁに?」
「私、来年から芸能科行きたい」
沈黙。
これが一番苦痛…。
「なんで?」
怖い。怖いけど。
「アイドルになりたいから」
ありあちゃんみたいに!
「別に、いいけど。ご近所に知られたくないから、寮に入ってくれる?」
…やっぱりかぁ。でも
「わかった。家を出る」
絶縁になってもそれでも。それでも。
私は、アイドルを、やってみたいの!

「で。」
「ん?」
「なんでるりあがここにいるわけ!!!!?????」
高等部の入学式。私はありあちゃんの隣にいた。
「今、中三でしょ!!??」
「あー飛び級」
一応中三の勉強もやっていた。なんか飛び級試験受かってしまった。
「噓でしょ!!??」
ありあちゃんのためなんて言えないけど…。
「あ、呼ばれたから行ってくる」
「え、るりあって首席なの!?」
「まぁね」
階段をゆっくりと、上品に…!
「うわぁひゃぁぅっ‼??」
滑り落ちた。先輩…いや、同級生から爆笑が聞こえる。先生たちも固まっている。やっちゃったぁ…
「いたたぁ…」
後ろから足音が聞こえる。
「大丈夫?」
振り返ると、中学校生徒会時代の先輩…小森谷美都こもりやみと先輩。美都先輩が手を差し伸べている。
「みみみみみみとせんぱいっ」
「大丈夫?」
「大丈夫ですっ」
「ふふふ、よかった」
後光がッまぶしいッ
赤い顔を隠しながら、スピーチを朗読するのであった。」

【一話・終】


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