コメディ・ライト小説(新)

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妹を愛して何が悪い?
日時: 2023/03/09 21:31
名前: 叶汰 (ID: 5R9KQYNH)

こんにちはこんばんは叶汰です!
妹モノのラブコメ書きたくなったので書きます!

Re: 妹を愛して何が悪い? ( No.1 )
日時: 2023/03/09 22:36
名前: 叶汰 (ID: 5R9KQYNH)

登場人物


美南穂希みなみほまれ 男 17歳
ごく普通の男子高校生。
少し勉強ができるぐらいの、特筆したことはなにもない。

美南詩乃みなみしの 女 15歳
高1とは思えないスタイルのよさで、男子人気が高い。
穂希の妹。勉強と運動、どちらもできないに等しい。

速水楓はやみかえで 女 16歳
穂希の同級生。
配信者として活動する。年中カーディガン。

瀬名歩夢せなあゆむ 女 16歳
詩乃の数少ない友達。
メガネが本体だと言われ続けている。

緒方悠紀おがたゆうき 女 20歳
名門国立大学に通うサボり常習犯。
穂希のバイト先の先輩。

Re: 妹を愛して何が悪い? ( No.2 )
日時: 2023/03/11 23:20
名前: 叶汰 (ID: 5R9KQYNH)

第1話「俺の妹」


4月の陽気と眠気が襲ってきて、朦朧とする意識の通学路。
桜が舞っているが、俺____美南穂希みなみほまれには関係ない。
「眠そうだね、キミ」
「誰...?」
長い黒髪に、カーディガンを着た女子生徒。
正直全く見覚えがない。転校生だろうか。
「あ、私行かなきゃだから。じゃねー」
俺に話す暇も与えず、カーディガン女子は走っていった。

「新入生のみなさん、ご入学おめでとうございます」
今日は妹の入学式、なのだがとてつもなく眠い。窓から差す暖かい日差しと来たら、それはもう寝るのに適している環境だ。
とはいえ、一応これは録画されているとのことなので、寝るわけにはいかない。
「やっ、さっきの人」
「うわぁ...!」
急に話しかけられて、声が出てしまったが、周りは気づいていないようだ。
「私、速水楓はやみかえで。2-4、身長154cm。よろしく」
どうやら同じクラスのようだ。
袖から半分しか出ていない色白の指が見え、握手を意味していたことが分かった。
「えと...美南穂希。よろしく」
たじたじしながらも答え、その手を取った。
「手ぇ冷たいね、低体温?」
「まあ...35.2℃とか...」
「あら低い。っつーか私だけ身長とクラス言ったんだから教えてよ」
初日からぐいぐい来る人だと思いながら、俺は視線を逸らして答えた。
「2-4、身長182cm」
「おお、でかいし同じクラス。スポーツ何かやってる?」
「バレー中学3年間やってた。今はバイトしたかったから帰宅部」
「奇遇だね、私も帰宅部なんだ。バイトはしてないけど」
目を細めて笑う速水は、どこかミステリアスな雰囲気を醸し出していた。
気付けば入学式は終わり、教室に向かおうとしていた。

「お、隣の席じゃん。これからよろしくね」
「お、おう...」
取り敢えず席に座り、平静を保とうとしてた。が、我が愛する妹のことが心配で仕方がない!
俺は世間一般でいうシスコンなのだ、それも重度の。
そして俺の妹である美南詩乃みなみしのも、重度のブラコンなのである。
「それでは、今日はこのぐらいで。それではさようなら」
ようやく担任の挨拶が終わり、急いで帰る準備を進めていると、ドアが勢いよく開いた。
そこには息を切らした栗色の髪の身長の高い新入生が。
「お兄ちゃん!迎えにきたよっ...!」
虫の息でこちらに向かってくる。それにアドレナリンが過剰分泌されているのか、目がバキバキである。
男子生徒の視線が、全て詩乃の方に集まる。
「お、おい...お前運動音痴なんだから走ってくるなよ...」
「だって...お兄ちゃんに、会いたかったもん...!」
「お、お兄ちゃん?ってことは、妹さん?」
速水が困ったような顔をしながら訊いてきた。
今さら隠すこともない。
「そうだ、美南詩乃だ。俺の妹、身長168cm」
「兄妹揃ってでかいな」
「ちょっと、お兄ちゃん!身長言わないでよ!」
「すまん」

まだまだ日が高い昼下がり、俺らは帰路についていた。
学校から家まで7分と近場だが、それなりに坂道もあったりするので疲れる。
唯一の救いは、ここが海沿いで火照った体が潮風で冷やされることだ。
「お兄ちゃん、あの黒髪ロングの人は?」
少し鋭い眼光を俺に浴びせながら、訊いてきた。
「速水楓、ただのクラスメイトだ」
「ふーん...」
なんだか刺さる視線がとてつもなく痛い気がする。
とはいえ、可愛い妹の質問なので答えない理由がない。
「ただいまー」
リビングのテーブルには、『出張なので、明後日まで家に居ません』と書き置きが書いてあった。
両親の職業はクリエイターだ。そのため、出張などは珍しくなく、月に一度ほど海外出張がある。
なかなかに忙しいらしいが、お陰で俺たちの生活は潤って、何一つ不自由なく生活している。
「...今日も居ないみたいだね」
「そうだな」
「と、いうことはですよ?」
「やるしかないな」

「んっ...あっ...」
「おいどうしたよ、お前はそんなもんじゃないだろ」
「だって、んっ...これ、きつ、すぎ...!」
「おいまだ3kgだぞ?」
決してやましいことは一つもしていない。これはトレーニングだ。
勉強と運動がそこそこできる俺とは違い、詩乃はどちらもできないに等しい。
なので少しでも筋力を付けるために、筋トレを行っているのだ。
「はぁ、はぁ...」
「おいおい、これから1km走るんだぞ?」
「えぇぇ?1km~?」
といっても、浜辺を往復すれば1kmなので、大したことはない。
がしかし、詩乃にとって1kmは、100kmと同じ。
「もお無理ぃぃ...」
「前よりも0.1秒速くなったな」
「えへへ~...」
俺に褒められたのが嬉しかったのか、口角が上がった。
とはいえ1km走り終わるのに27分もかかっている。普通に歩いた方が早い。
しかし詩乃にとって、これはかなりの進歩だ。
このトレーニングを始めた頃は、500mすら走りきるのは不可能だったぐらいだ。
「よし、この辺で帰るとするか」
「やったー!!」

「お兄ちゃん」
「ん?」
「こっちのブラとこっちのブラ、どっちがいい?」
「人に見せるもんじゃないんだから、訊くなそんなこと」
右手に握られているのは白の清楚な女性用下着、左手に握られているのは黒の大人な女性用下着。そして目の前にはワイシャツから谷間の見える大きな胸の持ち主。
俺はスマホに目を落として、極力詩乃の方を見ないようにしていた。
「あれ、なんかブラがキツい...」
目の前で着替えだし、そして遠回しに胸が大きくなったことを告白してきた。
少しスマホから顔を上げると、ピンク色のそれが少し見えて、思わず不埒な感情を抱きそうになった。
しかし妹に欲情はしないと、俺は誓っている。
「じゃあまた新しいの買わなきゃだな」
「うん...お兄ちゃん触ってみる?」
「遠慮しとく。...って、俺の手を胸に当てるな!」
「どう?」
「どうって...柔らかい...」
「うふーん♪そうなんだ」
上機嫌そうに振る舞い、半裸のまま俺のベッドに横たわる。
これが俺ら美南兄妹の少しだけ変わった生活。

Re: 妹を愛して何が悪い? ( No.3 )
日時: 2023/03/13 19:08
名前: 叶汰 (ID: 5R9KQYNH)

第2話「春の嵐」


「ふわぁ~...」
間抜けな俺の欠伸が廊下に響く。眠い。
この睡魔も、起立性調節障害のせいだ。お陰で、朝はものすごく弱く、なので中学の頃は電車通学をしていて、電車内で寝てしまうことも珍しくなかった。
最近になって、少し症状が軽くなり、なんとか起きれるようになった。
「あぁ~...なんで今日に限って雨なんか...っつぅ、頭いてえ」
さらに俺は偏頭痛持ちで、今日のような大雨の日はマジで痛い。
睡魔と頭痛で、ふわふわとした気分と痛みの不愉快さで頭がどうにかなりそうだった。
「あっ...」
「うおっと...大丈夫?美南くん」
倒れかかった俺を支えたのは、速水だった。
70kg以上ある俺の体を普通の顔で、それも喋りながら支えている。こいつ、実はマッチョ...。
このままもたれ掛かり続けるのもよくないので、ひとまず不安定な体を起こしてなんとか立った。
「悪い、速水...」
「いいって。それより顔色悪いよ?保健室行こ?」
「大丈夫...授業出なきゃ」
「こんな状態で授業出たら、それこそ体が危ないでしょ?ほら行くよ」
俺の返事を待たずに、速水は半ば強引に俺の手を引いて保健室へ向かった。
保健室へ向かう最中、色んな人にこちらをガン見されていた気がするが、俺はそれどころじゃなかった。
「失礼しまーす。...って、先生不在か」
「...」
「とりまベッドで横になっときなよ。保健室の先生と教担には私が言っとく」
速水はそのままポケットからスマホを取り出し、YouTubeを見ていた。
覗き込むと、そこにはチャンネル登録者数60万人の有名配信者の、ミハヤの動画があった。
やはり速水も、こういうのに興味があるのだろう。
「...ん?スマホ覗き見とは感心しないなぁ」
「す、すまん...つい」
「まあ、見られても別にいっか。それに私たち以外ここには居ないし...」
「?」
「別に動画を見てたんじゃなくて、コメ見てただけ。ミハヤは私だからさ」
コメントを見ていただけか...。ん?
「お、おま...えぇ!?」
「しっ!声大きいって...」
苦笑いして速水は俺の口を押さえた。
「ぷはぁ!ど、どういうことだよ」
「あんまり大きな声じゃ言えないけど、ミハヤは私なの。きっかけは中2の時に首から下だけ映すのなら、いいかなって。私、その時は顔芋だったし、いじめ受けてたし」
そう話す速水の声音は、過去の感傷に浸るようでもあったし、どこか悲しさを含んでいるようにも聞こえた。
とはいえ、今の速水の顔からは想像ができない。
「芋、か...。今の速水からは想像できないな」
「そりゃ、ね。多少は努力したよ。髪も伸ばして、メガネからコンタクトに変えたりしてさ」
「...いじめ、については」
「...」
困った顔をして黙りこむ。
その顔には、悲しみが貼り付いているような気がした。
「...そ、その訊いちゃいけないやつ、だったよな...」
「ううん、平気。慣れてるからさ」
「...」
その言葉に俺は返答しなかった。いや、できなかった。

「ただいま...」
「おかえりー、ってお兄ちゃん顔赤いよ!?」
「え...?」
「ほら熱!...って、39.2℃!?」
その日の帰り、俺は傘を差さずに家に帰った。
家の前で持っていたタオルで水を拭き取ったが、それでも帰ってくる頃にはもう限界だった。
「お兄ちゃん、肩貸すから...って、うぉあ!?」
「し、の...」
「お兄ちゃん、部屋行くよ」
「...」
俺は詩乃をその場で押し倒した。
特に意味なんてない。ただ限界だった。
淀む思考に追い討ちをかけるように、詩乃の甘い香りが鼻腔を通りすぎる。
「お兄、ちゃん?」
それを最後に意識を放り出した。

次に目が覚めたときには、俺は自室に居た。
カーテンがされていて、外は暗いのだと察した。


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