コメディ・ライト小説(新)

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crystal
日時: 2023/03/20 22:34
名前: cld (ID: GbhM/jTP)





今日は何をしようか。


そう考えることは、きっととても美しく


とても難しく


とても幸せで


とても楽しいことで


とても恵まれているけれど


少しだけ億劫で


ときに足どりを止めそうになるもので。


それでもわたしたちは、日々を編むように


足を進め、楽しいを目指してゆく。


Re: crystal ( No.1 )
日時: 2023/03/21 00:22
名前: cld (ID: GbhM/jTP)



ノリと勢いで書いています…!
構成は未定で、今後修正していきます!(笑)


* * * * * * * * * * * * * * * *


(チクタク、チクタク…)


秒針が室内に響く。


「…ううん…。」


わたしはその僅かな音に耳を傾け、寝返りをうった。


まだ時刻は午前7時。


(起き上がるまでに、もう一寝入りだけできそうだな…。)


ぼんやりと、悠長な考えを浮かべていると
モップを片手に母がやってきた。


「ハガネ、何やってるの?早く起きなさい」


そう告げられると、身体を起こさずにはいられなくなるわけで。


「今日こそは、学校に行ってもらわないと困るわよ。」


耳の痛い言葉をつむがれ、ハガネと呼ばれる少女は少しだけ顰めっ面となった。


「…分かってるよ。」


わたしはそのまま布団を乱雑に放り、床に足をおろした。


「まったく、14歳にもなって我儘ばっかり」


ああ、また小言がはじまったな、とぼんやりはがねは思った。


(…何でだろう、やっぱり自分は人と違う気がする。)


ハガネは、みずからが憧れているアニメキャラのポスターを見上げながら薄くため息をついた。


レッドルージュの髪に、薄琥珀色の瞳。
彼女は、容姿も当然美しくて、同じ年なのにお料理も得意で運動神経も抜群。


現実世界では、校則違反だと怒られそうな風貌をしているけれど、キサラちゃんの言葉はとっても優しくていつも誰かを深く想い、人を優先していて。
でも、その優先は「自分のために人を優先する」という感じではない。
ハガネとの違いは、そこだったのかもしれない。


だから、ときに意見を負けずに貫くこともできる…鏡の上のような存在。
ハガネは、「自分のために人を優先する」傾向がどこか内在している気がした。
それは本当に、人を優先しているといえるのだろうか。
人のために怒れない、注意をできないことは
本当にその人を慮っている人間の特徴なのだろうか。


ハガネは、思った。
(…キサラちゃんは、自分の思いやりに酔ったりなんてしない女の子。
でも、同じ年の私は、ちょっと酔っているところがあるんだろうな。)


例えば掃除を断らなかったり、嫌だと言えない自分とはまた違う「ほんとうの意味での優しさ」をたくさん持っている。


そんなキラキラとしたキサラちゃんに手を伸ばし、ハガネは微笑む。


ポスターのキサラちゃんは、凛として輝いている。そんなふうに見える。…実際は、彼女もただ懸命に今を生きているからこそそのようにあれるだけかもしれないけれど。


「(…キサラちゃんみたいに、私もなりたいな。)」


そして、ハガネは鏡をみつめる。


ハア、と重く暗い溜息がでるのだった。


客観的にみて、ハガネ自身でもイマイチだと思ってしまう自分の容姿。


ハガネ「(内気だし、どうしてか…意見をうまく言えないし。
そのわりに、ポジティブに切り替えられない。
こんなことばっかり考えているうちに、身だしなみのひとつでも整えたらいいのに。

それでも、そのわりに人からのありがとうを、素直に受け取れなくなってしまったなんて。
今のわたし、キサラちゃんと全然違うや。)」


以前、「キサラちゃんみたいになりたい!」と語った際に
家族には「比較対象を二次元にするのが間違ってる」と笑われたけれど。


ハガネには、いつからかキサラちゃんとは真反対になってしまったような自分に納得のつかない部分があったのだった。それで、行きたくなくなった学校。
でも、基本的にハガネの身の回りの家族は前向きだった。


だからハガネに伝えてはくれる。


「そんなの、経験と習慣でどうにだって変わるんだから。それをまだ経験してもいない状態が、自分の全てだも思ったりしなくていいのに」と。


「…ねえねえ、14歳ぐらいのときのお母さんってどんな女のコだったの?」


「私?そうね…。まあ、いったら平凡よ。普通にボブカットなんかにして、バレーボールのクラブに通っていたかしら」


(平凡、かあ…。)
ハガネは、その言葉を聞くなり、プラプラと足をふりたくなった。


「何だかさあ、わたしは平凡よりも下っていう感じがするよ。」


「何馬鹿言っているのよ、さっさと支度をしなさい。

そんなに、もさっとした髪型をしていたらそりゃ平凡より下なままでしょう。」


はあい、と気のない返事をしたまま、ハガネは自室に戻る。
こんなときにも、キサラちゃんをふと思い出して…。


(あ、キサラちゃんだったらもう少しお淑やかに振る舞うだろうな…!)
と一々気にしては少し真似をして近づこうとしてみる。


そして、ハガネは鏡を見るときに
スン…と瞳が暗くなるのだった。


「(何だかなぁ…。好きなときと嫌いなときとで、行き来するんだよね。)」


そんなこんなで過ごしていると、愛犬がワン、とないて膝にちいさな足を置いてくれる。


「あ、おはよう…!みたらし団子。」


みたらし団子を抱っこして、頭を撫でてみた。


それでも、みたらし団子はまっすぐな瞳でハガネを見つめて、頬をなめてくれる。


「クラスメートの子達が、皆…キサラちゃんとか、みたらし団子みたいだったら学校にも毎日行きたいんだけどなぁ。」


ぽつりと呟くと、みたらし団子はスンスンと少女の頬を香り、無垢な笑顔でふたたび「ワン!」とないた。


まるで、何バカなこといってるんだい?と笑い飛ばすばかり。


ハガネは、可愛い可愛い、と愛犬に頬ずりしたのちに腕から下ろした。


ハガネは身支度を終えたのちに、ふたたび愛犬のそばまでやってきた。


「それじゃあね、みたらし団子。行ってくるからね。帰ったら沢山遊ぼうね」


久しぶりの学校が嫌でたまらないが、母の睨みがあって家に戻るに戻られない。


ハガネは、重苦しい足取りでとぼとぼと通学路に行くのだった。


* * * * * * * * * * * * * * * *


「…(あ、嫌だ…。何というか、この空気感。)」


と、ハガネは黒ずんでいても気になっていない(美意識の低めな)上靴を履きながら、教室に立つ。
でも、こんなふうにルーズになったのはいつからだっただろう。


昔は、どちらかというと几帳面でいて、綺麗好きで、片づけることが好きな少女だった。


そして、ある日突然面倒くさくなってしまったのか、たたの無気力なのかよくわからない「自分を大切にしていない傾向」が現れ始めた気がした。


「(…ガララ)」


扉をあける。


「…。あ、藤堂さんじゃん」


久しぶりに会うクラスメートの表情に、ハガネは笑顔を浮かべた。


「望月さん、久しぶり」


「しばらく見なかったけど、大丈夫だった?」


「うん、ありがとう。大丈夫だったよ」


「そっか、良かった。1時間目は理科だよ、頑張ろうね」


「うん、頑張ろうね!」


そして、傍らでハガネは鞄にぶらさげていたマスコットに目を向ける。


(キサラちゃんみたいに、返事をしてみた…!)


ただ、やっぱり感じるのが
それは相手の子からすると、どんなふうに見られているのだろうということだった。


ハガネには、どうしても理科を頑張ろうと伝えてくれた子の笑顔が、どこか反面では違うのかもしれない、もしかしたら、後でどこかでは嘲笑われているのかも、と考えこむようになってしまうくせが身についた。


でも、そんなことは本当は思いたくなんてないのだ。素直に、ありがとうや大好きだよ、というのを喜べ、愛せる人間となりたい。
というか、自分だってそうなりたい。


例えば、あの人太っててやばくない?と声をかけられたときに「やめなよ」というほうが絶対に美しいだろうけれど、現実社会だといい子ぶっているに評価されてしまう。


小説を見ると、「本音と建前」。
つまりは、ありがとうと伝えられながらも影では手紙を捨てられてしまったり。
それが生き物の性なのだ、野生界なのだという言葉を見る。
それでも、ハガネは信じてみたい。


ポスターの中で、花束を抱えながら微笑んでいるキサラちゃんのように。


例えば、ハガネ…いや、キサラちゃんのお相手役として登場するミヤビくんのような子が「キサラちゃんが何だか素敵だから、これどうぞ」と何かしらのプレゼントを渡したときに。


「いらない」とか、「何でこんな余計なものくれるの?」とかではなくて。


「ありがとう、すっごく嬉しいよ!」と心の底から笑ってくれるような子が沢山いてくれたらどれほど心が嬉しいだろうなと。


そんな人々で溢れる教室になれば、とても楽しいだろうなと。


(…ありがとう、キサラちゃん。いつも、大好きだよ、本当にありがとう。自分が卑屈でごめんなさい、本当にありがとう。キサラちゃん、本当に可愛い。)


それって、みたらし団子もそうだったなと、ハガネは思い出す。


モヤモヤとしたり、チリチリとした心を持ってしまっても。


みたらし団子は、どんなにハガネがボサボサの髪でもほっぺたをなめてくれる。
そして、ハガネが八つ当たりみたいな感情を向けてしまっても、みたらし団子は寄り添ってくれる。


そういった暖かさと優しさが
ハガネの恐れる「そんなものいらない」や「そう思うとでも思った?」を…うわまわるような日々になれればと。


言葉にするには難しい、よくわからないものを背負いつつ
ハガネは理科の準備をした。


絶対に、その気持ちだけは、間違えないようにしたい。


* * * * * * * *


(それにしても、何だかもさっとしてるんだよなぁ…。)


梳かしても梳かしても、やっぱりいけていない気のするきのこカット。































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