コメディ・ライト小説(新)
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- 寝落ちに唄を
- 日時: 2023/05/03 17:59
- 名前: ララバイキララ (ID: hDVRZYXV)
まっすぐ前を向く君
何事にも全力な君
そんな君の優しい寝顔
ララバイキララです。
執筆初心者です!よろしくお願いします
感想とかくれるとうれしいです
- Re: 寝落ちに唄を ( No.1 )
- 日時: 2023/05/14 20:39
- 名前: ララバイキララ (ID: hDVRZYXV)
昼。ポカポカな昼。青空の下で少年少女がはしゃぐ昼。
そんな穏やかな昼下がり。
胡蝶 薔薇人は高校の昼休みを迎えていた。
彼は日当たりの良い窓辺の席で頬杖をつきながら、校庭(正確には運動場なのだが)でサッカーボールを蹴り合う男子達をぼうっと眺めていた。
ただ、別に薔薇人は自分もあの場に混ざってサッカーがしたいとか、そういうことではないのだ。むしろその瞳はどこか冷めていて、外で騒ぐ彼らを嘲笑しているようにも感じられる。
一言で言ってしまえば、彼は淡白な性格をしていた。物事に深い関心を示さず、とりあえず今を生きている。他人の噂話なども、薔薇人にはどうでもいいことだ。それを聞いて何かが起きるわけではないのだから。
こう聞くと、どうも友達が少なそうな奴だ。
そう思うかもしれない。
しかし意外にも、彼と接する人間は多い。
もちろん理由はあるのだが、それは後にしよう。
だって意味がないではないか。
まだ周りに興味を持たない薔薇人のことを、今話したところで、あなたには『どうでもいい』ことだ。
それに、この物語は薔薇人だけの物ではない。
もう一人、夢見 鈴という少女を忘れていけない。
そう、これは薔薇人と鈴、この二人がいなくては成り立たない物語。
あまたの夢が混ざり合う物語。
それでは、夢物語のスタートといこう。
始まりはいつだって非現実に。
幕開けとともに、おやすみなさい。
- Re: 寝落ちに唄を ( No.2 )
- 日時: 2023/05/21 09:36
- 名前: ララバイキララ (ID: hDVRZYXV)
ポン。サッカーボールの弾む音。
ポン。黒板消しをはたく音。
ポン。
「ん?」かすかな息がふいに薔薇人から漏れる。
窓の外を眺めていた自分の肩に、何かが乗る音がした。
「スースー」なぜか寝息も聞こえてくる。
薔薇人は左手の窓から右手の肩へと、少しだけ首を曲げてみる。
すると、そこには......貞子がいた!!
貞子は立ったまま背中を大きく曲げ、彼の右肩に顔を伏していたのだ。
「うわっ!!」
恐ろしい光景に薔薇人は思わず悲鳴を上げ、身を後方へのけぞらせる。
だが、貞子の顔はまるで張り付いているかのように肩から離れず、身を引く薔薇人に合わせて、彼女の身体が前のめりになっていく。
その瞬間、薔薇人は妙な浮遊感を感じた。椅子の左に大きく体重がかかり、右側の脚二つが宙に浮いたのだ。
「え、ちょ」
薔薇人は両手で何かをつかもうとしたが、勢いよくつっこんでくる貞子の頭でバランスを崩してしまう。
結局そのまま二人は倒れ込み、教室にガラガラと派手な騒音が響いた。
クラスの生徒達は何事かと視線を薔薇人の席に集中させ、一瞬辺りに静けさが漂う。
......。
「いってぇ」
ジンジンと痛む頭をさすりながら、薔薇人は上半身を軽く起こす。
そして、自分のお腹から下にかけて感じる貞子の重みに、少しだけ眉をひそめた。
「大丈夫か」
色々と言いたいことはあったが、やっぱり面倒くさいから、すぐに事を終わらせよう。
薔薇人は貞子の腰をつかもうと、手を伸ばす。が、辺りからの視線を感じて、すかさず引っ込めた。
貞子からの反応は無し。
「おい」もう一度声をかける。
......。
反応無し。
「おい、大丈夫か?」
何かまずいことが起きたかもしれないと、さっき引っ込めた手をもう一度伸ばし、貞子の腰の少し上をつかむ。
そのとき小さく「あっ」と女子の声が聞こえたが、彼は気にしないようにして、貞子を持ち上げるため力を込めた。
その時だった。
「スースー」
「え?」
貞子から、寝息が聞こえてきた。
まさか......寝てるのか?
薔薇人は貞子の素顔を見ようと、窓の光で透き通るその薄茶色の髪に触れようとした。
不可思議な状況に、胸の鼓動が少しだけ早くなる。
すると刹那、教室のドアを勢いよく開く音とはきはきとした女子の声が辺りに響いた。
「あーーーー!!! もう、鈴何してんの!! 昼休みは私と行動って言ったでしょ!」
声の主はおそらくこのクラスの女子ではないが、威勢のいい彼女は、ずかずかと他クラスの教室に上がり込み、こちらに近づいてくる。
すると彼女は途中で薔薇人に気づき、途端に顔を赤く青くしてはいそいそと貞子のお腹に片手を回す。
「ば、薔薇人くんごめんね鈴が。えへへ」
彼女は豚か丸太かを持つかのように、貞子を抱える。それでも貞子は目を覚まさず、両手両足をだらしなく床につきだしていた。肩の少し下まで伸びるであろう髪は前のほうに垂れ下がり、結局彼女の顔は拝めなかった。
「それじゃ!!」
貞子を抱える彼女は、あわてふためきながらすぐにその場を去り、教室のドアを思いきりしめた。
嵐が過ぎ去り、しばらくボーッとしていた薔薇人に、数人の男女が近づく。
「おい大丈夫かよ薔薇人。派手に落ちたなあ!」
「薔薇人くん大丈夫~~?」
薔薇人は我に帰ると、適当に「ああ」と言って身体を起こすと、彼らとの、いわゆる談笑に興じることにした。
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