コメディ・ライト小説(新)

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p「art」ner
日時: 2023/05/28 11:50
名前: 鏡花 (ID: SzPG2ZN6)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=13737

陽風水ひふみちゃんの絵って、なんか変だね 」
あの日、暗闇へと真っ逆さまに落ちた。
私はどこで、階段を踏み外したのだろう。


【contents】
PROLOGUE>>1
1話 出会いは太陽のもとで>>2
2話 橘 陽風水>>3
3話 美術部>>4
【memo】
5/5連載開始

Re: p「art」ner【PROLOGUE】 ( No.1 )
日時: 2023/05/25 17:27
名前: 鏡花 (ID: umLP3brT)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=13737

【PROLOGUE】
ふたりとも、お幸せに。そして今まで、ごめんなさい。
壁に立てかけてある絵を手に取る。この絵はあたし。
でも、猫の絵だ。外から体を背けて、うつむいている猫の絵。
悔しそうで、それでいて少し微笑んで。
「こんなに辛いのね……失恋」
唇をギュッと噛んで、絵を優しくなでる。この猫は、あたしだなんて言ったけどさ。あたしよりずっとえらい。あたしなんか、少しでも笑えないよ。

からん。
静まりかえった薄暗い部屋に、ポストの音が響く。まだ、新聞配達の時間か。あぁ~…情けない。
ずっと引きずって、眠れないあたしが。
まだ、心の中でしか謝れてないあたしが。
素直に祝えたら、どれだけいいか。やっぱりあたし、あの子と違う。あの子みたいに、なれない。
ねぇ、…………。








~挨拶~
どうも。不定期投稿でおなじみ、鏡花です。今回はハイペースで頑張ります、よ!(ビッグマウス)
この話やキャラを好きになってもらえるよう、頑張ります。それではどうぞ、お楽しみください。
読んでくださる方に、とびっっっきりの感謝を。



ついでに感想待ってます。

Re: p「art」ner ( No.2 )
日時: 2023/05/25 17:27
名前: 鏡花 (ID: umLP3brT)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=13737

【1話 出会いは太陽のもとで】
「橘 陽風水です。よろしくお願いいたします」
何度もシミュレーションした通りに自己紹介し、静かに席へ向かう。
刺すようではなく、歓迎でもない視線は、私の胃を一層重くする。はぁぁ。
「橘さんは、東京の中学校から引っ越してきました。とても不安だと思うので、みんな仲良く……」
____不安とか決めつけるなっつうの。

「コトハちゃん、はいっ」
先生の話の途中、何かを渡し合う声が背後から聞こえてきた。手紙の交換か。この人たちと仲良くできる気がしない。

……まあ、でも。
転校生に群がるなんて、小学生までだ。
無愛想で可愛くない転校生に話しかける……、そんなもの好き、さすがにいないね。
「起立っ」
一斉が音をたててゆっくり立ち上がる。
「礼!ありがとうございましたっ」
あざしたー、とだるそうな声があがる。と思ったら、嘘みたいに元気に騒ぎ出す。
やっぱり、さっき思った通り、……。




「よっ、橘!前の学校に、ライオンっていた?」







…………………は?
「何言って、」
「え、いないの?東京の学校にはライオンがいるって、聞いてたんだけど」

___ここにいた、すごくもの好きな人。
机に手をついて勢いよく喋る、彼を見上げる。
「あ、オレは日向樹!」
日向樹。太陽みたいな笑顔に、なんとなくぴったりだ。

____そうして私は、日向樹と出会いを果たした。
こいつが私の学校生活を、めっちゃくちゃに掻き回すことになるとも知らずに。

Re: p「art」ner ( No.3 )
日時: 2023/05/25 17:26
名前: 絃葉 (ID: umLP3brT)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=13737

【2話 橘 陽風水】
「橘さん」
リュックを背負って帰ろうとしたところ、担任の先生に呼び止められた。名前は確か……井田先生。
「何のご用でしょう?」
「学校にはもう慣れたかしら。友達、できた?」
柔らかい、いい先生スマイルで聞いてくる。1日で学校に慣れるワケないじゃないですか……。
もちろん、そんなことは口に出すわけもなく。
「はい、みんな優しくしてくれたので」
「あら、良かったわ。先生とも仲良くしましょうね」
うげっ。
と思いつつ、ありがとうございましたー、と頭を下げた。

「あっ、橘〜!」
「日向……」
今日1日で聞きあきた声が、背後からささる。隣の席の、とにかくよくしゃべる日向だ。すると、どこからか、微笑ましげな視線を感じる。
「部活動見学、あるでしょ。美術部がおすすめ!」
「……え……部活動見学なんて、ないけど」
「あ、言ってなかったっけ」
割り込んで来たのは、先生だ。
「うちの学校は、部活動が必須なの。今日は見学一日目。」
楽しんでね、と悪びれずに微笑む先生。

何それ……聞いてない。
私が口を開くときにはもう、二人はその気になったようだ。
「橘、みんないい人だから安心して!」
「橘さん、美術室はこの教室の真下よ」











「……」
そんなこんなで、私は美術室の前に立っている。日向樹、なかなかの行動力。それとも私がちょろいのか。
引き戸ではなく、ぽつんと壁にドアがくっついている。
ドアノブを握る。
回して、力を込めて、引くと……。




ぱしゃっ、と。






水がかかった。今日初めて着たセーラー服の、スカートに。上履きへと流れ落ちる、冷たい、青くにごった水。
乾いた音をたてて、バケツが廊下を転がっていく。
「おぉぉぉっとぉぉ!!」
目の前で女の人がよろけて倒れた。

ぽかんと開いた口がふさがらない。あまりのことに目をしばたたく。何が起こった……?
「も〜、部長ったら」
隣に立っていた日向が、笑いながら女の人、部長さんを起こした。
「橘、ごめんねぇ……。たぶん部長が洗ってくれるよ」
「あ、別に……」
立ち上がった部長も、うむ、とうなづいた。
「すまなかった。責任を持って丁寧に洗おう。では脱いでくれたまえ」
「……は」
「部長、それはセクハラでは」
「ん、おっと。失礼した。」
部長さんはメガネをおしあげた。思ったよりクールな姿だ。
そして、どうして水をこぼしたのか説明をしてくれた。途中で話がどこかに飛んでいったり、大変だったけれど、なんとなく分かった。

絵の具を使っている最中、水が濁ったので替えようとしたら、見えないなにかに足を引っ張られて……ナンチャラカンチャラ。
ということらしい。

……。

全く分からないし分かりたくもないけど、分かったことがある。日向だけではない。部長も、びっくりするほど変人だ。美術部、大丈夫か。

「あの、ジャージに着替えてきますね」
限界がくる。めまいもしてくる。

~あいさつ~
鏡花→絃葉に改名。むうにゃあ様がつけてくれました!ありがとう!
更新するの遅くてすみません……。

Re: p「art」ner ( No.4 )
日時: 2023/05/28 11:50
名前: 絃葉 (ID: SzPG2ZN6)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

3話【美術部】
「ふぅ」
トイレの水道の前に立って、息をつく。真新しいジャージはひんやりと冷たく、少しかたい。
『美術部がおすすめ!』
頭の中に、日向の言葉が響いた。でも……。
『部活なんて入れさせないからね。あんたのために誰が金使うか』
打ち消すように、「あの人」の声。でも、部活動は必至だから……これは、仕方がないだろう。
「……私だって、部活なんてやりたくないし」
トイレを出て、廊下を歩きながらつぶやく。ぽーん、ぽーん、と制服の入った袋を蹴りながら。
……なーんてね。このねじ曲がった性格も直さないと。せっかく、この学校に転校させてもらったのだから。
「失礼します」

さっきのこともあって、少し慎重に扉を開く。
「おっ、橘」
近くに座っていた日向が立って手を上げた。私も手を上げてこたえる。
「じゃあ、見学を始めよう!」
「うん……あっ」
日向の描いていた、絵が目に入った。

さぁぁっと風が吹き抜けて、私の黒髪をなびかせる。雲に隠れていた太陽が姿をあらわす。眩しさに、思わず画用紙から目を背けた。
「どうしたの、橘」
「えっ!?あ、ごめん、何でもない」
日向について行って、美術部の様子を見学する。特にじろじろ見られることもなく、人数は少ないのににぎやかだ。好印象。
「私達は、七夕に向けてイラストを描いてるの」
回っていると、何人かが声をかけてくれた。
「では、体験をしようか」
部長がほくそ笑む……。

って、え。
「体験……?」
「うむ、そうだ。画材とかはここにあるぞ」
「へぇ!橘の絵、見てみたい!」
日向を始め、部長の声に部屋中の視線が集まる。い、居たたまれない。
「あの、私、絵が下手ですので!」
「上手い下手は関係ないぞ。私たちは、楽しみながら描くのがモットーなんだ」
「そうじゃなくて……」
「ほれ、描いてみ」
強引に、画用紙などを持たされてしまった。そんなこと言われたって。私の絵は……。
ああ、もう!
「私は、こんな絵しか描けませんよ!」
空いていた机に画用紙をバンッ、と置いて、鉛筆を握る。そして、ほとんど書きなぐるように線を繋いでいく。絵を紡いでいく。
あぁ、絵を描くのなんて……久しぶり。絵を描くのを、とめられてたのを思い出す。ふわりと気持ちがやわらいで、私はやっと"描き出した"。
「橘……?」
日向が顔をのぞき込んできて、我にかえった。周りに集まっていたみんなも、ぽかんとしている。あ。

やってしまった。棒人間だけ、描くつもりだったのに。変な絵だと思われたよね。
この場から消えてなくなりたい。時間を巻き戻したい……。
下を向いたところで……。がしっ、と肩をつかまれた。
「素晴らしい!」
えっ、弾かれるように顔をあげる。そこには、驚いている……けど、感激したような顔が、並んでいた。
「色も塗ってみてよ!」
日向に筆を渡される。
「……うん」


美術部に入ろう。そう、心に決めた。






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