コメディ・ライト小説(新)

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神々の遊戯
日時: 2023/06/13 18:26
名前: アリア (ID: PRkwsfL0)

[第 1 章] — [おふざけもほどほどに]



昔々――と言ってもそんなに昔でもなく、今から1000年ほど後――には神々が人間の様子を上から見守っていた。
500以上の神々。それを統べているのは、4人の神だった。…人って言っていいのか?
ただ、困ったことにこの神達、おふざけやお遊びが大好き、要するに自由奔放なのである。
4人(?) の上には誰もおらず、下々の神は注意することが出来ない。
しかし、そんな時、危機が徐々に迫っていて…?
これから、1000年は後のお話をしようと思う。

「どういうこと?」
時の神――ジャクリン・マッジは群青色の長い髪を揺らす。
とても綺麗な緑色の目をしていてその目に惹かれるものも少なくない。
「イヤだから、大抵のことはこれくらいで収まるんだって」
ジャクリンが投げた疑問に、青紫色で短髪の森の神――リドリー・ハーベイは手振りで表しながら答える。
コーラルレッド色の瞳の中に何か仕掛けてあるのか、はたまた呪われているのか、その目を見たものは死んでしまうらしいので、普段は目を閉じて透視をして生活しているらしい。
それでも3人には効かないのでその時は目を開けている。
「それさっきも聞いた!くっ…この世界、ループしていやがる!」
空の神――ローリー・ハンナは絹のような白い髪をした頭を抱えながらふざける。
目の色がエメラルドグリーンと、ジャクリンと似ているので双子か、姉妹説があるが、実際のところは分からない。
ローリーの発言に、ローリー含め、3人は大爆笑をする。
「どういうこと?w」
「wwwイヤだから大抵のことはこれくらいで収まるんだって」
「なんてこと!!私が止めなきゃ…っ、このループを!」
「何やってんだお前ら」
笑いながらツッコんだのは、戦闘の神――タイレル・ヒュー。
金の髪に白い目。
まさに神を象徴させる色だった。
「ああっ、少し変わった!?」
タイレルの言葉にローリーは笑いながらそう言う。
「今日さぁ、」
ジャクリンが唐突に発言する。
「木が生えて」
「木が生えて」
「枝が分かれてワントゥー」
その言葉に4人は大爆笑する。
「っひっ、ははははははっっ!!!」
「ひーっ!死ぬっ…じぬっ…!何でこんな事言ったのか自分でも理解出来ない!」
「ちょっ、ははははっ、まっ…、ま、待てい!!」
「わっ、ワントゥーってなんやねん!?んははは!!」
「あー笑った」
「んふう、急に正気に戻るんじゃねえ」
ジャクリンの言葉にタイレルが少し吹き出しながらツッコむ。
そのあとローリーはチョコクッキーと紅茶の絵を空中に描き、それを本物にする。
3人にもそれを渡してソファに座る。
「サンキュー」
ジャクリンはお礼を言って宙に浮きながらさくっ、と食べる。
「んまっ!この中に入ってるとろけそうなチョコがまたいいよな…」
うっとりしながらコメントする。
「そーそー。そんでそのあと少し熱い紅茶を飲むとなお良し」
リドリーはジャクリンの言葉に頷きながら付け足す。
しばらくのんびりしていると、ローリーの体が光った。
「ん?この私をお喚びかね?」
「召喚?へぇー、俺らを召喚できる魔法使いがいたんだな」
リドリーが感嘆の声を漏らす。
「まー、喚ばれたなら仕方ない。行ってきまーす」
「いってらー。油断しすぎて喚んだ人まで殺すなよー」
ジャクリンが忠告する。
「そぉんなジャクリンみたいなことしないって」
「お?」
「やっべ。行ってきます!」
ローリーは慌ててそう言って消えた。


「くっ…」
わしがこの若造勇者に負けるなど…!
そんなこと、あってはならない。
わしは魔王様の手下、五本指の1人、薬指【やくし】じゃ。
だが勇者なのだから強いのも当然。
いささか仲間がいないのには違和感を覚えたが。
それでも勝つ。
勝たなければいけない。
ならば、
「召喚!空の神、ローリー様、私に力をお貸しください!」
「!」
この召喚には流石の勇者も驚いたみたいじゃな。
なんせ世界4大神の1人、ローリー様なのだ。
この4人を喚べるのは世界中を探してもほとんどいない。
せいぜい7、8人と言ったところか。
「お喚びでしょうか?」
魔方陣から女性が出てくる。
端正な顔立ち。
絹のように白い髪、魅入られるようなエメラルドグリーン。
まさしく絵に描いたようなお方じゃ。
……高校生くらいにしか見えないのが気になるが。
「その目の前にいる勇者、ロラン・ヨイズンを殺してくださいますか?」
「いいでしょう」
ローリー様は割とあっさりと頷き、勇者に攻撃を仕掛けた。
「くっ、」
ローリー様の攻撃をギリギリ避けたと思ったらそれより早い一撃が飛び、腹に当たる。
「かふっ」
勇者が咳き込む。
「…っ、召喚っ、戦闘の神、タイレル様…!」
「!?」
なぜ、こやつも使える?
これでは4大神の内のお二方だけの戦いに…!
「お喚びでしょうか」
「げほっ…」
喋ろうとして、咳が出ている。
その横を見ると美形の男が魔方陣から出てきていた。
金の髪に白い目。
本当にタイレル様を喚んだのか、こやつ…。
「がはっ、ア…」
「ゆっくりで大丈夫ですよ。その間、ローリーの攻撃は防いでおきますので」
とんでもないことを簡単にやってのけるタイレル様。
戦闘力は互角と聞いているが…。
「ぐっ、目の前の…っ、ローリー様は一時的に戦闘不能、けほっ、魔王の手下、薬指のオゾロイは殺してください…!」
ローリー様を殺してしまっては逆に勇者が殺される。
賢明な判断じゃな。
しかし、タイレル様は首を横に振った。
「…それは出来かねます」
「…!?な、んで…」
「オゾロイ様、私もタイレルと戦うことは不可能です」
「!?なぜですか!」
聞くと、お二方は隣に並んでピースをして笑った。
「「友達だからです☆」」
「「………!!」」
突如変わった2人の態度に絶望する2人。
本で語られていた。
世界4大神はとても強い、戦闘力は互角、全員美形、そして…。
「いやあ、最初びびったわぁ~。いきなりタイレル出てくるんだもん」
「俺も喚ばれると思ってなかったわー」
そして、とてもふざけた方々だ、と。
これは有名な話だから勇者も知っているだろう。
だがこんなのは迷信だと思っていたし、実際さっきまではきちんとしていたのだ。
「ああ、理由はですね、先程言ったとおり、友達と戦いたくはないんです。でも、相手の攻撃は防げますので、タイレルの攻撃も防ぐだけなら可能です」
わし達に向き直って説明するローリー様。
「同じく」
タイレル様も首を縦に振る。
か、変わり様がすごい…。
「イヤ、同じじゃあ膠着状態じゃないかーい」
「あ、そーだな」
そう言って2人は笑う。
大爆笑する。
イヤそんなにですか!?
そして振れ幅がすごい!
勇者も怪我の痛みを忘れて驚いているようじゃ…。
「あ、それなら完全回復をして差し上げましょう」
「ああ、それがいい」
「えっ…」
その瞬間、今まで勇者に食らっていた傷跡などが全て消えた。
勇者の腹もだ。
流石世界4大神。
力が衰えることは一切ないのじゃな。
…わしもそんな風になれたら魔王様のお役にもっと立てるのだろうか。
「他に何かしてほしいことはありますか?戦闘以外なら何でも致します」
タイレル様が言ったあと、ローリー様も首肯する。
せめてもの償いとして、多大な貢献をしてくれるらしい。
「…では、あなた様の力をお借りすることは可能ですか?」
勇者が少し躊躇いながらタイレル様に尋ねた。
「可能ですが、俺の力を得られるのは今のあなたの力ではせいぜい100分の1と言ったところでしょう」
「うっ」
わしはそんな勇者と互角だった。
ということはわしもそれくらいなのだろう。
今のままではダメじゃ。
「勇者、わしは逃げる。これはもっと強くなるためだ。追いかけてくると言うのなら相手するが、貴様にそれが出来るか?」
「っ…。…いいや」
勇者も追いかけるのは無駄だと判断したのだろう。
勇者が剣をしまう。
「ではこれにて失礼する。ローリー様、お手数をおかけして申し訳ありませんでした」
「いいえ」
「では召喚を解除致します。…召喚解除【スーモンレリーズ】」
呟くと、ローリー様は一瞬で消えた。
「タイレル様、ありがとうございました。召喚解除」
勇者が呟き、タイレル様も消える。
「ふ」
思わず漏れた笑み。
勇者にはこの意味が分かるだろう。
また鍛え直さなければな。


あとがきやらなんやら?
どーも、アリアです。
なんか新しい小説投稿したいなって思って…()
投稿頻度は相変わらず亀だけど許してくれ。
なんか長くなっちゃったわ。
えへ、えへへ。
キモ。
えっと、違う方の小説、手を抜いて、転移して、少し本気出して。も見てくれると嬉しいです!

Re: 神々の遊戯 ( No.1 )
日時: 2023/06/17 22:55
名前: アリア (ID: PRkwsfL0)

「ふう、疲れたー」
「お帰りー、随分とお疲れだね」
疲れたと愚痴るローリーに、ジャクリンは手を振る。
「ローリーと当たったからな、よりにもよって」
「え、どゆこと?」
リドリーが不思議そうに首を傾げる。
「イヤ、実はさ…」
かくかくしかじか
まるまるさんかくさんかく
「なるほどぉ、大変だったなー、そりゃ」
「そーなんだよね。まあでも薬指のオゾロイってやつも、魔王の手下にしちゃあすっごいまともだった」
「確かにそうだな」
ローリーの言葉にタイレルは頷く。
「それじゃあまるで他はイカれてるみたいな言い方だけどね」
「実際そう」
「元々まともなやつなんて少ないのさ」
「あの」
魔王一味をディスっていると、4人の専属秘書と言うべきだろうか――ユルスという風の神がやってきた。
「やあやあユルス君、どうしたんだい」
ジャクリンがソファに寝転がりながらユルスに向かって手を振る。
ユルスは手に大量の資料を持っていた。
「はぁ…まただらだらして…。仕事、大量にありますよ」
どさっと大量の資料を机に置く。
冒頭に言ったことは嘘だったかもしれない。
ユルスはきちんと注意してくれる唯一の人物だった。
「うげえっ…こんなに…?」
「俺らが今まで逃げてなけりゃこんなじゃなかったかもな…」
リドリーの言葉に、うっ、と詰まるジャクリン。
「めんどくせー!」
ソファで伸びをしながらジャクリンが叫ぶ。
一通り資料に目を通していたローリーが「ん?」と首を傾げる。
「どうした?」
その変化に気付いたリドリーが尋ねる。
「イヤ、勇者に合って、且つそれなりの戦闘力がある仲間を探してほしいって書いてあって。ほら、ここ」
紙を指でトントンと軽く叩きながら説明するローリー。
「あ、本当だ」
「ああ、それは下位神の依頼みたいなものですね」
「依頼?」
「ええ。勇者はあなた方をも召喚できる力の持ち主なので、下位神なんかは頻繁に召喚して力を貰っています。勇者でなくともある程度上位神を召喚できる人はみんなそうです。そしてたまに仲良くなる神がいるんですよ。今回は勇者と仲良くなる神が現れたらしいので、そんな依頼が来たんだと思います。下位神なんかより、あなた方の方がとても良い人材を見つけてくれると思ったのでしょうね。断るか引き受けるかはあなた方次第だと思いますよ。…まあ、僕は少し神のことを軽んじているんじゃないかと、不服に思っていますが」
その顔から見ても、不服であることは十分に伝わっていた。
でも実際その通りだと思う。
本来、神とは神聖なもので、決して気軽に喚んでいいものではない。
それが下位神だとしてもだ。
神は神。
人間より遙かに強い。
勇者も決して軽んじているわけではないだろう。
ただ、才能があって、無知なだけ。経験が浅いだけ。
「オーケー。ならば私がどっちも願いを叶えてやろうじゃないか」
そう言って立ち上がったのはジャクリンだった。
「…え、どっちも…ですか?」
「うん。依頼者と、ユルス君」
紙を見せた後、ユルスに目を向ける。
「い、いいんですか…?」
ユルスは目を見開く。
ジャクリンは気だるげに微笑んだ。
「勿論」


ジャクリンが地上に転移する。
「ふう。転移は楽だなー」
一応人間を気遣って人がいないところに降りた。
「ええと、人材を探すんだっけか。…てゆーか、2人の願いを叶えるとか偉そうなこと言ったけどぶっちゃけなんも考えてないんだよな!」
少し考えた末、1つの答えに辿り着いた。
「っし、後から考えよう!」
ユルスが聞いたらドン引きしそうだ。
「そうとなれば冒険者ギルドとか行かないとだよな。変装するかー」
そう言ってどんな変装にするか考え始める。
「分かりにくいのがいいよなー。うーん、もうなんなら男でいっか!お、そうだ、どうせならショタにしちゃえ」
考えがまとまる。
なんか色々ヤバそうだけどツッコむ人はここにはいない。
「変装【ディスグイズ】」
ジャクリンがそう言うと、群青色の髪が短くなり、背も高校生くらいから中学生くらいにまで下がった。
「完璧だ!」
声は変えていないので完璧なショタだ。
「じゃあまた転移で一番戦闘に力を入れている村まで行くか。…ちょっと面倒くさくなってきたけど…」
ジャクリンは飽きるのが早いのと面倒くさがりなことで定評がある。

「よし着いた。えーと何村だっけ。…あ、そうそう、イーアヒズル村だ。忘れてたー」
ちゃんと仕事しないからすぐ忘れるんですよ、と、ユルスがここにいたら言うだろう。
「じゃあ冒険者ギルドまでれっつらごー」

「ここかー」
建物を見上げる。
とても大きくて屋根も高い建物だ。
よほど力を入れているのだと、一目で分かる。
「血気盛んで何より」
ジャクリンはそう言って入っていく。
「すみませーん、人を探しているんですが…」
受付の人にそう言うと、女の人はにっこり笑う。
「はい、依頼ですか?」
笑った顔が可愛い。
(男だったら完全に惚れてたな…)
「はい。えぇと…Sランクでの冒険者で、」
勇者に合った仲間が欲しいとは言えない。
(ならば勇者の性格を今ここで1秒で割り出す!
まず、勇者は若い。そして薬指のオゾロイを追い詰めるほど強い)
0.2秒
(下位神と仲良くなれるほどに友好的。しかし仲間は未だにいない)
0.4秒
(では人見知り?しかしそれだと神と仲良くなることは難しい。力でねじ伏せた?
何それ怖い)
0.7秒
(じゃなくて、神だからそれはできない。とすれば圧倒的に性格がいい、かな。
じゃあどんな仲間がいいか?
答え、冷静な人、優しい人、友好的な人)
1秒
「冷静な人と優しい人と友好的な人を1人ずつ探して欲しいんです」
「はい。Sランクで、冷静な人、優しい人、友好的な人ですね。分かりました。いつまでがいいですか?」
にっこりと笑いながら尋ねられる。
「出来れば早めで」
「分かりました。では冒険者達に依頼するので報酬などがいるのですが、何かありますか?」
(報酬か…。伝説級の武器…とか言っても信じないよな…。じゃあ取りあえず金でいいか。伝説級の武器分のお金を報酬にしといて、あとで換えよう)
「金貨3,500枚で」
「…え!?ひ、人探しにですか…!?あ、あの…持ってる分だけでいいですよ」
受付の人に驚かれる。
流石に嘘だと思われたみたいだ。
確かに普通の子供はそんなに持っていない。
「あ、いえ、持っています」
ジャクリンはそう言って空間魔法の中に収納されていた金貨を出す。
「ええっ…!ま、まさか…あの、王族の方ですか?」
「いいえ。普通の子供です」
(イヤ、王族にした方がよかったかな…。ま、いいか!私嘘つけない質だから)
変装して平然としている時点で嘘はつける質だろう。
「そ、そうですか…」
(絶対信じてなくてワロタ)
「では報酬は金貨3,500枚ということで。優先順位を高めにしておきます」
「ありがとうございます。それではこれで」
「ありがとうございました」
なんやかんやあったけど、受付の人は笑ってそう言ってくれた。


あとがきやらなんやら?
どーも、アリアです。
かっこを使いすぎてもし間違えてルビになったらどうしようと不安になっているアリアです。
わはは。
そん時はそん時。
是非これからも読んでくださると嬉しいです!

Re: 神々の遊戯 ( No.2 )
日時: 2023/06/24 20:42
名前: アリア (ID: PRkwsfL0)

「ただいまー」
3人がいるところに帰ってくる。
「お疲れ様です」
ユルスは頭を下げる。
「お帰り。随分とツッコみどころあったけどまあこれで一件落着だね。…それで、ユルス君の願いはどうするの?」
ローリーはそう言ってストローがささっているジュースをじゅごっ、と飲み干す。
「まあ取りあえず…私が自ら勇者のところに行って注意しとこうかなって思ってる。…あ、仲良い神も連れて」
「うーん…。…まあそれしかないよな」
リドリーが唸りつつも賛成してくれる。
「わざわざありがとうございます。よろしくお願いします」
「そぉんな堅くなんなくていいって。じゃあユルス君、取りあえず仲良い神全員連れてきてもらえるかな?」
「分かりました。少しお待ちください」

しばらくすると3人の神がやってきた。
「ライドさん、ウルルさん、ハシラさんの3人です」
「サンキュー」
「あ、あの…」
ウルルが長い前髪から目を覗かせながら口を開く。
「なんだね?」
ジャクリンは首を傾げる。
「大体察しはついています…。勇者の件なんですよね?こっ、こんなこと言うのはあれかもしれませんが…ゆ、勇者は何も悪くないんです!ただ…。ただ、私達と気が合っただけで…!」
言い終わると同時にリドリーがソファから体を起こす。
「はぁ?…あっ、やっべ、目ぇ開けるとこだった…」
その発言にタイレルは静かに大爆笑する。
「っっwなっ、何やってんだお前…っ。っひひw」
「すまんて」
「いやあ、危なかったなあ、お前ら。もう少しで死ぬところだったわー」
3人は恐怖で震えている。
「まあ取りあえずそんな些事は置いといて」
「それ些事ですかね!?」
ユルスがツッコむ。
「こほんっ。…俺がはあ?って言ったのには理由がある。いくら勇者でも神は神。人間が気軽に喚んでいいものではない。お前らがそれを許して庇っているからはあ?って言った。けど勇者は無知で経験も浅いのだろう。だから今からジャクリンがお前ら3人を連れて勇者を諭すのだ。…それともなんだ?勇者は知っていて喚ぶ、身の程知らずなのか?」
「!いっ、いいえっ!それは違います!」
ライドは慌てて首を横に振る。
それを見てリドリーは微笑む。
「なら話は早いな。…取りあえずお前らは優しすぎで、勇者に甘過ぎだ。それだけが言いたかった。もう俺から言うことはない」
「かっこいいやぁん、リドリー」
ローリーがニヤニヤしながら背中を叩く。
その直後、ひゅんっ、という音が聞こえた。
「え…軽く音速を超えてますけど…」
ライドは顔を青くしながらツッコむ。
それを軽々しく受けているリドリーもリドリーだ。
「るせえなあ、俺をからかうんじゃない」
「あ、私からも君らに聞きたいことがあるんだ」
ジャクリンが3人に向き直る。
「天界のルール、第5条は覚えてるかな、ライド君」
「はい。人間にも、魔王側にも、誰にも肩入れはしない」
「正解。ウルルちゃん、第6条は?」
「…誰にでも平等に力を貸す」
「正解。ハシラ君、どう思う?」
「…えっ」
質問の意図が分からず、狼狽える。
「ああごめん、分かりにくかったね。君は魔王に力を貸せって言われたら、全力で、勇者の時のように力を貸せる?」
「…む……」
その続きの答えが無理にしろ、難しいにしろ、ルール違反だ。
「あは。まあこれはあくまでも例だ。もし君らが喚ばれて困ったときは私達を頼るがいいさ。だけど、勇者にもそれを分かって欲しい。…オーケー?」
「はい」
3人は同時に返事をする。
「終わったみたいだな。んじゃ、行ってこいよ」
「りょーかい」
リドリーに言われたジャクリンは、気だるげに微笑んだ。

「えーっと、取りあえずローリーが言うには勇者はここにいるらしいけど…」

『あ、ちょっと待って』
『ん?』
ローリーが転移をしようとした3人を引き留める。
『ジャクリンのことだから、勇者探すのめんどいとか思ってるでしょ?それなら私、空の神だから今ここで上から勇者のこと探せるよ』
『おお、さっすがローリー!』
『んじゃあちょっと待ちなさい』
そう言ってローリーは目を瞑る。
10秒ほど経った頃、目がゆっくり開いた。
『分かった。ずばり、マレイン花街のアイシーベトン通りだね』
『おお…よくもそんなすらすらと地名が出てくるもんで』
ジャクリンが感嘆すると、ユルスはため息をつく。
『あなたが全然覚えないだけですよ…』

「ふん…取りあえず周りの人に見てないか聞き込みしますか」
イーアヒズル村の時と同じ変装をしたジャクリンと、同じく変装をしているライド、ウルル、ハシラがいた。
ハシラはジャクリンの提案に頷く。
「分かりました」
「じゃあ、20分後にまたここに集合で」

「どうよ、いた?」
20分後、同じ場所で集まった4人は話し合う。
「いえ、私は収穫を得られませんでした」
「俺もです」
「分かったことがあります」
ハシラが口を開く。
「お、何?」
「今、グレイーコレルという学校のブレニー寮で休んでいるらしいです。同じ部屋の人がたまたまいて、その人は買い物をしにここに来たらしいですけど」
「学校?」
「はい。勇者と、あと仲間になれる人材を育てている学校だとか…」
「…ああ、なるほど」
ジャクリンは頷きながら冷や汗をかく。
(そういえば勇者って若かったよな…。ギルドに若い人がいいって伝えときゃあ良かったかも…。…まっ、いいか!めんどくせえ!)
ジャクリンは面倒くさがりで定評がある。
「で、ローリーはさっきこの辺を歩いてるって言ってたから、その学校はこの近く?」
「はい。徒歩10分程度ですね」
「オッケー」
流石に見たことも聞いたこともない学校に転移するのは無理があるので歩く。
「にしても、君らは勇者のどこを好きになったの?」
何も話さなくても暇なので、少し気になったことを聞く。
「そうですね…。私は性格の良さです」
ウルルは長い前髪から目を覗かせて言う。
その目は嬉しそうに細まっていた。
「勇者は誰にでも優しく、それでいて魔王を倒そうという強い信念を誰よりも持っています」
「俺も大体そんな感じです。最初は人見知りで、心配だったのでついていたのですが、その時点で多分勇者に絆されていたんだと思います」
ライドは今までにない、優しい目をしながら話す。
「僕は戦い方に惹かれました。相手は魔物や魔族で、敵です。それでも生き物。せめて苦しまずに死なせようと、毎回変に魔力を消費しながら戦っています」
ハシラは中指にはめられている指輪をいじりながら淡々と喋る。
それでもその声色は優しかった。
「そっかあ。じゃあ私が来たら勇者君、君ら3人に謝り倒すだろうね~」
「そ、想像できる…」
「あははっ。安心なさい。別にいじめるわけじゃないし」
「私達はジャクリン様を酷い方だと思ったことありませんよ」
「ありがとー。…ん、デカいのが見えるけど…あれ?」
視覚強化をして学校を見つける。
他3人も視覚強化をしているようだ。
「だと思います」
「オーケー。それじゃあ、ライド君達、走って競争だー!」
ジャクリンはそう言って走り出す。
「えっ、ええ!?」
それに続いて3人も走り出す。今は人がいないから大丈夫だが、もし人がいたら風がすごい勢いで吹き、髪をボサボサにしただろう。
これで本気を出していないというのだから、神は恐ろしい。
だが当人達は競争に夢中だ。
「ちょっ、ジャクリン様反則です!」
「フライングはいけませんよー!」
「知ーらないっとぉ」
約100メートルあった道のりは僅か5秒で着いてしまった。
「ふう、いい運動になったねー」
「ですね」
「しかし、改めて見るとデカいですね、この学校」
「ああ。設備が整っているんだろうな」
ウルルの言葉にライドは頷きながら言う。
「よおし。じゃあ入ろうかー」
「って、待ってください!」
ハシラが慌てて止める。
「お?」
「このまま入ったらただの不法侵入なのでは?」
「あーそっか。なら神の姿に戻るか!それならなんとか許してくれる事でしょう」
「ですがそれだと大騒ぎになる気が…」
ウルルが困惑する。
「大丈夫だって!何とかなるさ。私は考えるのが嫌いだからな。取りあえず行き当たりばったり」
ピースをしながら根拠のない大丈夫が出てくる。
「う…ま、まあいざとなったら記憶消去かな…。イヤそれとも物理的に…」
ブツブツと呟くウルルにハシラがツッコむ。
「イヤ怖いから!?多分大丈夫だよ。僕らも一応神なんだし、丁重にもてなしてくれることを願おう」
「そ、そうですね…」
「んじゃ、いざ!」
変装を解いて4人は学校の門をくぐる。


あとがきやらなんやら?
うーん、話すことがないっ。
とりま今後も見てくれると嬉しいです…!


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