コメディ・ライト小説(新)

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川崎新都心物語
日時: 2023/12/06 20:06
名前: シン・スガワラ (ID: OSvmcRAh)

《第1章》~出会いは横須賀線小杉駅~
「行ってきます!」と言い、自宅を出てきた彼は、中原龍一なかはらりゅういち、この春から高校生になる男子である。龍一は自転車に乗り、中原街道なかはらかいどう府中街道ふちゅうかいどうを走り、武蔵小杉むさしこすぎ駅東口に来た。「随分とこの辺は変わったな。タワーマンションだらけだな」と思いながら、横須賀線口へと向かった。横須賀線口よこすかせんぐちに着くと羽田空港はねだくうこうに行くリムジンバスを見かけた。「羽田空港にもバスで一本なんだな。すげぇ時代になったな」と呟いた。
龍一は辺りを見回していると、足をさすっている女子を見つけた。年は龍一と同じくらいであり、困っているようにも見えた。龍一が「どうしたんだよ?」と声をかけた。女子は「足、くじいちゃったんです。」と答えた。龍一は「大丈夫?病院にさぁ、行く?」と聞くと、「近くの病院にお願いします。あたし、動けないんです」と言ったため自転車の後ろに乗せてあげた。そうすると女子は「二人乗り、だめなんじゃないですか?大丈夫ですか?」と聞いたが、龍一は「慣れてるかんさぁ、大丈夫だよ」と言って聞かなかった。
二人は日本医科大学武蔵小杉病院へと向かった。整形外科へと向かい、医者に診察してもらった。「足をくじいてるだけなので、大丈夫ですよ。」と言いながら湿布を貼った。龍一と女子は一安心した顔で「よかったぁ」と声をそろえて言った。
病院を出ると夕方になっており、龍一は帰りの心配をした。「帰りはさぁ、どうするの?」と龍一が聞くと、「帰り道が分かんないんです。どうやってここまで来たかも覚えてないし。」と答えた。すると龍一が「家までさぁ、送ってってあげるよ」と言うと女子が「え!?いいんですか!?多分自転車で行ったら、遠いと思いますよ?」と言った。「大丈夫だよ。川崎市内だったらさぁ、どこでもさぁ、行けるじぇ。」と言い、女子を自転車に乗せた。「住所はさぁ、どこだべね?」と龍一が聞くと、女子は「確か、大島おおしま5丁目です。」と答えた。龍一は「川崎区だな。府中街道と新川通り(しんかわどおり)を行きゃあ行けるな。」と呟き、女子を自転車に乗せた。
龍一は女子を後ろに乗せ、南武沿線道路なんぶえんせんどうろを走り始めた。龍一は女子に「まださぁ、自己紹介してなかったな。俺はさぁ、龍一、中原龍一だよ。この春からさぁ、高校生にさぁ、なるんだよ」と言うと女子は、「じゃあ、あたしと同い年だね。あたしは川崎紀香かわさきのりかです。よろしくね!」と言った。龍一は「高校はさぁ、どこに行ぐんだよ?俺はさぁ、横浜の若葉台学園だよ」と言うと、紀香が驚いた顔で「あたしも若葉台学園だよ!偶然だね!」と言った。龍一は「俺はさぁ、YMOみてぇなバンドを高校でさぁ、作るのが目標だよ」と言うと、紀香が「何それ!?面白そう!」と笑顔で反応した。龍一は「YMOをさぁ、知ってねぇべ?高校に行ったらさぁ、基本から教えるよ」と言い、さらに「バンドのマネージャーにさぁ、なってくれねぇか?きっと楽しいって思うじぇ!」と提案した。紀香は「楽しみ!あたしも入りたい!でも、楽器できないからちょうどよかった。」と安心した顔で言った。
二人を乗せた自転車は、鹿島田かしまだ駅近くのコンビニエンスストアで休憩のため、止まった。龍一は「何かさぁ、飲む?何でもさぁ、いいじぇ」と聞いた。紀香は「じゃぁ…、コーラがいいな」と答えた。龍一は、そのコンビニでコーラを2本買い、そのうちの1本を紀香に手渡した。紀香は「ありがとう」と言い、コーラを一口飲んだ。龍一もそれに続き、コーラを飲むと「行ぐべ。早くしなきゃさぁ、着くのが遅くなっちまうよ」と言った。二人はコーラを飲み終わり、コンビニを後にした。
二人を乗せた自転車は府中街道を進み、川崎かわさき駅東口まで来た。龍一が「こっからの帰り道はさぁ、分かる?分かんねぇならさぁ、家まで送るよ」と言うと、紀香は「帰り、遅くなっちゃうんじゃない?大丈夫?」と聞いた。さらに紀香は続けて「確か近くのバス停からバスに乗った記憶はあるんだけど、どのバスかは忘れちゃったんだよねぇ」と言った。龍一は「じゃぁさぁ、家まで送るべ」と言うと、紀香は「本当に大丈夫?」と心配そうな顔で聞いた。龍一は「親にゃあさぁ、人助けしたって言っとくかんさぁ、大丈夫だよ」と紀香の心配をよそに明るく答えた。紀香は「それならいいんだけど。ここから後どれくらい?」と聞いた。龍一は「後2、30分ぐれぇだべな」と答えた。紀香は「バス停からの道だけは覚えてるから、近くのバス停に着いたら案内するね」と言うと龍一は「近くのバス停ってさぁ、<大島5丁目>だべ?それだったらさぁ、臨港バスだよ。確かさぁ、水江町みずえちょう行きのバスだよ。」と教えると、紀香ははにかみながら「龍一君の後ろに、乗ってたいなぁ…。」と言った。龍一は「だったらさぁ、家まで送るべ。その方がさぁ、金がかかんねぇしさぁ」と言い、川崎駅を後にし、紀香の家へと向かった。
紀香の家に向かっている途中、龍一の母親から電話がかかってきた。電話に出ると「いつ帰ってくるの?」と聞かれた。龍一は「分かんねぇけどさぁ、遅くなんねぇように帰ってくるよ。今さぁ、人助けしてるんだよ」と答えた。龍一の母は「そうならいいけど。気を付けて帰ってきてね」と言った。
二人を乗せた自転車は、新川通りを走り、皐橋さつきばしの交差点を水江町方面へと進んでいった。大島5丁目バス停の近くに来ると紀香が「そこ、右に曲がって」と言った。龍一は「そろそろさぁ、家なんだな。もうちょっとさぁ、我慢しててくんな!」と言った。そしてやっとの思いで紀香の自宅に着いた。紀香が「お疲れ様、大丈夫だった?」と聞くと龍一は「二人乗りでさぁ、ここまで来たのは初めてだったけどさぁ、楽しかったじぇ。」と笑顔で答えた。紀香は「よかったら…、連絡先、交換しない?」と言った。龍一は笑顔で「いいよ、交換するべ!」と携帯電話を出した。連絡先を交換し、紀香は「今日はありがとう!高校でもよろしくね!」と手を振りながら紀香の自宅へと入っていった。
龍一は急いで来た道を戻り、自宅へと帰っていった。途中、紀香からメッセージが来ていた。「今日はありがとう♡高校行ってもよろしくね!」と書いてあった。龍一は、文章を見るなり「♡付いてるってことは俺のことを好きってことなのか?」と感じたが、結論として、女子は大抵そういうものであると思った。紀香は自分の部屋に入ると龍一からの返事を待っていた。するとすぐに龍一の返事が来た。「今日はすげぇ疲れたよ。でも、長距離の二人乗り楽しかったじぇ!またやるべ!高校行ってもよろしくな!」と来た。紀香は高校生活を非常に楽しみにしていた。当の龍一は紀香の気持ちに気づかずにいた。この先どうなることか…。
つづく

川崎新都心物語 ( No.1 )
日時: 2023/12/06 22:15
名前: シン・スガワラ (ID: OSvmcRAh)

《第2章》~高校生活と恋の始まり(前編)~
龍一と紀香が出会い、しばらく時がたった頃、入学式の当日となった。龍一は母親に「定期持った?お財布持った?」とあれこれうるさく言ってきたが、龍一は「今日から高校生だかんさぁ、大丈夫だよ」と答えるばかりだった。出発の時間となり、龍一は「行ってきます!」と言い、家を出て武蔵中原むさしなかはら駅へ徒歩で向かった。
龍一の定期券のルートは武蔵中原駅から南武線なんぶせんに乗り、武蔵小杉駅へと向かう。次に武蔵小杉駅から東急東横線とうきゅうとうよこせんに乗り換え、菊名きくな駅へと行く。菊名駅からは横浜線よこはませんに乗り、十日市場とおかいちば駅でバスに乗り換えるというルートである。
龍一は南武線で一番混雑すると言われている区間である武蔵中原駅~武蔵小杉駅間を何とか耐え、武蔵小杉駅からは東急東横線に乗り換えた。すると、偶然同じ制服を着た同い年くらいの男子を見かけた。声はかけなかったがこれからの生活を龍一は考えていた。バンドのことや友達のこと等々、いろいろなことを考えていた。
電車は川崎市から横浜市へと入り、龍一は少々緊張していた。横浜には何度も行ったことはあるものの、横浜の学校には通ったことがないため少々緊張していたのである。龍一はふと携帯電話を見ると紀香からメッセージが来ていた。文面は「龍一君おはよう♡今どこ?あたしは東神奈川って駅にいるんだけど十日市場駅に行く電車ってどの電車?あたし乗ったことないから知らないんだよね」と書いてあった。龍一は「おはよう。横浜線は緑と黄緑の電車だよ」と返事を送った。「おはよう」の後に♡がついていたことは気づいていたが、龍一は意味を理解していなかった。紀香からメッセージが来た。「一緒に学校行かない?どこかで合流できるとこある?」とのことだった。龍一は「菊名はどうだよ?そこだったら合流できるよ」と返事を送った。さらに龍一は続けて「乗った電車の番後ろにいてくんな。そしたら合流できるじぇ」と送った。紀香は「分かった、そうするね。ありがとう♡」と返事を送ったがそれを読んだ龍一は、♡の意味をまだ理解していなかった。そうこうしているうちに電車は菊名駅に着いた。
横浜線ホームに移動した龍一は、紀香の乗った電車に乗った。二人は顔を合わせると「おはよう。」と挨拶した。紀香は「今日から学校だね、よろしくね!」と言った。龍一は「そうだな、バンドのマネージャー、よろしくな!」と返事した。紀香は、龍一を見るなり、ドキドキしていた。紀香は「龍一君と、同じクラスかなぁ」と呟いた。龍一は「だといいな。きっとその方がさぁ、楽しそうだな」と言った。紀香は「どんなクラスかなぁ?」と言うと龍一は「さぁ、どうなるんだべなぁ。楽しいといいな」と言った。
二人を乗せた電車は鴨居かもい駅に着いた。紀香は「龍一君、ここには何があるの?」と聞いた。龍一は「<ららぽーと>っていうショッピングモールがさぁ、あるんだよ。帰りにさぁ、寄ってく?俺もさぁ、行ったことねぇかんさぁ、行ってみるべ。」と提案した。紀香は「楽しそう!行きたい!」と嬉しそうに言った。
二人を乗せた電車は十日市場駅に着いた。ここでバスに乗り換えだが、龍一は横浜市内のバスの事はあまり知らないため、迷っていた。「どのバスに乗りゃあいいんだべなぁ」と困っていた。紀香は「あのバス停に同じ制服の人たちが並んでるから、あそこ行ってみようよ」と見つけたように言った。2人はバス停に向かうとバスが来た。バスはすぐに満員となった。バスは横浜市道環状4号を南へ走り、若葉台西側交差点を左折するとすぐに若葉台学園前バス停に着いた。ここで同じ制服を着た学生たちは、ここで降りていったため二人も一緒に降りた。
バスを降り、二人は人の流れに沿って高校へと向かった。紀香は「緊張してきたなぁ。龍一君と同じクラスになれるかなぁ」と心の中で呟いた。当の龍一は「音楽でこの学校に革命起こすぞ!」と気合いを入れていた。
学校に着いた2人は、クラス名簿を見た。2人はともに1年C組だった。紀香は「龍一君、見て見て!あたしたち、C組だよ!一緒のクラスだよ!」と興奮気味に言った。龍一は「そうだな、楽しくなりそうだな。さてと、教室に行ぐべ」と楽しみな感じで言った。
二人は教室に行くと先生であろう女性が教卓の前にいた。その人は、2人が教室に入ると「みんなぁ、席に着いてぇ!」と全員に声をかけた。クラス全員が席に着くと、その女性は自己紹介を始めた。「今日からこのクラスの担任の小向幸子こむかいさちこです。みんなからは、さっちゃんって呼ばれてます。よろしくお願いします」と笑顔で言ったが、龍一は「先生さぁ、さっちゃんって年じゃねぇべ」と言ってしまった。紀香は隣で「そんなこと言ったら、怒られるよ」と注意した。先生は「これでもまだ20代です!」と怒った。龍一は「まださぁ、独身だべ?イキオクレじゃんか」と続けざまに言ってしまった。紀香は「龍一君、言いすぎだよ!」とまた注意した。先生は言い返せなくなり、しばらくして「いい加減にしなさい!!!」とかなり怒った。龍一は「事実なんだかんさぁ、いいじゃんか。」となだめたが、逆効果だった。「イキオクレってどういうこと!?」と龍一に先生は聞いた。紀香は「事実でも、そんなこと言ったらだめだよ」と言葉は違えど、何度も龍一に注意し、先生に「中原君は、悪気があって言ってるわけじゃないんです」と言った。先生は「今回は初日だからこれくらいにしとくけど、次言ったら許さないからね!」と言った。龍一は「またさぁ、言うかもしんねぇけどさぁ、ちっとんべぇさぁ、認めてもいいんじゃねぇか?」と言った。先生は言い返せなくなり、黙ってしまった。
先生は「皆には自己紹介してもらいます。」と話を変えるように言った。前から順番に名前や好きなことや高校生活での目標を各々話した。龍一の番がやってきた。「俺はさぁ、龍一、中原龍一だよ!のくち生まれ、小杉育ちの音楽馬鹿だよ。高校でYMOみてぇなバンドを組んでこの学校でさぁ、革命を起こすのが目標だじぇ!メンバーはキーボード2人にベース、ギターの4人が必要だかんさぁ、よろしくよ!マネージャーとドラムは決まってるかんさぁ、注意してくんな。みんなでこのクラスをさぁ、盛り上げていぐべ!よろしくよ!」と自己紹介した。先生は「こういうのに限って、本当のバカなんだよねぇ」とつい言ってしまった。龍一が最初に気になった生徒の自己紹介はこうだった。「麻生明子あそうあきこどすぅ。うち、ピアノ習ってますぇ。ファッションがめっちゃ大好きなんどすぇ。ほな、よろしゅう」龍一は「ゆったりした喋りだなぁ」と思った。次は紀香の番である。「川崎紀香です。千葉県の木更津きさらづから引っ越してきたばかりなので、神奈川県のことはあまりわかりません。中原君の作りたいバンドでは、マネージャーとして入りたいです。よろしくお願いします」と自己紹介した。先生は「川崎さん、マネージャーできるの?」と聞いた。紀香は「できます」と真剣な顔で答えた。次に龍一が、気になった生徒の自己紹介があった。「宮前幸宏みやまえゆきひろです。キーボードをバンドでやりたいと思ってます。歴史のことは何でもわかるので、よかったら聞いてください。よろしく!」と自己紹介した。龍一は「後で声をかけてみるか」と思った。次に龍一が気になった自己紹介があった。「高津晴臣たかつはるおみです。ベースが弾けます。よろしくお願いします」龍一は「大人しめだけどイケそうだな」と思った。最後に龍一が気になった自己紹介がこれである。「生田憲助いくたけんすけですたい。ギターで世界ば取るんが目標ですばい。よろしく」龍一は「ちょうどいいやつめっけ!」と思った。一通りクラスの生徒の全員の自己紹介が終わり、入学式の時間となった。みんなは名前順に並び、体育館へと向かった。
入学式は静かに行われるわけもなく、龍一が呼ばれると「おうよ!のくち生まれの小杉育ちの龍一だじぇ!よろしくよ!」と大きな声で言ってしまった。紀香は「ちょっと!」と口パクで言った。小向先生は「あっちゃぁ!」という顔をした。
入学式が終わり、生徒たちはそれぞれの教室に戻った。龍一は教室に戻るや否や「川崎紀香!麻生明子!宮前幸宏!高津晴臣!生田憲助!小向幸子!教室の前に集合!」と言った。呼ばれた6人はどうしたのかという顔で集まってきた。紀香は「こんなに呼んでどうしたの?」と聞いた。龍一は「このメンバーでさぁ、バンドやるべ!」と言うと、紀香は「ついに始まるんだね!」と言った。明子は「うち、ピアノやってるけど、大丈夫?」と心配そうに聞いた。龍一は「ちょうどいいじぇ!大丈夫だよ」と笑顔で言った。幸宏は「これで夢が叶うでぇ!」と興奮気味に言った。晴臣は「僕、人前に出ると緊張するんだわ。大丈夫かい?」と緊張しながら聞いた。龍一は「きっと慣れるかんさぁ、大丈夫だよ!」と安心させるように言った。憲助は「ギターで世界取れると?有名なバンドになれると?」と聞いた。龍一は「その保証はさぁ、ねぇな。ごめんよ」と申し訳なさそうに言った。小向先生は「私、楽器何もできないよ!?どうしたらいいの?」と何が何だか分からない感じで聞いてきた。龍一は「さっちゃんはさぁ、顧問の先生だかんさぁ、大丈夫だよ」と落ち着かせるように言った。
龍一は「じゃぁさぁ、それぞれのパート発表するべ!」と言うとみんなは、龍一の方に注目した。「1stキーボードが幸宏、2ndキーボードが、明子、ベースが晴臣、ギターが憲助、ドラムが俺、マネージャーが紀香、顧問の先生がさっちゃんだよ」と言うと、明子が「キーボード、弾いたことないんやけど、平気?」と心配そうに聞いた。龍一は「ピアノもキーボードも一緒だかんさぁ、大丈夫だよ」と安心した感じで言った。晴臣は「ベースって、ギターベースかい?それ以外にも、やるのかい?」と聞いてきた。龍一は「キーボードのベースもあるかんさぁ、弾けるようにさぁ、しといてくんな」と言った。紀香が「中学生の時、吹奏楽部のマネージャーやったことあるんだけど、大丈夫?記録とかつけた方がいい?」と案を出すように聞いた。龍一は「今はさぁ、とりあえず記録だな。練習した曲とかさぁ、部活中にあったこととかをさぁ、書いてりゃあさぁ、いいよ」と言った。小向先生は「顧問として、何かできることある?何でも言って」と聞いてきた。龍一は「先生にっきゃできねぇことをさぁ、やってもらうべ。対バンとかさ」と言った。全員が「対バン?」と龍一が何を言っているのか分からない顔で聞いてきた。龍一は「将来的にゃあさぁ、ライブハウスでライブとかやるべって思ってるんだよ。一緒にやるバンドを合わせることをさぁ、<対バン>っていうんだよ」と説明した。「私、大丈夫かなぁ。一応、県内の高校の軽音がある学校に掛け合ってみるけど、できるかは分かんないよ」と小向先生が言った。龍一は「対バンのことはさぁ、まだ大丈夫だよ。これから毎日練習しなきゃさぁ、だめだしさぁ」と気合いを入れる感じで言った。紀香が「長い休みの時は、どうするの?練習とかあるの?」と聞いた。龍一は「練習もあるけどさぁ、合宿もするべかってさぁ、思ってるんだよ」と言った。みんなが「合宿?」と声をそろえて聞いた。龍一は「例えば旅行なんてさぁ、どうだよ?おもしれぇよ!」と楽しそうに言った。憲助は「どこ行くと?県外に行くこともあると?県外に出てもよかばってん、遠すぎたら大変ばい」と聞いた。明子は「うちもええけど、お金のこともあるやろ?大丈夫なん?」と続けて聞いた。龍一は「生徒会にゃあ掛け合うかんさぁ、大丈夫だよ。だめでもさっちゃんのポケットマネーがあるかんさぁ、大丈夫だよ。」と言った。小向先生は「え、マジで!?」と言った。さらに、「私のお金を当てにするってどういうこと!?」と慌てた感じで言った。龍一は「結構な稼ぎがさぁ、あるべ?」と何も心配していない感じで言った。
話し合いは進み、粗方決まったところで、下校時刻となった。6人は一緒にランチを食べることにした。紀香は「どこで食べるの?」と聞いた。龍一は「十日市場の駅の近くにマックをめっけたかんさぁ、そこにするべ」と言った。みんなは帰り支度をし、十日市場駅近くのマクドナルドへと向かった。6人は学校を出て、若葉台学園前バス停から横浜市営バス55系統に乗った。紀香は「バスなんだけど、横浜市営バスの55番のバスに乗ればいいの?」と龍一に聞いた。龍一は「そうみてぇだな。時刻表を見たらさぁ、朝と夕方にゃあさぁ、345番っていう急行バスもあるみてぇだな。確か朝に乗ってきたバスがさぁ、そうだったな」と言った。6人を乗せたバスは、途中、いくつかのバス停に停車しながらではあるが、十日市場駅に着いた。
6人はバスを降り、駅近くのマクドナルドに向かった。店内に入ると、同じ制服を着た高校生がたくさんいた。6人が座れる席を見つけると机をくっつけ、座った。6人は荷物を置きレジに向かった。
6人は食べたいものをそれぞれ注文し、席へ戻った。
龍一が「気がはえぇけどさぁ、夏休みにさぁ、どこに行きてぇよ?」とみんなに聞いた。紀香は「まず、ゴールデンウィークのことから決めない?」と言った。龍一は「まずはさぁ、そっからだな。」と思い出したように言った。明子が「みんなで、原宿行かへん?」と言うと紀香は「ファッションのこと教えてくれるんだったら、いいけど」と言った。龍一は「俺さぁ、東京が苦手なんだよ。竹の子族がいるんだったらさぁ、行ってみてぇな」と言うと、憲助は「竹の子族っち、何ね?」と聞いた。明子は「今、竹の子族いぃひんで、昭和やないんやから」と突っ込んだ。晴臣は「龍一君って、俺たちと同い年かい?俺の親と、同世代じゃないのかい?」と言われてしまった。明子は「それに、タピオカも流行ってるんよ。みんなでタピらへん?」と言うと龍一は「タピオカってさぁ、白の粒々がココナッツミルクにさぁ、入ったやつだべ?」と聞いた。明子は「全然ちゃうで。これがタピオカやで」と言うと、携帯電話の写真を見せた。龍一は「これさぁ、ミルクティーだべ?この黒の粒々はさぁ、何だよ?」聞くと明子は「これがタピオカやで。タピオカミルクティーを飲むことを<タピる>言うんよ」と言った。龍一は「令和はさぁ、よく分かんねぇな」とつい言ってしまった。
憲助は「大体売れたかっち、思っとうと?そこんところが、よう見えんばい。大体、YMOっち何ね?」と聞いた。龍一は「知ってねぇのかよぉ!?YMOっていったらよぉ、今流行りのテクノポップバンドだじぇ!」と言ったが、紀香は「本当に流行ってるの?」と聞いた。龍一は「<Rydeen>とかさぁ、<Technopolis>とかさぁ、知ってねぇのかよ?」と言った。憲助が「動画ば、調べてみるばい。」と言い、携帯電話を出し、検索した。憲助は「これやろ?」と言い、<Rydeen>のPVを見せた。龍一は「これだ、これ。かっけぇべ?」とみんなに言った。明子は「昭和にも現代的な音楽、あったんやねぇ」と言い、晴臣は「龍一君は、こういう音楽がやりたいのかい?」と聞いた。龍一は「俺らが目指す音楽はさぁ、こういう音楽だよぉ!」と言った。
明子は「原宿行く話、どないなったん?何も決まってへんやん」と思い出したように言った。龍一は「苦手だけどさぁ、行ってみるべ。今のタピオカをさぁ、飲んでみてぇしな。それにさぁ、今週末でもいいんじゃねぇかな?」と言った。明子は「やったら、みんな連絡先交換せぇへん?」と言った。みんなは携帯電話を出し、それぞれ交換した。幸宏が「龍一君と紀香さんは、交換しなくていいの?」と龍一と紀香に聞いた。龍一は「俺らはさぁ、もう交換してあるんだよ」と言った。
みんな食べ終わり、店を後に駅へと向かった。紀香は「明子ちゃんと憲助君と幸宏君と晴臣君って、どこに住んでるの?」と聞いた。明子は「新百合しんゆりやで。住所で言うたら、麻生区王禅寺西あさおくおうぜんじにし2丁目やで」と答えた。憲助は「生田いくたばい。住所は多摩区三田たまくみた1丁目たい」と答えた。幸宏は「俺は鷺沼さぎぬまでぇ。住所は宮前区有馬みやまえくありま4丁目でぇ」と答えた。晴臣は「俺は、溝のみぞのくちだよ。住所は高津区新作たかつくしんさく3丁目だよ」と答えた。紀香は龍一に「どこだか分かる?みんなの住んでるとこ」と聞いた。龍一は「何だよ、みんな川崎市内じゃんか!」と言った。龍一は「俺はさぁ、南武線の中原だけどさぁ、小杉もよく使うよ。住所はさぁ、中原区上小田中なかはらくかみこだなか7丁目だよ」と言うと、6人は駅に着いた。憲助は「紀香しゃんは、どこさ住んどうと?」と聞いた。紀香は「あたしは、川崎区大島5丁目だよ」と答えた。龍一は「帰る方向が一緒なのはさぁ、紀香っきゃいねぇか。他はさぁ、逆方向だべ?」と言った。明子は「みんなここで解散やね。ほな、また明日。」と言うと、それぞれ電車に乗り、別れた。
つづく

Re: 川崎新都心物語 ( No.2 )
日時: 2023/12/06 22:17
名前: シン・スガワラ (ID: OSvmcRAh)

《第3章》~高校生活と恋の始まり(後編)~
紀香は「やっと2人だけだね」と言った。龍一は「そんじゃぁさぁ、ららぽーとに行ぐべ」と紀香を誘った。紀香は「まだ時間、大丈夫?あたしは大丈夫だよ」と言うと龍一は「俺もさぁ、大丈夫だよ。そんじゃあさぁ、行ぐべ」と言い、来た電車に乗った。十日市場駅から東神奈川方面に2つ目の鴨居駅に2人は着いた。
電車を降りると、2人は道に迷った。龍一は「どっちに行きゃあいいんだべなぁ」と困っていた。紀香は「これ、何かな?」2人が見たことがない機械を見つけた。案内ボードをにはこう書いてあった。このチケット発券機で発券されるチケットとバス車内で発行されるチケットを2枚1セットでバス車内の運賃箱に入れると、バスが無料で乗れるという。それを知った2人は、バスで行くことにした。紀香は「帰りの分も、取ってかない?」と言った。龍一は「そうだな。帰りもさぁ、バスで帰るべか」と言った。
バスは鴨居駅南口のバス停に停まっていた。そのバスに2人は乗ったが、もう1枚のチケットが見当たらない。紀香は「これじゃない?」と指さした。それは整理券のようなものだった。龍一は「これを取りゃあいいんだな」と言った。2人は2枚のチケットを運賃箱に入れ、バスに乗った。バスは時間となり、出発した。
2人を乗せたバスは、鴨居駅を出発し、鴨池大橋を渡り、ららぽーとに着いた。龍一は「あっという間だったな」と思った。
紀香は「ここがららぽーとなんだね。どこ行く?とりあえず100均、行こうよ」と言った。龍一は「とりあえずさぁ、行ってみるか」と言い、付いて行った。龍一は「グランツリーよりでけぇんだなぁ」と呟いた。紀香はインフォメーションで100円ショップの場所を聞くと龍一に「こっちだよ」と言い、龍一を連れて行った。100円ショップに着くと紀香は文房具売り場を見渡し、ノートを10冊、シャーペンを2本、4色ボールペン3本セットを2セット購入した。龍一は「別に中原の駅ビルでも買えるし、今はいいか」と思い、何も買わなかった。紀香は「龍一君は、どこ行きたい?」と龍一に聞いてきた。龍一は「楽器屋がありゃあさぁ、行きてぇな。」と答えた。紀香はフロアマップを見ると楽器屋を見つけた。「こっちだよ」と紀香は言い、龍一を連れ、楽器屋へ向かった。
2人は楽器屋へ着いた。龍一は、置いてある電子ドラムセットを見るなり叩き始めた。それを見ていた紀香は「すごーい!」と声を上げた。一通り叩き終わると紀香は拍手をした。龍一は楽譜コーナーを見ていた。紀香が「何か探してるの、あるの?」と聞いた。龍一は「YMOのバンドスコアをさぁ、探してるんだよ。どこにあるんだべなぁ」と言いながら探していた。紀香は店員にそれがある場所を聞いていた。店員が「こちらです」と案内してくれた。龍一は店員からYMOのバンドスコアを受け取った。龍一は店員に「これをさぁ、探してたんだよ。ありがとう!」と言った。龍一はYMOのバンドスコア、オリジナル曲を書くために五線譜を買った。龍一も欲しいものが買え、いい気分だった。2人はバス停に戻るとバスが客待ちをしていた。2人はそれに乗り、鴨居駅へ戻った。
鴨居駅のホームで電車を待っていると、紀香が携帯電話で何かをしている。紀香は龍一に携帯電話を見せながら「メッセージのグループ作ったんだけど、どう?」と聞いてきた。龍一は「いいと思うよ。連絡事項とかさぁ、いっぺんに送れるしな」と感心する感じで言った。
2人は来た電車に乗った。紀香は「今日はありがとう。またららぽーと、行こうね。」と言うと龍一は「今度はグランツリーにさぁ、行ぐべ。グランツリーもさぁ、楽しいじぇ。」と提案した。紀香は「面白そうだね。ラゾーナ、詳しい?」と聞くと、龍一は「詳しいじぇ。今度さぁ、行ってみるべ。」と言った。
電車は菊名駅に着くと龍一と紀香は別れた。龍一は東急東横線に乗り換えた。電車が発車し、ふと携帯電話を見るとバンドのグループメッセージと紀香個人とのメッセージが来ていた。グループの方から見てみると紀香から「今日からバンドがスタートしました。バンドの名前をここで決めたいと思います」とあった。龍一は「<BULE SKY>がいいんじゃねぇか?爽やかな感じがするしな」と送った。紀香個人からのも見てみると、「今日は、ありがとう♡今度は、2人だけでどこか遠くに行きたいな。また明日ね♡」と来ていた。龍一は紀香個人の方に「今度はららぽーと巡り、してみるべ。また明日!」と返事を送った。バンドのメッセージグループを見てみると、明子から「ほんまにええ名前やね。気に入ったで」と来ていた。憲助が「よか名前ば、思いついたね。名前気に入ったばい」メッセージを送った。幸宏は「それでいいんじゃねぇか。龍一君にしちゃあ、オシャレだな」と来ていた。晴臣は「これで東京の高校生に勝てるべや!」と送った。紀香は「みんなこれでいいですか」と聞くと、明子と憲助、幸宏、晴臣から「OK」と返事が来た。バンドの名前は決まったものの龍一は紀香の気持ちに気づかずにいた。
この先どうなることか…。
つづく

Re: 川崎新都心物語 ( No.3 )
日時: 2023/12/06 22:08
名前: シン・スガワラ (ID: OSvmcRAh)

《第4章》~明子は原宿ファッションモンスター(前編)~
学校が始まり、最初の金曜日がやってきた。BULE SKYのメンバーは週末の話を十日市場駅前のマクドナルドで話していた。明子は「明日原宿行くんやけど、集合場所とかどないする?」とみんなに聞いた。龍一は「小杉に8時はさぁ、どうだよ?電車の路線図を見たらさぁ、明治神宮前っていう駅まで乗り換えなしでさぁ、行けるみてぇだよ」と言うと、みんなはそれがいいと言わんばかりの顔をした。みんなはそれぞれ解散し、明日を迎えた。
龍一は当日となり、かなり緊張していた。なぜなら、東京都心にあまり行ったことがないからである。みんなのことを待っていると紀香からメッセージが来た。BULE SKYのグループの方に来ており、文面は「みんなおはよう。武蔵小杉のどこで待ってるの?龍一君、どこにいるの?」と聞いてきた。龍一は「東急線と南武線の乗り換え口にいるよ」と返事を送った。明子は「小杉で東横線に、乗り換えるんやろ?やったら紀香ちゃん、連れて来るわ」と返事が来た。龍一は憲助と晴臣に「憲助と晴臣は、道わかるな?」と聞いた。憲助は「分かるばい。生田から小田急線で登戸まで行って、そこから南武線やろ?」と返事が来た。晴臣は「わかるよ」と返事が来た。幸宏は「俺は、バスで小杉に行くよ」とメッセージが来た。龍一はメッセージを一通り見ると、駅の中にあるコンビニエンスストアに入った。そこで、龍一は気合いを入れるためにエナジードリンクを買い、それを一気に飲み干した。
集合場所に戻ると紀香と明子がいた。紀香のファッションは田舎の女子が東京に出るような感じだが、明子は、いかにも原宿にいそうな感じだった。3人は挨拶もそこそこに、残りの3人を待った。紀香は「明子ちゃんの服、すごいね!テレビみたい!」と明子の服を見るなりそう言った。明子は「うちがいつも行ってるお店、竹下通りにあるんやけど、そこ行かへん?」と言った。龍一は明子の姿を見るなり、「確かこんな感じの歌手がさぁ、いたべ?その歌手のさぁ、真似?」と聞いた。明子は「せやで。めっちゃ大好きなんよ。龍一君は、わかるん?こういうファッション」と聞いた。龍一は「令和はさぁ、よく分かんねぇな」と言ってしまった。そうこうしているうちに晴臣と幸宏、憲助の3人が来た。龍一はみんなに「全員揃ったしさぁ、行ぐべ」と言い、東横線上りホームに向かった。
龍一は携帯電話で路線図を見ながら全員を連れ、東急東横線の特急森林公園しんりんこうえん行きに乗った。みんなを乗せた電車は新丸子しんまるこ駅を通過し、多摩川たまがわを渡った。龍一は、急に冷や汗をかき始めた。5人は心配そうに龍一を見ていた。紀香は「だ…、大丈夫?」と聞いた。龍一は「東京にゃぁわりぃ奴らっきゃさぁ、いねぇべ?それが心配でさぁ」とオドオドした感じで言った。明子は「そんなことないで。優しい人もいるから大丈夫やで」と落ち着かせるように言った。
電車は自由が丘駅、中目黒駅に停車し、渋谷駅に着いた。龍一は「あれ?確か東横線のホームって高架のはずなんだけどなぁ」と呟いた。紀香は「ここから地下鉄副都心線だね。どこまで乗るの?」と龍一に聞いた。「確か次だっけなぁ」と龍一は路線図を見ながら言った。明子は「紀香ちゃん、次で降りるんやで」と言った。龍一は「東京はさぁ、よく分かんねぇよ」と言った。電車は地下鉄副都心線に入り、最初の駅である明治神宮前駅に着いた。龍一は明子に「後はさぁ、任せたよ」と言った。明子は「ここからはわかるから、大丈夫やで」と言った。明子を先頭に、6人は電車を降り、竹下通り方面へと歩いて行った。
龍一は「明子さぁ、道はこっちでさぁ、合ってるの?」と聞いた。明子は「とりあえずは原宿の方に行こか。そっちの方が行きたいお店の近くやし」と言った。6人は地下鉄千代田線側を通り、2番出口へと向かった。龍一が「ここが東京の原宿かぁ。竹の子族が踊ってるホコ天はどこだべなぁ!?」と興奮気味に言った。紀香は「この時代に竹の子族なんていないよ!」とツッコんだ。明子は「みんな、こっちやで」と言い、竹下通りに向かった。龍一は「タレントショップにさぁ、行ぐんだべ?楽しみだじぇ!」と言うと、明子は「タレントショップって、何なん?」と聞いた。龍一は「原宿に来たらさぁ、タレントショップに決まってるべよぉ!」と言った。紀香は「今の原宿にそんなのないって!」とまたツッコんだ。
6人は竹下通りの入口にいた。休日ともあってかなり混雑していた。龍一は「原宿っていったらさぁ、クレープだべ?」と言った。紀香は「龍一君って、ホントにあたしたちと同い年?」と疑った。
6人は明子の行きつけのショップに入った。そこにはいかにも原宿といった感じのファッションが並んでいた。明子は紀香とともに店内を見て回った。明子は紀香にいろいろな商品を次々と手渡していった。紀香は手渡された服を見るなり「これ、似合うかなぁ?」と言ったが、明子は「うちは紀香ちゃんにもこういうファッション、してほしいんよ。紀香ちゃん、かわいいし」と言うだけで、どんどん棚にある服をとっていった。龍一は晴臣と幸宏、憲助に「男物をさぁ、探すべ。売ってるのかなぁ」と言った。龍一はショップスタッフに「男物はさぁ、どこだべな?探してるんだけどさぁ」と聞くと、ショップスタッフは「申し訳ございません、メンズはございません」と言われた。龍一は3人に「俺らはここでさぁ、待ってるっきゃなさそうだな」と言った。
明子と紀香は試着室へと向かい、明子は紀香に着方をレクチャーした。龍一たちは明子に呼ばれ、試着室に向かった。明子は紀香に「準備できた?」と聞くと、紀香は「いいよ!」と言った。試着室のカーテンを開けるとそこには別人のような紀香がいた。憲助は「見違えたねぇ。びっくりばい!」と言った。幸宏は「これで、東京らしくなった感じがするでぇ」と言った。晴臣は「芸能人みたいだね」と言った。紀香は「龍一君、これ、似合ってる?どう思う?」と聞いた。龍一は「別人みてぇだな。すげぇ似合ってるじぇ」と言った。紀香は笑顔で「龍一君、ありがとう!」と言うとショップスタッフに「今試着してる服、全部ください!」と言った。紀香は試着室のカーテンを閉めると着てきた服に着替えた。着替え終わり、試着室を出た紀香はレジへと向かった。紀香が財布を出そうとすると、明子が「うちが払いますぅ。」と財布を出しながら言った。紀香は「え、いいの!?」と驚いた顔で言った。明子は「これくらいええんよ」と大丈夫そうな顔で言った。龍一は「本当にさぁ、大丈夫なの?」と心配そうな顔で聞いた。明子は「紀香ちゃんと、仲良うなりたいから買うたげたんよ。せやから、大丈夫やで」と笑顔で言った。6人は店を後にした。
龍一は「クレープをさぁ、食うべよ」と言った。明子は「クレープがええん?」と聞いた。龍一は「竹の子族はいねぇわ、タレントショップもねぇっていったらさぁ、クレープっきゃねぇべよぉ」と答えた。明子は「あの店なんか、どうやろ?」と指さした。指をさす方向には人だかりができている店があった。看板には<クレープ>と書いてあり、とても人気があるようである。龍一は「原宿っていったらたらさぁ、これだべよ!」と待ち焦がれていたように言った。6人はそれぞれ食べたいものをそれぞれ注文した。龍一は「やっとさぁ、夢が叶うじぇ!」と周りに聞こえる声で言うと周りは「あの男子、何なの?訛り、きつくない?どこの人?」とひそひそ声で言った。
龍一は列に並んでいた同い年くらいの女子に声をかけた。「どっからさぁ、来たんだよ?」と聞くとその女子は「渋谷ですけど?」と答えた。龍一はみんなに「すげぇぞ!東京のさぁ、女子だよぉ!」と言った。女子は龍一に「そっちは、どこから来たんですか?」と上から目線で聞いた。龍一は「川崎のさぁ、小杉だじぇ」と言うと女子は「訛ってて、何言ってるかわかんないんですけど」とまた上から目線で言った。龍一は「東京の女ってさぁ、つめてぇな。こえぇじぇ。」と言うと、女子は「川崎って、やばいところですよね?」と言うと龍一は「川崎のことをよぉ、なめてるべ!?バカにしてるんじゃねぇよ!!!」とつい怒ってしまった。紀香はその女子に謝ると、龍一に「ここで問題起こしたら、だめだよ!最悪、学校行けなくなっちゃうよ。川崎のこと、馬鹿にされて怒る気持ちは分かんなくもないけど。」と言い聞かせた。
クレープ屋での揉め事は、紀香が穏便に済ませたが、龍一は「東京ってさぁ、こういう街なのかよぉ!?こえぇじぇ!」と怒りながら言った。紀香は「楽しいこと考えよう、ね」と龍一を落ち着かせるように言った。明子は「ほかに楽しいこと、あるかもしれへんで。そろそろお昼の時間やからどないする?」と龍一に聞いた。龍一は「竹下通りの入口にマックがあったかんさぁ、そこにするべ」と提案した。みんなは龍一の意見を聞き、そこに向かった。
そのマクドナルドは、竹下通りを見渡せる場所にあり、6人は窓際のカウンター席に座った。龍一は「やけ食いするべ!」と言い、ビックマックセットを注文した。コーラとポテトはLサイズにし、さらにチキンナゲット15個入りを5箱追加で注文した。5人はその量に驚き、紀香は「それ全部、1人で食べる気!?」と驚きながら聞いた。憲助は「東京はそげんこつなかばい。みんな優しかばい」と言った。龍一は驚くようなスピードで注文したものをすべて平らげた。それを見ていた5人は口をあんぐり開けていた。龍一は満足した顔をしていた。
ランチを終えた6人は次どうするか考えていた。明子は「タピらへん?」と言った。龍一は「デザートのさぁ、代わりにさぁ、なりそうだしさぁ、行ぐべ」と言った。龍一は「明子さぁ、どっかにいい店あるの?」と聞いた。明子は「表参道行けば、あるで」と言った。6人は竹下通りを後にし、原宿駅の前を通り、表参道にやってきた。憲助は「タピオカの店っち、こん辺にあると?」と明子に聞いた。明子は「もうすぐやで」と言った。
6人はタピオカショップに着くと全員タピオカミルクティーを注文した。龍一は「これがタピオカミルクティーかぁ。デザートにゃあ持って来いだな」と言った。紀香は「おいしい!こんなの初めて!」と嬉しそうに言った。明子は「ここのがめっちゃおいしいんよ。憲助君と晴臣君と幸宏君はどない?」と聞いた。幸宏は「東京の新しい味も、いいもんだな」と言った。憲助は「よかろうもん。原宿来たら、コレたいね」と言った。晴臣は「なまらうまいべや」と言った。
6人はタピオカミルクティーを飲み終えると、龍一は「これからさぁ、どうするよ?」とみんなに聞いた。明子は「渋谷行かへん?」と言った。龍一は「渋谷っていったらさぁ、ヤマンバとかガングロのギャルがさぁ、いるとこだべ?」と聞くと明子は「今、いぃひんで」と言った。龍一は「とりあえずさぁ、渋谷の109に行ぐべ。そこにさぁ、行きゃぁ何かありそうだしな」と言うと、6人は明治神宮前駅から地下鉄副都心線に乗り、渋谷へと向かった。龍一は「明子さぁ、渋谷分かるの?」と聞いた。明子は「渋谷もよう行くから、詳しいで」と言った。電車は渋谷駅に着くと、6人は電車を降りた。
明子は龍一に「渋谷のどこに、行きたいん?」と聞いた。龍一は「とりあえずさっきも言ったけどさぁ、109に行ぐべ。」と言った。明子は「やったら、こっちやね。」と言い、109に近い出入口へと案内した。明子は「メンズファッション、たぶんない思うで?ええん?」と言うと龍一は「いいかんさぁ、行ぐべ。ある人にプレゼントをさぁ、してぇんだよ」と言った。明子は「めっちゃええやん!女の子やったら、任しといて」と言うと109に着いた。明子は「誰にプレゼントするん?まさか、好きな女の子でもいるん?」と龍一に聞いた。龍一は「そんな感じかな」と言った。紀香は「龍一君は、好きな子とかいるの?」と聞いた。龍一は「そりゃあさぁ、内緒だな。」と言った。紀香は「あたしのかなぁ」と心の中で思った。
109に着くと、龍一は明子にメッセージを送った。龍一は「紀香に服買ってやりてぇんだけど何がいいか分かんねぇんだよ。教えてくんな。このことは紀香にゃ内緒な」と送った。明子は龍一に「ええで。うちは普通に服選ぶから龍一君が払うてね」と返事を送った。
109に着くと明子は「ここでもよう行くショップがあるんよ。そこ行こ」と言った。6人は明子がよく行くショップにやってきた。明子はどれがいいか選んだ。明子は「これがええんちゃう?」と言いながら紀香の服を選んでいった。一通り選び終えると紀香は試着室へと入っていった。明子が「準備できた?」と聞くと紀香は「できたよ」と返事した。カーテンを開けると別人のようになった紀香が出てきた。龍一は「かわいくなったな。似合ってるじぇ」と言うと紀香は「ホントに!?ありがとう!」と嬉しそうな顔で言った。紀香は着てきた服に着替え、試着した服をレジに持って行った。財布を出そうとすると、龍一が「お姉さんさぁ、俺が払うよ」と言った。紀香は「え、いいの!?」と言った。龍一は「BULE SKYのマネージャーになってくれたお礼だよ」と言った。紀香は笑顔で「ありがとう!」と言った。
109を出ると時間が夕方になっていた。龍一は5人に「そろそろさぁ、帰るべ」と言った。明子が「ここで解散せぇへん?」と提案した。龍一は路線図を見ながら「みんな帰る方向がばらばらだかんさぁ、ここで解散だな。」と言った。龍一と紀香は東急東横線、明子と憲助は京王井の頭線で下北沢駅まで行き、小田急に乗り換えというルート、晴臣と幸宏は東急田園都市線という帰り方である。6人はそれぞれの方向に分かれ、電車に乗った。
つづく

Re: 川崎新都心物語 ( No.4 )
日時: 2023/12/06 22:12
名前: シン・スガワラ (ID: OSvmcRAh)

《第5章》~明子は原宿ファッションモンスター(後編)~
紀香は帰りの電車で「龍一君、今日はありがとう。でも、外であまり問題起こさないでね」と言った。龍一は「だってさぁ、原宿のクレープ屋にいた女がさぁ、マジでムカついたんだもんよぉ!」と言った。紀香は「入学して早々問題起こすのはホントにダメだよ」と注意した。さらに紀香は「これから、時間ある?」と龍一に聞いてきた。「あるよ、どうしたんだよ?」と龍一が言うと、紀香は「話があるの」と言った。龍一は「とりあえずさぁ、等々力緑地に行ぐべ。そこでさぁ、話すべ」と言った。紀香は龍一に告白するつもりでいたが、当の龍一はどうせバンドのことだろうと思っていた。
電車は武蔵小杉駅に着くと、2人は電車を降りた。2人は東急バス溝02系統溝の口駅行きのバスに乗った。龍一は明子にメッセージを送った。文面はこうである。「紀香からのメッセージに♡がついてるんだけどどういう意味だべな?」と送った。まもなく返事が明子から来た。「それ、紀香ちゃんが龍一君のこと好きやいうことやで。気付いたげてへんの?鈍感やわぁ」と返事が来た。バスは市営等々力しえいとどろきグランド入口バス停に到着した。龍一は「バンドのことじゃねぇんだ!マジで告白されたらどうするべ!?」と心の中で叫んだ。紀香は「絶対好きって言う!」と意気込んでいた。
2人は噴水広場に着くと紀香が話し始めた。「龍一君、聞いて。あたし龍一君のこと好きなんだ。初めて会ったときあたしのこと、助けてくれたじゃん?その時からずっと好きだったんだよ。付き合ってください!お願いします!」と告白した。龍一は「そういうことだったんだな」と言うと、紀香をやさしく抱いた。「俺なんかでよけりゃあさぁ、よろしくな」と言うと、紀香の唇にキスをした。龍一は我に返ると「何やってるんだよ!?」と叫んだ。紀香は「ありがとう、嬉しかったよ」と笑顔で言った。2人は見つめると顔を赤くしながらはにかんだ。
紀香は「来週、どっか行かない?初デートとして」と言うと龍一は「よみうりランドとかさぁ、どうだよ?」紀香は「よみうりランドって遊園地だよね?いいじゃん!」と嬉しそうに言った。
龍一は「来週から部活が始まるけどさぁ、どうするよ?」と聞いた。紀香は「んーと、まずは楽器をそろえるとこからだね。どういうのが欲しい?」と聞いた。龍一は「コンピューターがさぁ、欲しいな。音楽ソフトが入ったパソコンでもさぁ、いいけどな」と言った。紀香は「じゃあ、探してみるね」と言った。
龍一は明子にメッセージを送った。「紀香に告白された時、思わず抱いてキスしちまったんだよ。びっくりしたじぇ!」と送った。紀香は「手、つなぐね」と言い、手をつないだ。2人は市営等々力グランド入口バス停へと向かった。龍一は「紀香さぁ、帰り道は分かる?」と聞いた。紀香は「ここからバスで武蔵小杉まで行って、南武線に乗り換えでしょ?」と言った。龍一は「こっからさぁ、バスだけでも川崎に行けるんだよ。」と教えた。紀香は「バスで帰ろうかな。このバス停から乗れるの?」と聞いた。龍一は「乗れるじぇ。ちっとんべぇ時間がさぁ、かかるけどな。」と言った。そう言っていると、東急バス川31系統がやってきた。紀香はバイバイの代わりに、龍一の唇にキスをした。そしてバスに乗った。
龍一はふと携帯電話を見ると、明子からメッセージが来ていた。文面は「めっちゃロマンチックやん!龍一君、かっこええやん!」と来ていた。続けて紀香からメッセージが来ていた。「今日はありがとう♡龍一君、超かっこよかったよ!今度は2人でよみうりランド、行こうね。大好き♡」と来ていた。龍一は紀香のことやバンドのことで頭がいっぱいだったが幸せな気持ちであった。
つづく


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