コメディ・ライト小説(新)

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桜はすぐに散るから
日時: 2024/03/05 23:21
名前: 黒百合 (ID: SGjK60el)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=13867

⬆️作家プロフィール

※製作中です。7日目までは読めます。
しばらく失踪します!

「私は桜と一緒に散るんだ」
桜のような見た目をした・春川紗倉はるかわさくら
桜の木の下で出会った彼女と過ごす10日間だけの青春の日々。

【設定】
花崎晴斗はなさきはると(15)
・主人公
・茶色のセンターパート
・楽しいことがしたい
・少しだけ怖がり
・170cm

春川紗倉はるかわさくら(15)
・ヒロイン
・桜色のボブヘア
・大人しい?
・ミステリアス
・163cm

花崎美晴はなさきみはる(19)
・花崎晴斗の姉
・茶色のセミロング
・明るい
・172cm

1日目 桜の木の下で  >>1
2日目 初めてのデート >>2
3日目 海と赤い頬   >>3
4日目 景色と風    >>4
5日目 公園と嫉妬   >>5
6日目 動物と嫉妬   >>6
7日目 君の言葉    >>7
8日目>>8
9日目>>9
10日目>>10

Re: 桜はすぐに散るから ( No.1 )
日時: 2024/03/17 23:12
名前: 黒百合 (ID: SGjK60el)

今年も何も楽しいことがなく終わるのか。彼女も出来ないで、楽しい青春も遅れずに、ただつまらない日常を繰り返していたよな。そんなことを考える春休み、窓の外を見ていた。公園の桜が綺麗に見え、気づいたら俺は公園に向かっていた。

そういえばかなり前に見に来たような。あの時より綺麗に見える。俺はカメラを桜に向け、写真を一枚だけ撮り、確認する。写真より実物の方が美しい。
「こんにちは。桜、好きなんですか?」
後ろから声をかけられ、振り替えると、そこには桜のような見た目をした女性がいた。
「別に好きじゃないです。ただ綺麗だなって思って見に来ただけで……」
俺は正直に答える。
「知ってる?桜って、満開になってから10日から二週間で散るんだよ。儚くて美しいよね」
初耳だった。そんなに早く散るなんて。なんて儚くて美しいんだ。
「私は桜と一緒に散るんだ」
彼女は言う。俺は理解できてない。
「は?どういうこと?」
そいつの顔を見る。
「そのままの意味だよ。私は10日後に死ぬんだ。……別に知らない人が死ぬなんて、どうでもいいよね」
知らない人でも、急に死ぬなんて言われたら、どうでもいいわけないだろ。しかも10日後に死ぬとか、桜と一緒に散るとか、気になることしかない。
「君は死にたくて死ぬのか?怖いとは思わないのか?」
疑問に思ってたことを口にする。
「死にたくないし、怖いよ。でも、これは決まっていることで、私の運命さだめなの」
理解できないが、この人を助けたいと思った。
「なぁ、したいことあるなら言ってくれ。俺が協力してやる」
その人は、口をぽかんと開き、驚いていた。
「ありがとう。でも、その気持ちだけ受け取っておくよ。だって、貴重な春休みを私なんかのために使いたくないでしょ?」
今までの俺ならここで退いていただろう。しかし、俺は楽しいことがしたい。この人といたら楽しめる気がする。
「俺は、退屈な日常に飽きていて、暇なんだよ。君に協力することで、僕も楽しいかもしれないからさ、俺と春休みを楽しもうぜ!」
そういえば名前を聞いていなかった。
「君、名前は?俺は花崎晴斗はなさきはると
急にこんなことを聞かれたからか、その人は沈黙した。
春川紗倉はるかわさくらです。」
春っぽい名前だなと思った。
「花崎さんは、10日後までにしたいことはある?」
俺は別に何でもいい。少しでも楽しければいい。
「あ、呼び捨てでいいよ。したいこと……デートとかかな?」
デート!?そんなものしたことねぇぞ!?どうすればいいんだ。
「別に嫌だったらしなくてもいいよ」
春川が悲しそうな顔をしている。俺が先に春休み楽しもうって言ったくせに、ここで断ったらダメだろう。それに春川、清楚系で可愛くて一緒に居たいって思うし、正直に言うとデートしたい。
「……10日間、ずっとデートしよう。俺も実はしたかったんだよ。彼女が出来なくて、寂しかったから」
この発言に対して、キモいと思われてないか。こんなことを気にするなんて久しぶりだ。この感情って恋だっけ?もうずっと前のことだから覚えてないや。確か、その時もこの桜の下で……
「花崎、大丈夫?」
俺は考え事をしていた。夢から覚めたような状態になっている。
「あぁ、大丈夫。ちょっと昔のこと、思い出していただけだから」
春川は不思議そうな顔をして聞いてきた。
「どういうことを思い出したの?」
正直に答える。
「数年前、この桜の下で可愛い人を見て、一目惚れして……」
へぇ~、と興味無さそうに思ってそうな顔をしている。
「それじゃあ、もう遅いし、帰ろうか」
春川に言われ、時計を見る。いつの間にか18時を過ぎていた。帰り道、春川の顔が頭に浮かんで離れない。なぜだろうか。春川とは今日、初めて出会っただけで何もないはずなのに、どうして春川の顔が頭から離れないんだろう。夕食を食べ、ベッドに寝っ転がる。なかなか寝れなかった。頭の中に、あの人の顔が浮かんで。

__数年前の桜の木の下で
    起きたことの夢を見た。

桜を見上げている少女がいる。綺麗で可愛い少女だ。
「なあ、桜の何がいいの?」
俺は少女に声をかけた。
「えっとね~、咲いている時って綺麗じゃん。落ちてくるのも綺麗なところかな?」
少女は桜の魅力を語る。
「散る時も綺麗なのが魅力ってことか?」
俺は少女に問いかける。
「うん。お母さんから教えてもらったんだけど、桜って満開になってからすぐに散っちゃうんだって。それもいいよね」
この頃の俺には分からなかった。儚さの美しさが。それよりも、俺が忘れていたことがあるじゃないか。この時に、桜がすぐ散ることを知っていた。

Re: 桜はすぐに散るから ( No.2 )
日時: 2024/03/19 20:47
名前: 黒百合 (ID: SGjK60el)

太陽光がカーテンの隙間から差し込む。朝になったのか。昨日のことは夢だろうか。桜と共に散る女、春川紗倉。あれ、俺の家のカーテンってピンク色だっけ?ピンク色の布団……ここ、俺の家じゃねぇな。
「おはよう」
囁くような小さい声で呟かれる。突然、綺麗な声で呟かれたので、俺は何も言えずにいる。
「花崎、朝だよ。起きてよ」
体を揺さぶれて、目が覚める。なぜ朝起きたら春川がいる?
「なんで居るんだ?」
は?というような表情で春川は俺を見る。
「私の家だから、私は居る」
確かにそうか。じゃあ、なんで俺がここに居るんだ?
「なんで俺がここに居るんだ?」
人の家に俺が勝手に入った?いや、それはないか。
「昨日のことは覚えてる?」
昨日……春川と出会って、10日間デートすることになって……。
「覚えてる」
春川がほっとしたような表情になる。
「昨日の花崎、途中からずっと上の空だったからさ、心配してたんだよね。それで急に倒れて、動かなくなったから、私が背負って、家まで連れ帰ってきた」
連れ帰ってきてくれたのか。
「春川、ありがとな」
ちょっと待てよ。俺と春川の身長は7cmぐらい差があると思う。そして体型は、どっちも痩せている。ということは、春川って、思っていたより力持ち?
「もしかして、春川って……力持ち?」
あ、こんな発言していいのか?デリカシー無いよな。傷つけたかもしれない。
「凄いでしょ。私、力に関しては自信があるんだ。花崎のこと、持ち上げられるぐらいの力はあるよ」
良かった、全く傷ついてなさそうだ。
「目、覚めてる?眠そうだけど……疲れてるなら寝てもいいよ。私の家だから好きにしていいし」
俺、女の布団に入っているのか。早く起きなきゃ。勢いよく布団から出る。
「起きたね。デート行こうよ」
そうだ。デート!忘れていた。
「どこに行くんだ?」
どこに行くか、決めてなかった。
「デート先、考えてない男はモテないよ」
冷たい目をして言われ、普通に傷ついた。すると、すぐに春川は笑顔を取り戻した。
「ねぇ、遊園地とか、行ってみたくない?遊園地でイチャイチャして……」
キラキラした目で、こちらを見てくる。遊園地か、悪くない……むしろ良い。
「行くか、遊園地!」
と言っても、チケットあるのか?買わないと行けなくないか?
「チケットある?って思ったでしょ。心配しないであるから。ペアチケットがここに。カップルなら、なんと二人で合わせて200円」
途中から通販番組みたいだな。安すぎだろ。カップルなら……カップル!?
「よし、行こう!」
水色の電車に乗って向かうことにした。窓の外に見えている景色を見つめている。これから俺は初めてのデートをするんだよな。そう思うと、緊張してきて拳を握りしめた。俺ならきっと春川を幸せにできると強く思い込むようにしている。

__まもなく、桜川崎町さくらかわさきちょう……桜川崎町。※創作の地名

電車のアナウンスが聞こえる。ついに着いてしまった。俺は春川の左手を握って、電車から降りる。春川の手の温もりが俺の心を暖める。
「私たちが住んでいる場所より空気が良いね」
春川が深く息を吸う。駅から少し歩いて遊園地に着いた。
「わぁ~。メリーゴーランドや観覧車とかあるじゃん。早く行こうよ!」
いつもは大人しい春川が、はしゃいでいる。春川に手を引っ張られて、俺たちは走る。春川が幸せになれるなら、それを支えるだけで俺は満足だ。メリーゴーランドやコーヒーカップなど定番のアトラクションに乗った。気づいたら、もう夕方だ。時計を見ると、5時だった。
「え?もうこんな時間?楽しいことは、すぐに終わっちゃうね」
楽しいことは、すぐ終わる。春川と過ごす時間も楽しいけど終わってしまうんだな。電車に乗って、俺たちの住む街へ帰る。
「バイバイ、春川」
明日も春川と過ごせたらいいな。服の袖を掴まれる。
「待って。一人じゃ寂しいから……私の家、来て」
恥ずかしそうに言っている春川が可愛すぎる。春川の家に着いた。
「よし、寝ようか。花崎がベッドで寝ていいからね」
この家に入らせてもらっている俺がベッドで寝るなんて。
「いいよ。春川がベッドで寝て」
それからどうぞどうぞと譲り合っていたが、春川がベッドで寝ることになった。俺は床で寝ることにした。明日からも春川が笑って過ごせますように、そう思いながら、俺は眠りについた。


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