コメディ・ライト小説(新)
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- 記憶の本棚を辿る 第一章
- 日時: 2024/04/03 11:29
- 名前: 瀬戸ありあ (ID: 4.2P0hz.)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=13934
初めまして。
瀬戸ありあです。
今回、初めて一つの作品を書いてみようと思います。
三日坊主で終わらぬよう、頑張ります(笑)
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ソラは、真っ暗な不思議な空間にいた。でも、全然恐怖も不安も寂しさも感じなかった。今まで何度もそんなことがあったわけでもないが、なぜだかこんなにも真っ暗なところにいるとワクワクして、体の奥の奥から何かが溢れ出すような感覚になった。それとともに、ソラは戸惑っていた。何も覚えていないのだ。何もというよりは、存在したはずの自分の言動や思い出がどこかへ飛んでいってしまったかのような状態だった。かろうじて覚えていることといえば、自分の名前、年齢、性別くらいだった。簡単にいえば、自分以外の全てのものがわからなくなったということ。しばらくソラは真っ暗闇で何も考えずに漂っていた。しかし、すぐに少しずつのことを思い出してきた。なんだか、頭の上から何かが注がれていくように、少しずつだがたくさんのことを思い出した。ただ、思い出せたたくさんの出来事は、どこかおかしかった。思い出せるところが少ないだけなのか、途切れ途切れにしかわからない。つい最近のことを思い出そうとすると、泡のように記憶が消えていった。頭の中の出来事が消えると同時に、今ソラがいる空間は徐々に真っ暗闇ではなくなっていった。明るくなったと思えば、ぷつりと頭の上から音がした。もうそろそろ眩しくなって、ソラは目を閉じた。何も見えないけれど、シュルシュルという音とともに自分の体が勢いよく回転していることはわかった。
やがてその感覚も薄れていき、明るさも治ったと考え、目をゆっくり開けた。まず最初に目に入ってきたのは、たくさんの本が並んだ木で出来た戸棚。
「こ、ここは、図書館?」
不思議と、記憶はなかったが知能はある程度もっているようだった。たくさんの本棚。とっても大きな図書館だなあ、とソラは一瞬思ったが、そもそもここはどこなのかわからなかった。とりあえず、探検しようとして、ソラは椅子から立ち上がった。すると、目の前に人がいることに初めて気づいた。目が少し茶色くて、肌が白い。目の前の女の子は同い年くらいで、綺麗な顔をしていた。ソラの方をじっと見つめている。ソラも女の子の方を見て、目が離せなくなった。
「あなた、だあれ?」
ソラが女の子に話しかけようとするより先に、女の子が話した。ソラが思っていることを女の子も思っているようだ。初対面で、見たことのない女の子。まあ、どちらにせよ記憶はないのだけど。
「私、ソラ。あなたは?というか、ここはどこなの?」
ソラが話している時、もしかしたらそれよりも前かもしれない。女の子はずっと瞬きをしなかった。綺麗な茶色の瞳と、長いまつ毛、真っ白な肌。もしこの状況が現実世界なら、羨ましいと思っていたと思う。というよりは、誰もが目を離せないような不思議な魅力を持っているようだった。
「私、ヒナ。ソラは、ここを知らないの?」
ヒナは不思議そうにこちらを見つめ、ほんの少し首を傾げた。
「知らないわ。それよりも、何も覚えてないのよ。」
「ああ、そうだったね。とにかくそんなことはいいから、本を読んでいていいよ。私も読むから。」
ヒナはそれだけ言って、本棚の遠くへ消えていってしまった。なんて無愛想な子なんだろう。必要ないのなら。できるかぎり関わりたくなかった。ヒナがまた現れたと思えば、聞きたいことがあったらなんでも、とだけつけ加えて、またどこかへ消えていってしまった。
ソラは、言われた通り本をしばらく読んでいた。「広い心で」「いつかはまた」「妹なんて大嫌い」ソラのような年齢のための本ばかり並んでいる。でも、中身を見てもよ全然興味がわかなかった。そこで、ソラは最初に決めた通りこの図書館を散歩することを決めた。この部屋の中は、本棚がたくさん円形に並んでいて、中心に大きな円形の鏡のようなもの、それを囲って小さな円形の机がいくつかあるだけだった。でも、中心にある鏡はものを映し出すことはなかった。除くと、2人の幼い女の子が遊んでいる映像が流れていた。これをヒナに聞こうと、ヒナを目で探した。
「あ、これのこと?」
探していると真横から声がした。ソラは驚きでぴょこっと飛び上がった。
「ごめんなさい。驚かす気はなかったの。これはね、この図書館がある意味を映し出しているの。」
「じゃあ、ここにきて本をたくさん読んだ女の子なの?」
きっと、ここにきた人々が感謝の動画を送ってきているのだろう。
「いいえ。ここにはあなたと私しか来ないの。」
ヒナはまたそれだけいって、どこかへ消えていった。まだ不満と疑問を抱えながらも、探検を再開した。ぐるっと本棚の周りを回っていると、たくさんのことに気づいた。ソラはヒナを呼び出して、たくさんのことを話した。
「ここには窓がないのね!それに、ここには天井にドアがあるの!面白いわ!」
ヒナは一瞬戸惑った顔をしたが、すぐに普段の表情に戻った。
「ソラ、探検したの?そう。なら別にいいわ。暇ならここの本を読んでいて。」
ヒナはそれだけ言って、またどこかへいってしまった。でもソラはやっぱり本を読む気になてなかった。そうなったら、題名に興味のある本だけを机に置いてちょっとずつ読もうと思った。ソラは本を集め始めた。ここがどこかも、自分がなんなのかもわからなかったが、全然心細さも寂しさも感じなかった。この後起こることも想像せずに。