コメディ・ライト小説(新)

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月下美人の咲く夜に
日時: 2024/06/27 08:09
名前: ね仔 (ID: 0j2IFgnm)


私は俗に言うカースト下位に属する者で生まれてから15年間その立ち位置が変わるような、少年漫画の主人公のような出来事など起きたことがない。
だからと言っていじめられているというわけでもないし環境に恵まれていないわけでもなくただ平凡に毎日を過ごしている。

そんな私の一日は朝の4時から始まる。
 「おはよう。綺麗に咲いてきてるね〜」
と花壇に植えられた花たちに話しかける。

私の唯一の友達はこの花たちだ

Re: 月下美人の咲く夜に ( No.1 )
日時: 2024/06/28 16:13
名前: ね仔 (ID: PST93anq)


「うわ月下美人だ。これ青谷あおやさんが育ててんの?」

突然声がして後ろを振り向くと見覚えのあるすらっとした背の高い男の子が立っていた。「うん私が育ててるけど、ごめん何君だっけ」申し訳ないと思いつつ名前を聞く。私にはこんな明るい男友達どころが今まで一人も友達らしい友達なんて出来たことがなく人の名前を覚えるのが苦手と言うこともあり、すぐに名前を思い出すことが出来なかった。
「そりゃそーっすよね俺この前転校してきたばっかだし」と言って彼は愛嬌のある笑みを浮かべていた。

「俺、長谷川はせがわ椿つばき青谷杏あんずさんだよね」

「椿。いい名前だねお花知ってるの?」

すると彼はしゃがんで月下美人の花に近づいて先程とはちがって優しく微笑む。その横顔がどこか哀しそうに見えた。

「うん、月下美人とか特に。時間決まってるその時しか見れない花ってすっげえ良くね?ちっちゃい頃から好きなんだ」

ぱっと表情を明るくさせると楽しそうに話し始める。植物が好きな男子は見かけることが少ない。この子なら話を聞いてくれるかも、なんてまだ話し始めて数分しか経っていないのにそんな雰囲気がした不思議な男の子だった。

Re: 月下美人の咲く夜に ( No.2 )
日時: 2024/08/08 17:56
名前: ね仔 (ID: PST93anq)


 「ねえ杏さんってなんで花育ててんの?」

そう問われるとパッと答えを出すことが出来なかった。私はなぜお花を育てているのだろうか、単純に綺麗だから、美しいから、可愛いからなんてそんな理由では無いのは確かだ。ただ言葉ではどう言い表せばいいのか分からず少し戸惑ってしまう。

「 落ち着くから、かな。」

結局在り来りな答えになってしまった。自分に語彙がもう少しあればちゃんとした答えを出せた気がするのに、と少し惜しい気持ちになる。

 「わかるわかる!俺はね頑張って生きてる姿を見るのが好き。花って俺らみたいにはっきりと心臓があるわけじゃないけど命!って感じすんじゃん?」


頑張って生きている姿
そうだ私は植物の生きている姿に惚れたのだ。学校の片隅でたった一輪咲いているパンジーを見つけた時からお花を育てるようになった。1人でに咲いている姿がどこか私みたいで。

「おーい杏さん??だいじょーぶ?」

「あ、うん。素敵だね」

ふっと笑みがこぼれる。久しぶりに口元をゆるめた。一体いつぶりだろうか、楽しい嬉しいもっと椿くんと話したい、心が一気に明るくなる音がした。


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