コメディ・ライト小説(新)
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 私と天川くん。
- 日時: 2024/06/29 01:08
- 名前: すずかぜ。 (ID: uumkjDES)
その人との出会いはなんともない普通の出会いだった。
春休みが終わり、新学期になり、学年が上がり、親友とクラスが同じになり心の中は喜びで満ち溢れていた。でも、喜びで満ち溢れるのと同時に、前回のクラスでいわゆる「いんキャ」だった私はこのクラスに馴染めていけるのかが不安だった。
実際にこのクラスにはとても元気なよいバカみたいな男子、真面目で運動もできる文武両道な陽キャ、コミュ力お化けな女子など私の苦手なタイプが集結したようなクラスだった。ちなみに親友は私と同じような「いんキャ」ってやつ。
新しい教室に移動して新しい担任の先生の話が始まるのを待っていた時だ。
新しい担任の先生の元気な声が教室中に響いた。
先生の隣には見知らぬ男子がいた。
「みなさん!私たちの学校に新しい仲間がやってきました。では、自己紹介をお願いします。」
先生の隣にいたその男子は透き通るような声でこういった。
「初めまして。この学校に転入してきた、天川想です。よろしくお願いします。」
あまかわ、そう 私はその人に引き込まれた。
周りの人たちも息を呑んでその人を見つめていたのがわかった。
透き通るように白い肌、クリッとした大きな目、そして少し毛先がくるくるしている髪の毛。
これはいわゆる可愛い系イケメンというやつか?
私は初めて見る可愛い系イケメンに衝撃を受けた。たが、もっと衝撃だったのはそこからだ。
新しい担任の先生は、教室を見回して、こういった。
「おし!天川の席は、お前!えーと…、天野!お前の隣だ!」
え!?初めて見る可愛い系イケメンの隣の席だと!?
あ、申し遅れました。私天野優花と言います。あまの、ゆかです。新小6です。
そんなことはさておき、さっきの可愛い系イケメンについて。
今日は情報量が多いな。
えと、まず、…。
小学六年生になった→転校生が来た→可愛い系イケメンだった→席隣だった。
おおぉ。さっき話したとおり、いんきゃの私にとっては大ニュースだぞ!?
「じゃあ、天川。席はあそこだ。席替えは学期の最初にやるから、1学期中はずっとあそこだ。」
おぉ。1人で脳内会議をしていたらなんか色々終わってたっぽい。
「はい。」
あまかわそうはそういった。
とんとんとんとん
あまかわそうはそんな音をたてながら私の隣の席に座った。この時、クラス全員の目線はあまかわそうに向いていた。
「天野さん?だよね?よろしくね。」
あまかわそうはいった。
「え、あ、あ、うん!よろしくぬぇぇ!」
やばい。コミュ障で正直、人と話す機会があまりない私は見事に噛みました。
「ぷっ!!!あはははは!!!きみおもしろいねぇぇ。」
「なっっっ!!!初めましての人にそんなこと言うとは!失礼な!」
「ごめん。ごめん。でも、あははは。ふつーあんなとこで噛む???」
「知らんよ。たまたま私があそこで噛んだだけでしょ?」
「あ、そーそー。この話題は置いといてさ、天野さん下の名前教えてよ。」
「私はね、天野優花。あまのゆかだよ。」
「へー。俺天川想。想って呼んでいいよ。俺も優花って呼んでいい?」
えっ!!!あまかわそうって自分のこと俺呼びなんだ。可愛い見た目とはまた違っていいぃ〜!!
「いいよ。でも、わたしは呼び捨ては少しハードル高いからそうくんって呼ぶね。」
「おけおけ!!!」
こんなやりとりをしていたら新学期の不安なんて吹っ飛んでしまった。これからの学校生活楽しみかも!
しばらく、あまかわそう、いや、そうくんと他愛もないやりとりをしていたら新学期のとある1日なんて一瞬で終わってしまった。
次の日。今日は新学期にも関わらず一発目から6時間授業です…。
がんばる!!
「お!優花おはよ。」
「そうくんおはよ。」
こんな言葉を交わして席についたが、私の隣の席はコミュ力がお化けな女子に占領されていた。
そうくんはコミュ力がお化けな女子に囲まれていた。
まぁ。そらそうだな。
それからは、朝の準備を終えて、私の親友、大崎さくらと話していた。
好きな漫画の話、テレビの話、嫌いな授業の話…。
たくさんの話をした。
リーンゴーンカーンコーン
チャイムが鳴った。席につかねば。
さくらと離れて、自分の席に戻る。
そうくんの先はまだ女子に占領されていた。あれから20分くらい経ったのにね。
苦笑しながら席に着く。
女子はチャイムが鳴ったことに気づき、自分の席に戻って行った。
「いや〜。参ったよ。」
「大変そうだね。」
「うんwちょっとびっくりした。」
こんなやりとりをしながら先生を待ち、ホームルームも終わり、授業だ。
授業はあまり変わらなかった。
でも、算数の時、問題がわからず、苦戦していると、隣にいたそうくんが教えてくれた。
その時手が触れ、男子との交流が少ない私にはすごくドキドキした。
「優花、ここはさ、公式に当てはめて考えるんだよ。」
とそうくんがいったときに、教科書に置いてあった私の手とそうくんのてが重なった。
手が重なったのはほんの数秒なんだろうけど、そうくんの鼓動がすぐそこで感じ、すごくドキドキした。
その時間が私にはとても長かったように感じた。
その後はそうくんは何事もなかったかのように教えてくれたんだけど、あんなことが初めてだった私にとっては頭の中はそのことだけで算数の内容なんて頭に入ってこなかった。
「どう?わかった?」
「あ、うん!」
咄嗟にそう答えてしまった。(その後、家できちんと復習をし、しっかりわかる状態です!)
授業が終わり、休み時間。
またそうくんは女子に囲まれている。
…でも、なんだかさっきと違い、心の中でモヤモヤが発生している。男子を見てこの気持ちになったことなんてなかったのに。
休み時間が終わっても、この気持ちがなんなのかはわからなかった。
そうくんを見るたびのドキドキするし、女子と絡んでるとモヤモヤする。
この気持ちはなんなのだろう。
こんなことを考ていたら、気づけば下校だった。
こんなことは初めてだ。
まぁ。とりあえず下校の準備をして…。
ホームルームが終わって、
「さようなら!!」
と挨拶をして…。
帰って…。
なんだか何をしても上の空だ。
「優花ーっ!」
後ろから声がして振り返るとそうくんだった。
心臓がキュッ!っと締め付けられた。なんだか甘酸っぱいな。
「一緒に帰ろ!」
すごく可愛い笑顔…。かわいい。
「いいよ。」
「ねーねー俺さ、明太子大好きでさ。」
「明太子⁉︎美味しいけど。」
「そんな驚く?」
なんかそうくんと話していると楽しい。このまま2人だけでずっと話していたい。
「あ、じゃ!俺こっちだから。」
「じゃね!」
「じゃあな。」
いや、この感情は一体なんなのか。
そんなことを考えながら家路についた。
しばらくあまかわそうにキュンキュンさせられる毎日が続きそうです。
私、天川優花がこの感情の正体に気づくのはもっと先になりそうです…。