コメディ・ライト小説(新)
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- 音楽の子1
- 日時: 2024/07/15 22:57
- 名前: 天照和子 (ID: ZZRB/2hW)
ー『音楽の子』
それは,この国ができた頃から伝わってきたもの。
ー『癒しを奏でる者現れし,災いをもたらす者現れし。伝説の笛"foul the healing"を奏でる者より,漆黒の闇は消滅する。しかし,音を出す度にその者の生気は削られる。その者を"音楽の子"と呼ばん。』
こんな伝説がある。いつかは分からないけど,いつか起こること。そう信じられてきていた。それを耳にした時は驚いた。緑が生い茂っていて,こんなに平和なこの国に災いが起こるなんて信じられなかった。音楽の子って誰なんだろう?私達のために,命を賭けて闘うなんて・・・。その時はまだ,他人事のように思っていた。でも,まさか,音楽の子がー
※
チュンチュン チュチュ チチチ
窓から入り込む朝日。昨日は遅くまで起きていたから,まだ起き上がりたくないのに。
「アイル様,おはようございます。今日はテネブラエ家がお越しいただきますので,準備をお急ぎ願い申し上げます。」
フッと日差しをさえぎる影。声をかけてくれたのは,侍女のヒリア。なぜこんなに急いでいるのかは,大体想像がついた。なぜならー
「アイル様が遅いとユエル様の印象が傷ついてしまいます。全然似ていないのに,双子だからと勝手にアノル様と一緒にされて、、ただでさえユエル様に迷惑をかけているに。」
そう。ここの侍女や執事は皆,ユエル様一筋なのだ。双子なのに全然似ていない私ーアノルと弟のユエルは,生まれた瞬間から雲泥の差があった。私が唯一存在を認められたのはほんの一瞬。私が生まれた瞬間だ。すごく喜んでくれていたのに,直後ユエルが生まれた瞬間ー私の存在は忘れ去られたかのように,ユエルしか目に入らなくなったそうだ。私は小さかったから記憶はないけれど,その時を微かに覚えている気がした。ユエルは成長するにつれて美しくなっていき,使用人への対応が丁寧で,なんでもできた。1歳で言葉を覚え,2歳でたくさんの言葉を使いこなし,5歳では勉強もできるようになり,10歳では5カ国語が話せるようになった。周りはそんなユエルを尊敬し,支え,居心地様過ごせるようにといつも張り切っていた。それに比べて私は,言葉を覚えたり勉強ができるようになったりしたのは,いつもユエルの後だった。だから,いつも見放されていた。でも,物心つく前からそばに誰もいなかったから,寂しくも憎しいともなんとも思わなかった。むしろ,これが普通なんだと思う。ユエルのことは好きだし,私自身もユエルのことをとても尊敬している。だから,使用人たちがユエル様一筋になるのは仕方がない。そう思っている。
私がむくりと起き上がり,準備に取り掛かったのを見ると,「まったく,ユエル様に恥をかかせてもいい立場になれるなんて,アノル様には100万年も早いのですから!」と言いながら,ヒリアは私を睨みつけながら部屋を出ていった。私は大きく伸びをして息を吐いた。
チュン チュン チチ チュンチュン
外では小鳥が鳴いていて,そよそよと風が吹いている。なんて気持ちがいいんだろうか。平和な街を照らし,,暖かな日差しがこの国を包み込んでいる。草や木々が風に揺れる音。パンやお菓子などの甘い匂いに,木や水の自然の匂い。こんなに平和なのに,あんな残酷な伝説が存在するなんて,いまだに信じられない。そう思っていると,どこかから馬車の音が近づいてきた。その時,テネブラエ家が訪れることをはっと思い出す。
「急がなきゃ!」
そうして慌てる私であった。
※
「ダーン皇帝様,お久しぶりですね!ようこ
そおいでくださいました。」
「ああ,お久しぶりです,アライド皇帝!急
に訪ねてしまって申し訳ございません。」
大広間の二階から見下ろすと,すでにテネブラエ家が到着していた。この国の隣の国がテネブラエ国。テネブラエ家はテネブラエ国の王家だ。テネブラエ国の陛下がダーン・テネブラエ様で,お父様・アライドととても仲がいい。王妃様,長男のルイ様,長女のユアン様,次男のセイル様もいらしている。どうやら一緒に朝食を食べるらしい。遠目からぼーっと見ていると,こんな話が聞こえてきた。
「そういえば本日は,ユエルを慕う国民の希望で,深夜パーティーを行う予定でしたねえ。もしよかったら,テネブラエ家の皆様もどうでしょうか?」
「おお!それはいいですね。ぜひ参加させていただきます!ところで,ユエル様には双子がいると聞きましたが・・・,それは本当なのですか?」
ーえっ・・・テネブラエ皇帝様は,私のこと知らなかったんだ・・・。そうよね,一度もお目にかかったことがないんだから。
「え?ああ,本当ですよ。」
王妃様やルイ様たちも驚いて目を丸くしている。誰も,私のこと知らないんだなと実感したからか,感じたこともないような感情が押し寄せる。
これは,寂しさ?
ーまさか・・・!今まで何も思わなかった私がそんなわけ・・・
「そうですか!双子ならきっと,ユエル様のようなお美しい方だと予想できますねえ。」
どきん
期待されてる・・・!どうしよう,これじゃあ皇帝様に会った瞬間,ユエルたち王族に傷をつけてしまう・・・!だが,お父様にどう言われるかの方が気になって,それどころではない。お父様が口を開いた瞬間ー
「いやあ,アノルはユエルと違ってー」
否定的な言葉が聞こえた瞬間。
パタパタパタパタ
悪く言われるのには慣れているはずなのに,なぜか怖くなって逃げてしまった。だが,すぐに後悔した。あのあとお父様はなんと言ったのだろう。その時のテネブラエ家の皆さんの反応はどうだったのかな。きっと失望したに違いない。そう思ったらなぜか,涙が滲んできた。なんで,なんで・・・!慣れてるはず。慣れてるはずなのに。こんな感情は初めて・・・!「どうして」が多すぎて混乱してしまい,部屋に入るとベッドに倒れ込みそのまま眠ってしまった。
がたがたがたー
「う・・・うん・・・?」
窓が揺れるような振動に目を覚ました。はっと起き上がり窓を見ると,青白い光を放つ満月が浮かび上がっていた。
「夜・・・?はっ!」
テネブラエ家がきたことで急遽決まった貴族パーティーが企画されている。そのパーティーが現在の夜であることを思い出す。がばっと起き上がるが,もう既にパーティーは始まっているだろう。これから遅れていけばきっと,お父様や他の貴族から非難されてしまい,ユエルにも迷惑をかけてしまう。初めてお目にかかるのだから,遅れてしまえば余計に訝しげに思われてしまう。というか,そもそも私は招待されているのだろうか?パーティーは始まっているのに,誰も呼びに来ないのなら多分,参加は認められていないということになる。よかった。これで遅れて行ったらどうなったか、、、後先を考えるとぞっとする。私は窓を開けて夜空を見た。真っ暗な闇色の空の中に,青白い光を灯した満月が浮かんでいる。ぼーっと見ていると,不意に感じた。あの満月から何かを感じる。じっとみていた瞬間ーふわっ 光る何かが降ってきた。びっくりして窓を閉めようとしたが,間に合わず,頭からふりかぶった。すると,意識が遠のいていきー
音楽の子2へつづく
- Re: 音楽の子1 ( No.1 )
- 日時: 2024/07/20 09:36
- 名前: 天照和子 (ID: UQpTapvN)
こんにちは。何かご意見がある方,アドバイスが欲しいです。よろしくお願いします🙇♀️面白くないならその理由を兼ねてお願いしたいです。今後の創作活動に活かしたいと思います。よろしくお願いします。
- Re: 音楽の子1 ( No.2 )
- 日時: 2024/07/20 10:52
- 名前: 青リンゴ(*゚▽゚*) (ID: 3KWbYKzL)
もしかして。。作家でごはん!と言うサイトにも投稿してましたか、、?
僕、そのサイトにもいるんですけど、、同じのがあって、面白いなと思ってまして。。
- Re: 音楽の子1 ( No.3 )
- 日時: 2024/07/21 08:10
- 名前: 天照和子 (ID: SQ5s5iz7)
はい!作家でごはん!に,投稿した作品ですよ。いずれ訂正版を出すつもりなので,良かったら読んで欲しいです!!よろしくお願いします。ありがとうございます。
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