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コメディ・ライト小説(新)
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- 明日の風と昨日の君 第三話
- 日時: 2024/09/22 08:22
- 名前: 白石せきう (ID: Id2v7qO.)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=14025
第三話 右腕
その日の夜、僕はまた夢を見た。
夢の中にまたいつもの少女がでてきたが、
今日はいつもと違った。
「ねぇ、気づいて、私はここにいる」
いつも彼女が言っているこの言葉。
「君は誰なの?」
僕は、初めてこの夢の中で彼女に
話しかけることができた。
今まで、糸で縫い付けられたか、ボンドで
くっつけられたかのように口が動かせなかったのに。
「え?」
彼女もびっくりしている。
僕が話したことに驚いているのか、
近くに僕がいたことに驚いているのかわからないけど。
「話せるの?どこにいるの?もし私が見えてるなら、
私の近くに来て、腕を引っ張って。」
どうやら両方だったようだ。
僕は彼女の前に歩み寄る。
今まで足も動かせなかったのに、スムーズに動く。
この至近距離でも、彼女の顔は見えなかった。
彼女の右腕をつかむ。細くて白い腕。
そして、自分の方にぐいと引っ張る。
はっ と、彼女が息をのむ音が聞こえる。
「今まで私の夢にでてきて、私を呼んでいたのは、君なの?」
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