コメディ・ライト小説(新)

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だから今日も嘘をつく
日時: 2025/01/03 20:33
名前: ミセス好きの青りんご (ID: 3iZuTr1t)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=14076

この世界は嘘だらけ。今、誰かが口にしているその言葉も事実か嘘かなんて本人にしか分からない。だから私だって、嘘の一つや二つぐらいついても良いと思った。でもそのせいで本当の自分を忘れるとは思わなかった。

contents
1嘘で塗り固めた私
2本当の私
3この気持ちは本当?
4幸せな時間と不幸な時間
5だから今日も嘘をつく
6初めての事実

character
桜井さくらい乃愛のあ 岸本きしもと陽輝はるき 金本かねもと美彩希みさき
峯岸みねぎし愛結幸あゆさ 小南こみなみ陽葵ひまり 山西やまにし颯太そうた
柏木かしわぎ蒼斗あおと

1嘘で塗り固めた私

教室中に響き渡る声。
規定より10センチは短いスカート。
分厚いメイクに、耳にはピアス、爪には毎日色を変えているネイル。
緩く巻いたロングヘアの髪色は金に近い茶色。
ふわんと香る甘い香水の匂い。
どこに行くにも、何をするにもみんなで行動し、今日も教室の真ん中で甲高い声を響かせて笑っている。どこからどう見ても完璧な陽キャにしか見えない。いわゆる一軍女子。それが私。
「今日の放課後どこ行く?」
私が甘ったるい声で尋ねると、美彩希みさきがはーいと手を挙げる。
「カラオケしかないっしょー!」
美彩希が言うとみんな首を縦に動かす。同意ということだ。
「じゃあ駅前でいいよね。」
すると隙間から陽キャ男子たちが俺たちも!と話に入ってくる。
「えー?じゃあ、みんなの分も奢ってよねぇ?」
私が言うと男子たちは頬を赤らめ、やったー!とか何とか叫んでいる。
「もちろん陽輝はるきも行くよなー?」
男子グループの1人が尋ねる。すると陽輝と呼ばれた男子がくるりと振り向き、尖った声で
「行かねーよ、バーカ。」
と言い、すぐにスマホに視線を落とす。
「陽輝くん冷たいー!」
とすかさず愛結幸あゆさがぶりっこポーズ。
「こういう女子が1番嫌い。」
そう冷たく言い放ち、席を立った。だけど結局男子が無理矢理、陽輝くんをカラオケへ連れて行くことになり、放課後になった。
「てか暑くね?」
と1人の男子がぼやく。今日は7月の中旬。立っているだけで汗が滲む。
「早くカラオケ行こーよ!」
陽葵ひまりの声と共にみんなが歩き出す。今は昼間の3時。どうやらこのカラオケは夜まで続くらしい。みんながそれぞれジュースや軽食を頼み、どんどん歌を歌っていく。男子は本当に全員分、奢ってくれるらしい。カラオケを出る頃にはいつの間にか空は真っ暗になっていた。
「そろそろ帰んない?」
颯太そうたがぽそっと言いにくそうに言う。
「そだねー!」
みんな賛成意見だ。そしてカラオケを出る。カラオケは冷房が効いていたからか、いつもより暑く感じる。
「ねえ、やばくない?」
コソッと愛結幸が私に喋りかけてくる。
「何が?」
私が聞くと、愛結幸が後ろをそっと指差す。…やばっ。警察じゃん。
【ねえ、みんなやばいよ!警察が後ろからついてきてるんですけどー。乃愛のあ
今遊んでいるメンバーのグループラインにメッセを送る。警察が後ろにいるのに警察がいるなんて大声で言えない。
【なんでだよ!俺ら何にもしてねー‼︎ 颯太】
【まあポリに捕まっても怒られないけどねw陽葵】
【もう11時だから当たり前だろ。陽輝】
【え?どゆこと?愛結幸】
【お前らそんなことも知らずに夜に遊んでたのか?高校生は11時から補導されるんだよ。陽輝】
【へー!そーなの‼︎すごいね、物知りってかっこいい♡美彩希】
さすが美彩希。好きな人へのアピールは半端ない。私もぶりっこしとこ。
【すごすぎー!マジ感動。天才ですぅ!乃愛】
私がそのメッセを送ってすぐに警察が寄ってきた。
「君たち何歳かな?」
髭の濃いおじさんと、真面目そうなメガネをかけた20代ぐらいの男の人。
「えー?なんで私たちに声掛けるんですかあ?」
私が尋ねると
「だって君たち高校生にしか見えないんだけどな?」
そう言って私を上から下までジロジロ見てくる。
「ちょっとそんなに見ないでくださいよ〜!」
明るい雰囲気でごまかそうとすると陽輝くんが私と警察官の間に入り込む。
「こんな時間に出歩いてすみません。でも俺たちみんなバイト仲間なんです。今、バイト帰りで。」
すごっ。普通に上手い嘘に尊敬する。
「嘘っぽいねえ。君たち知らないのかい?高校生は10時までしか働けない法律になっているんだよ。」
どうするの!私がパッと陽輝くんを見るとさっきと同じように冷静な顔つきで警察官をしっかりと見つめる。
「そのことは知ってますよ。でもみんな7時からバイトしてて、晩飯食ってないんですよね。だからファミレスで食事してたんですよ。じゃあ、あなた達は飯食わずに寝るんすか?無理ですよね?」
すごい論破…さっきから感心しすぎてて私がバカなのが分かった気がする。すると警察官の人たちが急に眉を下げ、笑い出す。
「すごいね、君。今回は特別だぞ。じゃあ気をつけて帰りなさい。」
そう言って、警察官の人たちはそそくさと交番がある方へ帰って行った。
「すご…。」
きっと思わず口から漏れた言葉なのだろう。陽葵がこんなに地声で喋ることは男子がいる前では絶対にない。
「いやー、良かったわ!お前誘ってさあ。陽輝がいなかったら俺ら絶対に補導されてたわー‼︎」
蒼斗あおとくんがニカーっと笑う。でもそんなにみんなに褒めちぎられても相変わらず陽輝くんの顔は変わらない。
「でも、やばくない?そろそろ帰ったほうがさ。他の警察に補導されちゃうよ。」
愛結幸がそう言うとみんなはそうだねと言って帰って行った。今まで気づかなかったけど、どうやら私と陽輝くんは帰り道が同じ方向だったようだ。
「さっきはありがとう!」
私が上目遣いでお礼を言うと陽輝くんが急に眉間にシワを寄せ、難しい顔をする。そうして私の顔をジーっと覗き込んで来る。私があからさまにムッとした顔になると陽輝くんが口を開く。
「お前ってさあ、演じてるよな?」
え…なんで…私が口籠もるとさらに問い詰めてくる。
「今日遊んで分かったけど、今俺と喋ってるお前って、本物のお前じゃないだろ?」
図星を突かれ、何も答えられなくなってしまった。そう、私はずっと前から嘘をつき続けてきたー。

2本当の私

「ミーンミンミーン…」
中学2年生の初夏。私はクラスの隅で1人、本を読んでいた。
「ねえ、あいつキモくない?」
私へのいじめはそんな一言で始まった。クラスの絶対的存在の一軍女子に目をつけられその日から毎日のように陰口を叩かれたのだった。なぜ私が目をつけられたのかは分からない。だけどその時の私は今の私とは随分違って、分厚い黒縁メガネに、肩までの長さの髪の毛は二つに分けてしばってある。制服の規定は必ず守り、授業もサボったことが無く、先生や友達に頼まれたことは断れない性格。クラスに1人は絶対にいる隠キャ。私が今までその女子にされてきたことは、まず陰口。キモいとかブスとか根暗とか色々。次に盗み。私が大事にしていたシャーペンや財布など。最後に奴隷扱い。購買でアレを買ってこいとか先輩から金を盗めとか…。さすがに犯罪は犯したくないから自分で物を買ったり、自分の親が一生懸命働いて私にくれているお小遣いからお金を出して、盗んだフリをしていた。そんな自分が大嫌いだった。最初は我慢していたけど段々と我慢の限界が来た。そしてある日プツンと何かが切れる音がした。可愛くなろう。あの子達より。絶対に可愛くなってあの子達より幸せに暮らそう。そう決心した。その日から可愛くなるための猛特訓。まずはこの分厚い黒縁メガネ。それをコンタクトにした。最初は目がボヤボヤして見えづらかったけど、いじめられていた日々よりかはマシだった。次に髪型。いつも適当に二つに分けてしばっていただけだったけどその髪を下ろして前髪も気にするようになった。これでかなり外見は変わっただろう。そしてこの変化の後気づいてしまった。
「か、可愛い。」
私はあの子達よりも可愛かったこと。肌が綺麗だったこと。髪質が良かったこと。他にもいっぱい。
「だから聞いてんのか?」
ハッと我にかえり、現実へ戻される。そうだった。今は陽輝くんに質問攻めされていたのだった。
「な、なんでそんなこと聞くの?別に関係ないでしょ?」
思っていたより強い口調になってしまい、肩をすくめる。
「俺のこと信じてくれてねえんだな。」
「え?」
いやいや、当たり前でしょ。今日初めて遊んだばっかだよ?でも…君にまっすぐ見つめられているその瞳がとっても綺麗で、ついつい口が滑っただけ。本当は言いたくなかった。久しぶりに本当の言葉を口から発した気がする。今まで私は嘘しかついてこなかった。それはなぜ?人に好かれたかったから?いじめをやめて欲しかったから?どれも納得のいく答えではない。もしかしたら…なんて事を考えたけど、その答えが分かってしまうとなぜか怖かった。だから考えないようにしようと思い、頭をプルプルと振った。そして陽輝くんから逃げるように家へと帰った。
「あ、おはよう!」
朝、私がいつもの待ち合わせ場所に行くと愛結幸と陽葵と美彩希が手を振ってこちらに向かって来る。
「お、おはよう。」
いつもより演じられらなくなっている。それはもちろん昨日のせい。
「どしたのー?思いっきり地声なんだけどぉ?」
陽葵にそう言われ、ギクっとする。なんだか昨日から図星を突かれてばっかりだ。
「そ、そう?そんな事ないと思うけど…」
「嘘つかないで、目が泳いでるからバレてるんだけど?」
愛結幸は時々口調がキツくなる。
「え?何か隠してるの?」
今の愛結幸の声と共に、空気がガラッと変わる。これは黙ってられない。
「…って事があってさあ。マジ信じらんないよねぇ。私は嘘なんかついた事ない一軍だよ?」
そう、私は一軍女子。嘘なんかついた事がない。生まれてからずっと陽キャのごく普通の女の子。
「そうだよね!乃愛がそんな事で気にしてるわけないよね‼︎」
陽葵がにっこり笑い、空気が柔らかくなってホッと一息ついた後、背後に気配が。
「な、何で?」
私が目を丸くしていると、美彩希の奥歯を噛み締める音が聞こえてきた。陽葵がなんだか気まずそうに目を逸らす。
「ちょっと何〜?乃愛になんか用でもあるのぉ?」
愛結幸が尋ねると
「いや、ちょっと昨日こいつ忘れ物があったから。」
「じゃあ、ここで渡せば良くない?」
陽葵がそう言うと
「まぁ、ちょっと。ほらこっち来いよ。」
そのまま無言で私の手を引いて路地へ入る。もう私は抗う気力も湧かなかった。
「あのさ、忘れ物とかないでしょ?早く学校行かないと遅刻するんだけど。」
私が尖った言い方をしても陽輝くんは表情ひとつ変えない。
「急で悪いけど付き合わない?」
「は?」
え、ちょっと待ってどういうこと?
「だから、俺と付き合いませんか、って聞いてんの。」
「なんで…?」
「昨日お前が嘘ついてるって分かって、心配になったから。」
は?マジで意味分かんない。でも気付くと私は頷いてしまっていた。

3この気持ちは本当?

「で、どういうことなの?」
ここは昼休みの屋上。誰もいないところでいつものお決まりグループに質問をされている。
「えっと…その…。」
私が口籠もり、あたりがシンとなると美彩希のすすり泣く声が聞こえる。その横には陽葵が「大丈夫?」と声をかけている。
「ねえ、早く答えてくれる?美彩希が可哀想なんだけど。ていうかお前なんかが陽輝くんと釣り合う訳ねえっつーの。分かる?」
なんでこんな事になったんだっけ?あ、そうだ。陽輝くんが悪いんだ。陽輝くんのせいにしたら良いんだ。
「私だって付き合いたくて付き合ったんじゃないし。そもそも陽輝くんが付き合えって脅して来るんだよ?だから私になんで付き合ってるのか聞くんじゃなくて、陽輝くんに聞いた方がいいんじゃない?」
「でも陽輝くんがそんな事するはずないし…。」
美彩希がそう呟いた。
「でも案外、脅すキャラかもよ?」
陽葵はいつもどっちの味方か分からない。結局のところズルい女なのだ。
「へえ。じゃあ陽輝くんに聞いてみるから。」
そう冷たく言い放ち愛結幸と美彩希が屋上から立ち去り、陽葵も待ってと言いながら2人を追いかけていった。
「もう、なんであの時頷いたの…。」
私は泣き崩れるようにしてその場に昼休み中しゃがみ込んでいた。

「え、なんで付き合ったかって?俺が付き合いたかっただけだけど?」
本当にキョトン顔で美彩希たちに話している。ここは放課後の教室。私は隠れて教室の中をのぞいていた。
「で、でもなんであの子なの?ぶっちゃけ言って美彩希の方がか、可愛いじゃない。」美彩希も同意というようにじっと陽輝くんも見ている。
「は?こいつのどこが可愛いの?」
一気に教室の空気がピンと張り詰める。そこから5分ほど沈黙が続いたが美彩希が耐えられないというように泣き崩れ出した。
「っ…なんで、私じゃないのっ…っ!」
「大丈夫?」
陽葵はやっぱり美彩希を助ける。
「でも平気で美彩希の悪口言うやつだよ?そんなやつよりもっと良い男子はたくさんいるよ。コイツ顔だけじゃん。乃愛も所詮顔だけでしょ?だからお似合いカップルなんだよ。うちらは顔だけじゃなくて性格も完璧な男子を捕まえたらいいの。」
愛結幸も納得というように頷いている。
「もう良いよ。アンタに用はない。ていうかこれから顔だけ女とせいぜい頑張んな。」キャハハハと甲高い笑い声で愛結幸たちが帰って行った。
「ブーブーブー」低いバイブ音が、誰もいない廊下に響き渡る。私が教室の扉にへばりついていたからだ。
「やっぱりそこか。」
うわ、バレた。
「お前ずっと盗み見てたのか?」
私が下を向くと陽輝くんが私の頭をそっと撫でた。
「ごめん。俺のせいだ。」
そうだ、お前が悪いんだよ。そのせいで私の高校生ライフは崩れてしまった。でもなぜかお前のせいだと言えなかった。これは君に頭を撫でられたからだろうか。
「今からどっか行かね?お詫びも兼ねて初デート。」
「きょ、今日は用事が…。」
本当は用事なんてない。早くこの関係を断ちたくて仕方がないからだ。だけど…。
「で、でもアンタがそこまで言うなら、行ってやっても良いけど?」
「え、俺そんなにしつこく言ってなくね?あ、なるほど。素直じゃないなぁお前。まあそう言うところも全部可愛くて仕方がねえんだけど。」
そう言ってまた私の頭をクシャッと撫でた。…あの時のカラオケに誘った時の陽輝くんはどこ行ったんだよ。めちゃくちゃ積極的なんですけど。
「は、早く行こうよ。」
そう言って私から手を繋いだ。

「うわあ。超可愛い。」
今は学校から近くのおしゃれなカフェにいる。
「お前、パンケーキなんてクソ甘いのよく食うな。しかもフルーツものってるし。」
「えー。いいじゃん、可愛いもん。」
そう言って私はパシャパシャと写真を撮り始める。これぞ一軍のすること‼︎なはず。
「お待たせしました。」
ここで陽輝くんが頼んだオムライスが到着。そのオムライスの上のケチャップが猫の絵になっている。
「えー!めっちゃ可愛いんだけど‼︎」
そうして私がスマホをオムライスに向ける。すると彼のスマホからもシャッター音が。
「へえ。陽輝くんも撮ってるの?可愛いもんね。」
私が言うと陽輝くんが
「うん。マジで可愛いよなお前って。ていうかくん付けやめろ。」
と言う。
「は?」
ん?私のことが可愛い、ということは?もしかして私のこと撮ってる?
「私撮ってるの?」
「そうだけど、ダメ?」
いやいや、急な子犬系やめてください。めちゃ上目遣いじゃん。心臓爆発しますよ。アンタ、顔はイケメンなんだから。
「早く食べないと冷めちゃう!」
私は急いで口の中にパンケーキを詰め込んでいった。
「ちょいちょい。パンケーキが可哀想だぞ。」
そう言ってオムライスをパクリ…。
「アンタなぜにオムライス?」
「今更かよ、腹減ったからだし。」
マジかよ、コイツやばすぎじゃん。
「え?弁当食べた?」
「うん。弁当っつーか購買で焼きそばパン買った。すごくね?あれ買うの苦労すんだよなぁ〜。」
それ、お昼ご飯ですよね?なのにこの体型…。うらやましいな。そんなことをボーッと考えていると、今度は私のパンケーキをパクリ。ちょっと待てい‼︎
「なんで私の食べるの?え?ちょ、え?」
「うわ、甘すぎ。お前太るぞ。」
え?いやいや、ちょっとどうなってんだよ!
「私の食べないでよ!じゃあ…。…んー!美味しい。」
ここのオムライス最高に美味しい。
「あ、俺の食ったあ‼︎食うなよお。」
「アンタ、たち悪すぎ。」
そんなどうでもいい会話を続けていたらあっという間に時間が過ぎてしまった。
「そろそろ帰ろうか?」
そう言って私の手を繋いでくる。もう恥ずかしさはなくなっていた。そして2人一緒に家路についた。

4幸せな時間と不幸な時間

「あ、おはよう乃愛ちゃん。」
わざとらしく私に愛結幸が近づいて来る。しかもちゃん付け…。
「お、おはよう。」
「今日の放課後どっか遊びに行かない?」
え?私のことを散々言ってたくせに?
「なんて言う訳ないじゃん。お前との関係は昨日で終わり。さようなら。彼氏と一緒にイチャつけば?」
そう言いながら愛結幸が歩いていく。その横で陽葵が
「一人ぼっちの一軍なんて、一軍じゃなくない?あ、うちらのグループから抜けた時点で既に二軍落ちか。」
とかなんとか言っている。女子って怖い。もう私のクラスに居場所はない。これからどうしよう?1人で悶々と考えていると不意に後ろから声を掛けられた。
「おはよう、乃愛。」
「み、美彩希?」
なんで?1番この子が私のこと許してないくせに。
「あのさ、昨日はごめん。私、ずっとあの人が好きだったからついつい泣き崩れちゃって。あ、あの私、これからも乃愛と仲良くしたいんだけど無理かな?」
美彩希…。
「私辛かった。美彩希に泣かれて、愛結幸と陽葵に罵倒されて、苦しかった。でも私が選んだから、仕方ないかなって…。」
「うん、本当ごめん。」
これは信じていいのだろうか?嘘をつかれてるの?遊ばれてるの?分からない。分からないよ。私には決められない…。
「何?彼女に用でもある?」
「陽輝…。」
「お、そうそう。くん付けじゃない方がしっくり来るからなあ。」
そう言ってまた私の頭を撫でる。
「の、乃愛…。」
あからさまに美彩希が肩を落とす。
「えっと…、その…。」
これって私が悪いの?陽輝じゃないの?
「え、もしかしていい感じだった系?」
私はすごい勢いで頷く。
「マジかよ。すまんねえ。じゃあ邪魔者は退散しますか。」
ちょっと待ってよ!私を置いていかないでよ‼︎こんなに気まずい空気なのに⁉︎
「なんかごめんね。アイツ美彩希が好きなこと知らないから。あはは…。」
「いや、別にいいよ。むしろ嬉しいよ。私の仲の良い友達が上手くやってるんだから。」
「そうかな…?」
よく分かんないけどな…。
「とりあえず早く教室行こ?」 
「そうだね。」
また私を騙してるのかもしれない。そう簡単に私の胸のしこりは消えない。だけど、なんでか分からないけど、安心できる気がした。

「さっきの授業難しかったね。」
美彩希から話しかけてきた。
「ていうか愛結幸と陽葵、ずっとこっち見て悪口言ってるね。」
いや、アンタもそうだったでしょ。私はついつい心の中でつっこんでしまう。
「うん…。でも慣れてるよ?」
は?と言いたげな表情で首を傾げて上目遣いをしてくる。
「だって愛結幸たちには色々されたし…ね。」
なんか一軍じゃないみたい。私ってなんで一軍を演じてるんだっけ?
「いや…それは本当ごめん。」
私のせいで気まずい空気が流れてしまった。どうしよう。私がキョロキョロしていると、教室のドアの方からこっち来て、と陽輝が手招きをしている。
「ちょっとごめんね。」
私が席を立つと美彩希が
「どうしたの?」
と声を掛けてきた。
「いや、ちょっとあそこの男子に呼ばれまして…。」
私が教室のドアの所を指さすと、なるほどというように美彩希が頷いた。
「いってら。」
そう言って私に手を振ってくれた。
「どうしたの?ていうか教室じゃダメ?」
「ダメ。他の奴らに聞かれたくない。で、今日の放課後一緒にどっか行かね?」
「え、でも陽輝って今日部活じゃないの?」
陽輝はサッカー部に入っていて、私は美術部に入っている。陽輝はサッカー部でキャプテンをしている。だから私なんかに時間を割く暇すらないって感じ。一方で私の美術部は顧問が優しいから、絵を描きたい時に来てねと言われている。だから私自身、あまり顔を出したことはない。一軍のくせに、部活は隠キャっぽいよね。
「そうだけど?」
「じゃあ部活行かないとダメじゃん。私の美術部は別に行っても行かなくてもどっちでもいいんだよ。」
「よし、決まりだな。」
私の目の前でガッツポーズをとっている。
「いや、だから部活はどうすんの?」
「え?サボるんだよ。」
「は?そんなことしていいの?キャプテンなんでしょ?」
「そうだよ、俺はキャプテンだよ。でもキャプテンだからこそサボっても何も言われないんだよな。」
私が首を傾げると陽輝が
「まあ何が言いたいかっていうと、俺がキャプテンになれた理由は顧問の推薦。でもその時、俺はキャプテンになれるほどの実力は無かった。だけど顧問は俺の性格でキャプテンにしてくれたんだよ。」
と言う。
「と言いますと?」
私が尋ねると
「俺は顧問と仲が良いんだよ。ていうか俺にだけ顧問が甘い。」
と答えてくれた。
「じゃ、じゃあ遊びに行きたい…。」
「どこ行く?ゲーセン?カフェ?」
どこが良いかな?私が迷っていると
「行きたいとこがいっぱいあるんだったら、全部行こうぜ。今日だけじゃ時間が足りなかったら、また今度行けば良いだろ?」
優しいな。私が迷ってることを察してくれたんだ。
「じゃあ、放課後一緒に考えよう。」
私がとびきりの笑顔を見せると陽輝が少し頬を赤く染めながら廊下にいる友達の方に行ってしまった。私もその場にポーッとしていると美彩希が廊下に出てきた。
「何の約束してたの?デート?」
「あ、まあね、今日の放課後どうって…。」
「へえ、良いじゃん!」
美彩希は瞳をキラキラさせている。私のこと本当に憎んでないのかな?そう思ってしまうくらい純粋な眼差しだった。

「えー、じゃあ教科書24ページを開いて…。」
ああ、放課後か…。凄い楽しみだなぁ。
「ちょっと桜井さん?」
えっと…今日はどこに行こうかな…?ゲーセン?カラオケ?いやカフェでも良いよね。
「聞いてるの?桜井さん‼︎」
やっば。呼べれてるの全然気付いてなかった!
「すいません。」
「早く答えなさい。」
「えーっと…。」
どこの答えを言えばいいの?ていうかそもそも何ページ?どうしようどうしよう…。
「はい先生。俺が答えても良いですか?」
「答えるなら誰でも良いわ。じゃあ岸本くん。」
教室の空気が一気にザワつく。そして長かったような短かったような授業が終わった。
「ねえ、桜井さん。」
ヤバ…。絶対さっきのことだよね。しかも普段は二軍女子の大人しいキャラのくせに…。
「な、なに?」
「あのさ、なんで桜井さんが岸本くんと仲良いの?」
「えっと…、それは…。」
「付き合ってるからでしょ?」
フッと勝ち誇ったような笑い方で私の前に現れる。
「あ、愛結幸?」
自分が出したことのないすっとんきょうな声が出てしまった。
「う、嘘…。」
二軍女子は絶句している。そりゃそうだよね。合わないよね、私たち。
「全然釣り合ってないよね、こいつと陽輝くんが。」
愛結幸がそういうと、二軍女子も同意というように軽く頷く。
「ねえ、こいつ抜けたし私たちのグループ入らない?」
二軍女子はパッと表情を変え、元気よく返事をしていた。
「あんたって可哀想。私と立場入れ替わっちゃったね。」
一軍になった途端に、二軍女子の態度はコロっと変わる。
「こいつってこのグループにいる時から目立つからウザかったんだよね。」
どんどん私の悪口は進んでいく。気づくと陽葵も参加して大盛り上がり。私が逃げようとしても
「どこ行くの?乃愛ちゃん。まだ話終わってないよ?」
と言ってくる。早く逃げ出したかった。
「もうやめなよ。」
突然私の前に美彩希が現れる。
「は?何あんた。私たちのグループにせっかく入れてあげてたのに、勝手に抜けて何なの?何がしたいのよ。」
「何がしたいって…。」
私はその言葉の続きを待つ。
「あんたたちなんかと一緒にいるのが嫌だから抜けただけ。特に何もしたくないけど?」
「ふーん、あっそう。まあどうでも良いけど?」
ハハハハと笑いながら去って行った。そして長かった昼休みが終わった。

そしてやっとのことで放課後。甘いパフェを食べながら楽しくデート…だけどパフェの味も、陽輝との会話も全然分からない。
「なあ、聞いてた?」
「え、ああごめん。」
「だからお前って何で嘘ついてたのって聞いてたんだよ。明らかあいつらと合わねえじゃん。」
「そ、それは…。」

5 だから今日も嘘をつく

あのデートの日からまだ答えは出てきていない。陽輝との連絡も絶えているし教室で顔を合わせても、すぐに私から逸らしてしまう。もちろんデートもしていない。
「もう私何やってるんだろう…。」
早朝のベットの上で1人嘆いている。私の気持ちとは裏腹に空は快晴。学校、行かないと。リビングに行きお母さんに挨拶をする。
「おはよう。」
いつも通りのつもりだった。
「どうしたの?乃愛。顔色良くないし、声も暗いし…。」
「だ、大丈夫だって。」
「学校、休んでも良いんだよ?」休む…。そんなこと考えたことなかった。
「じゃあ、休む。」
「分かった。連絡しとくね。」
私はすぐに自分の部屋へ行った。

どれくらい時間が経っただろう。気付くと空は赤く染まっていた。
「え、もうこんな時間?」
そんな日々が何週間も続いた。私は不登校になってしまっていた。何回か担任が家に来たけど、挨拶には行かなかった。お母さんから、愛結幸たちが私のことを心配していたと先生が言っていたと聞いたが、そんなこと嘘だろう。愛結幸たちなんて、私みたいなやつが消えて嬉しがっているに違いない。どんどん学校に行くのが嫌になっていったある日のこと。熱が出て一日中布団に潜り込んでいた。熱が出てなくても布団に潜ってるけど。私がすやすやと眠っていると、不意に頬に冷たい何かが触れた。びっくりして目を覚ますと、制服姿の陽輝がいた。
「あ、悪りい。起こしちまったか?」
「な、何でいるの?」
こんな姿、見られたくなかった。髪はボサボサだし、ダルンとしたパジャマを着ている。
「なんでって…。俺のせいだろ?お前が学校来なくなったの。」
全部は否定できない。しばらくの間沈黙が続く。
「あのさ、私分かんない。」
陽輝は一瞬首を傾げたが私が言っていることが分かったみたい。
「ごめん。余計なこと言っちゃって。」
罰が悪そうに目を逸らす。
「うん、大丈夫。」
「なあ、お前熱が下がったら学校来ないか?金本も心配してたぞ。」
それよりも気になることが…。
「そんなことより愛結幸って心配してた?」
「愛結幸って峯岸?」
「うん。」
「ぶっちゃけ言ってめっちゃ喜んでる…。」
「だよね…。」
だから私、行きたくないんだよ。
「辛い、行きたくない。」
「…じゃあ俺が毎日学校帰りにお前ん家寄って行くよ。」
そんなの迷惑じゃない?親が心配するよ?来ないほうがいいよ?頭の中は疑問でいっぱいだけど頷いてしまった。来て欲しかったから。
「じゃあ決まり。俺毎日寄るから。」
「う…。」
突然涙が溢れ出してきた。
「え…!ご、ごめん。俺なんかした?」
陽輝の優しさが疲れ切った心に沁みていく。陽輝は何も言わない私に問い詰める事なく優しく抱きしめてくれた。
「風邪うつっちゃうよ。」
「いいんだよ。お前が元気になるなら。」
また沁みる。結局陽輝が帰るまでずっと泣き続けていた。

「大丈夫かな?」
全身鏡で制服を整える。私は久しぶりに登校しようとしていた。
『ピンポーン』
「はーい。」
陽輝が迎えに来てくれた。私は急いで玄関に向かう。
「行ってきまーす。」
「行ってらっしゃい。本当に大丈夫?」
「うん。最高に心強い人と一緒に行くから。」
そう言ってにっこり微笑む。
「そう。気をつけてね。」
お母さんもそれに応えるようににっこり笑った。
「おはよう。」
「よう。大丈夫?」
「もう、お母さんと同じこと聞く。」
「え、ごめん。」
「大丈夫だよ。陽輝と行くんだから。」
陽輝が驚いたように目を見開き、ふいっと顔を逸らす。
「え?どうしたの?」
私が顔を覗き込むと
「見んなし。」
と言ってまた顔を逸らされた。耳まで真っ赤だ。
「…照れてる?」
「うっせー。」
そう言ってもっと顔を赤くした。それがなんだか可愛くて。ついつい笑ってしまった。もう、本当に大丈夫な気がした。

教室に入るとクラスメイト全員からじっとりした視線を感じた。
「え。不登校が学校来たんですけどー。ガチウケるw」
「今までズル休みだったんじゃなーい?」
「長過ぎでしょw」
とクラスメイトの前でも普通に悪口を言ってくる。私が俯きがちに自分の席へ行っていると
「悪いけどお前の席ないんだよねー。もういらないかと思ったからさ。」
「それな。ずっと学校来ないし、もう死んだかと思ったわw」
私はこの声に聞こえないふりをして、ボロボロになっている椅子に座る。机の上には私が置き勉していた教科書がビリビリに裂かれ、返されたプリントがグシャグシャに丸められ、泥がへばりついた花が雑に置いてある。
「あ、その花うちが置いてあげたんだから感謝してよね。」
「あの花まだ置いてたの?w」
「だって死んだんだったら花ぐらい置いててあげないとーw」
「確かにw可哀想だもんね。」
「お前らいい加減にしろよ。」
陽輝が怒鳴ってくれるけど彼女たちの耳には入っていない。
「え、なんか彼氏がうるさいんですけどーw」
「イチャつくなよバカップルが。」
「キッモw」
こんなことになってるのに、なんで担任は気付かないのか。クラスメイトたちはなんで止めないのか。
「乃愛…!」
美彩希がこちらに向かってくる。多分トイレに行っていたんだろう。ハンカチで手を拭いている。
「学校、来たの?大丈夫だった?」
「うん…。」
「え、何?今更仲良しアピールですか?w」
「ガチでウケるんだけどw」
「もうやめてよ。私も陽輝くんもずっと言ってるじゃん。」
「うるさい。あんたに説教される筋合いないんだけど。だってコイツなんも言わないじゃん。別になんとも思ってないんでしょ。」
「何にも言わないからって、やっていいことと悪いことがあるでしょ…!」
「傷ついてんの気付かなかったのか?」
2人が私を庇ってくれている。それでもあの3人はめげずに悪口を言い続ける。
…分かった。私が嘘をついてた理由。
「陽輝、私分かったよ。」

6初めての事実

「え、何が?」
ニコッと私が笑うと、陽輝はもっと首を傾げる。
「あのさ、こういうのもうやめよ?」
私が声を上げると3人は目を見開く。
「は?」
「だから、こういうのもうやめよって言ってんじゃん。」
「乃愛…。」
美彩希が肩に手を置く。
「大丈夫だよ。下がってて。」
「アンタ知ってんのか知らないけど、私アンタが隠キャだったの知ってんだよね。」
「誰が言ってたの?」
私は愛結幸と中学校は違う。陽葵ともだ。美彩希は高校から引っ越して来たからかおもしらないだろう。
「はーい。私が教えてあげたんだー。」
手を挙げたのは、もともと2軍女子だった女の子。
「どういうこと?」
「覚えてないの?私、アンタと同じ中学なんだけど。」
「え?」
こんなやついただろうか。全く覚えていない。私の中学校はもともと規模が大きいから3年間顔を合わせないということは普通にあり得る。
「まぁ、知らないだろうけどね。私、アンタと同クラになったことないもん。」
「じゃあ、なんで知ってんの?」
「アンタの存在、隠キャの中でも目立つんだよ。あの時、私アンタと同じ不登校だった。いじめられて毎日辛かった。だからアンタがムカついた。」
「それならコイツ関係ねえじゃん。」
陽輝がツッコむ。私も頷くと2軍女子が
「羨ましかったの。アンタが。1軍にも普通に話してたし。いじめられてた私とは訳が違…」
「そんなことない。」
「え?」
もう嘘はつかない。クラスメイトみんなが聞いていても。
「私だって、いじめられてた。1軍に。アンタが私と仲が良いって勘違いしてる子たちに。アンタが何をされたのかは分かんない。でも私もすごく辛かったんだよ。」
「…。」
みんなが無言で私を見つめる。
「だから生まれ変わろうって思った。陽キャを演じて。わざわざ高校も中学から遠いところを選んだ。そしたら人間関係もリセットされるから、誰も私が隠キャだったなんて分かんないでしょ?」
「じゃあ私たちと仲良くしてたのも、無理してずっと演じて合わせてたってこと?」
愛結幸が尋ねる。陽葵も同意というように私を見つめる。
「うん。今まで嘘ついててごめん。」
「本当だよ。だから合わないんだよ。」
「嘘なんかつかなくてもありのまま過ごせば、仲良くできてたかもしれないのに。馬鹿。」
「でもだからってこんなことして良いのか?」
陽輝がフォローに入ってくれる。優しい。またジンとくる。
「ごめん。」
陽葵が謝る。
「謝る相手間違ってねえか?」
「ごめん。乃愛。」
「このことに関して許すつもりはない。私すごく傷ついた。これからはもう関わらないで欲しい。」
「分かった。」
「わ、私謝んないから!」
そう言って愛結幸が教室を出て行く。待ってと言って2軍女子もついて行く。陽葵も決まりが悪そうに去って行く。2軍女子が去り際に
「ほんと大っ嫌い。」
と言われた。心の中で私もなと言い返す。
「大丈夫⁉︎」
「うん。割と平気。言いたいこと言えてスッキリしたかも。あと、私が演じてるって知ったならもう仲良くしなくても良いよ。」
「そんなことしないよ。私、これからも乃愛と仲良くして行きたい。乃愛がいいなら。」
「もちろん。これからもよろしく。」
初めて偽っていないまま、友達ができた気がする。
「俺もこれからもお前の彼氏でいるからな。」
ついでに彼氏も。
「うん。2人ともありがとう。」
そう言っていつも、見えるギリギリに折っていたスカートを戻した。

私はあの日からいつも通り学校に通えている。ありのままの自分で。分厚いメイクをナチュラルメイクに変え、ピアスもしていない。もちろんネイルもしていない。休日におしゃれとして楽しむだけだ。この方が私に合っている気がする。
あともう一つ変わったことといえば、愛結幸が引っ越したことだ。美彩希が陽葵から聞いた話だと、たまたまあのタイミングで親の転勤が決まったらしい。だから逃げたみたいになっているそうだ。でも愛結幸から謝罪はちゃんと受けている。愛結幸と繋いでいたLINEに
『ごめん。なんのことかは察して。あと、連絡先消すから。遠いところに行くからアンタとはもう顔も合わせることもないし。アンタの望み通りでよかったわね。』
というメッセが来ていた。なんか私が思ってることと違う解釈をしてるっぽかったから返信をした。
『あの時陽葵に言った通り許すつもりはない。しかも関わりたくもない。でも多分、解釈間違ってる。まぁ自分で考えてみて。あと、これだけは言っとく。アンタのこと大っ嫌い。でも好きではある。それだけは忘れないで。お幸せに。』
こう送った。そのあとすぐ既読がついたが返信はなかった。それが愛結幸との最後のやりとり。次の日にはもう消されていた。

「おはよう。」
陽輝は毎日私の家に寄ってくれる。行きも帰りも。帰りはお互い部活があるし、帰る時間が陽輝の方が遅いことが多いけど、私が家に帰っていたら家に来てくれる。
「おはよう。陽輝。」
「そう、言い忘れてたけど、私があの時分かったのって、私が嘘ついてた理由のことだったんだ。」
「そうなんだ。で?なんでなの?」
「自分の場所を守りたかっただけ。本当それだけ。」
「今は大丈夫?また嘘つくの?」
「ううん。もうつかないよ。守ってくれる人がいるからね。」
「良かった。俺も乃愛が安心できるようにこの場所を守るよ。」
そう言って陽輝が微笑む。
「陽輝のおかげだよ。ありがとう。」
陽輝のおかげで私は嘘をつくのをやめれた。本当に感謝している。
「本当にありがとう。」
私はにっこり笑った。その時ふわっと風が吹いた。すごく爽やかな風だ。
ーこれからも頑張っていこう。嘘をつかずに。
心からそう思えた。                  【END】

Re: だから今日も嘘をつく ( No.3 )
日時: 2025/01/04 14:06
名前: ミセス好きの青りんご (ID: LsYW7S6m)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=14076

りゅさん!コメントありがとうございます♪ミセス好きの青りんごです(*^▽^*)
長編小説初のコメントです😭本当にありがとうございます😭😭
今度りゅさんの小説も読ませていただきます!!
これからもお互い頑張りましょう!!!!!
ではー♪(๑ᴖ◡ᴖ๑)♪

Re: だから今日も嘘をつく ( No.4 )
日時: 2025/01/07 14:10
名前: 小説好きな医師 (ID: lCrzzWFh)

ミセス好きの青りんごさん、こんにちは!いつも、小説を読ませてもらっています!

高校生(かな?)たちの恋愛を描いた小説、素敵ですね!嘘という点では私の小説と似たところがある気がします。

ENDと書いてしまっているのに、こんなことを言うのは悪いのですが続編を作って欲しいです!
お願いします!完結なんていわずに、話を作ってください!(無茶ぶりなお願いをしてごめんなさい)😥

あ、あと更新の方も頑張ってください、これからも応援しております!🤗

Re: だから今日も嘘をつく ( No.5 )
日時: 2025/01/07 17:17
名前: ミセス好きの青りんご (ID: B1rykyOu)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=14076

小説好きな医師さん初めまして!ミセス好きの青りんごです(*^▽^*)仲良くして下さい!
コメントありがとうございます♪いつも読んでくれてるなんて…。感動です🥹ありがとうございます😭
小説好きの医師さんの読み通り高校生です!そんなにアンコールをいただいたら書くしかないですねぇ!(そんなにもらってないw)
頑張ります!遅くなるかもしれませんが…。
小説好きな医師さんも連載頑張って下さい!
ではー╰(*´︶`*)╯

Re: だから今日も嘘をつく ( No.6 )
日時: 2025/01/08 13:49
名前: 小説好きな医師 (ID: lCrzzWFh)

ミセス好きの青りんごさん、はじめまして!(というか、どこかで逢っている気もしますが・・・)
初めてということなので、お互い大変なこともあるかと思いますが、一緒に頑張りましょうね!

やっぱり高校生ですよね!私も、この小説を読ませていただいたときは、若い頃の自分を思い出してしまって、つい涙が出てしまいました!

あの、本当に続きを書いてもらえるのですか!?ぜひ頑張ってください(なんか可笑しいかな?)、これからも応援しています!

はい、勿論私も連載を頑張ります!ところで、広告を貼るようで悪いのですが、「日本一のアイドルになりたい!大長編」というのが私の自信作なので、まだ読んでいないのであれば時間があったらでいいので、ぜひ読んで頂きたいと思います(というかダメなところを指摘してもらいたいです)。あ、あと連載頑張りますね!ミセス好きの青リンゴさんも更新頑張ってください(なんか、りゅ師匠みたい?)!

では、また何かの小説で逢いましょう!😳

Re: だから今日も嘘をつく ( No.7 )
日時: 2025/01/19 16:45
名前: ミセス好きの青リンゴ (ID: zXm0/Iqr)

返信遅くなってごめんなさい🙇‍♀️涙が出るなんて…!ありがとうございます!!私もこのコメントを見て涙ですw
読んでおきますねー!お互い頑張りましょう!!


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