コメディ・ライト小説(新)

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自覚が無くても恋ですか?()
日時: 2025/02/02 21:09
名前: M🎀 (ID: 7c/Vukd1)

登場人物
寺峰愛楽(てらみね あいら)主人公
X市の天乃原女子学園の中学1年生。女子力が高く、おしゃれが大好き。冬弥に恋をしているが、本人は自覚していない。瑞穂とは幼稚園からの親友。

佐倉瑞穂(さくら みずほ)
X市の天乃原女子学園の中学1年生。バスケなど、チーム戦のスポーツが大好き。愛楽と冬弥が両思いであることは知っている。愛楽とは幼稚園からの親友。他人の恋を応援するのが大好き。琉生の事が好きだとか違うとか…?

三津冬弥(みつ とうや)
X市の墨田丘男子学園の中学1年生。勉強が得意。愛楽と瑞穂と琉生とは小学校の同級生。琉生とは幼稚園からの親友。冬弥自身も愛楽に恋をしているが、愛楽と同じく自覚していない。

城崎琉生(しろさき るい)
X市の墨田丘男子学園の中学1年生。愛楽と瑞穂と冬弥とは小学校の同級生。冬弥とは幼稚園からの親友。瑞穂と同じく、他人の恋を応援するのが大好き。実は瑞穂の事が好きだとか違うとか…?


如月乃々花(きさらぎ ののか)
冬弥の幼馴染。中学1年生で、地元の公立中学校に通う。昔から冬弥に気があったらしいが、琉生に止められる…?

˖ ˚⊹ ᖭི༏ᖫྀ ⊹˚ ˖ ˚⊹ ᖭི༏ᖫྀ ⊹˚ ˖ ˚⊹ ᖭི༏ᖫྀ ⊹˚ ˖ ˚⊹ ᖭི༏ᖫྀ
「…私、こんなにも好きになってたんだね…」
泣きながら発したこの言葉。さかのぼること1週間前ーーー

1、それって…
「はぁ〜…」
「愛楽、どうしたの?」
「ふぁぁ…ちょっと寝不足なだけだから大丈夫。」
私は寺峰愛楽、中学1年生。訳あって最近寝不足です。
「何だか最近ずっと冬弥のことを考えちゃうんだよねぇ…それで夜も寝不足になっちゃって」
冬弥は小学校の同級生。私と瑞穂と同じく受験生だったから、仲が良かったんだ。
「へぇー…あ、琉生からLINEだ。…すごっ、全く同じタイミングじゃん!」
「なあに?どうしたの?」
「あぁ、あのね、冬弥も寝不足らしいの。愛楽のせいだって。」
「ふーん…」
そうなんだ。冬弥も寝不足なのかあ。私のせい、か、
「ねえねえ、それって、愛楽、冬弥のこと考えてるってことは、冬弥のこと好きなんじゃないの?」
「うーん…好き、とは違うかなあ。会いたいとは思うけど…」
「そっかあ。そうだ!今度4人で遊びに行こうよ!冬弥と琉生にも会いたいしさ。」
瑞穂が、意味深に笑って言った。
「いいね!グループLINEで言ってみようよ!」
「『今度4人で遊びに行かない?』っと…」
瑞穂がLINEする。
ピロン
「あ、返事来た!『いいよ!定期テストのあととかどう?』って、琉生から。『そうしようか!墨田丘は定期テストいつー?』送信!」
あ、冬弥だ!
「冬弥からだ!『7月の最後の週。8月のここはどう?』あ、カレンダーも送られてきてる。ここなら大丈夫だ!瑞穂もいい?」
「いいよ!『ここなら天乃原もテスト終わってるからいいよ!どこ行くー?』っと」
琉生から返信がくる。
「映画は?って言ってる。愛楽はどう?」
「映画かあ!いいんじゃない?みんな楽しめるし。」
そうこうしていると、あっという間に全部決まった。
「『〇〇駅前の映画館に9時半集合、映画見たあとは適当にお店見て帰る、でいい?』これでどうかな?瑞穂」
「いいよ!送っちゃえ!」
勢いで全部決まっちゃったけど、大丈夫かなあ
その不安をかき消すようにみんなOKを出してくれた。
「みんなオッケーだって!楽しみだね」
「そうだね!久々に2人に会えるし!」
本当に楽しみだなあ。

2、そういうのを…『from冬弥』
すごく眠い。ここ最近、寝不足で疲れてる。
「冬弥ー!おはよー!って、眠そうだね。また寝不足?」
「琉生か。そうなんだ。愛楽のことばっか考えてて寝れなかった。」
「そんなに愛楽ちゃんのこと考えてるのに、好きじゃないんだね。」
琉生がスマホをつつきながら言う。
これは、好きっていう恋愛感情ではない気がする。俺の勘だけど。
「好きではない。会いたいけど」
琉生がため息をつく。
「そういうのを好きっていうんだよ…あ、ちょうどいいところにLINE来たよ。」
ん…?グループLINEか?
俺もスマホを開く。
「瑞穂だ。『今度4人で遊びに行かない?』だって!行きたい行きたい!『いいよ!定期テストのあととかどう?』っと」
このグループ、たしか愛楽も入ってたよな。連絡してみるか。
「『7月の最後の週。8月のここはどう?』っと…」
カレンダーと一緒にメッセージを送る。
そんなこんなで話は進み、映画に行くことになった。正直、愛楽に会えるのは楽しみだ。テスト、頑張ろう。

3、テスト終わりー!
「はぁー!テスト終わったあ!」
瑞穂がぐーっと背伸びをする。
「疲れたねえ。でも、明日は冬弥と琉生に会える!楽しみすぎる!」
テストが終わったってことは、明日は4人で遊びに行く日。墨田丘は昨日でテストが終わってるはずだから、今日テストが返されるはず。明日結果聞いてみようっと。
「これでテストは全て終了です。明日から三連休なので、ゆっくり休んでくださいね。」
先生がみんなに呼びかけて、その日は解散となった。
「じゃあ、行こっか!瑞穂!」
「うん!ありがとう!昨日からずっと楽しみだったんだ。」
今日は瑞穂がうちに泊まりに来ることになってる。明日の荷物も持ってくるんだ。
2人で家に帰って、明日の準備を始めた。
「明日はこの服にしようと思うんだけど、どうかな?」
瑞穂にこの前から決めていた、淡い水色に黒のベルトがついたワンピースを見せる。
「いいんじゃない?その服、愛楽によく似合うし!」
よかった、久しぶりに2人に会うんだから、可愛い格好しないとね。
「私はこれで行くんだ!」
瑞穂は黒のショートパンツに白のTシャツ。スタイルのいい瑞穂にぴったりのコーデ。
「いいね、瑞穂によく似合ってる。」
「えへへ、ありがとう。」
その後も2人であーだこーだいいながら準備を済ませた。

4、やっと(from琉生)
「あー!疲れた!やっと終わったね!」
なんか冬弥は疲れてなさそうだな、、
「そうだな。じゃあ、俺は帰る。」
早々に冬弥が立ち上がる。
「ええっ!もう帰るの?自己採点は?ま、そうは言っても、明日には返ってくるけどね」
「自己採点なんてしてる場合か。明後日だぞ。」
冬弥、そんなにたのしみなのかな?
「冬弥、やっと愛楽ちゃんに会えるから、そわそわしてるもんね!」
実際、冬弥はさっさとテストを提出して、顔を伏せてたし。これは冬弥が考え事をする合図なのは知ってる。
「別にしてない。琉生も帰るか?」
「あれ、もしかして僕のこと心配してくれてる?」
意外と優しいとこあるじゃん!
「心配はしてない。帰るなら一緒に帰ってやろうと思っただけ」
う、相変わらず冷たいなあ…
「帰るからちょっとまって!」
「言われなくても待ってるから」
まあ、根は優しいの知ってるけどね
「さ、帰って明後日の準備しよ!僕もこのまま冬弥んち行こーっと!」
「好きにしろ」
ふふ、冬弥顔がにこにこだ!嬉しそう!
「楽しみだね」
「あぁ」
テスト結果は知りたくないけど、明後日は楽しみだなあ。

5、久しぶり
「おはよー愛楽!」
「おはよう!朝から元気だね、瑞穂は」
今日は待ちに待った遊びに行く日。私の家に泊まりに来ていた瑞穂は、私よりも早く起きて支度をしていた。
「ささっと着替えて!愛楽のヘアアレしてあげる!」
瑞穂はワクワクした顔で言う。
「ふふっ、ありがと」
私はすぐに着替えて、鏡の前に座る。
「可愛くするからね!」
瑞穂はすごい速さで髪を結び始めた。
「…できた!」
「すごい…!瑞穂、上手だね!」
実際、瑞穂自身の髪もきれいに結ばれている。
私の髪は編み込まれていて、可愛らしいヘアクリップでとめてある。
「ありがとう。愛楽も、すっごく可愛いよ!」
そんなに褒められると照れるなあ。って、時間やば!
「あ、もうこんな時間!電車に遅れちゃう!」
「ホントだっ!急げ急げ〜!」
朝からバタバタだ…
駅まで走って、発車寸前の電車に飛び込む。
「なんとか間に合ってよかったね。」
「危なかったあ…」
ぎりぎりだったけど、電車には間に合ってよかったぁ
席に座って2人で話しながら待つ。
数分後ーーー
『次は〇〇駅です。』
「次だね」
瑞穂が話しかけてくる。
思ったより早かったな
「駅前の映画館だから、二人はもうついてるかもね!」
駅前の映画館、よく行ってたけど、今回は久々だから楽しみだなあ。
「そうだね!早く会いたいなあ」
「楽しみだね」
電車から降りて改札を出るとすぐに映画館が見えた。2人で喋りながら向かう。
「おーい!瑞穂!愛楽ちゃーん!」
あ!琉生くんだ!
「琉生ー!冬弥ー!」
瑞穂が大きく手を振る。
「愛楽、久しぶり、元気にしてたか?」
着くと、すぐに冬弥が話しかけてくる。
「冬弥!久しぶり!もちろん元気だよ!」
冬弥、何だか雰囲気変わったなあ
「まだ時間あるけど、入っちゃおうか!」
琉生くんが声をかける。
「そうだね!」
そう言ってみんなで中に入った。

6、う…そ…
中には入ってチケットを発行し、ポップコーンを買って開場まで待つ。そのとき、
「…や…!…冬弥!」
と、冬弥を呼ぶ声がした。ん…?だれだろう?
「乃々花!?なんでここに…!」
えっ!乃々花ちゃん!?
乃々花ちゃんと冬弥は小学校では普段から仲が良くて、よく一緒にいた。2人は楽しそうに話し出す。
「凄い偶然!私、友達と来てるの。隣に居るの、愛楽ちゃんだよね?もしかして、デート?」
乃々花ちゃんがニヤリと笑って聞いてくる
「関係ないだろ、乃々花には。友達と来てんなら早く戻れよ」
そうはいいながらも冬弥はニコニコしてる。
「そう?でも残念!前は2人で来たから、また一緒に行けるかなあと思ったのに」
う…そ…、2人で…?
「っ!ここでその話はするな!早く戻れよ!」
冬弥も焦ってるし……どうしてこんなに胸が締めつけられるんだろう…もう耐えられない…
「ごめん、私ちょっと抜けるね…」
「愛楽!待って!」「愛楽ちゃん!」
私は映画館の外へと走る。
なんで…こんなことなっちゃうんだろう…せっかくみんなと来てるのに、これじゃあ迷惑だよね… 自然と涙がこぼれる。その時、
「愛楽!」
瑞穂の声がした。
「…!…瑞穂…」
「やっぱり泣いてる…そんなにショックなのに、なんで気付かないの?自分が冬弥を好きだったってこと」
「え、私が冬弥を…?」
「そうだよ!泣くほど辛いんなら、自覚しなよ!」
「そっか…私、こんなにも好きになってたんだね…」
やっと分かった。この胸のモヤモヤがなんなのか
「でも…冬弥は乃々花ちゃんが好きなんでしょ?あんなに楽しそうな冬弥、見たことないもん…」
「違う!そういうんじゃなくて…!」
もう…いいよ…
「もういいから、大丈夫。ありがとう瑞穂。」
仕方ないよ。これが現実。理想のとおりには行かないもんだから。
「っ……」
瑞穂は声を殺して泣く私の隣に何も言わずに座っていた。

7、認めるよ(from冬弥)
「えっ、愛楽!!」
愛楽、なんでいなくなったんだ…?乃々花と俺が話していたからか?でも、それでなんでいなくなるんだ?
「冬弥?どうしたの?愛楽ちゃん、どうしたんだろう?」
「乃々花。悪いけど、もう戻れ。それと、琉生、愛楽を探してくる。」
乃々花は驚いている。
「えっ!?ちょっ、冬弥!」
琉生が何か言っているが関係ない。愛楽を探さないと。
「乃々花ちゃん、そういうことだから、ごめんね?」
「そう…分かった。でも、私はあきらめないから。」
「ありがとう」
琉生が代わりにお礼をいう。乃々花が素直に頷くと、琉生はこっちに向き直って口を開く。
「で、冬弥、愛楽ちゃんは瑞穂が探しに行ったから、迷子にはなってないはず。冬弥、この際聞くけど、愛楽ちゃんのこと、どう思ってるの?まだ好きじゃないって言い張れる?」
それは…
「わかった。認めるよ。俺は多分愛楽のことが好き。だから、今こうやって探しに行こうとしてる。」
やっぱり、俺は愛楽が好きだから。
「やっと認めたね…。じゃあ、瑞穂と入れ替わりで行ってきたら?言いたいことがあるんじゃないの?」
「あぁ、行ってくる!」
分かったからにはこの思い、絶対に伝える。
そう決意して、俺は走り出した。

8、俺が好きなのは(from冬弥)
いた!
「愛楽!」
「…冬…弥…」
悪いが、瑞穂には席を外してもらおう。
「瑞穂、」
「分かってる。がんばってね、冬弥」
ばれてた、か、
「ありがとう」
瑞穂がかけていく。
「冬弥、なんで来たの?乃々花ちゃんは?」
「あんなやつどうでもいい。」
俺は愛楽のとなりに腰掛ける。
「どうでもいいなんてことないでしょう?乃々花ちゃんの、こと…好き、なんだから…」
苦しそうにそう言う愛楽。可愛そうだが、今はそんな愛楽も愛らしく見える。
「乃々花とはそういう仲じゃない!乃々花はただの幼馴染。親がなか良くて、時々家族ぐるみで出かけるんだ。それに…俺には他に好きなやつがいるから…」
必死で愛楽に訴えかける。俺の恋愛対象は愛楽だけだ。
「へぇ、冬弥も好きな人とかいるんだね…」
愛楽、もしかして自分だと気づいてないのか?
「あのさ、俺が好きなのは、愛楽だから。」
覚悟を決める。
「そうなの!?」
意外にも、愛楽は嬉しそうにしながらも驚いている。そして愛楽も、顔を赤くして口を開いた。
「あのね、私も、冬弥のこと、好きだよ。」
…?今、なんて…?
「本当に…?俺と同じ意味の、好き…?」
現実、だよな?
「うん、そうだよ。私、気づいてなかったの、冬弥の事が好きだって。瑞穂に言われてやっと気づいたんだ。」
俺と同じだったのか。
「俺も、琉生に言われてやっと自覚した。改めて言うけど、乃々花のことは気にしなくていい。俺が好きなのは、愛楽だから。」
信じられない。俺と愛楽が両思いだったなんて。
「ありがとう。安心した。」
少し涙を目に残してニコリと微笑んでお礼を言う愛楽には、可愛い以外の言葉が見つからなかった。

9、好きだよ
「愛楽!」
「…冬…弥…」
冬弥…?乃々花ちゃんはどうしたんだろう…
「瑞穂、」
冬弥が言い終わる前に瑞穂が立ち上がる。
「分かってる。がんばってね、冬弥」
なにを頑張るの…?瑞穂、どこ行くんだろう。
瑞穂が駆けていく。私は冬弥に疑問をぶつけた。
「冬弥、なんで来たの?乃々花ちゃんは?」
「あんなやつどうでもいい。」
あんなやつって…楽しそうに話してたじゃない…
「どうでもいいなんてことないでしょう?乃々花ちゃんの、こと…好き、なんでしょう?」
もう、分かってることだから、きいても意味はないけど…
「いいや、乃々花はただの幼馴染。親がなか良くて、時々家族ぐるみで出かけるんだ。それに…俺には他に好きなやつがいるから…」
必死に言う冬弥を見て、私も信じられた。
でも…好きな人、か、、
「冬弥も好きな人とかいるんだね…」 
すると冬弥は緊張した面持ちで私の方をみて口を開く
「あの、さ、俺が好きなのは、愛楽だから。」
えっ!嘘、冬弥の好きな人って私だったの!?
「そうなの!?」
これ、夢じゃないよね?なら、私のも言わなきゃ、今ここで言わなかったら後悔するだけだから
「あのね、私も、冬弥のこと、好きだよ。」
今の私、きっと真っ赤だ。
「本当に…?俺と同じ意味の、好き…?」
冬弥が信じられないって顔で言う。
「うん、そうだよ。私、気づいてなかったの、冬弥の事が好きだって。瑞穂に言われてやっと気づいたんだ。」
これはホントのこと。冬弥も微笑みながら
「俺も、琉生に言われてやっと自覚した。改めて言うけど、乃々花のことは気にしなくていい。俺が好きなのは、愛楽だから。」
そう言ってくれた。なんだか照れくさいなあ でも、はっきり言ってくれて良かった。
「ありがとう。安心した。」
嬉しくて、涙目になりながらも、にっこりと微笑んでお礼を言った。

10、俺のもんだ
「そろそろ戻るぞ。時間がない。」
気づけばもうすぐ開場時間だった。
「本当だ。早く戻らなきゃ。って人多すぎ!」
いつの間にか映画館前は人でうまっていた。すると、
「つかまっとけ」
と、冬弥が手を差し出してくる。私は顔が赤くなっているのがバレないように必死で隠して、冬弥の手を握った。
そのまま二人で戻って、瑞穂と琉生くんと合流した。
「愛楽!その様子だと、うまくいったみたいね。」
「うんっ!ありがとね、瑞穂。」
「どういたしまして。でも、なんか、愛楽を取られた気分だなあ。まだ愛楽の隣は渡したくない」
えぇ…そんな事言われたら困るよぉ…
「悪かったな、瑞穂。もう愛楽は俺のもんだ」
冬弥が勝ち誇ったように笑って、瑞穂に言う。
俺の物なんて言われたら恥ずかしい…
「ふたりとも、おめでとう!それはそうと、早く入ろう?」
琉生くんがみんなを急かす。
「うん!」
冬弥と付き合えたなんて、今でも嘘みたいだけど、すごく嬉しいな。

11、私の好きな人(from瑞穂)
「すっごく面白かったね!最後のシーンとか、最高だった!」
「わかるー!ホントに面白かった!」
映画が終わり、みんなで外に出る。私と愛楽は興奮気味に話していた。
「そろそろお昼だし、どっかで食べようか」
冬弥が口を開くと、愛楽が嬉しそうに頷く。なんだか、本当に愛楽を取られた感じがする…。冬弥もいちいち嬉しそうにするし。そりゃあ、愛楽と冬弥が上手くいったのは嬉しいけど、いざこうなると、やっぱりさみしいなあ。
「瑞穂はどこがいい?」
琉生が聞いてくる。
「んー…マッ〇とかどう?そんな高くないし。」
「いいね!行きたい!」
愛楽も同意する。こういう時の愛楽って、すごく可愛い。それをニコニコしながら見てる冬弥はうざいけど。
「ここからなら5分ぐらいでつくね。」
琉生がすぐに調べて教えてくれる。やっぱ頼りになるなあ。
着いてみると結構混んでいて、愛楽と冬弥は席を取りに行って、注文は私と琉生がすることになった。
「瑞穂、覚えれた?」
「大丈夫だよ、愛楽!ほら、早くいきなって。冬弥が待ってるよ」
愛楽は冬弥と居たいはず。私の気持ちよりも、愛楽の気持ちを優先しなきゃ。
「うん、お願いね!」
愛楽は私に注文内容を告げて、冬弥と行ってしまう。
「瑞穂、大丈夫?疲れてない?」
琉生が心配そうにきいてくる。
「大丈夫大丈夫!テスト終わりだから、ちょ〜っと疲れてるかもだけど、まだまだ元気だよ!」
本当は結構疲れてる。テスト前はいっつもほぼ徹夜で勉強してるから。昨日の夜も、愛楽の家に泊まってて、遅くに寝たから、いつものテスト終わりよりも体がだるい。
「嘘だよね?それ。本当は大分疲れてる。顔に書いてあるよ。冬弥たちのとこ、先に行っててもいいけど、どうする?」
琉生にはお見通しか…。でも、愛楽たちの邪魔はしたくない。
「ううん、琉生といる。2人の邪魔はできないから。」
「そっか。無理しないでね。」
いつも通りに優しい琉生。
こんな琉生が大好き。だけど、口が裂けても、そんなことは言えない。ただ、琉生を困らせるだけだから。今のままの関係でいたい。

12、僕のものに(from琉生)
ついてからは、2グループに分かれて動くことになった。冬弥と愛楽ちゃんはもちろん一緒。
「瑞穂、覚えれた?」
「大丈夫だよ、愛楽!ほら、早くいきなって。冬弥が待ってるよ」
「うん、お願いね!」
瑞穂と愛楽ちゃんが話すのを横目に見ながら待つ。2人が席を取りに行くのを見届けて、瑞穂に話しかける。
「瑞穂、大丈夫?疲れてない?」
なんか、前に会ったときよりも元気がない気がする。
「大丈夫大丈夫!テスト終わりだから、ちょ〜っと疲れてるかもだけど、まだまだ元気だよ!」
気を使ってるのか、瑞穂はあはは、と笑ってごまかす。
「嘘だね、それ。本当は大分疲れてる。顔に書いてあるよ。冬弥たちのとこ、先に行っててもいいけど、どうする?」
僕的には、瑞穂を休ませてあげたい。本人の意見を尊重したいとも思うけど。
「ううん、琉生といる。2人の邪魔はできないから。」
2人の邪魔ができないは、僕も同感。ま、本人が大丈夫って言うなら、それでいいか。
「そっか。無理しないでね。」
あまり深く掘り込まず、心配しているという意思表示だけしておく。
瑞穂を、僕のものにしたい。ずっと前から瑞穂が好きだから。でも、死んでもこのことは言えない。瑞穂を困らせるだけだから。今の関係からの発展は望んでない。

13、不意打ちはやめて!
瑞穂と琉生くんが注文をしてくれることになった。私と冬弥は席を取りに行く。
「あ、あそこ空いてる!」
私が見つけた席へ向かい、二人で座る。私は瑞穂に連絡をする。
「ふぅ…疲れた。」
冬弥がため息をつく。
「そうだね、人が多いから、私も疲れたぁ。」
すると冬弥はくるっとこっちを向いて、私をじぃっと見つめた。
「冬弥?どうかした?」
「ううん、可愛いなと思って。気にしなくていいよ。」
「っっ…!」
ストレートに言われたら恥ずかしいっ!
「ふっ、不意打ちはやめて!」
ホントに、冬弥が甘すぎる…!
「あははっ、ごめんごめん。…ていうか、2人とも遅いね」
「そうだね、レジ混んでたし、結構待ってるのかも」
なんてことを冬弥と話していると、
「お待たせー!遅くなってごめん!前の人が時間かかっててさ」
瑞穂と琉生くんが早足でこっちに向かってくる。
「全然大丈夫!ごめんね、任せっきりにしちゃって。ありがとう」
2人にお礼を言って食べ始める。
「午後はどうする?行きたい所があれば行くけど」
冬弥がそう言う。
「んー…私は特にはないかな」
返事をすると、瑞穂が
「みんなでプリクラ撮りたい!」
と言った。
「いいね。すぐそこにゲーセンあるし、行こう!」
みんなが賛成して、食べ終わってから、ゲームセンターに向かった。

14えっ、
ゲームセンターにつくと、
「お金、割り勘でいいよね?」
と琉生くんが聞く。
「うん!1人〇〇円ずつだね」
みんなでお金を出し合って、撮り始める。
すると瑞穂が
「最後の2枚は2人ずつで撮らない?もちろん男女ペアで。」
なんていい出した。
多分冬弥と2人だよね?
「いいね!じゃ、僕と瑞穂は一旦出てるね!」
えっ、琉生くんまで乗り気なの!?冬弥はどうなんだろ…?
「あぁ、早く出てくれ」
冬弥もOKなんだ。意外だな。
『ラスト2枚だよー!はいポーズ!』
アナウンスがながれる。シャッター音と同時にポーズをとる。
チュッ
ん…?えっ、今、おでこに、キ、キスされた!? 振り向いて冬弥を見上げる。
「あはは、予想通りの反応だ。ごめん、次はちゃんとするからね」
ちゃ、ちゃんとって!
「っもう!///そういうのやめてっ!」
瑞穂達に聞こえないように小声で話す。すると、
「お二人さーん!もういいですかー!?」
「わぁっ!ごめん!もういいよ!」
びっくりしたぁ…
瑞穂達と入れ替わって、落書きなんかをして、お互いの写真を見た。
「あのさぁ、冬弥、ちょっとは場所、考えたら?」
琉生くんが突然言った。
「別にいいだろ。口じゃないんだし。」
あ、2人で撮ったやつか…
「冬弥、そういうことしてると嫌われるよ…」
瑞穂が言う。
えっ、私は嬉しいけど…
そう思い、私が口を開こうとすると、冬弥が先に言った。
「別に愛楽嫌がってなかったし。逆に嬉しそうだった。」
なんか、険悪なムードになってる…?
「ね、ねえ!みんな!こんなとこでケンカしてないで早く出よ?」
するとみんなは素直に聞き入れて、外に出た。

15、次はーー
その後は適当にいろんな店を見て帰ることになった。
「そろそろいい時間だし、帰ろうか」
琉生くんが言った。ホントだ…もうこんな時間。
「電車、いい時間のがあるから、これで帰ろう!」
瑞穂が素早く電車を調べてくれる。
駅に向かって、電車に乗り込む。
「疲れたね。でも、楽しかった!」
私が言うと、冬弥が
「俺も。」
と、言った。2人も頷いている。
『次は△△駅ーーー』
もう着いちゃった…
最寄り駅に着くと、私と瑞穂は冬弥達と反対方向だから、そこで別れることになった。
「じゃあね!また遊ぼうね!」
「またねー!」
私と瑞穂が言う。
「じゃあね!また連絡するね!」
「またな」
琉生くんと冬弥もそういって手を振る。
冬弥が急に私のところに歩いてきた。すると、私の耳元で、
「愛楽、次は2人で出かけよう。」
こうささやいた。
それって…デートってこと!?嬉しい!絶対行く!
「うん!絶対ね!」
冬弥が微笑みながら私の頭をさらっとなでる。
「…!?」
恥ずかしいけど、すごく嬉しい。次に会うのが楽しみだな♪


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