コメディ・ライト小説(新)
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- 星降る夜空の下で優雅に踊る
- 日時: 2025/03/09 09:34
- 名前: 美絢−Miharu− (ID: Ri2ciVSR)
彼女は、星降る夜空の下で、優雅に踊る。
そして、俺に向かって静かに微笑みかけた。
美しかった。
こんなに美しい者は初めて見た。
バレエをしていたのだろう。
ジャンプしては、くるりと回り、またジャンプしては、くるりと回る。
湖の浅瀬で、優雅に踊る彼女は、一体何者なのだろうか。
少し話しかけてみることにした。
「あの、、、なにしてるんですか?」
彼女は何も答えてくれない。
答えたくない理由があるのだろう。
でも、踊りはいつまで経っても終わらなかった。
俺も少し疲れて、目が薄くなっていく。
まぶたを閉じていく。
「はっ!」
俺は目を覚ました。
どうやらさっきのは、夢だった様だ。
それにしてもあの少女は何だったのか。
「コラ、奏汰、起きなさい。」
「起きてるよ、母さん。」
ドアの向こうから母さんの声が聞こえた。
俺は、クローゼットを開けた。
相変わらず、服が少ない。
選ぶ楽しさも一切ない。
着替え終わった俺は、リビングへ向かった。
お母さんは弁当を作っていて、お父さんは新聞を読んでいる。
いつも通りの日常だった。
違うのは、さっきの夢だけ。
俺はそもそも夢を見ない。
人生で夢を見たのは、今日ので3回目。
「母さん、少女が湖の浅瀬で死んだって本当かい?」
「どうやら、本当みたいね。」
湖の浅瀬。
夢で見たような気がするけど、はっきりと覚えていない。
『少女は、発見場所から、20メートルほど先の場所から自殺したと思われています。』
テレビでのニュースで写った場所は、夢と全く同じところだった。
正直怖くなった俺は、忘れようとする。
忘れるために、黙々と朝ご飯を食べるが、忘れられない。
彼女は一体、何を言いたかったのか。
俺に何かを伝えたそうにしていた。
その日の夜、ポストに誰かの手紙が入っていた。
あけてみると、全く知らない人からだった。
『星宮 奏汰様へ
はじめましてだと思います。
私は、星沢 浅香と申します。
少女が湖の浅瀬で死んだというニュースを見ましたでしょうか。
実はその少女、私の娘の、星沢 亜弥だったんです。
あなたは、亜弥をご存知ないと思いますが、亜弥は、あなたの事が好きだったんです。
驚きでしょう。
ですが、本当の事なのです。
あなたは、あの浅瀬の湖に行ったことがありますよね。
覚えていらっしゃらないと思いますが、亜弥とあなたは、そこで知り合ったんです。
亜弥は、写真を撮るのが趣味で、湖に写真を撮りに来ていたんです。
あなたも、写真が趣味でいらすんですよね。
亜弥が、あなたに綺麗な写真の撮り方を教わったと言っていました。
亜弥について、もう少し、お話をさせて頂きたいのですが、予定がない日はあるでしょうか。
なければ、諦めますが。
出来れば、土日にいらして下さい。
住所−−−−−−−−−−』
星沢 亜弥という人物は、本当に俺の事が好きなのか。
あり得ない話だが、信じがたい話だ。
俺の事を好きな人は始めただからだ。
俺は、土曜日、書いてある住所に行く事を決意した。
着いた場所は、大きなお屋敷だった。
チャイムを鳴らすと、浅香さんだろうか。
女の人の声が聞こえた。
『来てくださってありがとうございます、、、門を開けましたので、お入り下さい。』
亜弥は、お嬢様だったのだろうか。
とても大きなお屋敷だ。
一度こうゆう場所に入ってみたいという夢があった。
「奏汰様、お入り下さい。」
ドアの前で女の人が立っている。
浅香さんだろうか。
浅香さんらしき人物の頬には、痛そうな傷があった。
一体、何があったのか。
浅香さんらしき人物は、俺を席に案内してくれた。
「突然呼び出してしまい、申し訳ありません、、、浅香です。」
「あ、、、謝るところではないです。」
「申し訳ございませ、、、ん」
浅香さんは、謝る事が癖になってしまっているのか。
謝罪の言葉は何度も続いた。
「この家庭では、亜弥は邪魔者扱いだったんです、、、夫が厳しい人で、直ぐに手を出してしまうんです、、、私は、亜弥を何度もかばいました、、、ですが、もう、、、疲れたんです、、、身体が思う様に動かず、夫の手数も増え、亜弥はついに、自殺なさいました、、、」
その話を聞いていくうちに、涙が溢れそうな程、辛かったんだろうと、亜弥になった気持ちで聞くようになった。
浅香さんは、間を大きく空けるので、言葉に迷いながら話しているのだろう。
「浅香さん、、、亜弥さんは、バレエをしていましたか?」
「、、、え、、、?」
浅香さんは、凍った様に動きが止まった。
俺は、あの夢の事を話した。
「そう、、、だったんですね、、、亜弥は、奏汰様に、何かを伝えたかったんだと思います、、、」
「俺もそう思いました。」
浅香さんは、俺の言葉に反応したが、直ぐに話を続けた。
「きっと、、、思い出してほしかったんでしょうね、、、」
俺は、亜弥の事を忘れてしまっていた自分が、なんだか許せなかった。
亜弥は、あんなに辛い目に遭っていというのに、俺は呑気に生活してた。
「浅香さん、ありがとうございました、、、少し、行きたいところがあるので、、、」
「あ!ちょっと待ってください!」
浅香さんは、俺に1番伝えたかった事を、大きく息を吸って言った。
「もし、亜弥にあったら、伝えといて頂けませんか?『あなたはいつまでも、流星なんだ』って。」
「、、、分かりました。」
俺は、駆け出した。
向かう先は、浅瀬の湖である。
何故なら、あえるかもしれないと、思ったからだ。
きっと、俺を待ってくれていると思う。
これはただの感にすぎない。
「亜弥さん!」
俺は、浅瀬の湖に着くと、優雅に踊る彼女に、こう言った。
「『あなたはいつまでも、流星なんだ』。」
「え、、、?」
亜弥は、踊るのをやめて、こちらを見ている。
「浅香さんからです!」
亜弥は嬉しそうに笑った。
綺麗だった。
だが、まだ満足しない様で、、、
「奏汰さんからは?」
「俺から?」
俺は、少し悩む。
何も伝える事は考えてなかったからだ。
ここでも俺は、自分にがっかりした。
何も考えてなかったなんて。
「、、、いつまでも『流星』でいて下さい、、、」
亜弥はニコッと笑って、言った。
「お母さんに、『私の事忘れないでね』って伝えといてね。」
そして最後の言葉を、口にした。
「奏汰さん、大好きです。」
- 星降る夜空の下で優雅に踊る 〜第二幕〜 ( No.1 )
- 日時: 2025/03/11 18:51
- 名前: 美絢−Miharu− (ID: Ri2ciVSR)
もう、、、思い出す事のない話だと思っていたが、、、
まさか、続きがあったなんて、、、
何でいないはずの彼女が、俺の前にいるのか、俺は全く理解出来なかった。
「久し振りだね、奏汰さん!」
彼女は元気に言うけれど、俺は、驚きで何の言葉も出なかった。
彼女の名は、星沢 亜弥。
去年に、家庭の悩みで自殺に至った。
「な、、、何でここにいるんだ、、、?」
「え?」
俺のお腹の上に乗っている亜弥は、不思議そうに首をかしげた。
「何故知らないんだ?」と問いかけている様にも見えた。
「私、成仏出来なかったんだよね。」
「は、、、?」
亜弥は、少し悲しそうに、眉を傾けた。
しばらくすると、亜弥は泣き出してしまう。
俺は慌てて亜弥の背中をなでた。
「私、、、諦めきれなかったんだと思う、、、だって、どうしても奏汰さんが好きなんだもん、、、」
俺は、その切ない言葉がただ頭の中に残るだけで、何もしてあげられない。
俺は情けないなとしか言いようがなかった。
「ごめん、亜弥、、、俺は、何も出来ないんだ、、、」
「いいの、、、そうやって背中をなでてくれるだけで、、、」
俺はその言葉でふと思った。
何故亜弥に触れられているのか。
何故亜弥は俺のお腹の上にいるのか。
亜弥は幽霊だというのに。
「私も分からない、、、気付いたらここにいただけだから、、、」
「そっか、、、そうだよね。」
それからしばらく無言の時間が続いた。
俺は、不穏の空気の中、勇気を出して、こう言った。
「これからどうするの?」
「、、、これからって、、、どうすればいいの、、、?」
俺はしばらく考えて言った。
「俺の家に住む?」
「え!」
亜弥は、びっくりして立ち上がる。
そしてワイワイはしゃぎ出す。
その時、靴下を履いていたからか、亜弥が滑って転びそうになる。
その瞬間に素早く反応して、亜弥を掴む。
「あ、、、ありがと、、、」
亜弥は照れくさそうに言う。
俺も何だか恥ずかしくなって、亜弥から離れた。
「別に、、、ありがとうって言われても、、、嬉しくなんかないし、、、」
俺まで照れくさくなってどうするんだよ、と自分にツッコむ。
亜弥が、この雰囲気に耐えられず、部屋から出ようとするが、俺が引き止めた。
「バレたらまずいから、絶対に俺の部屋にいろよ。」
「、、、うん。」
そう言って、俺の部屋に戻っていく亜弥の背中を、ただ見ているだけしか、出来ないのか、、、
そんなの嫌だ。
「そ、それじゃ、、、リビング行って来るね、、、」
「うん、、、」
とか言って、何も励まさない俺が俺は嫌いだ。
俺は、頭の中がモヤモヤするまま、リビングへと向かった。
「勉強は終わったの?」
「うん。」
お母さんに聞かれるも、耳に何も入ってこず、思わず嘘をつく。
お母さんは「本当かしら?」と首をかしげるけれど、そんなのは気にしない。
「母さん、明日、外に出かけてくるよ。」
「あら、そう、、、」
お母さんは心配そうにため息をついた。
俺は気にせず、リビングのソファに腰を落とした。
俺は、亜弥の事が頭から離れず、ずっと頭をかいていた。
「ストレスかい?」
「、、、」
お父さんがそう問いかけてくる。
でも聞こえていなかった。
頭からモヤモヤが離れなかったから。
「無視するんじゃないぞ!奏汰!」
「ごめん!聞こえてなかった!」
俺は慌てて言葉を返す。
お父さんまでため息をついた。
「疲れてるなんじゃないか?」
「そう、、、かもしれないね。」
お父さんは新聞を読むのをやめて、俺の顔を覗き込んだ。
「酷いクマだな、、、少し休みなさい、、、調子が悪いなら、お父さんに何でも言うんだぞ、お前の為を持って言っているんだ。」
「ありがとう、お父さん、、、」
俺はそう言うと、自分の部屋へ戻っていく。
あの空気が嫌になったからだ。
お父さんが言ってくれた事は良い事。
でも、俺にとっては余計だったのだ。
「あれ?奏汰さん、戻って来たんですか?」
「うん、ちょっとは休めって。」
部屋に戻ると、亜弥が俺のデスクで何かをしている。
「何してるんだ?」
「あ、これですか?」
亜弥はまた照れくさそうに言った。
「奏汰さんにあげようと思って、、、」
渡されたのは、小さなキーホルダー。
可愛いウサギのぬいぐるみが付いている。
「これ亜弥が作ったのか?」
「うん、結構前に作ってたのの続き、、、結局渡せないんだって分かって、放っておいたやつの続きを作ってたの、、、」
ウサギはまるで、俺をまっすぐな瞳で見つめる、亜弥の様だった。
亜弥は、俺に、もう一つのウサギを見せてきた。
「これ、二人でお揃いなの、、、私のがピンクで、奏汰さんのが青!」
「本当だ。」
部屋が暗いからか、よく見えなかったけど、デスクの明かりがウサギを照らして、よく見えた。
「奏汰さん、、、いつか私も、成仏出来るかもしれない、、、それはとても良い事だけど、、、奏汰さんに会えなくなる、、、」
亜弥は、ウサギを胸に抱きながら、悲しそうに言った。
俺は、何か出来ないかと考えた時に、自然と身体が動き、亜弥に抱きついていた。
「かっ奏汰さん!?」
「ごめん、俺、抱きしめてあげるくらいしか出来ない、、、成仏したほうがきっと、良いと思うよ。」
亜弥は、俺の肩で無邪気に泣く。
まるで子供の様に。
俺は、亜弥の頭をなでた。
でも、亜弥はもっと泣くだけ。
「嫌だよぉ、、、私、奏汰さんが好きなのぉ、、、成仏したくないぃ、、、」
亜弥がその時、ウサギと重なって見えた。
亜弥はウサギに似ている。
「亜弥、この言葉で、満足してくれないか?」
「、、、え?」
亜弥の肩を掴み、優しく微笑みながら、俺は言った。
「亜弥、好きだ。」
亜弥は、さらに涙を流した。
- 星降る夜空の下で優雅に踊る 〜第三幕〜 ( No.2 )
- 日時: 2025/03/12 17:38
- 名前: 美絢−Miharu− (ID: Ri2ciVSR)
不思議な歌声が頭の中に響く。
それに混ざって、チュンチュンと鳥も鳴いている。
そして、彼女は、優雅に踊る。
「ラララ〜ラララ〜ララ〜ララ、ラ〜」
彼女の名は星沢 亜弥。
幽霊である。
少し、事情を説明すると、亜弥は俺の事が好きになり、家庭のストレスで自殺に至り、どうしても俺が好きなので、成仏出来なかったのだ。
「亜弥、いつ成仏してくれるんだ?」
「ん〜?分かんな〜い!」
呑気に踊る亜弥は、俺を誘う。
俺の手を掴んで一緒に踊ろうとするが、俺は「嫌だ」とリビングに逃げていった。
「告白してもダメなんて、聞いてねぇよ、、、」
俺は亜弥に告白をしたが、それでも満足しないのか、成仏してくれない。
だとすれば、どうしたらいいのか。
「俺、外に出かけてくるよ。」
「あら、気をつけるのよ。」
お母さんの心配の声と共に外に出る。
歩き始めようとした時。
「何処行くの〜?」
上から亜弥の声がする。
亜弥は、二階の俺の部屋の窓から、飛び降りた。
「ちょっ!危ないだろ!」
「いや、私死んでるし。」
亜弥は上手く着地すると、俺に着いてこようとする。
「何処行くの?」
亜弥の問いかけに、俺は少し黙った。
亜弥にとっては辛いかもしれない。会える事は良い事だ。
でも、それでも亜弥は死んでいる。
きっと辛い思いをさせるだろう。
「ねぇ?何処行くの?」
「それは、、、ついてけば分かるよ。」
俺はそう言って、歩き始める。
亜弥は、不機嫌そうにほっぺを膨らませて着いてくる。
「待って、ここ私の家?」
「そうだよ。」
そう、俺が向かっていたのは、亜弥の家。
浅香さんと少し話をしたかったからだ。
ピーンポーン
チャイムを鳴らし、一分ほど経った時、チャイムから浅香さんの声が聞こえた。
『どなた様でしょうか?』
「奏汰と、、、」
「亜弥でーす!」
亜弥の声が入ると、浅香さんが転んだのか、大きな音がした。
再び戻ってきた浅香さんが興奮した様な声で言った。
『亜弥!?生きてたの!?』
「ううん、幽霊だよ。」
『、、、そっか、、、』
驚きもせず、少し、がっかりしたような声だった。
さっきまであんなに興奮してたのに。
『あの、、、今、夫がいて、、、男の人を家にあげようとすると、怒るかも知れなくて、、、一応夫に聞いてみます。』
そう言って、しばらく声がしなくなった。
それから、10分程経ったが浅香さんは戻ってこない。
やはり、夫が怒ったのか。
と、その時。
『おい、そこにいんだな?亜弥。』
「、、、え?いっいます!」
『ちゃんと喋れよ、失敗作。』
亜弥は、顔を真っ青にした。
そりゃそうなるに決まっている。
「失敗作」なんて言われたら。
「います、、、」
『少し話を聞いてやる、ただし、、、亜弥だけだ、、、その、、、かな、、、奏汰?って奴は着いてくんなよ?いいな?』
俺と亜弥は少し予想外の展開だったが、顔を見合わせて、頷きあった。
門が開き、亜弥は、迷わず進んでいく。
「亜弥、気をつけろよ。」
俺がそう言うと、亜弥は「うん」と言いながら、頷いた。
亜弥は、どんどん遠ざかっていった。
それからずっと、亜弥を待ち続ける。
寒さに耐えながら。
一方亜弥は、、、
「お前、本当に亜弥なのか?あ?」
偽物なのではないかと疑われていた。
亜弥は、自分の父親を父親と呼びたくなかったので、こう呼んだ。
「黙れ、クソオヤジ。」
「あ!?何だとぉ〜!?」
クソオヤジは亜弥に手を伸ばす。
その時、、、
「やめて!」
「、、、!お母さん!?」
亜弥は、代わりにぶたれた浅香を、抱き上げようとした。
だが、その手は、浅香の身体をすり抜けた。
「え、、、?嘘、、、」
亜弥は直ぐに疑問を持った。
何故浅香には触れられないのに、奏汰に触れられたのか。
「お母さん、、、どうしよう、、、お母さん、、、?ねぇ、、、ちょっと、起きてよ、、、お母さんてばぁ!」
浅香は目を薄っすら開けている。
その事に気付いた亜弥は、少し胸がホッとした。
「良かった、、、お母さん、、、」
安心した亜弥は、つい浅香に触れようとしたが、触れられないことに気づき、離れた。
「感動ごっこは大概にしろ。」
「!?」
亜弥は思わず驚いて、勢いで後ろに振り向いた。
そこには父親が、怖い顔をして、見下ろしていた。
「ごめんなさい!お母さんには手を出さないで下さい!どうか!どうか!」
亜弥はひたすら土下座をした。
何があっても謝り続けた。
「あんな奴放っとけ、、、どうせお前は透けて殴れないんだからよぉ!」
そう言って、亜弥を通り過ぎると、拳が浅香の目の前まで、、、
「グハッ!」
そこで、奏汰が現れた。
奏汰は、浅香をかばうと、浅香がいる後ろに倒れそうになるが、なんとか耐える。
「奏汰さん!?」
亜弥は奏汰の方に寄ってくる。
亜弥は奏汰に触れた。
やはり、奏汰だけには触れられるらしい。
「大丈夫、、、亜弥は、そこで待ってて。」
「貴様、家にあがるなと言ったはずだが!?」
そんな事言われても奏汰は気にしなかった。
奏汰は口元の血を手で拭き取る。
亜弥は、奏汰に言われた通り、浅香を連れて、後ろに下がる。
「お前は透けねぇよなぁ!?」
「はあぁぁぁぁぁぁぁあっ!」
奏汰は、拳を勢いに任せて、殴りにかかる。
そして拳は、あいつのおでこに的中し、あいつは倒れ込んだ。
「どうだ、クソオヤジ!痛てぇだろ!?」
「クソッ!お前なんてクソ喰らえ!」
そう言って、亜弥の父親は逃げていった。
亜弥は直ぐに飛びかかってきた。
「やったよ!倒したよ!私達の勝ちだよ!」
「そうだな。」
亜弥は、浅香に近寄った。
触れられない悲しさが表れていた。
「お母さん、もう、クソオヤジは居なくなったよ?安心していいからね、、、?」
「ありがと、、、ぅ、、、あなたは、いつまでも、、、私の自慢であり、、、『流星』だよ、、、」
亜弥は大粒の涙を流した。
ボロボロな姿の浅香に、触れたい気持ちを我慢して。
「お母さん、、、立てる?」
「ん、、、大丈夫よ。」
浅香は最後の力を振り絞って立ち上がった。
亜弥は、本当に伝えたかった事を、勇気を出して言った。
「お母さん、、、お母さんは、私のせいでこんなにボロボロになって、、、本当にごめんね、、、感謝してるよ、、、私の自殺で、もっと辛い思いをさせたかもしれない、、、ごめんね、、、お母さんは、優しくて、、、私にとって自慢のお母さんだったの、、、でも、私死んじゃったから、、、お母さんの事、自慢出来ないと思ってた、、、でもね、私にとって、唯一お母さんの事を自慢出来る人、、、見つけたの、、、だからもう、、、安心していいからね、、、」
浅香は、小さな涙を沢山流した。
「ありがとう、、、亜弥、あなたは本当に、、、私と違って、、、『流星』みたいな子ね。」
亜弥は、さっきよりも大きな声でむじゃきに泣いた。
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