コメディ・ライト小説(新)
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- 散りゆく定めの片思い。
- 日時: 2025/03/23 18:50
- 名前: すずのみや (ID: 2KZ4qttt)
(この小説は、一話完結です。)
どうか忘れないで。私とキミの、ひと夏を。
まだ、このころは、キミはただの友達だった。でも、キミがしつこく話しかけてくるから、意識せずにはいられなかったんだ。
「ねえ、なにかいてるの?」「このテスト、何点だった?」「吹奏楽部の演奏、良かったよ!」
その年の夏。友達複数と行く予定だった夏祭りに、キミも一緒に行ったよね。私がごみの処理に困っていたら、キミはすかさず「大丈夫?」と手伝ってくれた。そのときだろうね、恋に落ちたのは。君が近づくたびに高鳴る、胸の鼓動。その音がうるさくて、花火の音なんて、ちっとも聞こえなかった。でも、すごく楽しい夏まつりだったなあ。
このころくらいまでは、キミは私の事が好きだったよね。それは確かだった。安心していた。油断していた。
「この関係は崩れない。そのうちキミに告白されて、私はキミの彼女になる。」そう思っていた。
三学期最初の席替え。キミは、隣になったkちゃんと、すごく楽しそうにしていたね。今まで私を見つめていたその瞳は、kちゃんに向けられた。悔しかった。辛かった。後悔した。
「あの時告白していれば。こんな気持ち、感じないで済んだのに。」
キミの視線の先にいるのは、ぞうきんを絞っている私じゃなくて、掃除をサボっているkちゃんなんだね。
それから私は、「キミの事はもう好きじゃない。」と心に言い聞かせた。私が諦めれば、もう悔しくも辛くもない。そう思ったから。 でも、、、無理だよ。どうしても君の姿を、目で追ってしまう。
だからせめて、忘れないでほしい。私の事が好きだった、というその思いを。
私とキミの、ひと夏を。