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コメディ・ライト小説(新)
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- 数学の先生
- 日時: 2025/07/14 16:38
- 名前: 如月 (ID: 71WCp6wv)
こう見えて私は先生が好きだ。恋愛感情なのかはわからないけれど。
その先生は数学担当。先生のおかげで数学もちょっと好きになれた。
決してイケメンではなくて、どっちかといえばおじさん。はたから見たらとても怖いけれど、優しくて、面白くて、生徒に分からない問題を教えるときが一番生き生きとしているいい先生だということを私は知っている。
しかし先生は、別の学校に行ってしまうらしい。今日が先生と会える最後の日。
放課後、私は先生を探しに行った。最後に気持ちを伝えたかったからだ。
遠くで吹奏楽部の演奏が聴こえる。
「先生、さよならー」
先生は玄関で下校する生徒を見送っていた。
「先生っ!」
私は荒い息を整えながら先生を呼んだ。
「ん、どうした?」
先生はゆっくりと振り返った。玄関から抜ける風が心地よい。先生は不思議そうな顔をしていた。私は普段、静かに授業を聞いているので、真面目な生徒だと思われているのかもしれない。
「先生、私、先生の授業が楽しかったです。分かりやすく教えてくれて、授業も面白くて。数学が毎日楽しみになってました。先生のおかげでいい点も取れるようになったし、授業以外、部活でも先生に助けられました。本当にありがとうございました…あとっっ…」
突然涙があふれてきた。先生困らせちゃうから嫌なんだけどな。
『生徒として』先生に言えることは言えた。あとは。
「先生、…」
遠くからセミの鳴き声がきこえる。
遠くから運動部の掛け声も聞こえる。
玄関から光が差し込んだ。
先生は一瞬驚いたような顔をしたが、いつもより優しい顔で言った。
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