コメディ・ライト小説(新)

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クズニートが職を見つけるまで(ついでに世界を救うまで)連載中
日時: 2025/08/25 19:24
名前: ドドリア様 (ID: TPmYcxrv)

「おばあちゃん、大丈夫?荷物、横断歩道の先まで持ってっとくね」
「ちょっと、そこのあなた!歩きスマホは危ないですよ」
「ゴミ拾いやってまーす。不要物回収しますよー」
このセリフ、なんと全て同一人物が発したものである。しかも、過去1時間以内に。道徳の模範とも言うべきこの男の名は、『東雲 弐絃』(しののめ にいと)。今年で25歳、男。彼女はいる。
これを読むあなたは、今この一瞬で東雲のことが嫌いになっただろう。無理もない。
人は完璧な人間に、少なからずの嫌悪感を抱くからだ。
しかしご安心いただきたい。ちゃんと読者が離れないよう、この男には幾つか、最悪の逆デバフがかかっている。そう。彼は世間一般でいう、『ニート』なのだ。どうだろうか。少しは彼のことを嫌いになって頂けただろうか。そして逆デバフ2つ目。彼は世間一般でいう、『クズ』でもある。これで皆さんは、彼を傍に置きたくないと考えるだろう。次が最後だ。ここまで東雲を見放さず、最後の最後まで大逆転を信じていた皆さん。それは徒労だ。逆デバフ3つ目。それは彼が『ペテン師』だということ。いかがだろうか。そろそろ東雲に殺意を持ってもおかしくない頃。これまで液晶をたたき割らずに辛抱強くこれを見続けていたあなたに、敬意を。
さて、『クズニートが職を見つけるまで(ついでに世界を救うまで)』は、名前の通り、東雲がハローワークに通い、たまに人と関わり、その道中に世界を救う、そんな物語である。あなたは東雲の横暴に、液晶粉砕せずに済むか。いまのうち、保護フィルムの購入を検討することをお勧めする。身分上、適当なタイミングで投稿することを常としているので、その点はご理解をいただきたい。
それでは、あなたの明日が幸せと東雲にまみれますように。

クズニートが職を見つけるまで(ついでに世界を救うまで)#2 ( No.1 )
日時: 2025/08/24 00:55
名前: ドドリア様 (ID: TPmYcxrv)

「働きたくねぇ…」開口一番それか、東雲弐絃よ。言葉は人の人間性を表しているというが、まさにその通りだ。ここは東雲の家。ニートには立ち入ることすら許されないはずの、マンションの3階の一室である。
クズ兼ペテン師兼ニートが何故このような人並み以上の暮らしができる住処を構えているのか。理由はいたって単純である。今からさかのぼること1年前、いよいよ生活が困窮した東雲は、そこで野垂れ死にすればよかったものの、真っ当な人間には到底出来ないような真似をしてピンチを脱して見せた。
東雲はまず、実家にいる両親に電話をかけ、「あー、親父?職見つかってさー、その祝い金をくんね?」と大噓をぶっこいた。そして当座の資金を得た東雲は、何に使うのかと思いきや、なんとパチンコに全て突っ込み、大負けする。新たな息子の門出を祝った両親からもらったお金は、見事にエヴァンゲリオンに吸い込まれていった。そして次に東雲は、2,3段階すっ飛ばして闇金を借りる。一気に金を得た東雲は、なんとゲーミングマウス、キーボード、㍶本体を購入。残ったのは膨大な利子のみとなった。そこで東雲は、知る限り全ての友人を欺き、孤独になりながらも利子の何倍もの資金を得、闇金の連帯保証人に全ての友人をあて、本人は素知らぬ顔で新たな生活を始める。大学時代から交際している彼女の家に住み着いているのだ、莫大な金があるにもかかわらず。所謂ヒモ状態である。ちなみに、ちゃっかり生活保護も受給している。出費無しで金が増え続けるクソニート。それが現在の東雲の現状である。おや。どうやら東雲は、いまからハローワークに向かうそうだ。…これは余談だが、彼が物語冒頭で善行をふるまっていたのは、行きつけのハローワーク近辺に限定されている。理由は言わずもがな。あえて言うなら、点数稼ぎである。「行こうかな 職を探しに いざハロワ」誰もいない部屋で、そうつぶやく東雲。どうやらツボにはまったらしく、クックと笑っている。季語が無いうえに、全く響いてこない。全く酷い俳句である。これはもはや、廃句と表現する方が的確である。
さて、『クズニートが職を見つけるまで(ついでに世界を救うまで)』第二話が終了した。いかがだろうか。少しは東雲のクズっぷりが読者に伝わっただろうか。保護フィルムは役に立っただろうか。どうか次回をお届けしたいものだ。
それでは、あなたの明日が幸せと東雲にまみれますように。

クズニートが職を見つけるまで(ついでに世界を救うまで) #3 ( No.2 )
日時: 2025/08/24 14:44
名前: ドドリア様 (ID: TPmYcxrv)

「だ~かぁ~らぁ~」珍しく、いや珍しくはないが、東雲はやけにいらだった声をあげた。どうやら、ハローワークの受付嬢と揉めているようだ。「週休5日、休日出勤限定!日給5桁!簡単でしょ?」なんと東雲は、休日しか働かないつもりらしい。しかも、1日で万単位の給料をもらおうとしている。なんとまあ、社会をなめ腐った発言である。最初は営業スマイルを維持していた受付嬢だが、東雲が身勝手な論理を嘯く度に、笑顔が引きつっていく。血管が浮き出ていく。「そんな好条件な仕事、ありません!」「ある!」「ない!」そんな押し問答がかれこれ10分以上続いている。無益だ。実に無益だ。ちなみにこの論争において、この受付嬢には一切の非がない。すべては東雲の責任である。今にも殴りかかってきそうな受付嬢だったが、東雲の苦し紛れのある一言によって、様子が一変した。
「何だってやってやる!誰もやりたがらない仕事だって、たとえゴキブリを食う仕事だって、金さえもらえりゃあ何でもやるって言ってんだろうが!」受付嬢は、目を見開いた。その変化に、東雲も動揺する。≪え…?なんか変なこと言ったか?≫息が詰まるような沈黙の中。受付嬢は、ゆっくりと口を開いた。「今のお話、本当でしょうか?」東雲は動揺が抜けきらない状態のまま、しかし言葉を返す。
「ああ…いや、ゴキブリは食べないけど」受付嬢は、しばらくの間、何事か思案しているようだった。口元に手を当てて、「じゃあ、アレも…」「いや、でも…」「…」「よし…」
やがて、受付嬢は決心を決めたかのように前を向き、きっぱりとした口調でこう言った。
「わかりました。その条件でしたら、ご紹介できる職が一つだけあります。あなたの言ったことが真実であれば、今から私についてきてください。」東雲は、歓喜の声をあげた。「おおっ!」先程、受付嬢にそんな好条件の職場はないと言われたばかりの事を忘れて。東雲が受付嬢に付いていった先は、そのハローワークの二階だった。簡素な会議室には一つ、異様な点があった。窓がないのだ。≪設計士の栗原さん呼ぼうかな≫いらんことを考える東雲。程なく、一人の男性が受付嬢に呼ばれて室内に入ってきた。東雲より、2つほど下の年齢だろうか。すらっとした体型に、整った造形をした男。非の打ち所がない見た目に、東雲は嫉妬の心を感じる。「初めまして。伊勢楷ハローワーク支店長我儘管理課、浦見 貫御(うらみ つらみ)です。」我儘管理課ということは、東雲は我儘と認知されたということである。東雲は嫉妬心の次に、殺意を覚える。しかしこの男との出会いこそが、東雲が職につき、世界を救うきっかけになることとなる。
さて、『クズニートが職を見つけるまで(ついでに世界を救うまで)』第3話が終了した。今回は、東雲の新たな出会いについて書いてみたが、いかがだっただろうか。次回をお届けできることを、強く願う。
それでは、あなたの明日が幸せと東雲にまみれますように。

クズニートが職を見つけるまで(ついでに世界を救うまで) #4 ( No.4 )
日時: 2025/08/24 23:33
名前: ドドリア様 (ID: TPmYcxrv)

東雲は、浦見と向かい合っていた。「職を探してるのですね。」頷く東雲。
「一つ、あなたの条件に見合う職があります。なお、この話は政府機密案件であるため、一度内容を聞いてしまったら、もう後戻りすることは出来ません。それでもなお楽して大金が得たいのであれば、この話しを聞き入れてください。」あまり考えずに、東雲は言った。「あぁ、全然いいっすよ。よろしくおねがいしまっす。」「え軽」思わず、浦見の素が出る。「機密案件ですよ!?普通もうちょっと迷いませんかね!?」「だからいいって。okっつってんの。早くせい」職を紹介する人間に向ける態度ではないと思う。さすがはクズである。「…分っっ…かりました。では、概要を説明しますね」「できれば5分以内で。腹減ってんのよね」「えぇ…」コホン、と浦見は咳払いを一つして切り替える。
「あなたの条件にあう仕事内容。それは、『観察者』を殺すことです。」「観察者…?」
「この世界は、『観察者』というある創造主の手によって動かされています。『観察者』は、主にこの太陽系第三惑星、地球の歴史を造った、我々と同じ人間です。日本政府は、『観察者』の存在を、偶然にして確認しました。その方法はお教え出来ませんが、あなたには日本政府が独自に編み出した、『観察者』にたどり着くための『道』を通って、『観察者』を探し出して、殺してほしいのです。」
「はぁ…。まぁそれはいいんですけど。」「それは良いんだ…」「給料はいくら?」浦見はにこやかに答える。「1日で3万円の現金給付を、国家名義でお渡しします。」「4万」「えっ?」今度は東雲の方がにこやかに、指を4本立てた。「4万に値上げしろっつんてんの。良いだろ?国の金だろ?減るもんでもねーべ」国相手にカツアゲしている。肝が据わっているというか、単なる阿呆か。「まぁ…いいでしょう。」「おっけ、乗った。やってやるぜ、観察者殺し」席を立つ東雲。慌てて浦見が引き留める。「まだ話しは終わってません!」袖をつかまれ、無理矢理席に戻される。東雲は露骨に嫌そうな顔をする。「何なの?○すぞ」「はぁっ!?…ンンっ。普通の人間の肉体では、あなたは『観察者』の元へたどり着くことすら出来ないでしょう。『観察者』は、地球ではない『ちきゅう』という別時空に存在しています。ですからあなたには、政府共同開発の超人工知能ai、『さずけるくん』を与えます。『さずけるくん』は個々の宿り主の性格に応じた、現実干渉される能力を一つあなたに授ける事ができます。」
「へぇ…」東雲はもうこの話しに飽き始めていた。「納得して頂けましたら、こちらの契約書と、あと遺書にサインしていただきます。」「遺書ォォっ!?」なんやかんや紆余曲折ありながらも、東雲は契約書と遺書にサインし、その日は無事に帰路につくことができた。東雲は帰り際、「あ、ちなみに正式採用ではありません。試運用です。」と言われたため、少しブルーな気分になっていた。
≪観察者、ねぇ…。色々と危なそうな仕事だけど、なんせ貰える金が半端じゃない。こんなうまい話、乗っかるのが筋ってもんさ。≫
東雲 弐絃、25歳。今日より、日本政府観察者対策委員会現地隊の一員として、仮就職決定。
さて、『クズニートが職を見つけるまで(ついでに世界を救うまで)』第四話が終了した。いかがだっただろうか。これよりメインストーリー開幕、クズニートの新しい日々が始まる。『観察者』とは何者なのか。果たして、この世界はどうなってしまうのか。
読者の皆さんには、是非ともその先をご覧いただきたい。
それでは、あなたの明日が幸せと東雲にまみれますように。


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