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コメディ・ライト小説(新)
- Re: 桜と雪の下の新選組~隊士たちの誠~ ( No.1 )
- 日時: 2023/05/26 02:43
- 名前: オタクちゃん ◆garYubfI0Y (ID: xlcSC1ua)
【プロローグ】
[1862年 春]
稽古を終え、春の日差しに包まれた試衛館を出た沖田総司は、満開の桜の美しさに目を見張った。
江戸にも、春が訪れたのだ。
「桜が満開ですね。こんな日はお花見がしたくなるなぁ。歳さんはどう思いますか?」
沖田の後ろにいた歳さんと呼ばれた男_土方歳三は、すっと目を細めた。
「確かに、今日は暖かいな」
「お花見がしたいなぁ」
柔らかな春の訪れに、ほっと一息つく。
「沖田の兄ちゃーん!」
声をするほうを振り向くと、子供たちが手を振っていた。
沖田は子供とよく遊ぶので、親しみやすく人気が高い。
剣の道も強いとなれば、もう、それはそれは子供たちの憧れの的だ。
「今日は何して遊びますか?」
沖田は屈んで目線を合わせた。
「うーん、コマがいい!」
「僕も!」
「それじゃあ、今日はコマで遊びましょう」
と沖田は微笑んだ。
いつの間にか時間が経っていた。
もうすぐ、日が暮れそうなので、子供たちを帰らせなければならない。
「じゃあ、そろそろ帰りましょう」
「うん!」
「あの……」
隅っこで静かに遊んでいた子供が、口を開いた。
「僕、沖田さんみたいに強い剣士になりたいです…!だから、沖田さんのこと、お、応援しています!」
「ありがとう」
この子が剣士になれるその時まで、頑張らなければ。
黒船の来航、そして開国した日本では、幕府への批判が強くなっている。
尊王攘夷運動もあり、あと何年幕府が持つのか、なんて噂も囁かれ始めていた。
沖田自身、何か幕府の役に立てることがしてみたいと思っていた。
桜の季節、皆が色々なことを考え始めていた。
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