ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: あかりのオユウギ弐-怪物の町- 参-六 ( No.115 )
- 日時: 2008/09/20 17:56
- 名前: ゆずゆ ◆jfGy6sj5PE (ID: nc3CTxta)
- 参照: 魔法の使えない魔術師は魔術師ではありません。
七話 [ 橙色(おれんじいろ)-夕飯はラーメンと吸血鬼には絶対なアレ- ]
「るーるる、るるるるーるるー♪」
廃ビルの最上階で、真月フラウンホーファと真月スペクトルと言う双子の吸血鬼が日光浴をしていた。
吸血鬼のくせに太陽が大好きな、認識の狂った吸血鬼の一族の娘たち。軽い気持ちで地球へ遊びに来たのだが、その二人を追って疑太陽と言う太陽に似せて作られた偽太陽が地球に近づいているのだ。イコール、地球の危機。
太陽の温度はしんじられないくらいある。だから、地球をまた焼き尽くしてしまうのだ。太陽の大きさは地球の何十倍。だからこそ、また危機らしい危機だ。
戦争よりも恐ろしい、地球の終わり。それが訪れているなんて、その二人は知らない。だからおせんべいをまた気楽に食べれる。
「塩味ってやっぱいいよねー」
「そうよねフラウン。わたしは味噌味がいいなー」
「せんべいに味噌? わたしは塩で十分だが」
「ラーメンのことを言っているの。アレは地球に来て始めて食べたものの中で一番美味しかったでしょ?」
そうやらラーメン好きらしい。
「ああ! ラーメンは美味かった。美味すぎた!」
「よねよねそうよねぇ……。今日の晩御飯はラーメンにしましょうか!」
楽しそうに会話をする中、上からオレンジ色の何かがどすっと鈍い音をたてて落ちてきた。それに気づき、砂煙小さくが出ている場所を覗き込む二人。そしてオレンジ色の瞳をまた大きく開けて、言う。
「コウモリA! 大丈夫? おうとうせよ!」
「コウモリA? なんだよスク。お前コウモリ飛ばしてたのか?」
「美味しいラーメン屋さんとかないかなぁって思ってね」
あはは、とオレンジ色の髪を二つで結んだ二人の中の一人の少女、スク。
それを聞いてオレンジ色の髪を一つで結んだスクの双子のお姉ちゃんのフラウンがにっこり笑って、スクに訪ねる。
「で? で? 美味しいラーメン屋さんはどうしたんだ!?」
「あははーそんなに顔近づけなくてもぉ」
「別に近づけてないぞー」
二人は笑って話し合いをする。その中で、ぷすぷすと音を立てて、スクが飛ばした化身の様な物のコウモリAが、何かに支配されている様に言った。
「お嬢、サマ……。地球ナンかに降リテ、何をしテいるのデすカカカ……」
そのコウモリAの声を聞いて、スクとフラウンはそれを睨んだ。どうやらコウモリAは疑太陽に住んでいるメイドたちに支配されたのだろう。
「何してるの? いけないじゃないメイドさん」
「シカし、おじょ……マ? ワタくした、ちハ……シンぱいヲ——」
「心配するな。ほおっておいてくれ」
「邪魔しに来るのなら大歓迎だよ! その前にラーメンの作り方を覚えておいてね」
『邪魔しに来るのなら大歓迎』それは、『地球を壊しちゃって』と言っているのと同じ。フラウンとスクは地球を壊しても良いと思っている。なぜならば、大嫌いな同胞を殺せるからだ。
そして、『地球を壊しちゃって』といえるのは、メイドたちが今疑太陽に乗っているからだ。メイドたちは疑太陽に乗って、自分たちを疑太陽へ連れ戻そうとしている。イコール、太陽が地球に近づいたらもちろん地球は——破滅する。
「まぁ、どうせ『あいつ』もわたしたちを殺しにくるだろうから——」
「なぁメイドさんよ。騎士はどうやったら消せると思う?」
フラウンはオレンジ色のメイドに支配されたコウモリにそう問う。そのコウモリは、困ったように答える。
「……ナか身を、消すンジゃ——」
「ぶっぶー。ぶっぶーぶっぶーぶっぶー」
ぶっぶーは、間違っていると言う擬音語らしい。
「騎士は中身ごと溶(と)かせばいいんだよ? まったくもう、おばぁかさん☆」
最後に『☆』をつけてそう言ったスクは最後にその支配されたコウモリをパンチで潰して元の自分の髪の毛へと戻る。
この双子『も』、自分の髪の毛を『変化』させて何かを作るらしい。だからそのコウモリも一本の髪の毛へと変わった——いや、元の姿に戻ったのだ。
「さてとのとっ! ちゃんとした食事を取りにいこうかね」
「そうねフラウン。わたし、もうおなかぺこぺこだよ」
「誰を狙う?」「誰にする?」
どちらがどちらの言葉を言ったのかは、声が似すぎていて不明。だが、考えていることは同じだ。
「B型なら誰でもいいな」「B型なら誰でもいいわ」