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Re: あかりのオユウギ2-怪物の町- 4-2 ( No.128 )
日時: 2008/10/05 18:28
名前: ゆずゆ ◆jfGy6sj5PE (ID: nc3CTxta)
参照: 魔法の使えない魔術師は魔術師ではありません。

三話 [ もぎ取れ-話にならないね- ]

 決戦は——始まっていた。
 一対ニの勝負。一の方の霊月は、ニの方の真月たちのどんどん追いやっているが——他の敵に追いやられている。
 他の敵——太陽。
 太陽は吸血鬼には毒だ。だから——だ。

「いくらわたしたちを追いやっても——霊月、あなたに勝ち目はないわ」
「バカだ。ここにバカがいるぞ。傑作だよ、バカ野朗たちよ」
「バカ——? バカじゃない。少なくともアンタよりはバカじゃないね」
「その言葉を聞くとまた一歩お前らがバカに見えてくるな……バーカバーカ莫迦莫迦……くくくっ」
「な、なめるなっ!」

 激怒した真月フラウンホーファ。フラウンは霊月の左の横っ腹に蹴りを入れようとする。

「生ぬるい」

 霊月は飛んできたフラウンの足に手をついてそこに力を入れてフラウンの足を下へ少し下げてから、右足をフラウンの足の下に入れてからその足を上へやる。

「あがぁっ!」

 すねは下へ下がっているのにももは上へ行こうとする。だから足は膝から——

「バキィ」

 折れる。

「あああああああああああ!」
「弱い弱い生ぬるい!」

 霊月はその折れた膝のところを前に曲げ、それからフラウンの足から手を離して後ろで右肩を抑えてうずくまっている、真月スペクトル。スクのところへ飛んで、それから目の前に立った。それから膝で、スクの腹を蹴る。

「あぐぅっ!」

 霊月は蹴り続ける。これでアバラはそれだけ折れるだろうか?
 まずはさっきので一本。
 また蹴る。
 さっきので二本。
 また蹴る。
 さっきので三本。
 また蹴る。
 さっきので——四、五本。

「いた、痛い! ああぅ! 痛い痛いいたっ! やだ……やあぁ!」
「子供相手だからついつい——な」

 くくく、と笑い、霊月は蹴るの止めてから、口から血を出し腹を押さえうずくまっているスクの前髪をつかみ、小さく叫んでいるフラウンの元へ引きずり連れて行く。
 それからスクをフラウンの隣に寝かすと、霊月は小さく笑った。

「ああ、殺人症状。殺人衝動。霊月の血が騒ぐよ」

 もう十分だろう。本当に、十分だ。だが霊月は——止めなかった。
 まず倒れこんで小さく「痛い痛い」と呟いているスクを見る。肺にアバラが刺さっているのか、上手く呼吸できていない。そんな状態のスクの左足を掴み、倒れこんでいるスクの前に立つ。それから足で掴んでいるを前から押す。霊月は——折るきだ。

「や、やめっ。やめて——やめてぇ」
「バカ一号よ。お前は霊月が殺人鬼の吸血鬼集団だってこと知らないのか? やれやれだな。ま、そーゆーことで今の霊月を止めることはできないよ。鎖が外れたからな」

 そう言うと、力を込めてその膝を——蹴った。

「あああああ!」

 続いて右足。

「よっと……」
「あああああああ!」
「続いて右腕——ああ、出血多量かなんかで死ぬよな。じゃあ終わりにしよう」

 今回の目的は真月フラウンホーファと真月スペクトルと言う吸血鬼を封印してどこかの惑星に植え付ける。それから太陽を壊し、お終いだ。お終いなのだ。
 双子も、太陽——疑太陽も——

 霊月も。

 霊月の右手の小指と薬指と中指もう砂となり散っている。もう、駄目だ。太陽と結構離れたところに逃げてから戦ったものの、この距離で指がもうなくなりそうだということは、太陽の至近距離に言ったらもう、足が無くなるだろう。
 だが霊月は思っている。
 だけどこの作戦を終わらせてはいけない。
 自分の命は終わってしまってもいいが——

「あいつらを救わなきゃ、『あいつらに出す顔が無いしな』」

 あかりとルナ(あいつら)を救わなければいけない。

「吸血鬼だって、わたしだって——死ぬことは平気なことじゃないさ」

 誰だって——。

「死ぬことは、あいつらにあえなくなることだからな」

 お遊戯を、始めよう。
 作戦を中断することなんてできない。ここから見てでも分かる。
 太陽がどれだけ地球に近づいているか。
 だから霊月は走った。
 早く行かなければいけないから。
 どんなに太陽がのろく動いていても——

「護らなきゃいけないから」