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Re: あかりのオユウギ2 -剣呑- ( No.239 )
日時: 2008/11/17 18:38
名前: ゆずゆ ◆jfGy6sj5PE (ID: nc3CTxta)
参照: ファゴットの使えない殺人鬼は殺人鬼ではありません。

八話 [ 説明-妖怪の- ]    

 火車(かしゃ)。九州、沖縄の妖怪。
 コロポックル。北海道の妖怪。
 鎌鼬。北陸の妖怪。
 二口女。関東の妖怪。
 オッパショ石。四国の妖怪。
 鉄鼠(てっそ)。関西の妖怪。
 産女(うぶめ)。中国(地方)の妖怪。
 絡新婦(じょろうぐも)。東海の妖怪。
 霊月一族の率いる、8の妖怪。
 霊月はその8の妖怪を、祭風あかりの家。もとい霊月とルナとあかりと3人で暮らしている家へ呼んだのだ。



 火車。それは、死体を盗む妖怪。その正体は長生きした猫が妖怪へと変わったものであることが多い。火車は嵐を起こして死体の入っている棺の扉を開けて、中の死体を盗む。また死体の肝を取り食べてしまう、とも言われている。実は両方やってたりするのが、霊月一族率いる猫殺軍団(びょうさつぐんだん)の中の火車なのだ。
 コロポックル。それは、今の北海道に住んでいる小人見たいに小さい妖怪である(小人説有り)。洞窟に住み、白い肌の持ち主。人助けなどをしている。だがそんな人助けもするコロポックルだが、怒ると怖い。アイヌ民族という民族に苛められて、土地を出て行くときに「トッカプチ(水は枯れろ、魚は腐れという意味)」と言い、そこを出て行ったという。コロポックルの言ったとおりに水は枯れ、魚は腐ってしまった言われる。そんな優しそうで怖い妖怪(小人)が居るのは、霊月一族率いる北海道演奏団なのだ。
 鎌鼬。それは、道を歩いている人の足を切ったりする、そんないたずら妖怪である。切り方は、鎌鼬の足についている風の摩擦か何かですっぱりと切る。その傷じゃ擦り傷の時もあるし、骨が見えるまでの時もある。とりあえず人の足を傷つける通り魔妖怪が居るのは、霊月一族率いる狐殺技術団なのだ(というか元々は小殺通学団《しょうさつつうがくがん》の中の物だったのだが、強引に狐殺技術団へ入れられた説有り)。
 二口女。それは、首の後ろにまた一つ口のついている女の妖怪である。二口女は人に取り付き、取り付かれた人の首の後ろに口が出来る。その口からこれでもかというように食べ物を食べさせる。死ぬまで食べさせたら、二口女はもうお腹いっぱいで取り付いた人から離れる。そんな妖怪が居るのは、霊月一族率いる女殺徒歩団(じょさつとほだん)なのだ。

「あーもう、説明めんどくせー」
「ん? どうしたんですか? お嬢」
「あはは……。別にぃ」

 霊月はルナに顔を見られないようにクッションに顔を埋めた。

 オッパショ石。それは、おんぶしてもらってそのままおんぶしてくれている人を潰してしまう妖怪。狸が化けたとも考えられているオッパショ石は、山を歩いている人に急におぶれ、と言っておぶらせる。そのまま体を石化して重くし、その人を潰して殺してしまう。そんな妖怪がいるのは、霊月一族率いる狸殺登山団(りさつとざんだん)なのだ。
 
「やばい、8人? ……も無理だ後何人? 3人も……」

 鉄鼠。それは、鉄のような牙と石のように硬い体を持った鼠のこと。まんま鼠だが、延暦寺を襲った凶暴な鼠である(嘘だという説有り)。そんな鼠がいるのは、霊月一族率いる小殺通学団なのだ。

「あれ? 短い」

 産女。それは、どうしても泣き止まない子供を泣かせる為に抱かせる妖怪。全裸に赤い下着をつけている。泣き止まない子供を抱き、あやしてほしいと人に声をかけ、赤子を抱かせる。だが抱かせた子供はどんどん重くなり、離せなくなる。最終的に、赤子を抱かせた人を潰して殺してしまう残酷な妖怪が居るのは、霊月一族率いる鳥殺飛行団(ちょうさつひくうだん)の中の産女なのだ。

「あと1人! あと1人!」

 絡新婦。それは女の姿をした蜘蛛の妖怪。紫中心の着物を着て居て、滝に住み着いている。手から糸を出して人をさらい、生き血をすする、そんな血好きの妖怪。また美しい音色を琴で奏で、人を寄せ付けたりもする。そんな美しさいっぱいの妖怪がいるのは、霊月一族率いる女殺徒歩団なのだ。

「ひゅーう! 終わったー!」

 霊月はクッションから顔を出して、両腕を上げて喜び大声を出して言った。
 それを見ていた妖怪たちは話を止め、その1人(というのは可笑しい)の鉄鼠が霊月へ尋ねる。

「どうされたんですか? お嬢様」
「いや、説明がやっと終わったんだよー!」
「な、何を言っておられるんですか?」

 鉄鼠は黄緑色をした短い髪を揺らせ、また尋ねる。
 霊月は嬉しそうな顔をして鉄鼠の元まで歩いていって、その黄緑の頭へ手を置いた。

「説明さ」
「……え? え?」
「とりあえず、終わった。じゃあ明日くらいに攻め込むぞー」
「ええっ!?」

 そこで、ルナが1人で驚く。
 そして霊月と反対方向も向いていた体を霊月の方へ向け、言う。

「明日ですか!?」
「あはは。ルナが驚くなんてめずらしいな」
「……明日、なんですか?」
「うん」

 軽く答えると、霊月はまたあはは、と笑って、鉄鼠の持っていたあられを奪い取り自分の口へ入れたのだった。