ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: あかりのオユウギ弐-怪物の町- 参-序 ( No.98 )
- 日時: 2008/09/09 20:50
- 名前: ゆずゆ ◆jfGy6sj5PE (ID: nc3CTxta)
- 参照: 魔法の使えない魔術師は魔術師ではありません。
一話 [ 太陽から降りてきた-オレンジ色の双子- ]
「フラウンー! 早く行かなきゃ、メイドさんたちが起きちゃうよっ!」
「おおっ! すまんすまん——ってスク、お前靴下持ったか?」
「あっ! 忘れてたぁ」
時刻は朝の三時。
オレンジ色の髪を揺らせ、二人の女の子がどこかへ行く私宅をしている。
真月 フラウンホーファ(しんげつ ふらうんほーふぁ)はぱんぱんになっているリュックサックを重たそうに持ち、真月 スペクトルは靴下を中がちゃんとまとまっているリュックサックに詰め込んだ。
「スク、早く早く!」
「まま待ってよフラウンー!」
オレンジ色をした長い赤マットならぬオレンジマットを、オレンジ色をした髪から作られたオレンジ色のコウモリの翼のようなもので浮いて歩く。吸血鬼の飛び道具と言う奴だ。もちろん地毛ででいている。
スクと呼ばれるオレンジ色の髪を二つで結んだ少女は、その髪の色より少し濃い色のリュックサックを背負って、すばやく髪をコウモリの翼のようなものに変えてフラウンと呼ばれる少女の隣へ来る。
ここは太陽。太陽と言っても、この少女たちと、少女たちにかかわる全ての吸血鬼とで作った太陽だ。その少女たち命名『疑太陽』。本物の太陽は小さくして封印してある。それも少女たちの力でだ。
今日は地球へ舞い降りようと思い、メイドもまだ起きていない総長から私宅をして舞い降りようとしているのだ。
「良し、後は出口を扉を開けるだけだ」
オレンジ色の髪を一つで結んだ少女。フラウンが、小さな手で大きな扉を——殴った。
バシィン。
扉にひびが入る。
次にスクと呼ばれる少女が——蹴る。
ドカァン。
殴る蹴る殴る蹴る殴る蹴る殴る蹴る——『砕ける』。
重たそうな、その二人の少女たちでは開けられそうにない扉が、開いた(壊れた)。少女たちはにっこりと笑って、青のグラデーションの背景にちりばめられたスパンコールの様な外へ、出た。ここは宇宙。少女たちは酸素がなくても大丈夫らしい。だから地球へ落ちる様に降りる。それは宇宙から落下してくる隕石の様だった。
◆
着地する時は静かだった。と言うか、音なんてしなかった。
そこは霧が深く、やっと前が見れるくらい。六時頃になると雨が降りそうな予感。
リュックサックを背負った二人の少女は、まず町を歩いていい場所を見つけた。それは、廃ビル。
ガラスは割れ、壁は所々色落ちしていて、窓枠はさびているし中はすごく暗い。だが、最上階は壊れていて天井がなかった。だから、そこを『家』として選んだ。
少女たちは飛んで最上階へ行き、霧の冷たさを味わってから言った。
「わたしたちを探しに来るよねー。あの疑太陽は」
「そうね。あんなに燃えているのに……」
「地球に来たら、大変じゃん」「ここに来たら大変よね」