ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: ブルーアース、  5 ( No.11 )
日時: 2010/01/09 23:33
名前: ゆな ◆XjEkgBsu$Y (ID: CDKSbPfv)



「あの……ヴィルガット。ここはどこなのか知っている?」
「てめえ人間のくせに生意気な口を聞くんじゃねえ! 俺様は悪魔の中の悪魔だぞ、敬語を使え、敬語を!」
 ヴィルガットは鼻を高くしてそういった。それが可笑しくて僕は苦笑しながら、
「はいはい、宇宙一の天才でしたね。ヴィルガット様?」
 といった。
 僕らは今、何もない闇の世界の中でただ一つ青白く光る長い道を歩いている。なぜ、僕はこんなところにいるのだろう。なぜ、僕は悪魔なんかと一緒に居るのだろう? あれは、多分一昨日の話だった。

 僕は、僕として人間に生まれた日からずっと手に持っていたものがある。それは、とても小さくてとても輝かしい何かの、カギを握って生まれてきた。
 だんだんと成長するにつれてそのカギもどんどんと大きさを増していった。
と、いっても家のカギと同じくらいの大きさなのだが。そのカギを手に翳すとくっきりと鳥のような何かの紋章が浮きあがる。
 僕以外の人がそのカギに触れても熱くてとてもじゃないけど触れないらしい。だからいつも僕は首にかけて隠し持っている。

 そして、僕は見つけてしまったんだ。学校の帰り道遊び半分で知らない路上を通って帰っていた。
 そしたら知らないところに迷い込んで、付いたのが光り輝く謎のトビラの前。トビラの中心には僕の手に浮かび上がるあの紋章が大きく描き出されていた。もっとも、あと知らない紋章が三つあったけど。
 僕は確認まぎわに手にカギを近づけて紋章を浮き出させた。そしたらこう……なんか分からないけどピカーッと僕が光ってビューンって真っ白な世界に飛ばされて三秒くらいたったとき、ドスンって何かの上に落っこちたんだ。これが悪魔、ヴィルガットと人間、アレールの出会いだったんだよな。


「おい、おまえちゃんと聞いてんのか? おい、アレール!」
 ヴィルガットに怒鳴られて回想から目が覚めた。 
「ああっ……も、勿論聞いていたさ! ヴィルガット」
 悪魔、ヴィルガットは額を潜めて僕をにらんできた。悪魔ながら怒らせたとさぞかし後悔する僕。
「なら、さっき俺様が言ったことをすべて残らず言ってみろ! え?」
 そういったヴィルガットはなんだか僕をからかっているみたいでなんだか腹が立った。けど、
「……ごめんなさい。本当は聞いていなかったんだ……」
 聞いていなかった僕も悪かったと後で自重する。